TOYOTA 5MG Engine cover

 先日より業者様からお預りしておりましたトヨタ5MGのエンジンヘッドカバーです。日記掲載のご承諾は頂いていたのですが掲載はしておりませんでしたので、一連の流れと作業内容が判るよう施工例として纏めて紹介をさせて頂きます。

 アルカリ洗浄に浸け置きをしてオイル等の汚れを除去し、その後溶剤槽に浸け置きをして旧塗膜を剥離、さらに凸部を#80で粗研ぎした状態です。

 今回は腐食による塗膜の剥がれもあった為、サンドブラスト処理(軽め)も行う事にしました。

 ブラスト処理後、リン酸処理~洗浄を行います。

 よく乾かし、マスキングを行います。

 まずはプライマーを塗布します。ホースパイプ部のみこの後艶消しの黒を塗ってマスキングをします。

 結晶塗装後、140℃で20分程熱を掛けた状態です。

 今回はこの部品のみの結晶塗装だった為、恒温器では無くこのままもう一度赤外線ヒーターで140℃20分程熱を掛けました。

 鋳造製品はその特長から「巣穴」が存在していて、そこに残った水分や油などが熱を掛ける事によって膨張し、塗膜を膨れさせたりします。通常は熱を入れながらチェックするので膨れたら直ぐに針を刺して破裂させますが、今回は面研する凸部の上面だったのでそのまま放置しました。膨れた後に萎むとこのように結晶目が潰れてしまう為、最初は赤外線ヒーターを使って目視しながら熱を賭けるようにしています。

その後凸部を研磨してアルミ素地を光らせ、腐食の進行を遅らせられるようクリアーを筆塗りしておきました。この後再び60℃40分程の熱を掛けます(ただしそのコストは掛けられないので何かしら他の案件と一緒に、今度は恒温器に入れて熱を掛けるようにしています)。

 そして完成です。大変長らくお待たせいたしました!

 結晶塗装は他の塗装とは一緒に出来ない為、大体一か月半~二か月半と比較的時間が掛かってしまう案件となっております。

 ホースパイプ部は綺麗な状態なら塗装せずそのままなのですが、やはりこちらも経年でメッキが剥がれて錆易くなっているので、そういった場合はプライマーも塗って艶消し黒仕上げにしています。

それでは後程ファックスにてご連絡を差し上げますね。本日発送予定です。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

TOYOTA 5Mヘッドカバー結晶塗装 完成

5m13 こちらもお待たせしました!トヨタ5Mのヘッドカバーも本日完成となります。むしろこちらは予定よりも早く出来上がったと思います。丁度ロードスターのヘッドカバーや業者さんからの御依頼品があって一緒に出来たのが幸いだったと思います。

5m14 凸部は塗装後に研磨して光らせますがこれが結構な重労働でして、エアーツール(ダブルアクション&シングルサンダー)を多用し過ぎると局所的に削ってしまったり面が歪んでしまうのでやはり「手研ぎ」での作業が必要となります。使うペーパーも粗いのから初めて細かいのまで仕上げるのに全部で8種類(苦)を使っていまして、また同じ番手でも機械研ぎと手研ぎで重複するので工程としてはもっと多くなっています。

5m16ちょっと順番が変ですが、面研した後にアルミ素地面にはクリアーを筆で塗ってあります。以前はアルミ専用クリアーなる物を使って塗っていましたが余り変わりが無いので今は普通のウレタンクリアーを塗っています。アルミ素地に直接上塗り塗料を塗っても剥がれてしまいますが、何もしないよりは・・・と言う感じでこちらはサービスにて承っております。御希望の場合は御依頼時にその旨申しつけ下さい。

5m15または純正の姿に拘ったり、メンテナンスが好きな方であればアルミ素地にはクリアーは塗らず小まめにウエスとワックスなどで拭くと良いかも知れません。避けて頂きたいのは乾くと粉が残るような研磨材入りの物で、お勧めは無色透明なワックスが宜しいかと存じます。

それでは後ほど完成おお知らせメール差し上げます。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

TOYOTA 5Mヘッドカバー結晶塗装 本塗り

5m9 こちらもお待たせしました!トヨタ5Mエンジンヘッドカバーも無事本塗り完了しております。

こちらもロードスターのヘッドカバーと同じく、一度目に塗った塗装はちょっと結晶目が良くなかったのでやはり一旦剥がしてもう一度塗り直しています。といってもこちらはそんなでも無かったのですが(多分普通の方が見てもどこが変なのかは判らない程かと)、どうせだったので一緒に塗り直す事にしました。

5m10 そしてプライマーを塗布します。ちなみにプライマーは金属なら何でも付くと言う訳では無くやはりその前には何かしらの下地処理は必要で、物理的なペーパー掛けやサンドブラストによる足付け作業に対して今回はリン酸を使っての化学的な表面処理(化成処理)となっています。

5m11そして結晶塗装完了です。画像はやはり今朝撮影したもので、既に焼付も完了しています。台が塗った時とは違う物なので違う色が付いていますから何か変ですね。危うくトリコロールになるところでした(笑)。青は先日塗ったランチアのヘッドカバーの色で、赤は昨日一緒に塗った日産FJエンジンの色です。

凸部を面研して素地を露出させ光らせたら筆でクリアーを塗って完成となります。もう少々お待ち下さいませ!

