ディアゴスティーニ社のパーツ付き組み立てマガジン週刊「ロビ」のパーツ一式です。1セット分丸々と、さらに2セット入っている物もあります。
素材は着色されたABS樹脂で、オーナー様的に製品の出来具合がどうにも気に入らないようで、ご自身でパーティングライン(成型時の継ぎ目)などを削って処理されていました。
まず最初のご依頼はこちらの「マフラー」となる部分で、当店で行う塗装にどれくらいの強度があるのかを確認されました。
小さいロビは各パーツの部位が判り易い様にと一緒にお借りしました。
色については後々の補修を考え一から作るのではなく、既存の色見本帳から近似色を選んで使います。配合データさえあれば見本など無くても全く同じ色が作れるからです。
白い製品は特にパーツ毎の色ぶれが激しく、組み立てた時の色違いがとても気になるとの事です。
指定された箇所のねじ穴は全てマスキングをしますが、これの方法としては同じ径のボルトを大量にご用意頂く事で対応しました。
足付け処理をし、よく脱脂処理をしたら台に固定していよいよ本塗開始です。
裏側も同時に塗るのでストレスなく塗れるようにマスキング~固定してあります。
プラスチックプライマーを塗布したらベースコートの水色を塗布し、最後に艶消し専用クリアーを塗って本塗り完了です。
塗り終わったらそのまま自然乾燥をさせ艶が消えるのを待ちます。
十分に艶が消えて落ち着いたら60℃40分程の熱を掛けて完全硬化させます。
今回はオーナー様より「クリアーは2液性アクリルポリウレタンで」とのご指定も受けていました。その通り、当店の塗料はそちらを採用しています。
まず一旦こちらをお納めして、その後塗装の耐久テストを経てこの後のご依頼へと続きます。
耐久テストの結果はOKだったようで、その後これらの茶色系パーツのご依頼となりました。
こちらのパーツには製造時の粗が残っていたので、水研ぎをして素地を調整します。
中にはネジを使って固定出来ない部品もある為、そういった物は割り箸の先端を削って穴に通し、切れ込みを入れてクサビを打ち込むようにして固定しています。良い仕上がりの為には逆さまにしても強いエアーで吹いてもビクともしないしっかりとした固定が必要です。
基本的にはどの部品も裏表360度全ての塗装が必要で、さらに単に塗るだけではなく仕上がりも重視しなければならなく、固定方法にはとても気を遣います。
これら表面に細かい模様が刻まれているパーツは、クリアーを塗り過ぎて模様が埋まらないように注意します。
プラスチックプライマーを塗布し、ベースコートを塗ったら艶消しクリアーを塗って本塗り完了です。
十分に艶が消えて落ち着くまで自然乾燥させ、その後60℃40分の熱を掛けて完全硬化させます。
ちなみに見た目は艶消しでも塗料自体は艶々のクリアーと同じで、耐久性も同等となります。
こちらは足の裏の部品です。「どうせ塗っても歩いたら傷が付いてしまうのでは」と思うかも知れませんが、オーナー様にとってはそういう事は問題では無いようです。とにかく純正よりもクオリティを高く、それでいて純正の通りにしたいという確固たる理想があるのだと思います。
先に紹介した水色のパーツとこちらの茶色のパーツは2セット分となっています。
後で傷をタッチアップ出来るようにと塗料も小分けしてボトルに詰めました。
部品の着色に使われている染料が隣り合う白いパーツに色を滲ませてしまう問題があるようで、今回の塗装ではそれを防ぐ役割も担うと思います。
こちらはサーボモーターのギアが差し込まれる箇所がある為、そういった部分には塗料が付かないようにマスキングを行います。
各パーツは作業内容が判るように固定具にシールを貼って色分けをしています。
一度に纏めて行うと数十万円となってしまう為、何回かに分けてご依頼を頂きました。
ネジ山が細かいのでそういった箇所には塗料が付かないようマスキング用に用意したボルトを差し込んでおきます。
パーツは#800~#1300で全て足付け処理を施されています。
プラスチックプライマーを塗り、ベースコートの黒を塗ったら艶消しクリアーを塗って本塗り完了です。
艶消しクリアーは艶ありと同じく主剤:硬化剤=2:1のタイプで、耐UV効果・耐擦り傷性・耐薬品性などに優れたクリアーです。自動車の外装パーツに塗られているそれと同じ物と考えて頂ければ判り易いかと思います。
樹脂素地剥き出しの状態に比べて見た目もシットリと落ち着いた仕上がりになっています。
こちらもギアー取り付け部には塗料が付かないようマスキングしてあります。
殆どの部品が裏表共に塗装されています。装着されれば見えない箇所でも、オーナー様が分解~作業する時に見える箇所は表面と同様に仕上げてあります。
これらも一つずつペーパーを掛けて足付け処理を施し、細部までしっかりと脱脂処理を行っておきます。
各部品にはそれぞれの仕様があって、判り易いように記号を付けて頂きました。
やはり裏表共にストレス無く塗れるよう固定には気を遣っています。
黒系パーツと同じくギアーが刺さる箇所にはマスキングを行います。
ボルト穴はとても小さくネジ山も細かいので塗料が付かないように注意します。
まずはプラスチックプライマーを二回に分けて塗布し、続けてベースコートの白を塗ります。
ABS樹脂は塗料中の溶剤によって侵されて表面に細かい模様などが出る場合もあります。
今回もいくつか見受けられましたが、その後の艶消しクリアーで埋まる程度なので問題はありません。
白系のパーツは特にパーツ事の色ブレが激しかったようですが、塗装なら一色で全てを塗れるのでその点は非常に安定していると思われます。
艶消し仕上げは艶ありと違ってゴミが付いたら磨き処理は出来ないので神経を使います。
一つのご依頼でここまでの数を塗ったのは今回のRobiが初めてだったと思います。
こういった裏側もしっかり塗っていて、やはりネジ穴が塗料で埋まらないようにマスキングしています。
その後オーナー様より組み付け完成後の報告と画像も頂き、今回の塗装にご満足いただけたようで本当に何よりでした。
ちなみにその後は自身もロビが好きになってしまい(笑)、ミニチュアですが3体入手して色々遊んでいます。機会があったら艶消しクリアーだけでも塗ろうと思っていましたが、自分の事なのでうっかり忘れていました…。