W124 Engine cover

benz251先日よりお預かりしておりましたメルセデスベンツW124のエンジンヘッド・タペットカバーです。お急ぎだった為に作業内容を紹介する前に先に発送まで完了させて頂きました。

そのまま施工例のページにさせて頂きますので改めて最初から紹介させて頂きますね。

benz253 今回のご依頼品はこれでも状態の良い方ですが、やはり塗膜の下からは腐食が見られるので下地からやり直す必要があります。

benz252 またこの部品は素材がマグネシウム合金の為、単に塗膜を剥がして塗り直しても再発する可能性が非常に高いのも特徴です。

benz254 さらに表側だけならまだしも、裏側に塗られた塗膜も剥がれ掛かっている物が多く、再塗装の際には表裏共にサンドブラストを行って塗膜を剥がす作業が基本となります。

また通常のサンドブラストでは腐食を根こそぎ取り除くのは困難な為、当店ではサンドブラスト専門店に委託して強力な直圧ブラストで施工して貰っています。

benz255また今回はヘッドカバーの横に装着されるプラスチックパーツも一緒にご依頼頂きました。

現状としては表面が劣化して全体が白っぽくなっているので、これを改めて艶消し黒に塗り直して新車時の黒々とした姿に戻します。

benz252旧塗膜と共に腐食も根こそぎ削り落とされて戻って来た状態です。

benz253裏側の塗膜と腐食も綺麗に削り落とされて来ました。

到着した際には乾燥材と一緒に密封された状態で、開封して空気に触れたその瞬間から酸化は始まりますので、この後即プライマーの塗装となります。

benz254 腐食して隆起した個所はダブルアクションサンダーで削り、その後全体をシンナーで荒い流すようにして脱脂洗浄を行います。

benz256 各部はマスキングし、まずはプライマーの塗装となります。

benz257 使用するプライマーは耐蝕性の高い浸透型エポキシプライマーで、プラグカバーには裏側にも塗布します。

benz258 艶が出ると面が凸凹しているのが判ると思います。

これらは結晶塗装なので目立たなくなりますが、艶あり仕上げにする場合はこれも全て平滑にしなければならない為に多大な手間と費用が必要となります。

benz259 通常のプライマーは薄塗りが基本ですが、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂であれば厚塗りも可能な為、しっかりと塗り込んで耐食性を高める重防錆仕様とします。

ここで一旦熱を掛けて硬化させます。

benz260 そして結晶塗装を塗ってさらに熱を掛けて硬化させ、本塗りが完了となります。

benz261

benz263 benz262 benz264 プラグカバーは表面が凸凹していましたが、結晶塗装の特徴でもある「素地の粗さが目立たせない」効果で美しい仕上がりに見せる事が可能です。ヘッドカバーなどの鋳造部品によく採用されるのはこれが理由ですね。

benz265 car153結晶塗装は140℃~170℃の熱を掛けて硬化させるといった特性上、熱による色焼けで色ブレが頻繁に起きますが、一応今後の参考の為に色見本も作成しておきました。

benz266こちらのプラスチック製のカバーは通常の塗装(2液ウレタン塗装)の為、別工程で作業しています。

下地処理は#800のスコッチブライトとウォッシュコンパウンドでの足付けと、スリーポインテッドスター周りはナイロンブラシを併用してしっかり処理しておきます。

benz267よく脱脂処理をし、プラスチックプライマーを塗布したら本塗り開始です。

benz268まずは通常通りベースコートの黒を塗り、つや消し専用のクリアーを塗って本塗り完了です。

benz269クリアーは通常の艶ありと同様に硬化剤を50%入れるタイプのつや消しクリアーで、塗った直後は艶がありますが、時間が経つにつれて画像のように綺麗に艶が消えていきます。

benz270 そして完成です。

benz271 オイルキャップが装着される部分は、パッキンが当たる面を削っています。

benz272 benz273 benz274 benz278 benz275 benz276 benz277benz281こちらは結晶塗装では無く通常のマットブラックで仕上げています。

benz279実際に装着した状態をイメージして撮影してみました。

benz280当初は結晶塗装の赤をご希望されていたのですが、途中でこちらの青に変更となりまして、間に合って良かったです。

この度のご依頼、誠に有難うございました!