2023年秋 猫キーホルダー塗装ワークショップ

少し前に作成していた猫型の色見本キーホルダーですが、

Twitter(X)で紹介したところ評判が良かったので、その後ワークショップを開催する事にしました。

開催会場はいつものPRO_Fit二階の事務作業エリア(兼間貸し場所)と、

塗装作業はこちらの工場一階で行います。

ちなみにこれまで行ってきたワークショップとしては、

スニーカーのスプラッシュ塗装や、

同じくスニーカーの、こちらはエアーブラシ塗装、

他には定番のサーモス塗装

またアーティストさん向けの貸し切りワークショップなども行ってきました。

なので今回は初の試みと言う事で、一応事前にシュミレーションもしておきました。

今回の参加者は4名、お手伝いに来てくれるのが2名、いつものGUNさんとくまさん、あと残念ながらGショック塗装屋さんは都合が合わずお休みです。いずれはワークショップでは無く、昔やっていた塗装屋会みたいなのもやりたいですね!

ワークショップの行程としては、予めレーザー加工機で切り出したアクリル板に、

それぞれお好みの色で塗装を施して貰い、それらを組み付けてキーホルダー&バッジを作成して頂くといった内容となります。猫ちゃんの形も5種類の中からお好みで選んで頂いています。

それぞれのパーツを段ボールに固定し、足付け処理を行って貰い、プラスチックプライマーを塗ったらそれぞれ色を塗って貰います。

今回はエアーブラシでは無く、普通のスプレーガンをメインに使って貰いました。その方が洗うのが楽だからですね(笑)。

お一人3色、それが4人なので全部で12色を使いますから、とにかくそれの準備が忙しいのです。

まあでも今回は対象がとても小さいので大きな失敗も無く、皆さん良い感じに塗って頂けました!

また今回はトップコートで「艶あり」「つや消し」どちらか好きな方も選んで頂く事にしました。今回は被塗物の形状的に表面張力が働いて凸凹になり易いですから、私的にも艶消しの方が良いと思っています。

その後60℃60分程の熱を掛けて塗膜を完全硬化したら組付け作業です。ちなみに今回は参加者4名中3人が女性で、これまでのワークショップとしては初の半数越えとなりました。初期の頃のおっさん100%の時とは大分変ったなぁ、と(笑)。

出来上がったそれぞれのパーツを段ボールから切り離します。

ちなみに各パーツは塗料でバリが出来にくいよう、少し浮かした状態で固定するようにしています。

これまでのワークショップでは塗って終わり!という流れが殆どでしたが、今回は組付け作業がメインの様な感じになっているのでさらにここからが長くなります。

裏に両面テープを貼り、食み出ないよう少し内側でカットします。予め作っておいてあげれば良かったのですがうっかりしていました…(まあでもこういう面倒くさい作業ほど長く記憶に残ってくれるのではと思ってます)。

目と鼻と口の細かいパーツは元々塗ってある物を使って頂き、その中からお好みの色を選んで組付けていきます。

枠の裏側のパネルもそれぞれの猫ちゃんに合わせた仕様にしました。

次に参加するデザフェスでは、こういったパーツを塗装した物を並べ、そこからお好みの物を選んで頂き、それらをその場で組付ける!という事に挑戦してみようかと思っていたのですが、ただこれらを見ているとちょっと無謀な気がしてきました…。

こんな感じでそれぞれ組み合わせた表側と裏側のパネルを合体させると、

こんな感じのキーホルダー(またはバッジ)が出来あがります。

尚、右側の子の眼はミラーキャンディーのイエローで、

左側の子の眼は蓄光アクリルにクリアーを塗った仕様となっています(蓄光もUVライトを当てると発光します)。

こちらの猫ちゃんの色はブガッティのティファニーブルーと、それに白を足して淡くした2色と、少し青味を加えた白で塗られました。

こちらは愛猫に合わせた茶色です。艶消しクリアー仕様ですね。

こちらはつくねです(笑)

