色板&色見本作成

仕事でご依頼いただいているイヤホンプレートの為に、先日作成していた色板=テストピースです。その後他のご依頼品の塗装序にクリアーを塗らせていただきました。

あとはこれをオーナー様に送り、色の確認(選択)をしていただきます。これだけの作成となるとかなりの高額になってしまいますが(3コートのキャンディーカラーを4種類作成していますので結構な手間です)、塗装のご依頼の「付帯作業」という事であれば比較的安価での作成が可能です。

ただしそれでも数万円にはなりますが・・・。

 こちらは当店用の色見本で、画面に映っている手前の二個は、いつも行っている通常のキャンディー塗装です。下色に適当なシルバーを使って隠蔽し、その上に粗めのメタリック(MIX598)を重ね、さらにその上にキャンディーカラー(透過色)を塗布し、そして最後にクリアーを塗っています。3コート塗装ですが実際は4コートですね。DUPONTくらい隠蔽が強ければ3コートで済む筈なのですが・・・。

 そしてこちらが今回新たにご希望頂いた、「下色を黒」にした仕様です。カスタム塗装でラメを使う場合にはむしろこれがセロリーな塗り方ですが、自動車補修塗装(元の姿に戻す塗装)の塗装屋さんだと、あのメタリック粒子が不均一にバラバラになっているのが許せない筈で、そう言った事もあって私も下色にシルバーを塗っている訳です。

塗り方は、「黒→STX極粗目シルバー(MIX598)→キャンディーカラー→クリアー」といった塗膜構成となります。

キャンディーカラーはどちらもハウスオブカラー社の物で、バインダー=樹脂(STX MIX599)に20%添加しています。ただし濃すぎるとムラになり易いので、通常はもっと抑えています(8%~10%くらい)。

左が「グリーンKK-09:ブルーKK-04=1:4」で、右が「ブルーKK-04 100%」の仕様となります。

これの間の「1:2」を作ってもよかったのですが、さらにコストが上がってしまうので、もし必要であれば「これの中間で」と言う事で追加作業(追加費用)無しで対応出来るよう、敢えて青100%にして離しました。

その後熱も入れました。

ミニカー型と小さいアクリル板(50mm×50mm)は当店用の色見本なので、いつものように内容が判るようプレートを作成しておきます。

プレート化している色見本は、有孔ボードに引っ掛ける場合とスチール製のドアに磁石で張り付ける用、どちらにも対応できるようにしています。

この辺の作業については一円の売り上げにもなりませんが(むしろ赤字を拡大しています・・・)、ある意味趣味みたいに楽しい事であるのと、またこういった事が新たなご依頼などに繋がっているのだと思っています。生物学者が虫の標本を作るような事と同じ感じでしょうか。

 キャンディーカラーは正面に対して透かしが黒く(濃く)見えるので、平面と立体それぞれの見本を作っておくと便利です。

 こちらは少し前にも紹介した、CMYKでご指定頂いてマイクを塗装した時の色です。つや消しにすると発色(彩度+明度)が落ちるため、若干の蛍光含量を入れてそれを補っています。

通常こんな細かい結晶塗装は行いませんが(これでは素地の粗が全く隠せないので結晶塗装の意味がありません)、ひどい状態に塗られてしまったTOYOTA 2000GTのステアリングボスを純正の姿に戻すため、別の見本の結晶目に合わせて塗装した時に一緒に作っておきました。

アクワイヤーのような測色器が、キャンディーカラーや2Kエナメル(1コートか2コートかの違い)、つや消し具合まで正確に出せるようになったら、今までやってきたこういうものは全て無駄になってしまいますが、まあそれはそれで良いかなとも思っています。そうなったら私も買うので(笑)。