蒸着メッキ&メッキ塗装②

先日試していた新しいメッキ調塗装ですが、仕上がりがイマイチと言う事で仕事(ご依頼品への塗装)に使うのは難しいと考え、新たな見本品を作成する為として、真空蒸着メッキの専門店=カネコ真空さんにお願いする事にしました。

最初に見積もりを頼んだのはこちらのワイヤレスマイク用アルミ筐体で、

分解すると3部品の構成となっています。これに真空蒸着メッキを施した場合の見積もりを御願いしたところ、4万4千円+往復送料との事で、ただ試作費(非ご依頼品)に使うにはちょっとコストオーバーだったので一旦保留とする事にしました。

その後色々探してみたところ、以前サンプルで作っていたこちらの注型樹脂製の色見本用のマイクがあったのでこちらでお願いする事にしました。事前に確認した所塗装済みで問題無い(そのまま上から施工する)との事だったので、大分コストを落とせたかと考えました(実際は変わらなかったのですが笑)。

それから数日、完成と見積もりの連絡メールが来まして、初回の支払いは代引きでとの事なのでそちらを了承→数日後にこちらが届きました。尚、蒸着メッキについては今までも何度か塗装前に施工されたい物に携わっていて、既に確立した技術なので密着性や仕上がりについては信用しています。

また被膜は基本的には塗装と同じで、最後にトップコート=クリアーが塗ってあるので、この後透過性の塗装=キャンディーカラーを塗ればカラーメッキのように出来ます。この様な感じですね。

と言う訳で、今回蒸着メッキされた樹脂製の見本用マイクと、当店でメッキ調に塗装したグリルを組み合わせてみました。

やはり蒸着メッキの方が明るい感じで、それに対してメッキ調塗装は黒っぽいのと表面が曇った感じがあります。ただ装着した際に角度が変わる部位=今回のようにマイク本体とグリルとであればそこまで違和感を感じません。

ミニカー型の注型樹脂の方も当店で行なったメッキ調塗装ですが、丸みを帯びて違う形状だと隣に並べてみても違和感は少ないです。

ただし同じ物を並べてみるとやはり違いは歴然です。左が蒸着メッキ、右がメッキ調塗装です。ちなみに右側のメッキ調塗装は下地は黒では無いです(サフェの明るいグレー色です)。

ネックなのはコストで、今回部品点数が1個になったので当初の半額くらいで済むかと思っていましたが、出来上がってみれば金額は変わらなかったので、今回はこれ一点で46,706円となりました。数で金額が変わらないのであればもっと纏めてお願いすれば良かったですね。ワイヤレスマイクなら部品が13点くらいになるので今回と同じ金額ならむしろ安くなりますから、次回お願いする時は事前に見積もりを確認しようと思います。

また今回使った新しいメッキ調塗装は、トップコート=クリアーをスタンドックスで塗りましたが、専用のクリアーなら白く曇った感じも無くなるとの事なので注文しておきました。そちらもテスト出来次第紹介しようと思います。

蒸着メッキ&メッキ塗装

メッキ調の塗装についてはこれまで色々なメーカーを試していて

ただしどれも激しく密着性が悪いので全く実用に向かなかったのですが、

今回新しいタイプのメッキ調塗料が発売されたので試してみる事にしました。

画像のマイクはいつも使っている見本用の注型ウレタン樹脂製の物となります。

見本として同じく注型樹脂製のミニカー型色見本と、アクリルプレートにも塗装を行いました。

アクリル樹脂の場合は通常プラスチックプライマーの塗布を必須としているので同じようにやりましたが、相性が悪かったせいかちょっと信じられないくらいのハジキを発生しました。

ただこれに限らず全体的にハジキ易い傾向にあり、色々調べてみるとやはり塗り方にかなりのコツと言うか修練が必要なようです。具体的にはドライコートは絶対ダメ、ウェットコートで一回のみ、厚膜にはしない(クラックが入る!)と言う塗り方にする必要があるそうです。

と言う事も想定して塗装を行ったのですが、メッキ調塗料自体に隠蔽力は余りないようで、透明な素材への直接塗装は向いていないようです。透き通ってる…。

大きなメリットとしては「足付け処理が出来る」で、今回のメッキ調塗料は主剤と硬化剤(と樹脂とシンナー)の2液型になったからか、下地のペーパー目が表面に現れる事がありません。

これまでのメッキ調塗料はとてもデリケートで、下地にちょっとの傷でも残ってしまいますから(高輝度シルバー全般言える事ですよね)、足付け処理なんて絶対無理!だったのですが、今回の塗料ではそれが全く問題ありません。セオリーとしては一旦黒で仕上げ(1コートソリッドまたはクリアートップコート)、完全硬化した後に足付け処理→そのまま直接メッキ調塗装を行えます。

さらにその上にパナロック10:0等の浸透性が無い(溶解力が弱い)クリアーを使えばメッキが白く曇る事も無さそうですが、今回はそのまま2:1のスタンドックスクリスタルクリアーを塗りました。これまでのメッキ調塗料に比べるとかなり手軽にメッキ感は楽しめる物と思います。ハジキさえ出なければ…。