こちらも愛猫に合わせ黒と白のハチワレに塗られていまいた。背板は淡いピンクで塗っています。

基本的にはお一人2個で、一応失敗しても良いように1個は予備用、ただどなたも全部上手くいったので3個ずつ作れる事が出来ました。

ただ予想以上に組付けに時間が掛かり、スタートから終了までは最長記録の7時間半!、ちょっと長くなり過ぎてしまったので次回行うとしたら2個までにしようと思います。

ちなみに売り上げ的にはワークショップをやるより仕事をしていた方が断然良いですし楽なのですが、せっかく交通の便が良く人口も多い都内に工場を借りているという事もあって、そういう事が出来る今の内に色々な事をやっておこう!というような感じです。いずれ工場を返して郊外か今の自宅で塗装の仕事を続けるにしても、今のうちに色々経験しておけば選択肢も増えますし(特に老化すると保守的になってしまいがちですので…)。

何とかあと25年、どういった形にせよ塗装に関わる仕事を続けていければと模索し続けていこうと思います。

ご参加頂いた皆様、お手伝いして頂いた方々有難うございました!

貸し切りワークショップ

以前紹介した貸し切りワークショップはその後も何回か継続していまして、先日ついに修了となりました!

ワークショップで塗っていたのはイラストが描かれた履物の土台部分で、こちらは海外で展示・販売するアート作品との事です。透明レジンの各層にイラストが描かれ、そのままでも十分良い作品だと思うのですが、以前ご参加頂いたサーモス塗装ワークショップで塗った際の塗膜の美しさに感動し、是非自分の作品に自らの手でやってみたい!という事でマンツーマンのワークショップを開催する事にしました。

先ほどの状態からダブルアクションサンダー#120で研磨して段差を平滑にし、その後#180→#240→#320→#400と番手を上げ、最後に#600→#800→#1500の水研ぎでペーパー傷を均します。尚仕事では無いので全部ご自身の手でやって頂いています(その後筋肉痛等でかなり大変だったみたいです)。

ガン距離がかなり離れていますが、やはりというか慣れていないと「塗り重ね」「運行スピード」を一定にするのは難しいようで、なのでその辺を確実に出来るよう必要以上に距離を取ってゆっくり塗って貰えるようにしています。多すぎるオーバースプレーもその為ですね。

塗装後は30℃程で30分程初期乾燥を行い、その後60℃1時間の熱をかけて塗膜を硬化させます。

 塗って直ぐに熱を入れたくはないのですが、その日に持って帰って頂くので多少無理はしている感じですかね。

穴の部分に紐を通して実際に下駄として使えるようになります。

各イラストは層を変えて描かれているので立体的に感じられます。

その他違う形の物も塗っていて、たしか全部で4回になったと思います。

フチの木の部分には違う色で塗るのでそこにはクリアーが付かないようにしています。

動画も撮影してそちらはTwitterでアップしています。

この時の方がガン距離は近く、自然に塗れていた感じです。

その後花緒を着けた画像がありました。

やはりと言うか素材単体で見るよりも、それぞれが組み合わさって出来て良く様が良いですね。

そして最後のワークショップです。

尚、これらの作品を作られている方は上記の「ビールの妖精」さんで、ツイッター(X)よりもインスタで多くの作品を紹介しているので、そちらを見る方がお勧めですかね。

こちらが最後のワークショップで塗る作品です。透明レジンで造られた物で、予め透明なブルーと、その上にクリアーがコートされています。事前のテストでチヂレ等問題が起きない事を確認しておきました。

このように雲の上にキャラクターが乗るような構造になっているとの事で、当店で行うワークショップではこの雲にスタンドックスのクリアーを塗る作業となります。

全体を塗るには固定する部分が必用で、下側に穴を開けてネジを挿せるようにしています。ちょうど知り合いの原型師さん(くまさん)が遊びに来ていたので手伝って貰いました(笑)。

そして後日、最後のワークショップ無事修了です!

