RALEIGH Frame

RALEIGH当店にしては珍しく体物保険修理でのご依頼となったRALEIGHのクロモリっぽいマンガンモリブデン鋼(多分)のフレームです。

raleigh1運搬中の固定か何かでシートチューブが傷だらけとなっていました。

傷付いた箇所は塗装では無くデカールが貼られていて、これには細かい文字も含まれている為に当店での対応出来なく、ただオーナー様的にはロゴは無くなっても構わないと言う事でご依頼承りました。

raleigh2傷の部分は下地からやり直しますが、その他の箇所についてはクリアー塗装のみとなるので、無用な傷が増えないよう養生して作業を行います。

raleigh11 傷のあった箇所は事故が起きてから結構な年月が経っていたらしく、根深く錆びが浸食していたのでサンドブラスト処理も行いました。

raleigh21 錆びはそれ自体に水分を抱え込むので根こそぎ削り落とす必要があります。

raleigh3 プライマーを塗布し、サフェーサーを塗ったら熱を掛けて硬化させます。

raleigh4 サフェーサーを塗った箇所を平滑に研ぎ、フレーム全体に足付け処理を行います。

raleigh5 各部をマスキングし、良く脱脂を行ったらまずはベースクリアーを塗布します。

raleigh6 デカールの貼ってある箇所をマスキングし、ベースコートの黒を塗布します。

raleigh7 ベースコートの黒を塗り終えたら養生を剥がし、クリアーを塗って本塗り完了です。

raleigh8クリアーを塗る箇所にも必ず足付け処理は必要で、10年くらいして表面のクリアーだけがペリペリと剥がれてくるのは足付け処理をしていないのが原因です(私のTREKも同様の事が起きています…)。

raleigh12 その後熱を掛け、必要に応じて磨き処理を行ったら完成です。

raleigh11 この辺の細かい文字は塗装では再現が難しいので色を塗らずクリアー塗装のみで済むようにしました。

raleigh10 同様にこれらのロゴなども色は飛ばないようにしてクリアーのみの塗装としてます。足付け処理をしているので後で剥がれたりもしません。

raleigh9ただこの時はご依頼内容が特殊で、どのケースでもこの方法で対応出来るとは限りません。傷や汚れがあればそのままクリアーを塗るわけにはいきませんので基本的に新車のみの対応とお考え頂ければと思います(この時は保険修理で、且つ代替品が無いと言う事での対応となりました)。

RALEIGHフレーム塗装 完成です!

こちらもお待たせしました!RALEIGHのクロモリ(またはマンガンモリブデン鋼)フレームも本日完成となります。明るい内に撮影はしておいたのですがその後バタバタしていてすっかり紹介が遅れてしまいました。申し訳御座いません。

しかし今日だけで荷物が5組、電話は20件近く、メールも10件以上って・・・、これはアベノミクスの恩恵でしょうか(苦笑)。

ロゴに関しては今回は何も追加(塗装)はしていません。これらは元々クリアーの下に貼ってあったデカールです。 私が出来る事としては「塗装」でのロゴ入れと多少のデカール作成だけですから、とてもこういった純正レベルのデカールは再現出来ません(かといって持込で貼り付けを頼まれても受け付けていませんが)。

今回はシートポスト部分の傷を修理するのがメインでしたから、フレーム全体へのクリアー塗装は付帯作業となっています(ただこの「残す」が中々大変なんですけどね)。

オーナー様的には「傷は直したいけどロゴが消えるのは有り得ない」といったご意向でしたが、まあ良い感じに出来たと思いますので一安心です。

今回のメインはこの真ん中に縦に走っているシートチューブです。ダウンチューブにあるのと同じロゴがここにもあったのですが、傷には錆も出ていたのでキッチリ直すには素地からやり直す必要があったのでここのロゴは諦めて頂く事となりました。ただそれだけに今後ここに何かトラブル(錆・ブリスター)が生じる可能性は低いかと思われます。

ダウンチューブの根元付近になるユニオンジャックも無事に残りました。塗装かと思いきや良くみるとドットが見えるのでこれがプリント(印刷物)だっていうのが解かります。ただこういった純正のデカールは余り退色が見られないのでちゃんとした顔料が使われているのでしょう。素晴らしいと思います。

