貸し切りワークショップ

以前紹介した貸し切りワークショップはその後も何回か継続していまして、先日ついに修了となりました!

ワークショップで塗っていたのはイラストが描かれた履物の土台部分で、こちらは海外で展示・販売するアート作品との事です。透明レジンの各層にイラストが描かれ、そのままでも十分良い作品だと思うのですが、以前ご参加頂いたサーモス塗装ワークショップで塗った際の塗膜の美しさに感動し、是非自分の作品に自らの手でやってみたい!という事でマンツーマンのワークショップを開催する事にしました。

先ほどの状態からダブルアクションサンダー#120で研磨して段差を平滑にし、その後#180→#240→#320→#400と番手を上げ、最後に#600→#800→#1500の水研ぎでペーパー傷を均します。尚仕事では無いので全部ご自身の手でやって頂いています(その後筋肉痛等でかなり大変だったみたいです)。

ガン距離がかなり離れていますが、やはりというか慣れていないと「塗り重ね」「運行スピード」を一定にするのは難しいようで、なのでその辺を確実に出来るよう必要以上に距離を取ってゆっくり塗って貰えるようにしています。多すぎるオーバースプレーもその為ですね。

塗装後は30℃程で30分程初期乾燥を行い、その後60℃1時間の熱をかけて塗膜を硬化させます。

 塗って直ぐに熱を入れたくはないのですが、その日に持って帰って頂くので多少無理はしている感じですかね。

穴の部分に紐を通して実際に下駄として使えるようになります。

各イラストは層を変えて描かれているので立体的に感じられます。

その他違う形の物も塗っていて、たしか全部で4回になったと思います。

フチの木の部分には違う色で塗るのでそこにはクリアーが付かないようにしています。

動画も撮影してそちらはTwitterでアップしています。

この時の方がガン距離は近く、自然に塗れていた感じです。

その後花緒を着けた画像がありました。

やはりと言うか素材単体で見るよりも、それぞれが組み合わさって出来て良く様が良いですね。

そして最後のワークショップです。

尚、これらの作品を作られている方は上記の「ビールの妖精」さんで、ツイッター(X)よりもインスタで多くの作品を紹介しているので、そちらを見る方がお勧めですかね。

こちらが最後のワークショップで塗る作品です。透明レジンで造られた物で、予め透明なブルーと、その上にクリアーがコートされています。事前のテストでチヂレ等問題が起きない事を確認しておきました。

このように雲の上にキャラクターが乗るような構造になっているとの事で、当店で行うワークショップではこの雲にスタンドックスのクリアーを塗る作業となります。

全体を塗るには固定する部分が必用で、下側に穴を開けてネジを挿せるようにしています。ちょうど知り合いの原型師さん(くまさん)が遊びに来ていたので手伝って貰いました(笑)。

そして後日、最後のワークショップ無事修了です!

貸し切りのワークショップは1時間あたり¥5,000とかなり割高になりますが、今回のように予め着色まで終えておきあとはクリアーを塗るだけ!という事でなんとかなった、という感じですかね。

確かにラッカーや10:1のアクリルクリアーではこういった質感の艶は出せないので、そういった点では今後も需要はあるかもです。8時間で4万円なら仕事としても成り立ちますし。

こちらは最初のテストで塗った時の画像です。いつものように編集加工はせず、サイズの縮小のみ行っています。

表面にあった無数の巣穴を埋める為にかなり強引にクリアーを塗り重ねていて、垂れたクリアーが一番下に溜って固まった状態ですが、こうやって見る分には一番仕上がりが良い物だと思います。

雲の上に人形が乗せられる形状になっていて、

そちらの人形も華やかに彩色されるようです。艶々な塗装とマットな質感の組み合わせが凄く良さそうです。

貸し切りワークショップはこれでひと段落したので、次はいつものように多人数で行う催しをしようと思います。折角都内に工場を構えてやっているので、人が集まり易い今の内にもっとワークショップをやらないとなんですよね!

