石鹸メタモルフォーゼ

black11先日作成していた「TOROBBiT」のシリコーン型です。前からやってみたかった事があったので、これを使って試してみる事にしました。

sekken 材料として使うのは自動車業界ではメジャーな「バケツ石鹸」です。クルマを扱う工場ならどこにでもある物ですよね。

sekken1 ピンクの工業用石鹸がその名の通りバケツ一杯に詰め込まれてます。

粉末タイプのピンク石鹸は油で汚れた手を洗う物に使いますが、こちらの固形タイプは主に車のタイヤを洗うのに使います。便利なので以前買っておいたのですが、小物の塗装となると余り使う機会も無く(私の自転車の洗車が一番使っていると言う…)、買ってから5年(!)くらい経っても全然減らないので今回これを使ってみる事にしました。

sekken2 スクレーパーでザクザク削ってカップに移します。

sekken3 鋳造用に購入しておいた携帯ガスコンロで湯銭をします。

sekken4 ・・・が、いつまで経っても全く溶ける気配がありません…。

イメージ的にはサラダオイルみたいにサラサラになってくれると思ったのですが、どうやらそうでは無かった模様です。

いい加減進歩が無いので ネットで調べてみると、どうやら石鹸に水を20% 程度加える必要があるとの事で、早速試してみたら何とか溶けるには溶けてくれました。

sekken5その後30分・・・。

何とか固体からは脱出しましたが、ただどうしてもこれを液体と呼ぶにはまだ遠く、どちらかと言うと見た目も粘度もネギトロその物です(苦)。

sekken6あれ以上やっても全く進歩が無いので、ちょっと強引ですがデロデロのまま型に流し込んでみると・・・、おっと意外にも何とかなってくれました。

溶かした金属と違って可使時間は比較的長く、細く奥まったウサギの耳部分も割り端を使ってエアーを抜きながら奥まで押し込むと何とか入ってくれました。ふぅ、やれやれですよ。

sekken7 で、その後冷えてくるとなんと色がとても綺麗に復活?!

湯銭していた時はまではミンチ系の肉(苦)の色をしていた石鹸ですが、固まってみると血液を彷彿するような赤身は消え、ムラ無く綺麗な淡いピンク色になりました。これは結構うれしかったです。

sekken8そしてジャジャーンと!

こちらは以前廃クリアーで試していたフェアリーのシリコン型で、予想以上に良く出来てしまいました。フフフフ…。

sekken9そして溶けたウサギのトロビットの方も一応何とか?なりました。

ちなみに後で調べてみたら(こういうのはいつも事前に調べないのでして…)、どうやら電子レンジで溶かすと良いみたいで、またもしかしたら今回使った工業用石鹸よりも普通の家庭用の方が溶け易いのかも知れません。この辺はまた機会があれば是非試してみようと思います。

尚、型はまだまだ使えるので、次回はまた違うの素材で遊んで試してみようと思います。

スマートキー用トヨタエンブレム 増産

key34こちらは塗装の仕事でご依頼頂いている、トヨタのスマートキーカバーに埋め込む極小エンブレムバッジです。奥の物が元々着いていた物で、新たに入手した手前の物をブラックメッキ調に塗装してキーケースに埋め込み、さらに透明レジンで琥珀のように固めてしまおう!と言う作戦ご依頼です。

ただ作業をした時の事をイメージしてみると、どうやっても透明レジンを注いだ時に中に気泡が混入してしまい、かといって既に塗装した物を塗装したカバーに埋め込んでいる訳なので、もう取り返しが効かない・・・と言うような地獄絵図が頭の中に出来上がってしまいまして(苦)。