ちなみに色を塗っているのは黒の部分だけであとはクリアーを塗っただけですが、RALEIGHのゴールドやこういった英国旗の色も随分綺麗に見えると思います。元々はもっと曇った感じでしたよね。これは元々の塗膜(クリアー)表面にあった「傷」によるもので、ただ普通の方はこれを「傷」とは認識しませんからちょっと不可解な事だと思います。

今回の塗装により色の発色が綺麗に見えるのはこの表面にある「目で見えない傷」が非常に少ないのが理由で(そもそも磨いていませんから傷は全く無い筈です)、それにより乱反射?が抑えられ写りこみがシャープに見えるのです。最近覚えたRAW画像編集で「シャープ」さを増やすと画像がより鮮明に見えるのですが、まさにそれと同じ感じです(ちなみにこの日記で紹介する画像はそういった編集はしていません。そもそもjpg保存ですので・・・)。

あとすいません、こちらの記事を見た方にちょっとお願いがあるのですが、良く文章を読まずに上記のような画像だけを見て「私のフレームにもこういったロゴを入れて下さい」みたいなお問い合わせがよくあるのですが、当店ではこういったロゴを入れる事は出来ませんし、デカールを持ち込んで頂いても貼る事は出来ませんのでどうかご注意下さい(クリアーの下に貼るシールはトラブルの元なのでお受付していないのです)。 なので本当はこういったロゴが写った画像の掲載は控えたいところだったのですが、やはり画像が映えるというか格好良いのでどうしても採用してまうのではありますが・・・。どうかお許し下さい。

それでは後ほど完成のお知らせメール差し上げます。この度のご依頼、誠にありがとう御座いました!(請求は某交通機関企業さんにしておきますね)。

RALEIGHのフレーム 本塗り

RALEIGH2先日のサフェーサーが硬化したので研いでラインを出し、全体の塗膜に足付け処理を行います。今回は旧塗膜を活かしますから使用するペーパー(と言うか研磨用布)は#1000以上と細かい物を使います。

今回の自転車フレーム塗装はいつもとはちょっと違ったやり方ですが、自動車の車体塗装としては至って普通のやり方です。ドアが凹んだとしてもまさか旧塗膜を全て剥がして塗る塗装屋は居ません。と言うかそれは問題です。

ただ自転車の場合だと旧塗膜を残して(活かして)塗り直す方が実は塗膜全部を剥がして塗り直すよりも難易度は高いですし非常に気も遣います。

RALEIGH3そして本塗り準備完了です。と言ってもこのまま塗るとなると残したいデカールに色が飛んでしまうので、色が掛かりたく無い箇所にマスキングを行います。その前によく脱脂してエアーブローは勿論ですね。

RALEIGH4ちょっと適当な感じですが、紙の下にはもう一段マスキングが施されていたりします。なので画像はマスキング二重になった状態ですね。まずはメインで色を塗りたい箇所だけを露出させ、その箇所をしっかり隠蔽させてから徐々に紙を剥がしていきます。

今回はシートチューブ(真ん中のパイプ)の修理がメインですが、ヘッドチューブとリヤディレーラーハンガー、ボトムブラケットの下とシートポストが入る箇所など「頂点」に当たる箇所には傷が多くあったのでその辺を重点的に塗っておきます。

RALEIGH5いきなり本塗りが完了してしまったような感じですが、ここに至るまでのベースコートのボカシ作業でかなり神経を使っていてうっかり写真を撮るのを忘れていました。修理の塗装は色々気を遣う場面が多くて大変です(なので長くやると体を壊します)。

ベースコート塗装のやり方としては、

①下地が露出しているなどしっかり塗る必要がある箇所を先に完全隠蔽。

②マスキングを徐々に剥がしベースコートのボカシと共にさらにちょっとした小傷をスプレーで拾っていく。

③全てのマスキングを剥がしたら全体に「ベースクリアー」を塗布。無色透明なベースコートと言った感じです。

④フラッシュオフタイム(コート間の乾燥時間)をおいてクリアコート。

といった感じです。本当は一番最初に③の「ベースクリアー」(色が付いていないベースコート)を塗る予定だったのですが、実はフレーム全体に小傷があったのでベースカラー(黒)を塗る必要があったのはかなりの部分を占めていましたから下吹き用としてのベースクリアーは必要無いと判断したのです。その代わりにかなり際どいボカシ作業が必要だったんですけどね。大変気を遣いました。

