西陣織壁時計 色作成④

先日組付け作業を行っていた西陣織壁時計です。

針の色は白と黒が既存の物なのですが、それだと全く似合わないので、

短針と長針を泥金みたいな色にしようかと思った次第です。

ただこれだとちょっと違う気がしたので(針が目立ち過ぎてしまう気がしたので)、

R34GT-Rブレンボのゴールドの色を採用しようかと思います。

秒針は細身なので鮮やかな赤にしようかと思い、ただフェラーリのロッソコルサ程度でもちょっと派手過ぎるようなので、

現在別案件で進行中の「日本の伝統色」色見本の中から、落ち着いた感じの赤=「真緋」(あけ)を採用しようと思います。

と言う訳で、一時はゴミになってしまうかも知れなかったRMの色見本帳=カラーマスターから赤系の引き出しを選び、

それらの中から良さそうな赤を選び出します。車の塗装屋さんなら判ると思うのですが、通常自動車補修用塗料の色見本は自動車メーカー毎に別れているので、このように同じ色相の物をズラ~と並べるような事は出来ず、なので車以外での塗装を行う場面では使い難いんですよね。

その点このRM社のカラーマスターは「メーカー」という枠がないので、今の小物塗装屋にはとても使い易いのでは!と思ったのですが、良い色を見つけてもその配合データはRM社の塗料でしか使えない=自動車メーカーや色番号を逆引きが出来ない!と言う致命的な問題があるので、今までは余り使い道が無かったんですよね。

と言う訳ですがジャジャーンと!

仕事では中々出番がないのですが、以前知り合いの塗装屋さん(アッソさん)に頂いたこのスタンドックスアクワイヤーⅡ=測色機があれば、その色見本(塗膜)を基に配合データを割り出す事が出来る!という凄い事が出来るようになります。なんて素晴らしい・・・!

モニターの色(RGBだけどCMYK)から近い物を色見本から選び、

それを測色機で読み込んで、

オンラインでSTANDOXのウェブサイトに繋いで配合データをダウンロードします。場末の塗装工場がこんな感じで世界に繋がったりするのは何だか感慨深いですね・・・(わざと大げさに言って楽しんでいます)。

選んだのは三菱の「FIRE RED」(カラーコード:FC1)で、聞きなれない色番号なので日本では流通していない色かもです。

ちなみにアクワイヤーはとても高価な物で、当店のような保険業務の無いほぼお客様の実費で行う塗装業務ではとても手が出る機械では無いのですが、これを無償で譲ってくれたアッソガラージュさんには本当に感謝です。恩返しとしてはとにかくこれを使う事だと思うので、今進行中の日本の伝統色では全てこの方式で色の選定を行おうと思っています。幸いにして以前作った色相環12色のように鮮やかな色ではないので(あの時はRGB色を参考にしているのでとにかく色を濁らせないよう使用原色種類を少なくする必要がありました)、今回は自動車ボディーカラーでも十分近い色を出せると思っています。

3M DP460オフホワイト

塗装の仕事でよく使っている3Mのエポキシ接着剤ですが、

懇意にして頂いているオートサプライヤーさんから、新しい型の物を譲って頂きました。多分日記でいつまでも古い型が登場しているのを見て心配してくれていたのだと思います。まだ在庫が残っていたので、マイナーチェンジしている事に全く気が付きませんでした・・・!

これと同じことがコンパウンドとかでも起きていて、対象が小物だと自動車補修と違って使う量がかなり少ないですから、知らない間に廃盤になっていた(もしくはパッケージデザインが変わっていた)なんて事が頻繁に起きています。情報過疎は怖いですね・・・。

と言う訳でジャジャーンと!昔取った杵柄じゃないですが、自宅で使っていた小型ガンを持ってきました。

普段パネルボンドは大型のガンを使っていますが、それを片手で使えるような小さいハンドガンのキットです。つい先日買った物かと思っていたら、もう8年以上経っていたんですね・・・。

ちなみに自宅では、外壁の高い所で起きていた配管漏れの修理に使っていました。本来なら配管ごと取り替える作業になる筈ですが、表側から足付け処理をしてプラスチックプライマーを塗布、ファイバーマットを貼ってパネルボンドで固めました。その後一年以上経っていますが全く問題ありません。

が!どうやら今回頂いたDP460オフホワイトは既存のカートリッジでは装着出来ず、メーカー(3M)に問い合わせたところ、これ専用のガン(スコッチ・ウェルドEPX PLUS2 アプリケータ)が必要との事でした。形は似ているのでてっきり汎用出来るのかと思っていましたが、なるほどそういう作戦ですか・・・。

という事ですが、オートサプライヤーさんに相談したところ、なんと既存のガンに使えるブランジャーを見つけて来てくれました!

