ホンダ クロスカブヘッドカバー 結晶塗装 本塗り

 先日お預りしておりましたホンダクロスカブの純正ヘッドカバーです。その後リン酸処理を行って洗浄しておきました。お預りした時に比べてアルミ素地の表面が曇っているのが判るかと思います。

 その後プライマーを塗り、

 結晶塗装の赤を塗ります。フィンの部分はスプレーガンのパターンを狭くして(丸吹きにして)、壁の側面を一つつず塗り込んでいます。

その後140℃~170℃程の熱を掛けて焼き付けます。結晶塗装用の塗料はメラミン樹脂系の1液型タイプで、熱を掛けて硬化させる低温焼付け塗装となります。

対して当店で使用しているSTANDOXは2液ウレタン型で、これは主剤と硬化剤が反応して硬化する塗料です。塗装後に熱を入れていますが、厳密には(厳密に言わなくても)「焼付け塗装」ではありません。

ちなみに自動車の新車塗膜はアクリル型の焼付け塗装で、こちらも1液型です。硬化(実際には重合)させるにはやはり140℃以上の熱を掛ける必要があり、なので車の外板塗装には製造段階でしか使われていません。当然ですがプラスチックは変形してしまいますので現実的に不可能です。昔は対応しているショップさんもあったようですが、調色する度に140℃の熱を入れないと色が見れない為、一般ユーザーの要求が高くなった現代では成り立ちません。アウターハンドルなど外さずにマスキングで塗っていたような時代とは違うのです(私が業界に入った時はテールランプでさえ外さずに塗っていました)。

が!少し前に発表されたフェラーリの塗装では100℃で硬化するタイプの塗料が使われているらしく、ちょっと前に同じような記事を見た時は摂氏ではなく華氏での表記だったのでてっきり2液ウレタンに促進剤を入れただけの物かと思いましたが、上記リンク先のページでは「℃」でしっかりと表記されているので、となると本物の焼付形(1液)なのかも知れません。

色はいつもの「鮮やかな赤」で、画像だとちょっと白っぽく見えますが、実物は彩度のある赤になっていますのでご安心下さいませ。

この後もう一度140℃20分程の熱を掛け、後日「HONDA]の凸文字を研磨してアルミ素地を光らせたら、最後にクリアーを筆で塗ってもう一度熱を掛けておきます。

それでは作業進行しましたらまた紹介をさせて頂きますね。どうぞもう少々お待ち下さいませ!