NISSAN L-TYPE OHC Valve Cover

nissan 日産のL型6気筒エンジンのヘッドカバーです。恐らくはこちらのDATSUN2400のヘッドカバーがベースになっていて、今回ご依頼頂いたオーナー様が塗装済み品をネットオークションで購入されたとの事です。

nissan1 既存の塗装は艶ありの黒が塗装されています。

nissan2 部品には鋳造特有の素地の粗さが残っていて、通常こういった艶あり仕上げにする場合はパテやサフェーサーで平滑な下地を作る必要がありますが、結晶塗装ではこういった素地のまま上塗り塗装を行っても美しく見せる表現が可能です。

nissan3 色に関してはご依頼品と一緒に塗膜片を同梱して頂きましたので、それを元に近似色を作成するようにいたします。ただし結晶塗装は通常の塗料と違い原色数が限られていますので、あくまでも「似たような色」と言う事でご了承を頂いています。当サイト内の「よくある質問」のページでもご案内しておりますが、色に対してのクレームはお受付しとりませんのでご注意下さいませ。

nissan5 まずは溶剤槽に浸けて旧塗膜を剥離しますが、文字の部分が無くなってしまいました。

nissan7 どうやらこちらはアルミ板を削って作った物が貼ってあったようです。浸けていたのは廃棄するシンナーを再利用した物なので溶解力は強い方では無いのですが、まさかそれくらいで剥がれるとは思いませんでした。

nissan10 結晶塗装は硬化時に140℃~170℃程の熱を掛ける為、その時点でまた文字が剥がれると非常に困りますので、再貼り付けには接着力に優れたエポキシ系接着剤を使います。

nissan11 接着面は足付け処理と脱脂を行い、隙間が出来ないよう接着剤をタップリ塗って貼り付けます。

nissan12文字を元の位置に戻します。

nissan13 その後60℃~100℃程の熱を掛けて接着剤を硬化させます。

nissan14 完全硬化後、被塗物が熱いうちに食み出た接着剤を除去します。これが冷えて固まってしまうと非常に硬くなって難儀になってしまうのです。

nissan16 通常は塗装前にリン酸処理を行うのですが、折角接着したフチを溶かしてしまうので今回は先に終わらせてあります。これはパテを使う場合も同様です。

nissan17 まずはプライマーを塗布します。

nissan18 その後結晶塗装を行い、140℃~170℃程の熱を掛けて結晶目を出して本塗り完了です。

nissan19 今回は色見本に合わせてパウダータイプのブルーパールを入れてあります。

nissan20 念の為、色見本となる塗膜片を並べて確認してみました。悪く無いと思います。

nissan30 その後凸部を研磨して光らせ、最後にクリアーを筆で塗っておきます。

nissan21 さらにクリアーが硬化したら完成となります。

nissan22 今回使用したエポキシ接着剤は金属同士の接着に使うような強力な物なのでシンナーの浸け置き程度では剥がれません。

nissan23 nissan24 nissan25 nissan26 色の見本としてお預かりした塗膜辺です。同じ色とは言えませんが雰囲気は似せられたと思います。

nissan27 nissan28 凸部の面研は最初こそエアーツールを使用していますが、その後は#120~#800までを全て手研ぎで行っているのでシャープな仕上がりになっています。

nissan29