キャブカバー結晶塗装 完成

cab3 結晶塗装は1液性の焼付硬化型なので(メラミン樹脂です)、硬化剤を入れなくても150℃程度の熱を掛ければそれで完全硬化となります。常温なら固まらないので、極端に言うとスプレーガンを洗わずとも一日中塗っていられるのです(まあノズル周りが汚れるのでそうもいかないと思いますが)。

ちなみに主剤と硬化剤を混ぜて硬化する2液型の塗料は可使時間が決まっているので、今の季節ならスプレーガンにクリアーを二時間も入れっぱなしにしていればもう塗料は出て来てくれません。ガンの中で固まってしまうのです(怖)。

ただしウレタン系の塗料であれば常温でも硬化しますので(私はそんな事はしませんが)、プラスチックのパーツなどが付いた状態でも塗装~完全硬化する事が出来る、といったメリットはあります。完成した車両を後から補修する場合にウレタン系の塗料が使われるのはそういうことでして、まさか全てのプラスチック部品を取り外すなんて事はとても現実的ではありませんので・・・。

cab2結晶塗装の特徴としては「熱を入れてみないとチヂレ目がわからない」と言うことで、塗っている時には単なる艶有りにしか見えませんからその辺りが慣れないとちょっと難しいかも知れません。「とにかく乗せればチヂれるから」といった塗り方であればその辺は余り深く考えなくても良いのですが(私も最初はそうでした・・・)、仕上がった時のチヂレ目の事まで考えるとこれが結構難しくなってきます。私の場合も未だ毎回戦々恐々な思いで結晶目の出現を見守っている程でして(笑)。

尚、この「チヂレ目」は塗り方に大きく依存していて、塗膜が厚ければチヂレ目が大きく、少なければ細かくなるのが特徴です。ただし塗り足り無いとチヂレ目すら出てくれない場合があるので、それを懸念して余計にタップリ塗りがちになる所もあります。今回のような小さい部品でそこまでタップリ塗ってしまうとそれはもう異様な光景になってしまいますから、今回のような小さな部品だとその辺の調整が難しくなるのです。

ちなみに現在別件で現在お預かり中のロードスターのヘッドカバーは、最初に依頼した塗装ではその結晶目のムラが強かったらしく、今回改めて当店に御依頼頂く事となりましたが、出来上がって戻ってくるまでは仕上がりが判らないので判断は難しいですよね。施工例としての画像だけを見れば当然一番良い仕上がりのものを載せる訳ですし、またはRAW撮影をすれば後からソフトを使って加工も出来たりする訳でして・・・。

cab4私もちょっと前からRAW現像を楽しむようになりましたが、これをすると余りにも元画像から逸脱するような素晴らしい画像(笑)にも出来てしまうので、仕事でこれを使うのはちょっと反則な気もしますからここで紹介しているのは余程何かの間違いが無ければ全てJPEG画像になります(時々カメラの設定をRAWにしたままで撮ってしまう事がありまして・・・)。代わりに「社外記」の方で紹介している画像のその殆がRAWで撮影したもので、それらはかなり弄っていますから元画像はとてもじゃありませんが見せられ無い程になっていたりします(笑)。

それでは後ほど完成のお知らせメール差し上げますね。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!