艶消し色 検証

 恐らくどの塗装屋さんも一番嫌なのがこの「艶消し」仕上げで、本塗り時に付くゴミ対策もそうですが、艶が消えた時の色の見え方が普通の艶ありとは違う為、殆どの塗装屋さんは「あれだけ調色したのに!」と言う経験をしていると思います。

上の画像は以前仕事でご依頼頂いたポルシェのメーターフードとその土台で、色自体は良かったのですがその上に塗ったクリアーの艶具合が合わなく一度塗り直しています。↓詳しくはこちらでどうぞ。

ポルシェメーターフード塗装 完成

そしてこちらは先日メガネフレームを塗装した時に一緒に作製した色見本で、下に敷いているのはタミヤのラッカー塗装で全く違う色(塗料)なのですが、上に並んだ樹脂製の注型ミニカーはそれぞれ同じ色です。

違うのはそれぞれの色の上に塗っているクリアーで、奥はいつもの通りの透明なクリアーで、手前は艶消し仕様のクリアーです。繰り返しますが、色はどちらも同じです。

が!

先ほどの艶消しクリアー仕上げの上にシリコンオフ(低溶解の脱脂用溶剤)を塗って艶を出してみると、同じ色でも左側が少し白い(明るい)のが判ると思います。左側が艶消しクリアーを塗った物です。

こちらは右側手前が艶消しクリアー仕上げの物で、やはり奥の艶あり仕上げに比べると白くなっているのが判ります。

結果から言うと、先日STANDOXのデモマンの方と話した内容通り、艶消し剤成分にはシリカゲル=白い粉が使われている為、クリアーが白濁りして色自体も白くなってしまいます。ある意味キャンディー塗装の仕上りに近いかも知れません。

ただこういった事を理解し、また今回のように艶あり・艶消しをそれぞれ見比べられるようになっていれば今後行う艶消し塗装で多少は作業が楽になるのでは?と思っていて、先日も紹介した「艶あり」「艶消し」を同時に見れる独自の色見本を作成しようと思っています。こんなのどこにも無いですからね(ちなみにPANTONEはcoatedとuncoatedがありますが、あれは塗装では無く「印刷」なので全く別物です)。

と言う訳で、早速レーザー加工機でアクリル板をカットしています。

実は少し前に、知り合いのSTANDOXユーザーの方から「3センチ程度あればアクワイヤーで読み込めますよ」との情報を頂いたので、ミニカー型の他にアクリル製の平面で5×5センチ(実際の塗装範囲は5×4センチ)の色見本を作製し、さらにこれも「艶あり」と「艶消し」をそれぞれ並べられるようにしました。プレートは脱着可能にするので直接アクワイヤーに当てれば大丈夫なようにしています(本体の両端にあるスイッチは何かで押せるようにすれば大丈夫との事ですのでその際には型を造りますね)。

またベースコートが水性になったらプレートを重ねてそのまま継続して使えるようにもしています。

イメージとしては「平面で色を合わせ、曲面で完成形の色をイメージする」といった感じで取り敢えずこれを300種類程、最終的にはPANTONE色見本を超える2000枚くらい作れればと思っています。まあその前に寿命が来ますか(笑)。

300枚のプレートを作るとするとアクリル板は600枚で、これはそんなに面倒では無いですが、さらに注型ミニカーを600個も使うとなると、これはもはや手作りでは製造が追いつかない気が・・・(苦)。

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