RALEIGH6と言う事で損傷がひどかったシートチューブ以外のロゴは無事残せ、フレーム全体は綺麗にリフレッシュ出来たと思います。

ちなみに今回は普通に全体がクリアーでコートされているフレームだったからこういった方法で既存のロゴを残す事が出来ましたが、古いフレームでピンストライプなどが施されていたり(イタ車に多いです)、旧塗膜自体が劣化した物ではその上にクリアーを塗っても意味が無かったり、また「チヂレ」などの問題を生じる場合があるのでこの方法が全てに対応出来る訳ではありません。特にピンストライプはフタル酸系(所謂「ペンキ」)が多用されていますから、折角のヴィンテージモデルに施された塗装も見るも無残な状態になる可能性があります。と言うかそうなる可能性は非常に高いのでお受付出来ないのです・・・。

来週には完成出来そうですね。もう少々お待ち下さいませ!

RALEIGHフレーム 下地処理

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こちらもお待たせしております。輪行した時に傷つけられてしまった自転車フレームRALEIGHの修理ですね。

傷が付いたのはシートポスト部分で、ここ以外にも小傷は多いのですが、フレーム全体に貼ってあるデカールのロゴはデザインが細かく複雑で、これを塗装で再現するのは難しいですからそれらは極力残しての部分的な下地処理&ベースコート(黒)の塗布、そして最後にクリアーを全体にコートするようにします。「修理&リフレッシュ」と言う感じですかね。

ただこれは結構気を遣い時間も多く掛かりますから、実はフレーム全体を塗りなおす「全塗装」よりも費用は高かったりします。イメージとはちょっと違うかも知れませんが、「1ミリの傷を修理する」と「全部剥がして好きな色に塗りなおす」は場合によっては前者の方が大変だったりするのです(当然費用もです・・・)。

私が最初に勤めていた会社(ディーラーセンター)で、自動車の「給油口の蓋を交換」と言う仕事があったのですが、その部品自体は15cm四方の単なる四角い板ですから塗るのには下地処理と合わせても30分も掛からないような仕事です。 が、それはリヤフェンダーのど真ん中に装着される部品ですから周りのリヤフェンダーと色が違ったら凄く目立つ訳で、ただ調色作業に一日掛けても塗装屋の観点からすると「同じ色」にはなりませんから、相当な時間を掛けて調色をしたにも関わらずリヤフェンダー一枚をボカシて塗る事にしました。勿論テールランプやモールなどの付属品は外すので大掛かりな作業です。 そのリヤフェンダーを塗るのには当時で7万円程度頂く事になりますから、給油口の蓋(フェーエルリッド)を含めて合計8万円くらいの請求になっていたりしました。・・・ちょっと有り得ない話ですが、オーナー様が「そこだけ違う色になるのは絶対に嫌だ」と言う事だったので結果的にそうなったのです。まあ塗装屋さんなら誰しもが経験はある事ですよね・・・。 その他にフロントバンパー交換の時に、やはり隣接パネルとの色違いを防止する為に「ボンネット」「右フロントフェンダー」「左フロントフェンダー」の3パネルを塗ったこともあります(総額は30万円オーバーだったかと・・・)。 「色違い」を起こさない為にはそらくらいの作業が必要って事ですかね。

と、何だか本題からズレてしまってすいません。 作業としてはまず傷の付いた部分を削って平滑にします。今回は錆も出ていたので念のためサンドブラスト処理をしておく事にします。周りをマスキングしているのは既存の塗膜に余計な傷を付けない為です。

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そしてサンドブラストキャビネットに入れ、錆が出ていた箇所にメディア(研磨粒子)を当てて一皮剥きます。他の部分も多少露出していますがその方向に向けて当てたりはしませんので御安心下さい。

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そしてこんな感じで錆が出ていた箇所は綺麗に処理されました。周りの塗膜は#120~#180の番手でダブルアクションサンダーで研磨されていますので、この後#240→#320→#400の番手で仕上げてサフェーサーを塗る準備をします。塗膜の辺が変な模様になっているのは「フェザーエッジ」が出ている状態ですので問題ありません。と言うかこうなっていないと駄目ですので。 塗膜の段差は急降下にならないように徐々に緩やかな傾斜になるように削っていかないとラインが出ませんし、それを無理にパテで修正しようとすると「パテ痩せ」と勘違いした「エッジマッピング」(チヂレの一種)を起こしてしまったりします。未だに見かけますかね。