貸し切りのワークショップは1時間あたり¥5,000とかなり割高になりますが、今回のように予め着色まで終えておきあとはクリアーを塗るだけ!という事でなんとかなった、という感じですかね。

確かにラッカーや10:1のアクリルクリアーではこういった質感の艶は出せないので、そういった点では今後も需要はあるかもです。8時間で4万円なら仕事としても成り立ちますし。

こちらは最初のテストで塗った時の画像です。いつものように編集加工はせず、サイズの縮小のみ行っています。

表面にあった無数の巣穴を埋める為にかなり強引にクリアーを塗り重ねていて、垂れたクリアーが一番下に溜って固まった状態ですが、こうやって見る分には一番仕上がりが良い物だと思います。

雲の上に人形が乗せられる形状になっていて、

そちらの人形も華やかに彩色されるようです。艶々な塗装とマットな質感の組み合わせが凄く良さそうです。

貸し切りワークショップはこれでひと段落したので、次はいつものように多人数で行う催しをしようと思います。折角都内に工場を構えてやっているので、人が集まり易い今の内にもっとワークショップをやらないとなんですよね!

レンタル塗装スペース(貸し切りワークショップ)

以前行ったワークショップに参加された方から、「自分の作品を塗るのに場所を貸して欲しい」といったご相談を受けまして、テスト的ですが実際に行ってみる事にしました。所謂「貸し切りワークショップ」みたいな感じですね。以前某アイドルの会誌の特集としてスニーカー塗装ワークショップをやってその作業風景を撮影させて欲しいというお問合せがあって、その時は実現しなかったのですが(さすがに平日は無理です)、面白そうなのでいつかやってみたかったんですよね。

尚、一応値段表は用意しています→塗装ワークショップ

塗装する物に関しては、エポキシレジンで既に綺麗に仕上がった状態なので、下地処理としては表面を軽く削る程度、塗装も単にクリアーを塗るだけです。

費用に関しては一時間¥5,000~なので、「自家塗装が出来る場所が欲しかった!」という感じでは無く、金額面だけで言えばその辺の塗装屋さんに頼んだ方が遥かに安く済む筈です。普段行っているワークショップは私の趣味的な感じが強いですが、こちらはちゃんと商売として成り立たせるような感じですね。一日やったら4万円を超えますので、むしろこれだけやっていた方が私は楽です(笑)。

当方が提供するのは塗装する為の環境と材料で、塗料の作成からスプレーガンの洗浄等はこちらで行いますから、基本的には塗装初心者でも大丈夫なようになっています(塗り分けやベースコート塗装は除く)。

ただ塗り過ぎたりして垂らしてもその後のフォローは出来なく、場合によっては作品がただのゴミになる危険性もあり、そういったリスクもご納得頂いてとなっています。

元々のエポキシレジンだけでも十分綺麗だったのですが、前回参加された時のワークショップで塗った塗膜の質感がとても良かったとの事で、今回それを自分の作品に採用したい!との事が理由でした。

尚、最初に使ったスプレーガンは口径0.5mmのエアーブラシタイプ(エクリプス)だったのですが、初心者だとガン距離が遠くになりがちになって中々肌が出来なかった為、

その後ワークショップでも使った口径1.2mmのスプレーガンに変更しました。

結果、一気にテロテロに仕上がりました!

ちょっと塗り過ぎている傾向にありましたが、平面なので垂れる事は無く、艶々に仕上がったので途中で変更して良かったです。

当日遊びに来てくれたくまさんが動画を撮ってくれていたのでそちらも紹介します。

 

この後は40℃で15分程度予熱乾燥させ、その後60℃60分で強制乾燥硬化させます。

そして完成です!

今回は練習も兼ねていて、後日個展に並べる本物(本番)での塗装を行う予定です。

今回のように下地がしっかりした物(完全硬化したエポキシレジン)であればその上への塗装は可能ですので、まずはこういった事を限定に少しずつ受け付けていこうかと思っています。

2023年3月18日サーモス塗装ワークショップ

先日の土曜日、当工場にてサーモス塗装のワークショップを行いました!

今回は新規の参加者さんが4名、お手伝いしてくれる塗装関係の知り合いの方々が3名、それに私を含め、合計8人での開催となりました。

マスキング等の細かい作業は先ほどの画像にあった工場二階の事務スペースで、塗料の扱いや塗装作業についてはこちらの工場一階で行います。

当工場は元々ワークショップを行う為に造られている訳では無いので、前日までは通常業務をこなしつつ、翌日のそれの為に準備を行うのは実は結構大変だったりします。案の定今回もギックリ腰気味になりました・・・(しかしいつもの右下肢では無く左側だったのがちょっと面白いですね)。

しかも今回はそれぞれ2色、さらにロゴ入れも行うという内容で、これは結構大変な事となりました。

「え?スプレーガンでパパッと塗るだけでしょ?」と思うかも知れませんが、これがどんなに大変な事かは、同じような事を日本中探してもまずやっていない事から判るかと思います。まあそもそも他でやっていないからこそ面白い筈なんですけどね。

と言う事ですが、幸いにしてこういったワークショップにはお手伝いをしてくれる塗装経験者の方々がいらっしゃいまして、当ワークショップはまさにこれのお陰で成り立っていると言っても過言ではありません。いつも本当にすいません・・・。そしてありがとう御座います!

