ランサーブレンボキャリパー 本塗り

 先日お預りしておりました三菱ランサーエボリューション9の純正ブレンボキャリパーです。オーバーホールと下地処理(洗浄&サンドブラスト作業)はいつものブレーキ屋さんにお願いしていて、作業途中の画像を送って頂きました。

 その後作業を終えて届けられたキャリパー一式です。少し早いのですが、このままの状態だと酸化(腐食)し易い為、先に作業を行う事にしました。

 また元々一個しか残っていなかったリヤキャリパーのゴムキャップも新品で4個取り寄せて頂きました。

 キャリパ―は届いた状態そのままでも塗れるのですが、仕上がった時にもっと艶が出て欲しいので、平面はダブルアクションサンダー#120→#180で、その他手研ぎ#180で研磨しておきます。この後シリコンオフをシャワーのようにして脱脂清掃します。

 ブースにセットし、よくエアーブローをしたら本塗り開始です。

 まずはプライマーを塗布します。

 無用に塗膜の厚みをつけないようスプレーは薄膜で、尚且つ塗り残しがないよう2コート行います。

 その後上塗り被膜(色&クリアー)を塗りたく無い箇所にベースコートの黒を薄膜で塗っておきます。金属素地が露出したままでは腐食してしまいますが、そこを上塗りをしてしまうと組み付ける人(整備士さんやオーナー様)が困るので、数年前からこのような方法としています。

 その後よく乾燥させ、マスキングを行います。

 マスキングシートをフチピッタリに貼ると段差が出来てしますので、1ミリくらい大きめのサイズでブツ切り箇所が庇のようになるようにします。

 上塗りでは極力膜厚を着けたくはないので、まずは下色として上塗り色の染まり易い(隠蔽し易い)色を1コート塗布します。

 その後、本番用の色(ベースコート)を塗布します。

ちなみに画像だとかなり小豆色っぽく見えますが、

外で見るとこれくらい鮮やかな赤に見えます。

こちらは以前ランサーを多く取り扱うショップさんからご依頼を頂いた時に作製した色見本で、今回の色もこれと同じ色になります。既存のキャリパー色から近似色を選び、「ランサー純正キャリパーの赤で」といった時に採用しています。

 ベースコートが十分に乾いたらロゴ入れを行います。

 フロントは80mm、色は白=VW社のキャンディーホワイト(LB9A)を採用しています。白々しく無く、黄ばみも無いスッキリとした白ですね。

 これでベースコートの塗装が完了です。ブレンボ純正の塗装は、恐らくこの時点で艶のあるままクリアーを塗っていると思われる為、経年でクリアーだけが剥がれると言う事になっているのだと思います。自転車フレームの塗膜もそうなのですが、焼付塗装は密着性が良いので途中で足付け処理を行うと言う概念が無いらしく(と職訓に来ていた塗装業界の権威の先生がおっしゃってました)、そのまま塗装を塗り重ねていく傾向にあるようで、最初の頃は良いのですが、10年くらい経つとクリアー層だけがペリペリと剥がれて取り返しのつかない事態になります。剥がれた塗装の下から艶のある塗膜が出て来るなんて事は、車体の塗装では普通あり得ません(昔は業界全体が下請けだったからかそう言う事もよく見かけましたが、今は世代が変わって流石に少なくなったと思います)。お越し屋とか最近は聞かないですよね。

 そして最後にクリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きますますね。どうぞもう少々お待ち下さいませ!