レンタル塗装スペース(貸し切りワークショップ)

以前行ったワークショップに参加された方から、「自分の作品を塗るのに場所を貸して欲しい」といったご相談を受けまして、テスト的ですが実際に行ってみる事にしました。所謂「貸し切りワークショップ」みたいな感じですね。以前某アイドルの会誌の特集としてスニーカー塗装ワークショップをやってその作業風景を撮影させて欲しいというお問合せがあって、その時は実現しなかったのですが(さすがに平日は無理です)、面白そうなのでいつかやってみたかったんですよね。

尚、一応値段表は用意しています→塗装ワークショップ

塗装する物に関しては、エポキシレジンで既に綺麗に仕上がった状態なので、下地処理としては表面を軽く削る程度、塗装も単にクリアーを塗るだけです。

費用に関しては一時間¥5,000~なので、「自家塗装が出来る場所が欲しかった!」という感じでは無く、金額面だけで言えばその辺の塗装屋さんに頼んだ方が遥かに安く済む筈です。普段行っているワークショップは私の趣味的な感じが強いですが、こちらはちゃんと商売として成り立たせるような感じですね。一日やったら4万円を超えますので、むしろこれだけやっていた方が私は楽です(笑)。

当方が提供するのは塗装する為の環境と材料で、塗料の作成からスプレーガンの洗浄等はこちらで行いますから、基本的には塗装初心者でも大丈夫なようになっています(塗り分けやベースコート塗装は除く)。

ただ塗り過ぎたりして垂らしてもその後のフォローは出来なく、場合によっては作品がただのゴミになる危険性もあり、そういったリスクもご納得頂いてとなっています。

元々のエポキシレジンだけでも十分綺麗だったのですが、前回参加された時のワークショップで塗った塗膜の質感がとても良かったとの事で、今回それを自分の作品に採用したい!との事が理由でした。

尚、最初に使ったスプレーガンは口径0.5mmのエアーブラシタイプ(エクリプス)だったのですが、初心者だとガン距離が遠くになりがちになって中々肌が出来なかった為、

その後ワークショップでも使った口径1.2mmのスプレーガンに変更しました。

結果、一気にテロテロに仕上がりました!

ちょっと塗り過ぎている傾向にありましたが、平面なので垂れる事は無く、艶々に仕上がったので途中で変更して良かったです。

当日遊びに来てくれたくまさんが動画を撮ってくれていたのでそちらも紹介します。

 

この後は40℃で15分程度予熱乾燥させ、その後60℃60分で強制乾燥硬化させます。

そして完成です!

今回は練習も兼ねていて、後日個展に並べる本物(本番)での塗装を行う予定です。

今回のように下地がしっかりした物(完全硬化したエポキシレジン)であればその上への塗装は可能ですので、まずはこういった事を限定に少しずつ受け付けていこうかと思っています。

2023年3月18日サーモス塗装ワークショップ

先日の土曜日、当工場にてサーモス塗装のワークショップを行いました!

今回は新規の参加者さんが4名、お手伝いしてくれる塗装関係の知り合いの方々が3名、それに私を含め、合計8人での開催となりました。

マスキング等の細かい作業は先ほどの画像にあった工場二階の事務スペースで、塗料の扱いや塗装作業についてはこちらの工場一階で行います。

当工場は元々ワークショップを行う為に造られている訳では無いので、前日までは通常業務をこなしつつ、翌日のそれの為に準備を行うのは実は結構大変だったりします。案の定今回もギックリ腰気味になりました・・・(しかしいつもの右下肢では無く左側だったのがちょっと面白いですね)。

しかも今回はそれぞれ2色、さらにロゴ入れも行うという内容で、これは結構大変な事となりました。

「え?スプレーガンでパパッと塗るだけでしょ?」と思うかも知れませんが、これがどんなに大変な事かは、同じような事を日本中探してもまずやっていない事から判るかと思います。まあそもそも他でやっていないからこそ面白い筈なんですけどね。

と言う事ですが、幸いにしてこういったワークショップにはお手伝いをしてくれる塗装経験者の方々がいらっしゃいまして、当ワークショップはまさにこれのお陰で成り立っていると言っても過言ではありません。いつも本当にすいません・・・。そしてありがとう御座います!

