いつもの業者様からご依頼を頂いていた、日産スカイラインGT-R(KPGC10)のS20ヘッドカバーです。
現状は濃いグレーの結晶塗装が施されていて、ただしその後使った痕はありません。
オイルキャップのネジ山まで塗られているという、中々男前な仕様です(使っている内に塗膜片が中に落ちて行くのでは・・・)。
この型のヘッドカバーとしてはあるあるの、端のネジ穴部分が折れて溶接されています。
この部分の表側には、塗装を剥がした後に凸凹のビード跡が出て来たので、エポキシパテで均しておきました。
その後リン酸処理→プライマー→サフェーサーを塗布し、表面を研磨します。
当て板の入らない細かい部分は、2ミリ~3ミリ厚のアクリル板を使って平らに研いでいきます。番手は#320→#400となります。
その後はいつもだったら#600→#800まで仕上げるのですが、今回は腐食による浸食痕などが目立った為、
一旦艶ありの黒で全面を下塗りとしました。サフェ作業も行っていますが、さらに2度塗りも行います。
その後熱を掛けて塗膜を硬化させた後、同じように今度は#600~#800で水研ぎを行います。
浸食されていた部分は凹んでいる為、その都度拾いパテ(ラッカーパテ)で埋めるのが大変だったので、代わりにクリアーを塗ってしまおう、と言う作戦です。また#320~#400のペーパー目の目消しにもなります。
艶のある所が研いでいない部分で、艶が消えている個所は全て当て板(主にアクリル板)とペーパーを使って研いだ部分です。
その後凸部を#120→#180で荒砥ぎしておきます。今回既に一度研磨(塗装)されて凸文字部が薄くなってしまっていたので、エアーツール(ダブルアクションサンダー)は使わず全て手研ぎで行っています(この辺の作業が体に良くなかった為か、その後調子が悪くなってしまったので、ヘッドカバーの艶あり塗装は当面これを最後の仕事とさせて頂く事にしました)。
そしてスコッチとナイロンブラシとウォッシュコンパウンドを使って足付け処理を行います。
(今回は掲載する予定では無かったので途中画像が余り無く、作業内容はかなり飛んでいます)。
色はスカイラインHR31 1987年 GTS-R(800台限定)の「ブルーイッシュブラック」(カラーコード:BG8)となります。黒に見えますが濃紺で、パールやメタリックは入っていないソリッドカラーとなります。
その後熱を入れて塗膜を硬化させ、さらに数日寝かしたら完成となります。
アルミ素地を出している凸部分には多少腐食が残っています(黒い点々状の個所)。
シングルサンダーを使ってもっと削ればこれらも取り除けますが、部分的に削ると歪むのでその場合は全体的に、ただそうすると「2000」と「NISSAN」の文字部がさらに薄くなってしまうのでここまでに留めておきました。
この部分が折れていた部分です。ポリエステルパテは熱に弱いので使わず、エポキシ接着剤(3Mパネルボンド)のみで成型しています。
オイルキャップのネジ山部分にあった塗膜も取り除いておきました。
今回のヘッドカバーは梨地では無いのですが、プラグホールとプラグホールの間に凹みや歪があるので、平滑にする為の下地処理(サフェ研ぎ)が必須となります。単に塗るだけでこういった仕上りにはなりませんのでご注意下さいませ。
今回のような作業は身体への負担が大きい為、現在はお受付を停止させて頂いております。
ただし一部のヘッドカバーは対応している物もありますので、詳しくはこちらの業務連絡のお知らせをご確認くださいませ。