その後アクリル板に塗装した物で密着性のテストも行いました。全般的に密着性は悪いですが、これまで行ってきたメッキ調塗装の中ではまあまあ良い方だと思います(ちなみに碁盤目テストは本来一個も剥がれてはいけません)。

面白い発見としては、足付け処理を行ってプラスチックプライマーを塗った物が最も密着性が悪いという事で、ハジキもそうですがかなり相性が悪い事が判ります。

なんにしてもPMMA(アクリル)やPP(ポリプロピレン)へ直接メッキ調塗装を行う事は避け、一旦トップコートで仕上げてから足付け処理→プライマー無しで塗るのが良さそうですね。

と言う事でまだ通常業務(依頼を請けて行う塗装)には採用は出来なさそうですが、マイクのグリルのみであればハジキもほぼ目立たないので、以前からご要望のあった「マイク本体を真空蒸着メッキに」「カプセルの分解が出来ないグリルを今回のメッキ調塗装で」という組み合わせを現在試してみています。

蒸着メッキについては既に外部依頼をして完成待ちの状態で、そちらは今後の参考になるかと思いますので実際にお願いをした会社や金額、依頼の流れ(メール内容)などを紹介しようと思います。

色相環新色作成

当店で使う塗料は自動車補修用の為、それ故に既存の色見本は比較的地味な色=自動車ボディカラーがメインとなりますから、塗装の対象が車から小物全般になった初期の頃はパントンカラー=印刷を塗装に変換した色見本の作成などに勤しんでいました。

その後パステルカラーやグレーなどの色も本も作り、

さらには補色などを見やすい色相環の色配合データも作成しました。

出来上がったのがこちらの塗料で、

その後それらを使ってキーホルダーや、

色相環の形を模した時計なども作成したりしました。

お陰様で念願だった「受注して塗る」スタイルから「塗った物を売る」と言う事も出来るようになりました。後者はまだ趣味の範囲ですが、これなら技術レベルが落ちた老後でも塗装を仕事として続けていけるのではと考えています。

と言う訳で今回新たに色相環の新色を作る事にしました。

元々作っていた色相環は極力彩度を落とさないビビッドカラーでしたが、

そこから彩度を下げたライトトーンや、

さらに淡い色のペールトーンの色相環を塗装で表現してみよう!と思った次第です。

色は単純に既存の色に白を加えれば出来るという事では無く、

それぞれを見本に合わせ、且つ他の色との兼ね合いも見ながら、さらには添加する質量をデータとして記録していく必要があります。一度足した分は引く事が出来ないので、ダメなら一旦捨てて(実際には捨てず下塗り用として取っておきます)一から作り直していきます。

配合データを残すために計量しながらの作業になりますから、まあまあ時間が掛かります。なので仕事が終わってから毎日1~2時間掛けて少しずつ作っていきます。

とりあえずこんな感じで7色程出来ました。

続けて暖色赤系の色を作ります。

こちらはグリーン系です。最初に作ったビビットな色だとそれぞれはっきり色味が違うのが判りますが、今回のペールカラーだと彩度を落とすと色相の差異が判り難くなるのでかなり微調整を行っています。

結果、先ほど掲載した青の3色は全てボツにして新たに作り直しました。上の画像だと右から左にいくに連れて赤味が増していく感じです。

最初のビビットカラーでは色見本(画像のRGB)を参考に極力彩度を落とさないよう色を調整しましたが、今回は隣合う色=類似色の違いが判るようにしました。

ボトル用のラベルも作りました。上の画像だとRGB値になっていますが、これとは別に配合データを記載した仕様もあります(そちらは当店用ですね)。

ただまだこれで終わりではなく、次はそれぞれの配合データ通りに色を作って今回の色との差異を確認、その後実際に12色を塗ってみてバランスを見て問題無ければ完成!といった感じになります。

塗料が完成したら色相環時計や色見本キーホルダーのパーツ、ベアブリックなども塗っておきたいですね(後で12色を塗るとなるとかなり大変なので…)。

ちなみに私的には大人な雰囲気のグレイッシュトーンも遣りたく、こちらはソリッドカラーではなくメタリック系、もしくは見る角度で色相が変わるクロマ系のパールを使っても面白いかと思っています。

まだまだ塗装でやりたい事があるので、このまま死ぬまで楽しく続けていけそうですね!

色見本キーホルダー ソリッドカラー色相環

今までは比較的鮮やかな色が多かった色見本キーホルダーですが、今回は無彩色=アースカラーのモデルと作ってみようと、新しい色を試してみています。

こちらの試作品は以下の通りとなります。


■枠・・・ゼネラルモーターズ「Cream」(カラーコード:53A)

■背板・・・ゼネラルモーターズ「Medium Beige」(カラーコード:64BN)

■色相環・・・ソリッドカラー艶あり

■ドロー・・・グレー


グレーの色見本は以前作っていたのですが、

黄色味のあるグレーが欲しかったので、こちらを新たに作っておきました。

ドロー部の色は新たに作ったこのイエロー味のグレーの中から選び、さらにそれをMIX870(隠蔽力の高い白原色)に変換した物を使っています。MIX570(通常の白原色)だと何故か気泡(巣穴)が出来てしまうのですが、同じベースコート用の白でもMIX870の方だとこれが少なく済むんですよね。塗料中の樹脂量の違いでしょうか。