ちなみに私が初めてスプレーガンを握って上塗りを行った時(フェンダーやドアパネルの裏吹き)は、傍に居てそれを監視見てくれていた親方(上司)からは罵倒や舌打ちをされて完全に委縮してしまい、全く上手く出来なかった・・・!という覚えがあるので、うちでやるワークショップでは全肯定で応援するようにしています。というか皆さん本当に私が小僧の頃より全然上手いです・・・。

こちらは比較的柔らかい色合いで、さらにグラデーションも行って頂いています。ちなみに今回の参加者は4人中3人が女性の方でした。

私の場合「自分の工場以外はアウェイ」という性格なので、他でやっているこういったワークショップに参加するのがどんなに勇気が必用なのかは判っているつもりですから、ご参加頂いた方にはとにかく楽しんで頂けるようにと考えています。

こちらは塗装後、予めマスキングしていたシートを剥がしているところですね。所謂「抜き」の作業です。

こちらはベースコート塗装後、デカールを貼り付けて頂いているところです。

ちなみにこちらの方は職種は違いますがある意味プロの方で、予めご自身で作成したデザインとデカールを持ち込んでの作業となりました(そうでなければこのサイズをデカールでやろうとは私は恐ろしくて出来ません・・・!)。

こちらは先ほどのマツダロゴの方とご一緒に参加された方で、ご家族であるワンちゃんを模したイラストのデカールを貼り付けて頂きました。

その後しっかり乾燥させ、最後にトップコート=クリアーを塗って頂きました。

こちらの方はエアーブラシ経験者の方で、スプレーガンはその応用ですから塗り方自体は安心して見ていられるのですが、

自家塗装にありがちなガン距離が比較的遠目問題(15cmくらい)があったので、それを10cmくらいまで近づけるようにして塗るとさらに良くなる!というアドバイスをさせて頂きました。1回目のクリアーの肌が比較的凸凹していたのに比べ、2回目のクリアーは平滑な肌になってくれたと思います。

ちなみに塗装初心者の方は、サーモスを横にした状態で固定&回転出来る台にセットして塗って貰うようにしました。

私的には持って塗った方が楽に綺麗に塗れるのですが、初心者で左右の手で別々の動きをするのは相当難しいらしく(言われてなるほど!でした)、なので以前知り合いの塗装屋さん方々に頂いたアドバイスを活かして採用しました。確かにサーモスならこの方式は良いですね!

やはりと言うか多人数での作業なのでゴミの付着は避けられず、また一部タレも出来てしまったりはしましたが、初めてスプレーガンを握った方がここまで仕上げられるのは中々素晴らしい事だと思います。と言うか素人の方が自動車ボディと同様の塗装を行えるなんて事は本当に特殊な事ですからね。

その後は恒温機(乾燥炉)で60℃60分程の熱を掛け、塗膜を硬化させました。

最後にマスキングを剥がしてキャップを取り付けて完成です。

画像だとちょっとわかりにくいのですが、ご自身で制作しているアート作品のキャラクターをロゴにし、同じコンセプトの色でグラデーションを施しました。

 

こちらは下地の白を活かしつつピンクでグラデーション塗装を行い、ご自身の趣味?でもある自転車のロゴをデカールで入れられました。デカール貼ってその上にクリアー塗るなんて事も普通であれば初心者がいきなり出来る事では無いのですが、それを可能にしてしまうのがこのワークショップも面白いところだと思います。

次のワークショップはまだ未定ですが、そろそろまたスニーカーか、または今までとは違うような事が出来ればと思っています。真夏は避けたいので、6月か10月くらいですかね!