key43 と言う感じで、もう失敗する事が前提になってしまっているので、まずは複製品を使って練習&改善方法を模索する事にしました。最近流行りのシリコーン型です。

key44 もっと早く気づいていれば色見本用の車を作る時に一緒に出来ていたのですが、まあお陰で型造りの作業は随分と慣れました(笑)。

key45シリコーンが固まって台座から外した状態です。

key46 さすが買って開けたばかりのシリコン樹脂と言う事で、非常に流動性が良く細部まで気泡も入らず綺麗に型が取れました。

っていうかあれから色々と調べていたら、どうやら古くなって固くなったシリコーン樹脂に入れる専用シンナーと言うのがあるみたいですね。

key47 と言う訳で車型の色見本と一緒に複製作業に勤しんでいます(勿論仕事の合間にです)。

key48 食み出た分は研ぐのが面倒なので、上にクリアーファイル(ポリプロピレン樹脂)の切れ端を置いておきます。

key49さらにその上に重しを置いて余分を減らすようにします。

key50 そしてジャジャーン!と、複製品の出来上がりです。

key51 取り敢えず5個作製しました。

回りに付いたバリは裏側を平らに削っていれば勝手に取れてくれます。

key52 良かったのは元の金属製の物と違って樹脂なら簡単に削って薄く出来る事で、これならカバーのツラよりも確実に低く出来るのでしっかり樹脂の中に固める事が出来そうです。key53ついでに、なんてやっている内に色見本用の車の方も大量に出来てしまいました。これなら取り敢えずはシリコーン型を増産しなくてもやっていけそうですね。

車型色見本 塗装

car12 先日マスター型から複製した色見本用の小物です。多少水研ぎをして表面を整え、早速出番が来たので一緒に本塗りを行いました。

car14 色は以前からブレンボキャリパー用の赤に使用している物で、今回新品のキャリパーを見本としてお預かりしたので再確認も含め色見本を作成しておく事にしました。

 

car15 形を滑らかにしたお陰で見える部分での気泡の混入は殆ど無く、サフェーサー無しでも十分綺麗に仕上がりそうです。これなら十分ダースベイダーの代わりになりそうですね。

brembo20 ちなみにこの色で塗った物がこちらのブレンボキャリパーで、業者様からのご依頼品なので日記では紹介しておりませんが、今回新たにお取引頂ける事となりました。会社のメカニックの方も一緒に当サイトを見て頂けているとの事で有り難い限りです。

car17 既に強制乾燥も終えていて、実際に新品のブレンボキャリパー(塗装済み品)と並べてみました(先ほどの小物がキャリパーのヘリに乗っかっています)。

ちなみにこちらのキャリパーは先ほど塗装している物とは全くの別件で、これとセットになるブレーキキャリパー(リヤ側)はこれから本塗りとなります。どちらもレッドだったので色の確認が出来て丁度良かったです。

car16色が着いたお陰でポルシェ特有の盛り上がったフロントフェンダーも判り易くなったと思います。

あとはこれに使った塗料の配合データをプリントして、テンプレートの板に貼ったら完成ですね。BMWのMカラーLOOKのロゴの色も溜まっているので、そちらも一緒に一掃しようと思います。あぁ、PANTONE色見本も作らないと…。

いよいよ量産体制

black8先日仕込んでおいたシリコーン樹脂が固まったので外してみました。

black10 こちらは色見本用として使う、車のフォルムをしたマスター型です。車体の下まで続く丸みを帯びた形状を残したかったので下側ギリギリまでシリコンが周り込むようにしてあります。

black11 こちらは頂き物の溶けたウサギのフィギアです。少々不安でしたが無事抜き出せました。

black13 ちなみにウサギの方は耳が引っかかるので両サイドをカッターで切って取り出しています。

black12 樹脂を流し込む時は型を輪ゴムやシャコマンで固定するので切っても問題ありません。って言うかそもそもがこの製法らしいので今回それを真似てみただけなのですが(笑)。

black14 と言う訳で早速注型です。まずは注いだ樹脂が型にくっつかないよう内側に離型剤を塗ります(塗らなくても剥がれるのですが型を長く使いたいですので)。

black15使ったのはポリエステル樹脂のリゴラックで、こちらは普通にFRPの補修に使う材料です。板金塗装屋さんなら常に常備しているような物ですね。ちなみにこの樹脂の砥ぎ粉が激しくくしゃみを誘発するのはどうしてでしょう…。

carと言う訳で無事取り出せました。下回りまで良い感じに型が取れています。

尚、ポリエステル樹脂は硬化がとても速いので30分もすれば型から取り出せます。

car1 実際に使うイメージとしてはこんな感じで、今まではダースベイダーを使っていた所を、車関係の物を塗った場合は今後これに置き換えて使おうと思っています。

既に先日サンプルとして塗装していまして、未塗装だとちょっと残念な感じがしますが、色が着いて艶が出た物は断然立体感が出て中々格好良く出来ていると思います。

ただ塗膜の分大きくなっているので、果たしてこの枠に嵌るのかどうか…。