BMW純正のフューエルキャップです。オーナー様は以前から当店をご贔屓頂いている方で、今回はお友達も誘って頂き同じ物を2個ご依頼頂きました。
元々は樹脂素地の梨地状態で、こちらを一目見てハイオク仕様だと判るようなイエローへの塗装でご依頼となりました。
ご希望されるイメージは、以前当店で施工したこちらのスバル純正フューエルキャップで、これを基に新たにデータを作製します。
各ロゴのサイズや配置を確認する為、イメージイラストを作製しました。今回は中央にBMWのロゴマークも入れるよう承っています。
デカールの作成は専用紙とドライプリンターを使って作製します。
一般的なインクジェットプリンターと違い、マイクロドライプリンターのプリント方式は昔ながらのインクリボンを使った印刷ですが、これ故に紫外線などでも褪色のしない印刷が可能となります。
印刷方法はそれぞれの色毎に別けて行います。これが少し面倒ですかね。
白色は一回刷りだと下地の色(今回はイエロー)が透けてしまう為、二回に重ねて行います。ただし普通に白を二回重ねるとインク同士の密着が悪い為、最初に「特色ホワイト」と下地として印刷し、その上に「ベースドホワイト」を重ねます。
それぞれの白のインクリボンの特徴としては、
【特色ホワイト】
長所・・・他の色と重ねて印刷が可能
短所・・・特色ホワイトを重ねて印刷すると密着が劣る
【ベースドホワイト】
長所・・・特色ホワイトの上に重ねても大丈夫
短所・・・上に色を重ねると密着性が劣る
と言った事が挙げられます。白を三回以上重ねる場合は不明です(私的には耐久性の面で駄目だと思います)。
MDプリンターを使った印刷の弱点としてはインクリボン同士の重なりで、当店で使っているプリンターはオーバーホールを行ってそれに関しての対策はしていますが、それでも塗装屋の目で見てしまうと判ってしまう場合があるので、それの対応策の一つとして「印刷位置をわざとずらし、大量に印刷してその中から一番良い物を選ぶ」と言う事で対処しています。
キャップには彫刻状のBMWロゴがあるので、それを削り落とします。
削って凹んだ分はパテを盛ってラインと整えます。
プラスチック表面には火炎処理を行い、プラスチックプライマーを塗ってパテを塗布します。
全体を研磨して足付け処理をし、よく脱脂洗浄を行ったら再びプライマーを塗ります。
色は以前施工した時の物を参考に新たに作成します。白・イエロー・オーカーでハイオクをイメージする色にしています。
サフェ―サーは60℃40分程の熱を掛けて硬化させ、全体にパラパラと黒を塗ってガイドコートとします。
当て板を使って#320~#400で空研ぎし、#600~#800の水研ぎで全体をならします。
まずはベースコートのイエローを塗り、しっかりと自然乾燥させたらデカールを貼り付けます。
デカールは専用の接着剤(マークセッター)と、水に水溶接着剤(木工用ボンド)を溶かした物で貼り付けます。
デカールは貼ったそのままだと綺麗ですが、これにクリアーを塗ると厚みの段差がハッキリと現れるので、必要(ご希望)に応じてクリアーは二度塗り(二回分の塗装)を行います。
この後熱を掛けて塗膜が硬化したら再度表面を研磨して平滑にし、もう一度クリアーを塗って本塗り完了となります。
後はクリアーを塗るだけと言う所だったのですが、どうせもう一度塗るならと言う事で少し気になっていたBMWロゴ部分の水色の部分も塗る事にしました。
元々こちらはデカールにドライプリンターで「白→シアン」で水色を表現していましたが、この時の少し前にBMW EVO2のMカラー純正の水色を発見していたのでそちらを塗る事にしました。
クリアーには耐薬品性・耐溶剤性に優れた「クリスタルクリアー」を使用しています。
これでガソリンスタンドでハイオク以外を入れられてしまう心配もありませんし、他人(または家族)が給油しても間違える事も防げると思います。