最初のキットに入っていませんでした?との事ですが、出たばかりの時に買った物だったので、多分この設定は無かったのではと・・・。

左側の二個が元々使っていた物で、右端のが今回のDP460に使うブランジャーです。形を変えているのは、誤使用を避ける為でしょうか(それならまあ判るのですが、そんな人居るんでしょうか・・・)。

と言う訳で無事装着完了です。素晴らしい~!

本来は先端に専用のノズルを装着するのですが、材料費を気にせず使えていた自動車補修(保険修理)と違い、今の小物塗装ではそこにも重きを置かないと仕事として成り立ちませんので、未だにヘラを使って混ぜる作業をしています。もしかしたらポリパテも缶から毎回ヘラで出したりしているような事はもうして無いのかも知れませんね。

と言う感じで、独りで仕事をしていると全く情報が入って来なかったり、今やっている事が全くの時代遅れ!と言う事が起きたりする訳ですが、オートサプライヤーさんと繋がっていれば今回のように色々な場面で助けられたりします。本当に有難い限りですね・・・!

小物塗装の費用について

最近で一番お問合せが多いのがこちらのロジクールのワイヤレスマウスで、ただ皆さんが思っているよりも塗装費が遥かに高いと感じられているせいか、ご依頼に至るケースは極稀です。

確かに製品自体の金額は2万円くらいなので、「どうせ塗っても2万円以下で済むだろう」と思われるかも知れないのですが、塗装費は製品の金額によって決まる訳ではありませんので、実際そうとは限らないのです。¥100ショップで買った物でも数万円の塗装費が掛かる事がありますし、また50万円のイヤホンだからといって塗装費が50万円以上掛かる訳ではありません。塗装の費用はそれに掛かった(掛かるであろう)時間によって金額が決まります。所謂「レーバーレート」=「時間工賃」です。

尚、このレーバーレートには会社によってそれぞれ違いがあって、車を塗装する場合は通常一時間当たり¥7,000~¥12,000くらいで(当時私は国産車は¥7,000、外車は¥8,000でやっていました)、例えばベンツのドアの塗装指数が5時間であれば「¥8,000×5=¥40,000」となります。以前使っていたアウダネオだと基礎加算数値からの算出なのでまた違った方法となりますが、今回は無視します。というかあの保険会社が勝手に決めたようなシステムはまだ健在なのでしょうか。

ちなみに小物塗装となった今ではさらにコストを落としていて、実質一時間¥2,000~¥5,000くらいでやっています(しかもこれをスタンドックスで)。ご依頼を頂いた物の中には初めて扱う物もあるので一万円で見積もりをした仕事に5時間掛かってしまう事もあれば、2万円の仕事がきっちり4時間で終わったりする事もあります。

またこの時間工賃にはメールでのやり取りなどの業務も含まれていて、【お任せ仕上げコース】のコストが安いのはそういう事を簡略化しているからでもあります。また受付窓口を設けていないのもこれの為で、「家が近いから」「直接見てもらった方が楽だから」といって当店がそこに時間を掛けてしまうと、遠方から発送でご依頼頂いている他が不利益になってしまうという事でご遠慮を頂いています(それ以外にも作業を中断したくないという事があります)。

と少し話が逸れてしまいましたが、今の小物塗装でもなんとかやっていけるのはそれぞれの作業を細分化して見積もりの内訳を明確にするようにしているからでもあります。

例えば今回のロジクールのワイヤレスマウスですが、これの塗装費を合計すると7万円くらいとなります。この金額だけからするとボッタくりと思われる方がいらっしゃるかも知れませんが、実際にはそれでも採算が合っているとは言えず、これは実際にやって頂かないと判りにくいかも知れませんが、例えば車の塗装屋さんから考えるとボンネットを3枚(3台)塗っていた方が作業的にも時間的も断然楽な筈です(勿論車体からの脱着無しでマスキング作業~磨き処理も含めて)。ボンネットは車が変わっても大抵同じ作業として出来ますが、これはそういうレベルではありません。

それぞれの金額を簡単に説明しますと、まず一番大きいカバーパネルの塗装が¥15,000くらいとなります。高いのか安いのかは判りませんが最低この金額は頂かないと会社が成り立たなくなります。これが自宅兼職場ならもっと安く出来るかも知れませんが、賃貸で工場を借りてスタンドックスの塗料を使い、自動車ボディと同様の塗膜を提供しようとすると今はこれくらいの金額がどうしても必要です。

