フェラーリリモコンキー 下準備

先日お預かりしておりましたフェラーリカリフォルニアTのリモコンキーです。

まずは窪みに嵌った跳ね馬のエンブレムを取り外しますが、表から取ろうとすると傷を着けたり、下手をすると細い尻尾や足の部分を折ってしまう恐れがある為、

この場合裏側からドリルで穴を開け、

そこからポンチで跳ね馬を押し出すようにして外します。金属製の跳ね馬に何かあると取り返しがつきませんが、穴なら後で塞げば大丈夫なので問題ありません。

今回塗るのはこちらの裏表のカバーパネルで、

傷を着けたくない箇所にマスキングテープを貼ってさらにその上にガムテープを重ね、

#180のダブルアクションサンダーと#240の手研ぎで旧塗膜を剥離します。

リング取り付け部の内側もしっかり除去しておきます。

その後ボタンと跳ね馬が付く窪み部分と裏側を、ナイロンブラシとウォッシュコンパウンド(液状研磨剤)を使って足付け処理します。

この後はサーフェサーを塗りますが、跳ね馬部分にはサフェを入れたくないので、熱可塑性の樹脂粘土(ポリエチレン樹脂)を熱湯で柔らかくし、

さらにカバーパネルも一緒にお湯で温めて熱可塑性樹脂を跳ね馬の窪みに埋め込みます。

しっかり余分を除去したら、

詰めた樹脂を一旦外します。マスキング用の型ですね。

 その後よく脱脂清掃し、芯棒に固定して台にセットします。

ボタン部分もフチにサフェが入らないよう、マスキングテープを棒状に丸めた物を挟み込むようにします。車体を塗る場合は専用の物があるのですが、このサイズだとさすがに無いのでこれで代用しています。

樹脂粘土で作った型はしっかりはめ込まず、少し浮かした状態にしておきます。そうじゃないとサフェがガッツリくっ付いてフチが汚くなってしまうからですね。

その後プラスチックプライマーを塗り、サーフェサーを4コート程塗ります。

1コート毎に10分くらいの乾燥時間(フラッシュオフタイム)を設けているので、サフェ一つでも結構な時間が掛かります。近年の自動車補修ではUV硬化型のパテやサフェが使われているみたいなので、うちも機会があれば移行したいですね(ただ一時期頻繁に出たスチレンフリーパテのように後から出るトラブルは困るので、そういった問題が全部改善してからで構わないと思っています)。

 最後の1コートはマスク型を外します。

バツ切りにした箇所はどうしてもフチがガタガタしているので、それを均す為に最後の1~2コートはこれらを外してサフェを塗るようにします。それらの為に先に全体の足付け処理も済ませたあります。

また最後のサフェは肌を均す為にも少量のシンナーで希釈してあります。

研磨した際の毛羽立ちが残っていますが、これが木の根っこのようにしっかりサフェと素材(恐らくはポリプロピレン)を密着してくれる役目も担っています。

この後は一晩以上自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!