先日のサフェーサーが硬化したので研いでラインを出し、全体の塗膜に足付け処理を行います。今回は旧塗膜を活かしますから使用するペーパー(と言うか研磨用布)は#1000以上と細かい物を使います。
今回の自転車フレーム塗装はいつもとはちょっと違ったやり方ですが、自動車の車体塗装としては至って普通のやり方です。ドアが凹んだとしてもまさか旧塗膜を全て剥がして塗る塗装屋は居ません。と言うかそれは問題です。
ただ自転車の場合だと旧塗膜を残して(活かして)塗り直す方が実は塗膜全部を剥がして塗り直すよりも難易度は高いですし非常に気も遣います。
そして本塗り準備完了です。と言ってもこのまま塗るとなると残したいデカールに色が飛んでしまうので、色が掛かりたく無い箇所にマスキングを行います。その前によく脱脂してエアーブローは勿論ですね。
ちょっと適当な感じですが、紙の下にはもう一段マスキングが施されていたりします。なので画像はマスキング二重になった状態ですね。まずはメインで色を塗りたい箇所だけを露出させ、その箇所をしっかり隠蔽させてから徐々に紙を剥がしていきます。
今回はシートチューブ(真ん中のパイプ)の修理がメインですが、ヘッドチューブとリヤディレーラーハンガー、ボトムブラケットの下とシートポストが入る箇所など「頂点」に当たる箇所には傷が多くあったのでその辺を重点的に塗っておきます。
いきなり本塗りが完了してしまったような感じですが、ここに至るまでのベースコートのボカシ作業でかなり神経を使っていてうっかり写真を撮るのを忘れていました。修理の塗装は色々気を遣う場面が多くて大変です(なので長くやると体を壊します)。
ベースコート塗装のやり方としては、
①下地が露出しているなどしっかり塗る必要がある箇所を先に完全隠蔽。
②マスキングを徐々に剥がしベースコートのボカシと共にさらにちょっとした小傷をスプレーで拾っていく。
③全てのマスキングを剥がしたら全体に「ベースクリアー」を塗布。無色透明なベースコートと言った感じです。
④フラッシュオフタイム(コート間の乾燥時間)をおいてクリアコート。
といった感じです。本当は一番最初に③の「ベースクリアー」(色が付いていないベースコート)を塗る予定だったのですが、実はフレーム全体に小傷があったのでベースカラー(黒)を塗る必要があったのはかなりの部分を占めていましたから下吹き用としてのベースクリアーは必要無いと判断したのです。その代わりにかなり際どいボカシ作業が必要だったんですけどね。大変気を遣いました。
と言う事で損傷がひどかったシートチューブ以外のロゴは無事残せ、フレーム全体は綺麗にリフレッシュ出来たと思います。
ちなみに今回は普通に全体がクリアーでコートされているフレームだったからこういった方法で既存のロゴを残す事が出来ましたが、古いフレームでピンストライプなどが施されていたり(イタ車に多いです)、旧塗膜自体が劣化した物ではその上にクリアーを塗っても意味が無かったり、また「チヂレ」などの問題を生じる場合があるのでこの方法が全てに対応出来る訳ではありません。特にピンストライプはフタル酸系(所謂「ペンキ」)が多用されていますから、折角のヴィンテージモデルに施された塗装も見るも無残な状態になる可能性があります。と言うかそうなる可能性は非常に高いのでお受付出来ないのです・・・。
来週には完成出来そうですね。もう少々お待ち下さいませ!