そしてクリックボタンは一個¥5,600、両サイドにある小さいボタンは一個¥2,400、これら全部で11部品となっています。尚これらの金額は複数割引が適用された単価ですのでボタン一個が¥2,400で塗れる訳ではありません(その金額だと受ければ受ける程赤字になります)。

という訳で、ここまでであればそこまで費用は高くならないのですが、今回の場合「G」のロゴとインジケーターランプ部を光るように残さなければならない!という作業があるので、当然その分の費用が掛かります。むしろこれの方が手間も神経も遣います。

まずは元々ある段差を無くす為に、最初にクリアーを下塗りとして塗ります。当然足付け処理とマスキングもしているので本塗りとほぼ変わらない内容となります。

Gのロゴをマスキングする為にも費用が掛かります。陶芸にあるような「手作り感のある味」と言うのはここでは一切払拭したいので、カッターで手作業で切ったりはせず、サイズを変えた数種類のマスキングシートを作成して精度を出しています。クリアー下塗りと「G」のマスキングについての作業が3時間として、ここでの費用は¥15,000くらいでしょうか。

またインジケーターランプ部のマスキングが三か所あって、これが一か所あたり¥3,500となっています。マスキングだけするのにこの値段は少々高く感じるかも知れませんが、下塗りと上塗り、またベースコートとクリアー塗装時にそれぞれ貼り直しているのでトータルすると4回=12個分、元の下地の黒が見えてはいけない!という中での作業としては決して高くは無いと思っています。

またこれは費用に計上していないのですが、「マスキングの段差が残るのが嫌だ!」という私的な希望もあり、艶消しクリアーの前に一旦艶ありクリアーを塗ってその段差を消していたりもします。塗装工程が一回分多くなる訳ですが、この辺は特段注文を受けた訳ではないので自分の時間を削って対応しています。当店が常に忙しいのに儲かっていないのはこういう事が理由で、最初にスタートした時の口座残高200万円には未だ到達していません(ただ工場引っ越しの為に借りたローンがようやく来年終わります!)。

そもそも大量生産で数万~数十万個を製造するのとは違い、一個だけのオーダーでは試作品を作るような内容ですからコストが上がるのは当然で、ただそれを全ての方に判って貰うというのはやはり難しいかと思いますので、見積もりではそれぞれの内訳を明確に出来るようにしています。

と言う訳で、特段「この仕事はうちが独占する!」と言う訳では全くありませんから、「うちならもっと安く出来る!」というのは全然構いません。分解の仕方も詳しく紹介していますので、是非チャレンジして頂ければと思います。

色見本キーホルダー試作完成②

 先日紹介した色見本はソリッドカラーの赤(ホンダミラノレッド)でしたが、こちらはキャンディーカラーのレッド(3コート)の色見本となります。オーディオテクニカのワイヤレスマイクに塗装した色ですね(どちらも現在寝かし中で、来週半ばくらいに完成予定となります)。

現在は試作段階なので組み付けもこちらで行っていますが、いずれは上の画像のようにバラバラの状態で、最後の仕上げはオーナー様自身にやって頂こうと考えております。ワークショップは無理だとしても、少しでもIKEA効果を感じて貰えればと思いまして。

 と言っても作業自体はとても簡単で、既に貼り付けてある両面テープの台紙を剥がし、

 それらを貼り付けるだけです。

 なので誰でも出来ますし、むしろ「ちょっとの事でもこういうのは苦手なんです!」と言う方にこそやって頂ければと思っています。少しでも自分で手を加えると愛着の沸き方が全然違うと思いますので(そして沼に嵌ってくれると嬉しいです。笑)。

 枠の中に貼り付ける塗装済み品はギリギリのサイズにしていて、貼り付けられる位置もほぼ決まっていますから、「ほらやっぱりズレたよ・・・」なんて事も皆無だと思います(笑)。

 最後にステンレスワイヤーを通せば完成です。こちらもネジを締めるだけの簡単取り付けです(カシメではありません)。

 最後の仕上げだけでも手を掛けて頂ければこちらの文言も「myself」に出来るのでさらに愛着が沸いてくれるのでは・・・!と思っています。

当面は御希望される方向けの無料配布として(諸々条件はありますが基本的にどなたでも可能です)、いずれはワークショップ&ウェブショップの販売項目に入れられればと思っています。マイクはプレゼント用でキーホルダーは手元に置いておく、みたいな感じでご用命頂ければ塗装屋冥利に尽きるかと・・・(笑)。

そしてイモリも増産中です。