マツダアテンザパーツ 梨地処理

新たなご依頼品は既にかなりの数が入って来ているのですがちょっと紹介しきれません。順次アップしていきますのでどうかもう少々お待ち下さいませ。完成納品後の画像も色々頂いているのですがこちらもちょっとマズイですね・・・。何とかしなければです。

atenzaそしてこちらはマツダアテンザのフロントグリルと内装部品のウィンドスイッチパネル4点です。どちらも表面がザラザラとした「梨地」で、これをマツダ純正色の「ジェットブラック」を艶々の仕様でご依頼頂いていますのでまずは平滑な下地を作る必要があります。梨地をそのまま艶有り仕上げにすると余計に汚くみっともない仕上がりになったりしますからね。しかしフロントグリル全てが梨地って言うのも珍しい気がしますが・・・。

atenza1 スイッチパネルは表面を#180で研磨した後、プラスチックプライマー→2液ウレタンサフェーサーをタップリ塗っておきます。梨地の状態では解かり難かったですがこの部品、かなり凸凹です。梨地にする理由の一つは成型品の歪みを目立たなくするメリットもあるんでしょうね。今の金型技術ならもっとちゃんと出来そうなものですが・・・。

atenza2で、フロントグリルはサフェーサーでは無く1コートソリッド(ダイレクトソリッド)を塗っています。1コートソリッドとは性質的には2液ウレタンクリアーと同じ物で、その中に「色」となる顔料が直接入った塗料です。見た目としてはクリアーコートした仕上がりと同じで、ただ顔料が露出している分褪色し易いなどのデメリットはあります。ただし手軽ではありますね。

ちなみに何故フロントグリルだけサフェーサーでは無くこの1コートソリッドを塗っているかと言うと、この複雑で巨大なパーツにサフェーサーを塗って全面を研ぐのは非常に大変だからです。まともにそれをやるとなるとサフェ研ぎだけで6時間くらい掛かりますから、トータルの費用はあり得えない金額になってしまいます。このグリルの塗装だけで6万円以上掛かったら大変ですので。

ただこの場合はサフェーサー程の膜厚は付けられず、また切削性も悪いのでサフェーサーで作るようなシャープな下地のラインは難しく、また膜厚もサフェ程には付けられないので極細かい梨地の場合にしか使えません。目の粗い梨地に行っても焼け石に水のような作業になってしまいます。 先ほどのパワーウィンドスイッチパネルのような凸凹した平面パネルでこれを行うと、梨地は消せても細かいウネりは残ってしまい最終的にかなり残念な仕上がりになってしまうのです。ピアノのようなシャープなラインにするにはやはりちゃんとした面が出てないと駄目なんですよね。

塗装の面白いところは状況や被塗物の状態により色々なアクセス方法がある事で、一辺倒なやり方が駄目と言う訳では無いですが、融通が利かずに時間ばかりを掛けてしまっては逆に迷惑を掛けてしまう事になってしまいます。仕上がりは最高でも常識外れな膨大な費用が掛かってしまえば、誰もそんな事頼んでいないのにって事になってしまいますので。芸術品を作っているならそれも構わないですが、やっている事が「仕事」である以上はどこか丁度良い着地点を見つける必要があると思いますので。フェラーリの保険修理みたいにフェンダー一枚の塗装で20万円も貰えればそれはもう良い仕事が出来そうですが(笑。でもそんな感じです)。