Lancer Evolution Engine Cover

いつもご贔屓頂いているショップさんからご依頼を頂いたランサーのヘッドカバーです。

状態としては新品で、いつもは布状研磨副資材(アシレックスレモン)を使ってネチネチと足付け処理を行うのですが、今回は作業が簡略化&さらに細部までしっかり足付け処理が出来るよう、ウェットブラストを試してみました。

使ったのは普通のサンドブラスト用(ドライ)のガンで、ヘッドカバーが収まる容器(衣装ケース)に重曹を入れ、それを吸い上げるだけの方法です。判り易いよう動画を撮影しました。

最初にやった時は何も気にせずに作業したので身体中ベタベタになって気持ち悪い感じになったので、今回は合羽を着て、また排気ファンの直ぐ前で作業を行いました。

ただこれでも跳ね返った重曹を身体中に浴びる事になるので、その後小さい物は箱の中で行おうと。現在8年放置したブラストボックスをウェットブラストで使えるよう改造中です。

その後良く洗い流し、乾燥させました。既存の塗膜を侵す事無く、良い感じに足付け処理が成されているのが判ると思います。

凸文字部は研磨して素地を光らせるよう承っていますので、塗装前に粗研ぎを行っておきます。

最終は#800を使いますが、どの道後で削るのでこの時点では#120でOKです。

念の為、全体にプライマーを塗布しておきました。

まずは下色として、黒とイエロー(VW社サンフラワー) を塗布します。

その後、イエローに塗った部分に明るいグリーン=当店規定の色相環4時を指す緑を塗布します。隠ぺい力が極端に悪いので、下色にイエローを塗っています。

その後、黒の上に日産純正色の「ミッドナイトパープルⅡ」(カラーコード:LV4)を重ねます。以前S20のヘッドカバーに採用した塗料で、余った色はご依頼主様より買い取らせて頂きました。

ただこのミッドナイトパープルⅡは小物だと余り派手さが無いので、

さらにそれにマジョーラっぽい色変化をする光干渉型のパール=当店規定のHL-150を重ねました。海外から取り寄せたパウダータイプの顔料に、STANDOXのベースコート用バインダー(MIX599)に5%添加して使っています。

当店規定のHL-150は、ブルー→レッド→オレンジに変化する顔料です。

ご希望が「鮮やかなグリーンと紫のグラデーション」との事で、 このような配色となりました。

その後凸文字部を研磨して金属素地を露出させて光らせ、そこに密着剤を塗装後、 クリアーを塗って本塗り完了となります。

見る角度によって色相が変化します。

こういった色は画像よりも動画の方が判り易いと思い、そちらも紹介します。

動画は編集無しで、しかも部分的にしか撮影していないので、それだけを見るとインチキ臭いというか訳が分からない筈ですが、そもそもこの日記(ブログ)で補助的に使う物としているので問題ありません(ただその意図が判らず「騙された!」と思って悪い評価を着けられていたりするみたいですが・・・)。

その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させ、さらに数日寝かしたら完成となります。

この状態だと紫に見えますが、

角度をつけて寝かすと、奥の部分がイエローに変化しているのが判ると思います。

グラデーションの境目で色の粒子感(ダマ)が見えるのは嫌だったので、そこだけ口径0.5mmのエアーブラシで暈しています。

本塗りに使う色は後で同じ色が再現できるよう、予めデータ化=色見本を作成しています。

また色見本は平面・曲面それぞれ判り易いよう、二種類用意しています。

元々が「元の状態に戻す」と言う自動車補修塗装(板金塗装)を行っていた為、その場限りの一品物みたいなのが余り好きでは無く、出来る限りデータを残すようにしています。

「世界で一つ」と言えば聞こえは良いのですが、偶発的な事に身を任せるというのが余り好きでは無いので(それを仕事として行うのはどうなのかと思いますので)、極力人の手によって塗られたというのが判らないようにしています。