ちなみに私が初めてスプレーガンを握って上塗りを行った時(フェンダーやドアパネルの裏吹き)は、傍に居てそれを監視見てくれていた親方(上司)からは罵倒や舌打ちをされて完全に委縮してしまい、全く上手く出来なかった・・・!という覚えがあるので、うちでやるワークショップでは全肯定で応援するようにしています。というか皆さん本当に私が小僧の頃より全然上手いです・・・。

こちらは比較的柔らかい色合いで、さらにグラデーションも行って頂いています。ちなみに今回の参加者は4人中3人が女性の方でした。

私の場合「自分の工場以外はアウェイ」という性格なので、他でやっているこういったワークショップに参加するのがどんなに勇気が必用なのかは判っているつもりですから、ご参加頂いた方にはとにかく楽しんで頂けるようにと考えています。

こちらは塗装後、予めマスキングしていたシートを剥がしているところですね。所謂「抜き」の作業です。

こちらはベースコート塗装後、デカールを貼り付けて頂いているところです。

ちなみにこちらの方は職種は違いますがある意味プロの方で、予めご自身で作成したデザインとデカールを持ち込んでの作業となりました(そうでなければこのサイズをデカールでやろうとは私は恐ろしくて出来ません・・・!)。

こちらは先ほどのマツダロゴの方とご一緒に参加された方で、ご家族であるワンちゃんを模したイラストのデカールを貼り付けて頂きました。

その後しっかり乾燥させ、最後にトップコート=クリアーを塗って頂きました。

こちらの方はエアーブラシ経験者の方で、スプレーガンはその応用ですから塗り方自体は安心して見ていられるのですが、

自家塗装にありがちなガン距離が比較的遠目問題(15cmくらい)があったので、それを10cmくらいまで近づけるようにして塗るとさらに良くなる!というアドバイスをさせて頂きました。1回目のクリアーの肌が比較的凸凹していたのに比べ、2回目のクリアーは平滑な肌になってくれたと思います。

ちなみに塗装初心者の方は、サーモスを横にした状態で固定&回転出来る台にセットして塗って貰うようにしました。

私的には持って塗った方が楽に綺麗に塗れるのですが、初心者で左右の手で別々の動きをするのは相当難しいらしく(言われてなるほど!でした)、なので以前知り合いの塗装屋さん方々に頂いたアドバイスを活かして採用しました。確かにサーモスならこの方式は良いですね!

やはりと言うか多人数での作業なのでゴミの付着は避けられず、また一部タレも出来てしまったりはしましたが、初めてスプレーガンを握った方がここまで仕上げられるのは中々素晴らしい事だと思います。と言うか素人の方が自動車ボディと同様の塗装を行えるなんて事は本当に特殊な事ですからね。

その後は恒温機(乾燥炉)で60℃60分程の熱を掛け、塗膜を硬化させました。

最後にマスキングを剥がしてキャップを取り付けて完成です。

画像だとちょっとわかりにくいのですが、ご自身で制作しているアート作品のキャラクターをロゴにし、同じコンセプトの色でグラデーションを施しました。

 

こちらは下地の白を活かしつつピンクでグラデーション塗装を行い、ご自身の趣味?でもある自転車のロゴをデカールで入れられました。デカール貼ってその上にクリアー塗るなんて事も普通であれば初心者がいきなり出来る事では無いのですが、それを可能にしてしまうのがこのワークショップも面白いところだと思います。

次のワークショップはまだ未定ですが、そろそろまたスニーカーか、または今までとは違うような事が出来ればと思っています。真夏は避けたいので、6月か10月くらいですかね!