昨日に引き続き、日曜日に行ってきた横浜トリエンナーレ2017の紹介となります。
みなとみらい駅とこちらの駅ビル(MARK IS)は地下四階で直通になっていて、電車から降りて一歩外に出たら、そこはもう美術館の真ん前!と言う素晴らしいアクセシビリティです。いつも仕事と通勤で信じれないくらい汗を掻いているので、休日くらいは外気に触れたくは無く、とても助かります(病)。
と言う訳で、こちらは階段を上がっでちょっと広くなったスペースにあるMr.氏の作品です。
ここ、美術館ですよね?と、つい突っ込みたくなりますが、川崎の岡本太郎美術館といいここ横浜美術館といい、この辺の都内には無い緩さが私的には結構好きです。
六本木にある国立新美術館は色々な面で凄いと思いますが、少し敷居が高いというか、そこではこういうのは多分飾ってくれないんじゃぁ・・・と思ってしまいますので。
しかしこの配置とか照明とか、何かやっつけ感がするのは気のせいでしょうか…。
私的に面白いと感じたのがこちらの作品で、多分唯一触って良い作品はこれだけだったのでは無いでしょうか。
しかし触るまでも無く、これってどうみてもフェザーエッジ(笑)。
これは模様を描いている訳では無く、何層にも塗り重ねられた塗膜を削ってその断面で色や模様を表現しています。津軽塗の七々子塗とか、研ぎ出し変わり塗りの技法みたいな感じですね。自動車補修業界ではこれをフェザーエッジと呼び、削っている塗膜の下から違う塗膜が出てくると「ヤリヤリだな」なんて独り言を呟いたりします(本当。笑)。
ちなみにこの作品が面白かった理由についてはそれらの事は全く関係無く(!)、作者の川久保ジョイ氏は元々金融トレーダーだったとの事で、この壁が株価のチャートか何かを表現していたりする事です。
そしてさらに気になったのがこの壁の制作方法で、てっきり工房か何かで作った物を持って来て設置したのかと思い、どこに継ぎ目があるのかを探していたのですが(←勿論不審に思われないよう気を付けて・・・)、どうもそうでは無さそうだという事で学芸員の方に聞いてみたら、やはりと言うか本人がここに来て二か月間(!)くらい削っていたらしいです。まあそうですよね、二か月は掛かりますよね。
そして今回の作品で一番気に入ったのがこちらの作品トンネル?で、ただ私的にはアート的では無く、その精巧さとか緻密さに惹かれました。このトンネル、少し右にカーブしていて、奥に行くにつれて暗くなるのですが、相当奥までありそうで終わりが見えないんです。
この裏側には大きな部屋とその奥にスクリーンがあるので、きっとこのトンネルはそこまで繋がっていて、もしかしたら貫通していたりなんて期待を持って覗いてみると、いや、このトンネル1メートルくらいで終わってるんです(!?)。
いやそんな訳無いだろうと思って表と裏を何度か行ったり来たりして見たのですが、どうやっても継ぎ目が見当たりません・・・。
視覚情報を混乱する系の錯覚系アートは余り好きでは無いのですが(と言うか嫌いです)、こういった虚構なのに現実にしか見えないような精密な造形系の物は結構ヤバいです。
鎖の配置からして鏡があるのはあそこしかない!と言うのが判っていても判らないというのは、多分相当綿密に作らないとこうは出来ないと思うんですよね。
この光景が、極少ないスペースで得られるのであれば、これならうちにも欲しい!!と言うのが正直な感想と言うか欲望です。工場の壁にこれを置けばとてつも無く広く感じられるだろうなぁ、と思いまして(そこか!と。笑)。
ヨコハマトリエンナーレの会期は11月5日までとまだタップリあって、会場は今回の横浜美術館だけでは無く横浜赤レンガ倉庫1号館や横浜市開港記念会館 地下などもあるので、是非そちらにも行ってみたいと思います。