2022年10月8日サーモス塗装ワークショップ

先日の土曜日、当工場にてサーモス塗装のワークショップを行いました!

今回の参加者は2名で、うち一人はなんと外国人の方でした。仕事であれば日本人以外からも塗装の依頼を受けた事はありますが、ワークショップでは今回が初めてです。しかもわざわざ八王子からバイクでやって来てくれました!(てっきりホンダかと思いきやBMWでした・・・!)。

今回はサーモス本体の塗装と言うよりも「エアーブラシを使ってのワンポイント塗装」というのがメインで、参加者の方からは予めベクターデータを送って頂くようにしています(勿論JPEG画像でも比較的簡単な方法=ライブトレースでベクター化出来れば問題ありません)。

まずはメールでデータを送って頂き、難しそうな部分(画像だと小さい円形部分)を省いたりしてデータを修正し、マスキングシートをカットしておきます。

こちらの方が持ってこられたのはかなりサイズの小さいサーモスです。以前私も塗ったポケとると同じくらいのサイズですね。

マスキングシートはカットだけしか行っていないので、その後のカス取りは参加者様ご自身にやって頂くスタイルです。ただここまで小さいのは通常行わない程で(プロッターの限界を超えて上手く切れません)、一応デカールでも作成しておきましたが、折角の機会と言う事でチャンレジして頂いています。

まず最初のベースカラー=サーモス全体への下色塗装は私が行おうかと思っていましたが(ここで垂れてしまったりするとフォローするのはかなり難しいので)、今回は参加者が2名と少なかったので、御希望される方にはご自身で塗って貰う事にしました。エアーブラシでは無く、普通のスプレーガン(IWATAの1.0mm)を使って貰っています。

奥が私ですね。手伝ってくれた知り合いの塗装屋さん(まいるどさん)が撮影してくれてました!

ベースカラーの塗装が終わったら再び2階に戻ってマスキング作業を行います。

細かい文字は仕上がりを優先するとデカールで行いますが、ワークショップは極力自分の手を動かすという事で、特別にマスキングで対応しました。他の塗装屋さんも「そのサイズ切ったんですか?!」と驚いてました(笑)

そして再び一階に戻り、ロゴの色を作成します。

色を混ぜて作るような事は小学生の図工の時間にやっている筈ですが、工業品塗装の色を作るなんて機会は普通無い筈なので、こんな事一つとっても楽しいと思います。

それぞれ印刷した紙や画像を参考に色を作って貰いました。

そしてロゴ入れです。

ロゴはエアーブラシ0.5mmを使って貰いました。

一色目を塗ったらマスキングして2色目~3色目と塗って貰います。

一見簡単そうなストライプラインですが、仕上がり重視で行うとなると実はかなり難しい塗装となります。人間の目って意外と正確なので、ちょっとでも曲がっていたり幅が違うと違和感が凄いんですよね。

そしてクリアーを塗って本塗り完了です。お疲れ様でした!

結局下色の塗装からロゴ入れ、トップコート(クリアー)までを全て参加者ご自身にやって頂きました。多少不具合が出た箇所もありますが、十分過ぎる程良い感じに仕上がったのではないかと思います。初めてスプレーガン持ってここまで仕上げられるっていうのは普通出来ないですよね!

その後は60℃60分程の熱を掛けて塗膜を硬化させ、

マスキングを剥がしたら完成です。皆さん喜んで頂けていたようで本当に何よりでした!

そういえば、遊びに来てくれた知り合いの塗装屋さんが初期の頃に行ったワークショップで塗ったサーモスを持って来てくれました。不具合等も見られず、これなら新品のブレンボキャリパーに塗られている塗膜より丈夫なのでは、と思った次第です。

その後GUNさんや以前ワークショップに参加された方も遊びに来られて、いつもの塗装屋会みたいな感じになりました。

ご参加された方にはとても楽しかったようで、また私も普段人に何かを教えるという事は全くしないですから、こういった機会があるのはとても嬉しく思います。

次回は来年ですかね!