ヨコハマトリエンナーレ2017③

 ヨコハマトリエンナーレの開催が今日までと言う事で、前回行って来た横浜美術館に続き、今回は赤レンガ倉庫にやって来ました。

 会場となるのは展示スペース・ホールなどの文化施設がある赤レンガ倉庫一号館の中で、全体的に中は暗く、照明は作品にのみスポットを当てるといった感じでした。

ちなみに飲食店などが多く入っている方はとなりの2号館で、今回は行きませんでしたが揚げたてのカレーパンが美味しかったです。

館内に入って最初に観る作品がこちらの小沢剛氏の「帰って来たK.T.O」で、内容が良く判らなかったので帰ってから色々調べましたが、内容が壮大過ぎてさらに訳が分からなくなりました(苦)。

私的に面白かったのは作品に当てる照明の仕方で、こちらの青山悟氏の作品はてっきりこれ自体が発光しているのかと思いきや、実際はメタリック糸と黒糸での刺繍(!)で出来ています。

 先ほどの刺繍の作品の裏側にはこちらの油彩画が張り合わされてあって、作風が違うのでどういう事かと思って帰って調べてみると、どうやらこちら側は画家だった祖父・青山龍水氏の遺した油彩作品を組み合わせると言う展示方法が成されていました。これは面白いですね。

 そしててっきり海外の方の作品だと思っていたこちらの作品です。私的に今回一番楽しめました。宇治野宗輝氏の「プライウッド新地」です。

 かなりアナログ的な手法で、作品に固定されたミキサーとか電気ドリルとかワイパーモーター(!)とか、

 洗濯機の一部や楽器などの駆動音をアンプで増幅し、

 それらを写すカメラから撮影された映像とリンクさせ、

まるで演奏会と言うかライブ会場に居るような感じになります。

私的に映像物はちょっと苦手ですが、この表現方法はとても面白かったです。

ちなみに会場内の撮影はOKです(フラッシュ・三脚・動画は不可です)。

 こちらは照沼敦朗氏の「ミエナイ・ノゾミちゃんの視界コンプレックス」で、アクリルやボールペンで描かれた作品の上にプロジェクションマッピングのように映像を重ねています。凄く発色が良いのですが照明が当たって居ない時は普通の色だったので、もしかしたらキャンバスの下地に蛍光色が使われているのでは?と思った次第です。

最後の方にあったのがこちらの「Don’t Follow the Wind」《ウォーク・イン・フクシマ》で、原発事故の汚染で期間困難区域となった場所をVRで見れるようです。VRは未体験だったのでちょっと見てみたい気もしたのですが、傍から観るこの光景が余りにもシュール過ぎたのでスルーさせて頂きました(苦笑)。

ヨコハマトリエンナーレは3年に一度の開催なので、次は2020年ですかね。次回も楽しみです。

ヨコハマトリエンナーレ2017②

 昨日に引き続き、日曜日に行ってきた横浜トリエンナーレ2017の紹介となります。

みなとみらい駅とこちらの駅ビル(MARK IS)は地下四階で直通になっていて、電車から降りて一歩外に出たら、そこはもう美術館の真ん前!と言う素晴らしいアクセシビリティです。いつも仕事と通勤で信じれないくらい汗を掻いているので、休日くらいは外気に触れたくは無く、とても助かります(病)。

と言う訳で、こちらは階段を上がっでちょっと広くなったスペースにあるMr.氏の作品です。

ここ、美術館ですよね?と、つい突っ込みたくなりますが、川崎の岡本太郎美術館といいここ横浜美術館といい、この辺の都内には無い緩さが私的には結構好きです。

六本木にある国立新美術館は色々な面で凄いと思いますが、少し敷居が高いというか、そこではこういうのは多分飾ってくれないんじゃぁ・・・と思ってしまいますので。

しかしこの配置とか照明とか、何かやっつけ感がするのは気のせいでしょうか…。

 私的に面白いと感じたのがこちらの作品で、多分唯一触って良い作品はこれだけだったのでは無いでしょうか。

しかし触るまでも無く、これってどうみてもフェザーエッジ(笑)。

これは模様を描いている訳では無く、何層にも塗り重ねられた塗膜を削ってその断面で色や模様を表現しています。津軽塗の七々子塗とか、研ぎ出し変わり塗りの技法みたいな感じですね。自動車補修業界ではこれをフェザーエッジと呼び、削っている塗膜の下から違う塗膜が出てくると「ヤリヤリだな」なんて独り言を呟いたりします(本当。笑)。