ちなみにこれまでドロー部は白(MIX870)と黒(MIX571)をそのまま使うをメインとしていて、時々ピンクなど違う色を使っていましたが、その場合気泡(巣穴)の発生が激しく、それを埋める為に2度塗り3度塗りを繰り返しとても手間だったので、だったらという事で通常メインで使っている白原色のMIX570をMIX870に変えてみたところこれが上手く行ったという次第です。

ただ既存の配合データではこのMIX870を使った仕様は限られているので(殆ど無い)、新たにPRO_Fit仕様として作り直す必要がありました。

ただこれのお陰でドロー部の色が目立ち過ぎるのを抑えられたので、さらに理想の配色に近づいたと思います。

尚、ソリッドカラー(パールでもメタリックでも無い色)で構成された枠には、やはりソリッドカラーの色相環が良く似合う訳で、ただし現在この12色のピースの在庫が殆ど無いので、

新たにアクリル板からレーザー加工機で切り出す事にしました。

ただ大変なのはここからで、

切り出したそれらは自宅に持ち帰り、毎日毎夜段ボールにマスキングテープを貼って一つずつ間隔を空けて固定する作業を行なっています。

デザフェスに出店した最初の時はこういう作業を工場でやっていたのですが、その年は忙しかった割に売り上げが激減、なのでこれらはあくまでも隙間時間という事で、自宅に帰って寝るまでの2時間くらいを費やす事で対応する事にしました。

これらによって外食とかに行く機会はさらに無くなりましたが(笑)、塗装に関する事ならどれをやっていて楽しいですし、SNS等で「待ってます!」「是非、WEB販売を!」と言って頂けるのが本当に嬉しく、さらに新作を作ろうとやる気が出たりもします。

と言う訳で、今回は艶ありと艶消しそれぞれ12色ずつ合計24シート、全部で1万個くらいのピースを並べました。ようやく地獄からの解放です・・・!

各ピースの隙間が狭いと色がしっかり入らないので、それぞれ十分なスペースを空けるようにして固定しています。

表面は#800相当の布状研磨副資材(アシレックスレモン)で足付け処理をしてあり、脱脂処理後、プラスチックプライマーを塗ったら本塗り開始です。

尚、これまでは透明アクリル板にまず「白」を下塗りしてから本塗りを開始していましたが、

今回は全て白アクリル板を使う事で下色に白を塗る事を省き、その分膜厚を抑える事に成功しています。塗膜が厚くなってしまうとその後取り外してから行う「バリ取り」が凄く大変なんですよね。

そしてクリアーを塗って本塗り完了です!

ちなみに上の画像では奥が艶ありクリアー(クリスタルクリアー)、手前が艶消しクリアー(スーパーマットK9150)となります。塗った直後は艶がありますが、これから徐々に艶が消えていきます。

一度にこの量を塗るのはセッティングも含めるとかなり大変ですが、

STANDOXの塗料と自補修(自動車補修塗装)の品質を維持したままキーホルダーを作ろうとすると、どうしてもどこかでコストを落とさなければならないので(それこそ一個5万円とかになってしまいます)、なのである程度まとめて一気にやらないとダメなんですよね。一応趣味の範囲ではあるのですが、仕事で使う設備や材料・時間を費やすのであれば、出来るだけ効率よくする必要はある訳です。

「だったら最初から着色されたアクリル板や印刷シールとかでも良いんじゃ?」と思う方もいるかも知れませんが、高品位なアクリルポリエステル樹脂の質感は塗装の事を知らない人でも「これは何か違う」と、普段見ている素材には無い美しさを感じ取れる筈なので、キーホルダーにしては高額な物でもデザフェスのような実物を見れる場所では結構目に留まってくれるのではと思っています。

ちなみに次にやりたいのはキャンディーカラーの艶消しで、これは一見着色アルマイトっぽく見える性質がありますから絶対欲しがる人は居るだろうと思っています。何より私もその色見本が欲しいのです(笑)。

また今回は、デザフェスのディスプレイ用に比較的大きな色相環のピースも塗りました!

ちなみにこれらは不要になった1mm厚のアクリル板を使っていて、今まで購入していた物を別のショップさんから新しいメーカーの物に変えたので、どうせ使わないならと残っていた8個を切り取って今回一緒に塗装した次第です(なので12色は揃っていません)。

厚みが無いのでちょっとチープですが、これに5ミリ厚くらいのハレパネ(スチロールボード)を貼って少し浮かせてあげれば見れるかなと思った次第です。何より遠くからでも目立つかと。

ちなみに今年のデザフェスは出店しない予定だったのですが、一応応募した抽選に当たったので、出るなら本気で!という事で今回も頑張る事にしました。

問題は引き籠りにさらに輪がかかった事ですが(笑)、あと20年塗装の仕事を続けられるよう、今やれる事は今の内にやり切っておかないとですね。