TOYOTA 5Mヘッドカバー 本塗り

5m3 いきなりの紹介になってしまいましたが無事本塗り完了しておりますので御安心下さい。

現在お預かりしているヘッドカバー系の塗装は6件で、まずは上記3点を進行させております。手前のフィアット以外のパーツは旧塗膜があったので長い事溶剤槽に漬け置きしておいて旧塗膜を剥離しました。ちなみにフィアットのヘッドカバーも液体ガスケットの残りがしつこかったので同じく溶剤槽に沈めておきました。耐油性の高いシーラーは中々除去し難いのですが溶剤に浸けておくと比較的取り易いのです。

5m4溶剤での剥離が終わったらら続けてリン酸で表面の処理をし、よく洗浄したら一旦熱を掛けて水気を飛ばしていよいよ本塗りとなります。と言ってもいきなりトップコートは無いですね。時々金属に直接クリアーを塗って欲しい旨のお問い合わせを頂きますが、プライマーの塗装無しにトップコート(上塗り塗装)を行っても密着はしないのです。

5m5 そしてプライマー塗布です。プライマーの効果としては「防錆」と言う面が強いですが、金属素地と上塗り塗料(色&クリアー)との橋渡し的な役割も担っています。プライマーに含まれている顔料にそういった特性の物が入っていて、これが上塗り塗料には無いのでそれだけだと剥がれてしまうのです。金属に直接クリアーを塗って剥がれる原因として「クリアーには気孔が沢山あるから」といった物理的な事もありますが、それ以前にクリアーにはその特性が無いので化学的にも無理なのですよ・・・。そういえば最近火で炙るタイプのプライマーを耳にしませんがその後どうなったのでしょう(業界の話です)。

5m6そして無事本塗り完了です。お待たせしました!

画像では既に焼き上がった状態で、結晶塗装を塗った直後は通常の塗膜と同じ状態ですが、それに140℃程度の熱を掛けると徐々にチヂレ目が生じて来ます。塗膜中の下の層と上の層での伸縮率の違いを利用したような感じですかね。ヘッドカバー以外ではカメラの部品なんかにも使われていたりします。その温度まで加熱出来る物であれば他にも応用出来るとは思いますが、例えば自転車フレームにこれを塗ったとしても似合うかどうかと言うと・・・私的にはちょっと微妙な気がします。空気抵抗も増えそうですしね(多分そこまでシビアでは無いでしょう。笑)。

後は数日寝かしたら凸部表面を面研して鏡面状に光らせます。どうぞもう少々お待ち下さいませ!