「極力小さな範囲で済ませたい」というのは解かりますがそれを無理にやると大抵は後で問題が起きたりします。1ミリの傷でも小さく済まそうとしても30cm程度まで広がってしまうと言うのはそう言うことです。

まあやり方は人それぞれなんで良いのですが、傷にパテを埋め込んで直そうとしたり、或いは「塗るなら全部剥がさないと駄目」と、通り一辺倒な事しか言えないのはマズイですかね。修理する理由は色々ある訳ですから、色々な方法が出来てそのケースに合った修理方法を提案出来るのが良い形では、と思う次第です。

 

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金属の素地が出ていた箇所にはプライマーを塗って、その後それを覆うようにサフェーサーを塗ります。サフェーサーにも防錆効果はあるのですがプライマー単体のには及ばないですからね。ちょっと面倒ですがこれらはセットで行います。

と言う事で、シートチューブ部は殆どがサフェーサーで覆われまして、この部分はさらに10cm程度をベースカラー(黒)でオーバーコートされます。フチの部分はグラデーションさせるような感じでボカし、最後に全体にクリアーをコートします。

と、ちょっと長くなってすいません。金属素地の処理は一気にやらないと駄目なので紹介する時も長くなってしまうんですよね。

自転車フレームRALEIGH 修理塗装承りました

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こちらをお預かりしたのは去年なのですが、ちょっとご依頼の経緯がいつもと違うので紹介が遅れてしまいました。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!

今回のご依頼はシートチューブ部に出来た傷で、どうやら輪行時にこの部分を強く固定されていて深く傷付いてしまった模様です。ですので今回の請求元はその公共交通機関の企業様に当たる訳ですね。

実はこれはプロフィットを始めた当初、たしか13年くらい前にも同じような事がありました。屋久島かどこかの島に船で行く時に、輪行した船の船員さんさんにワイヤーで強く固定されてしまいフレームの至るところが傷だらけになってしまっていました。車種はアレックスモールトンのMTBタイプ?で、その時は保険作業だったので費用は潤沢でしたから(笑)、車体ごと預かって都内どこかの自転車屋さん(交通公園の近くと言うのだけは覚えてますが・・・)に持ち込んで分解して貰い、全塗装した後に再度組み付けて貰うといった結構面倒な事をやっていたのです。

その時のオーナー様曰く、「塗装は出来るけど元の色に戻せるってお店が見つからなくて・・・」という事でご依頼頂いたと思いますが、当時はインターネットも殆ど普及していない時代でしたから、「自転車塗装」といったキーワードで見つかるお店は非常に少なかったのだと思います(うちはネットに接続するのが結構早い方だったと思います)。まだISDNが全盛期の時代でしたよね(懐)。

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で、今回の損傷部はこんな感じです。表だけでは無く裏側も・・・。

オーナー様のご希望としては「出来るだけロゴとその端のラインを残して欲しい」との事ですが、さすがにそれは難しく、また既に素地から錆が出ているので中途半端な修理をしても錆の再発は100%起きますから、だとすると塗り直す意味が無いのでは・・・と言うことで、改めて違う修理内容をご提示の上でご了承頂き今回ご依頼頂く事と至りました。

内容としては、

①この傷周りのロゴについてはしっかり下地から修理する(傷の周りは旧塗膜剥離~サンドブラスト処理)

②色(黒)を塗るのはシートチューブ部のみ(ベースコートのボカシですね。自転車の塗装ではあまりやりませんが自動車お車体なら当たり前のことです)。

③シートチューブ部以外のロゴは残したまま、全体に足付け処理~クリアーを丸々塗装

と言う作業内容になります。

ここ以外にも小粒な傷はありますがその辺りは下地処理の段階でベースコートをタッチアップしておきます。クリアーまで塗られれば艶は同化するので比較的目立たなくなりますかね。

それでは作業進行しましたらまた紹介させて頂きます。もう少々お待ちくださいませ!