ちなみにこの作品が面白かった理由についてはそれらの事は全く関係無く(!)、作者の川久保ジョイ氏は元々金融トレーダーだったとの事で、この壁が株価のチャートか何かを表現していたりする事です。

そしてさらに気になったのがこの壁の制作方法で、てっきり工房か何かで作った物を持って来て設置したのかと思い、どこに継ぎ目があるのかを探していたのですが(←勿論不審に思われないよう気を付けて・・・)、どうもそうでは無さそうだという事で学芸員の方に聞いてみたら、やはりと言うか本人がここに来て二か月間(!)くらい削っていたらしいです。まあそうですよね、二か月は掛かりますよね。

 そして今回の作品で一番気に入ったのがこちらの作品トンネル?で、ただ私的にはアート的では無く、その精巧さとか緻密さに惹かれました。このトンネル、少し右にカーブしていて、奥に行くにつれて暗くなるのですが、相当奥までありそうで終わりが見えないんです。

この裏側には大きな部屋とその奥にスクリーンがあるので、きっとこのトンネルはそこまで繋がっていて、もしかしたら貫通していたりなんて期待を持って覗いてみると、いや、このトンネル1メートルくらいで終わってるんです(!?)。

 いやそんな訳無いだろうと思って表と裏を何度か行ったり来たりして見たのですが、どうやっても継ぎ目が見当たりません・・・。

視覚情報を混乱する系の錯覚系アートは余り好きでは無いのですが(と言うか嫌いです)、こういった虚構なのに現実にしか見えないような精密な造形系の物は結構ヤバいです。

 鎖の配置からして鏡があるのはあそこしかない!と言うのが判っていても判らないというのは、多分相当綿密に作らないとこうは出来ないと思うんですよね。

この光景が、極少ないスペースで得られるのであれば、これならうちにも欲しい!!と言うのが正直な感想と言うか欲望です。工場の壁にこれを置けばとてつも無く広く感じられるだろうなぁ、と思いまして(そこか!と。笑)。

ヨコハマトリエンナーレの会期は11月5日までとまだタップリあって、会場は今回の横浜美術館だけでは無く横浜赤レンガ倉庫1号館横浜市開港記念会館 地下などもあるので、是非そちらにも行ってみたいと思います。

ヨコハマトリエンナーレ2017①

 前回に引き続き、3年に一度開催される現代アートの祭典「横浜トリエンナーレ2017」の会場の一つである横浜美術館に行って来ました。

今回のテーマタイトルは「島と星座とガラパゴス」との事で、 美術館の正面口を飾るのは中国の現代アート作家のアイ・ウェイウェイ(艾未未)氏の作品で、難民問題をテーマにしているようです。窓が救命ボートになっちゃってますね。

作品のタイトルは「安全な通行」で、柱に括り付けられたこれらのライフジャケットは実際に難民が着用&使用していた物との事です。

作者のアイ・ウェイウェイ氏は北京オリンピックの主会場だった北京国立スタジアム「鳥の巣」のデザインに携わっていたり、他には政治・社会活動家としても有名です。結構ぶっ飛んでいる方なので何度か当局にも拘束されていて、もっと自由に物が言えるようになった氏の作品を見てみたいと思っています。

 と言う訳で入館です。って入って早々デカすぎ!!と言うのが正直な感想です。

てっきりゴーレムかと思いましたが、どうやら日本のしめ縄をモチーフにしているようです。作家はインドネシアのジョコ・アヴィアント氏で、同国から2000本の竹を持ち込んで独自の手法で編み上げているとの事です。この太さの竹を編むって・・・お前がゴーレムかよ!と心の中でツッコんでおきました。

 こちらの作品はウニの殻で出来ていて、「あれ?これってどこかで見た記憶が・・・」と思ったら、小学生の頃にやった色覚テストのそれですよね。

 二階に上がると床に巨大な備長炭の束が置いてあるのかと思いきや、どうやらこちらは電気を通す為のケーブルのようです。真ん中の方には冷蔵庫も置いてあって、扉を開けてようとしていた人が係の方から制されていました。まあ人として開けたくはなりますよね(笑)。

