RB26→RB28タイミングベルトカバー 調色作業

先日お預かりしておりました日産スカイラインGT-R RB26エンジン用タイミングベルトカバーです。その後アルカリ洗浄槽に浸けて洗浄し、裏側のシールをカッターで剥がし、溶剤槽に浸け置きをしておきました。

 裏側の塗膜がまだ残っていますが、この後サンドブラストを行うのでここまでとしておきました(剥離剤では無く廃棄シンナーなので溶解力が弱く、そこまでの効果は期待出来ません)。

 そして調色作業です。

今回は色の見本として紫色に塗装されたプラグカバーをお預かりしていますので、それに合わせて色を作成します。

 プラグカバーに塗られた塗装は艶消し仕上げなのでそのままでは正確な色が確認出来ず、石鹸水を塗って艶を出しています。通常は塗料用シンナーやシリコンオフのような溶解力の弱い溶剤を使いますが、艶消しの塗装はデリケートで、そこだけ艶が出たりシミになったりするのを防ぐために石鹸水を使っています。ちなみにただの水だと弾いてしまうので、界面活性剤の入った中性洗剤を少量混ぜています。

上の画像ではまずは適当な原色を混ぜて色を確認し、この後実際にスプレーガンを使って色板に塗っていきます。尚、画像にある色はホワイトパールを入れましたが、いざ塗ってみるとそれは間違いだったので廃棄し(下吹き用とし)、改めて作り直しています。

 パール・メタリックはやはりスプレーガンを使ってみないと色味は判らなく、また時間が経つと透かしが黒く正面が明るくなる特性があるので、それらを考慮しながら色を見ていきます。

 色板一枚につき3回~5回色を見ているので、80回くらい調整をした感じでしょうか。

 先ほどまでの色板は紙で、こちらはスチール製の色板となります。

 この後艶消しクリアーを塗り、今度は艶具合の確認を行います。

 また艶消しクリアーを塗ると色の見え方も変わる為、それ次第ではさらに調色作業が必要になるかも知れません。艶消しクリアーは本塗り時と同様2液ウレタンとなるので、塗装後に60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させてからの確認となります(画像はありませんが既にそちらも塗装済みです)。

今回使った原色はこちらの8種類で、簡単にですがそれぞれの特徴や今回の色にとっての役割を紹介します。

左側から、


■MIX571・・・ブラック。隠ぺいし易い色にする為と、彩度を落とす為に使っています。

■MIX855・・・バイオレット。今回の色のメインで、主に青味を担当しています。鮮やかですが隠ぺい力がありません。

■MIX821・・・アメジストパール。光に当たった時に正面で青赤味を表現してくれます。透かしが白くなります。

■MIX576・・・ブリリアントレッド。青味のある赤で、今回の赤味はこれで表現しています。

■MIX595・・・シルバーエクストラファイン。極細目のメタリックです。粒子のサイズはパールと同じくらいですが、彩度を落としてシットリとした表現を出してくれます。透かしも明るくなります。

■MIX831・・・中目の干渉レッドパール。最初はこれの存在が判らず、正面で中々赤味を出せなかったのですが、調色ライトで見てこれが入っている事が判明してからはスムースに進行しました。

■MIX008・・・メタリックアディティブ。透かしを濁らせないまま白くさせたかったので使っています(白の方が効果が高いですがそれだと濁ってしまいます)。また別の特徴としてメタリック・パールのギラツキ感が強くなり、また正面が黒くなるのでそれも考慮して使っています。

■MIX567・・・透かしの青味を殺して、且つ濁らせる為に少量使いました。パッとしないベンガラな赤茶色ですが、色々な場面で活躍してくれる原色で、私的に結構好きだったりします。


後は後日クリアーが硬化したら確認します。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!