結晶塗装 下準備

5m8 つい先ほど結晶塗装関係の本塗り完了しまして、ただそちらの画像は撮っていない物もあるので後日紹介させて頂きます。実は今日塗った物は思ったような結晶目が出なくて、一旦塗った物を全部落としてやり直しまして、もう体力が・・・(苦)。ただお陰で(と言うかさすがに)二回目は綺麗に仕上がりましたのでその点はご安心下さいませ。

上の画像はトヨタソアラの5Mエンジンヘッドカバーで、洗浄~リン酸処理を終えてマスキングした状態です。ヘッドカバーの裏側についていたオイル汚れも綺麗になっているのが判ると思います。最初の画像あるので一応紹介致します。

5m7届いた最初はこんな感じでした。この後アルカリ洗浄槽で浸け置きし、さらに溶剤槽で旧塗膜の剥離~洗浄をして裏側もあんな感じに綺麗になるのです。ちなみに洗浄はサービスですので完全には綺麗にならない場合もあります。何とぞ御容赦下さい。

road64そしてロードスターのヘッドカバーも下準備中です。こちらも同じく綺麗な結晶目が出なかったので一旦塗り終わって焼き終わった後もう一度ここまで戻りました(苦)。まあ失敗と言う程では無いのですがいつもに比べて少々塗り過ぎた感があって、どうしようかと悩みましたがそのままだと延々引きずるのでさっさとやり直すことにしたのです。体力的にはちょっと疲れましたが精神的な事に比べれば全然マシですしね。

amg3こちらは業者さんからの依頼品で、AMGのロゴがちょっとポップな形になってしまっていますが、実はこの凸文字はヘッドカバー一体では無くアルミ板をカットした物を貼ってあるのです。これは以前施工したBMW ALPINAのヘッドカバーと同じで、別体なのは最初から判っていたのですが、無理に剥がそうとして文字に折れ目が付いたらマズイと思い、だったら溶剤で自然に取れてくれた方が安心と思ったのです。ただその後大変な事になりまして・・・(ちなみに文字の位置はちゃんと元通りに、しかもエポキシでガッチリ止めてあります)。

amg4 そういえば以前のアルピナのヘッドカバーでも同じ事をしていたのを思い出しました。取れた文字が溶剤槽の底に落ちて、それを回収するのが結構厄介なのです。結局底に溜まったゴミ(と言うか剥がした塗膜)ごと拾って見つけ出す事となりました。といっても落ちたのは「A」だけで、他のは撮影の為に並べただけですけどね。

ちなみに旧塗膜を剥離する為の「溶剤槽」ですが、これは市販されている「灯油タンク」を改造して利用しています。よく寒冷地方の庭に設置されている大きな四角いアレです。ただしそのままだと大きな物は入れられませんから、タンク上面を大きくカットし、そこからヘッドカバーや自転車フレームなどを入れて蓋を出来るようにしています。これなら容積を少なくしつつ被塗物全体を溶剤で覆うことが出来るので非常に効率が良いのです。中に入れるのはスプレーガンなどを洗った時に生じる「廃シンナー」で良いので廃棄物も減りつつ仕事の効率を高めてくれますし、これのお陰で剥離剤を使う事は殆ど無くなりました(現在ももう手元にはありません)。

見た目はちょっと悪いですが、最後に新しい綺麗なシンナーで洗い流せば問題無いですし、その洗い流したシンナーもそのまま溶剤槽に入るのでゴミになる物は殆ど無いのです(上の画像の旧塗膜くらいです)。色々な負担が軽減されますので是非お勧めです。

それでは明日にでも本塗り画像紹介致しますね。どうぞもう少々お待ち下さいませ・・・!

TOYOTA 5Mヘッドカバー結晶塗装承ってます

5m6先日無事到着しておりましたトヨタ5Mのヘッドカバーです。この度のご依頼、誠に有難う御座います!

御依頼内容としては「結晶塗装の黒」で承っておりまして、こちらも元々はこんな状態では無く元々同じような結晶塗装が施されていた筈ですが経年で剥がれてしまいました。まあプライマーが塗って無ければ当然の結果なんですけどね・・・。

ちなみにこちらのヘッドカバー、ネジ穴にワッシャーが入っているのですが付いて来たのは合計7個でどうやら一個足りません。恐らくボルトを外す時にそちら側に残ってしまったと思いますので見つけて保管しておいて頂ければと思います。こちらにある7個は洗浄した後最後に一緒に入れておきます。

5m7 往年の汚れと言うかヘッドカバーの裏側はこんな感じで古いオイルがこびり付いてます。現在アルカリ洗浄液に漬け置きしてありますので次見る時は綺麗なアルミ素地を見る事が出来ると思います(多分ですが・・・)。

5m5 この型のヘッドカバーは今回で3~4回目くらいで年に 一回くらいのペースで御依頼があります。今回は御依頼の前に中古品を探して頂いたのですが巷には中々出回っていないようで、結局付いている物を外しての御依頼となりました。ちなみに上の画像は以前施工した時の完成画像です。

普段はエンジンルームの中にあるので見ようとしないと見れない訳ですが、アレがコレになるのですから満足感は結構大きいと思います(営業的ですいません・・・)。

それでは作業進行しましたらまた紹介させて頂きますね。この度のご依頼、誠に有難う御座います!