 傍らにあったモニターを見てみると、どうやら先ほどの冷蔵庫とケーブルをタクラマカン砂漠に持って行き、電気を繋いでビールを飲む!(一体どうして!)と言う趣向だったようです。

随分と無駄な事をする人が居るんだなぁと思いきや、かつて文化や文明の流通経路だったシルクロードが、今はその用を足さず孤立している現状を描いていると言うコンセプトがあるようです。

作者のザオ・ザオ氏は新疆ウイグル自治区出身で、一時期冒頭で紹介したアイ・ウェイウェイ氏と一緒に制作をしていたのですが、2011年にアイ・ウェイウェイが警察に拘束されたため、その後解散しています。

他にはキャイーンを連想しない方が難しいと思う熊をモチーフにした作品や、

いつもは良く判らないのに、ここにあると何故かまともに見えてしまう抽象画など(!)、見どころは満載です。

もう少し画像があるので、そちらは後日改めて紹介したいと思います。

ヨコハマトリエンナーレへ②

yokotori-6 昨日の続きで、上の画像はブタとカラスの対極に当たるところです。ミイラみたいなのは判ると思いますが、その横にある大量のペットボトルも作品の一つようです。しかし遠目にみたらガイル大佐にしか見えないのは何かの病気でしょうか(笑)。

yokotori-5最初は気付かなかったのですが反対側から見てハっと驚きました。これって、いつも仕事で扱っている一斗缶じゃないですか!(笑)。随分上手いこと利用しましたね。ちなみに私は空になったこの缶にキャスターを付けて事務所用のゴミ箱にしています。キャスターが付いていると誤って蹴とばしても倒れないんですよ(その代わり遠くに行ってしまいますが・・・)。

yokotori-12そして横浜美術館からシャトルバスを利用してもう一つの展示会場「新港ピア」に来ました。美術館の入館料(一般当日¥1,800)でこちらにも入れるので来ないと勿体無いですし、途中の移動は丁度良い息抜きにもなると思います(祭日でもバスは十分座れました)。

yokotori-9 ちょっと見る順番が違うのですが、館内に入るとまずこれがありました。このサイズですから恐らくあっちには入らなかったのでは・・・と思う次第です。しかし何故そこにショックアブソーバーが・・・と思ったら油圧で開閉するトレーラーの荷台部分だったのですね。これ自体が舞台にもなるそうです。ちなみにもう少し離れて撮りたかったのですがDP2Merrilだとこれが限界でして・・・(DP1も持って来ればと途中何度も思いましたよ)。

参考サイトです→日本初の舞台トレーラーに装飾を! やなぎみわ「デコ・プロジェクト」

yokotori-13そして奥に行くとこれがありました。事前のパンフレットでも紹介されていて私的にはこれが見たかったんですよね。一見グチャグチャしていますが意外ときっちり配置されていたりして、ネオン管?やら配色が明るくて面白そうだったのです。中も面白かったのですがそちらは画像が・・・。

yokotori-11で、裏側に回ってみると結構実はこっちの方が自分好みだったかも知れません。この光景、一瞬中学生の頃に行った秋葉原を思い出してしまいましたよ・・・。当時任天堂のファミコンでやる「ツインビー」なるゲームに嵌っていて、ただあのゲームはどうしてもファミコンのコントローラーでは無くゲームセンター同様に「アーケード版ジョイスティックでやりたい!」と思っていて、アルミボックスやら十字キー(丸い頭が付いたスティックです)、ボタンスイッチなどの部品を買いに秋葉原まで行ったのです。当時はそういった部品自体が高かったのですが(中国製品が無かったですからね)、完成品は相当高価な物だったので中学生の私としては自分で作るしか無かったんですよね。アルミボックスにボタンを付ける際、ホールソーが無くて金ヤスリ(しかも角)で穴を広げるのが大変だった記憶があります。

ちなみに今回のヨコトリのコンセプトは「忘却」がテーマだったと思いますが、この展示物のお陰で忘れるどころか懐かしい記憶を思い出す事となりました。多分この方の立ち位置が秋葉原っぽい雰囲気を醸し出してくれているのだと(笑)。