遠心注型~スピードコントローラー完成

 先日作った100V用のスピードコントローラーですが、amazonで買った部品が不良品だったようで、その後新たに取り寄せて交換しました。ちなみにこういった安い製品はある程度の動作不良は了承済みで、全く問題ありません。

 試しに組み付ける前に扇風機で試してみると、おおお・・・。ボリュームツマミで風に強さが無段階に調整出来ます。¥200でこれなら凄いお買い得ですよ。本来は200V用のようなので他にも色々重宝しそうです。

 早速遠心注型機のポリッシャーに繋いで回転数を絞ってみると、ってあれれ。何だか接触不良っぽい感じです。ただこれはスピードコントローラー側では無く、ポリッシャー側のカーボンブラシのせいかもですね。そちらは今度見ておきます。

 そういえば前回使った時にポリッシャーのスポンジパッドとの連結部がもげ取れてしまい、代わりに使い終わって捨てようと思ったバフレックス(!)を貼ってみました。

見た目はふざけていますが、これがなんと凄く良い具合です。

 そして流し込む樹脂を用意しました。ウェーブのウレタンレジンキャスト、180秒硬化の方です。ちなみに紙コップを切らしてしまったのでヨトリヤマを使いました。リッチに(笑)。

 早速注型してみると、おおお・・・。今までよりもスピードが抑えられて、何だか良い感じです。

 回転スピードを抑えられたお陰で、シリコーン型を挟んだ板の締め付けトルクも弱くて済み、型も潰れずに済んでいるようです(多分)。

 しかしウレタンが硬化する時にはかなりの熱が出るので、1ミリ厚のPP板ではどうやら変形してしまうようです。本当ならガラス板みたいに硬い物にワックスを塗って使いたいのですが、塗装工場なのでとにかくワックスレスでいきたいんですよね。

 型から抜いたばかりはまだ暖かいです。バリも擦れば簡単に取れてくれます。

注ぐ樹脂の量を間違えて転送に失敗した物も一部ありましたが、以前に比べるとかなり安定して作れるようになりました。

今後の使い方としては、STANDOXの原色を使ってPANTONEみたいな色見本を作りたいので、そうなるとまだまだ数が必要です。もっともっと働かないとですね。

第3回~ 遠心注型

enshin70ちょっと時間が開いていましたが、その後も何回か試行をしていましたので、内容を一部修正しながら紹介したいと思います。

ちなみに前回はFRPの補修に使うポリエステル樹脂(リゴラック)を使っていましたが、今回はいよいよ専用のウレタン注型樹脂を使います。

enshin71 また前回は120秒硬化だった物を、今回は少し可使時間の長い180秒硬化にしました。色はグレーからアイボリーとなります。遠心注型にするなら硬化が早い方が良かったのですが、まあこの辺はイレギュラーと言う事で(苦笑)。

enshin72 そしていつものようにビューンと。

enshin73入れる量がちょっとまだ掴めていなくて、多分入れ過ぎで周りに零れていってしまっている分もあると思います。これはいずれ中央の穴をテーパーにすれば防げるかなぁ、と思ってます。

enshin74型から外してみると、うーん、ちょっと歪んでいるっぽいですね。

enshin75どうやら下に敷いたPPフィルムが薄過ぎて波打った癖がついてしまうようです。

実はネジを閉めすぎでシリコーン型を歪ませてしまっていた事が現認と思われます。

enshin76と言う事ですが、まあ色見本として使うなら全然OKです。巣穴は一つもありません。

今まで普通に型に樹脂を注いでいた時は、底面となる天井最上部に目に見えない程の巣穴が出来ていたのですが(塗ってみて初めて気が付くという程の超極小です)、遠心注型ではそれらも見られません。

さらにその後100円ショップで厚めのPP板を買っていました。これが結構大きなサイズなので徒歩でも自転車でも持って来れなく、ようやく先日の雨の日にカブ通勤となったので持って来れました。

型を作った時のデータを使い、レーザーカットします。

これならコシがあってシワが寄らないのでは、と思った次第です。

確かにシワは寄らず再利用も可能となったのですが、実は根本的な所で色々間違えていました。それはまた後程。

そしてこちらが新たに導入したスピードコントローラーです。DC用なら普通に売っていたので100Vに使える物もあるんじゃないかと探していたらamazonで¥300くらいで普通に売っていました。ただ中国から直送だった為、これも届くまでに結構時間が掛かったのです。

取り敢えずその辺にあった物を使い、

それらしいケースに仕立ててみました。しかし何故だか判りませんが、どうみても怪しい装置に…(苦)。

そしてこちらが第四回目の遠心注型となります。途中スピードコントローラーの一部が発火するという事態が起きましたが(!)、念の為二個買っておいたので問題ありません。

って、あれれ?、スピードが落ちない…。

どうやら二個目のスピードコントローラーが不良品だったようで、結局全く回転数が変わらないままのスタートです。

まあ値段的に仕方ないのでここはまた後日挑戦してみようと思います。追加で頼んでいた物が本日3個届きました(笑)。それはまたリベンジと言う事で。

と言う訳で第四回目の遠心注型が完了なのですが、うーん、なぜか湯口が開いてます・・・。

今回はちょっと締め付けトルクを小さくしたので合わせ目から若干樹脂が漏れていたようです。PPの表面がツルツルし過ぎたので嚙み合わせも悪かったんですかね。

実は間に挟んだスポンジパッド(白いの)の位置を間違えていました!本来であれば底面PP板(ピンクの)とMDF板との間に入れなければならないのですが、どうやら違う方に挟んでいたようです。

と言う訳ですが、取りあえず蓋を外します。

見事に足りてないです(笑)。

GANTZの転送途中じゃないですが、これはこれで面白いかもです(笑)。

この後同じような事が3回続き、一体何が起きているのかと自分を疑いました…。

と言う訳で、底面については前回よりマシになりましたが、やはりと言うかちょっと歪みが残っています。もっとこう、当て板を使って研いだみたいにビシッと決まって欲しいのですが、型を挟む圧力とか樹脂の痩せとかでどうしても歪んでしまうのかも知れませんね。

樹脂の痩せは関係無く、隙間から漏れないようにとネジを閉めすぎたのが歪の原因でしょう。

ここでちょっと、最初の頃の画像を・・・

私も今初めて確認したのですが、やはりと言うかスポンジパッド(ウレタンフォーム)の位置を間違えていました。この画像のが正しい位置で、それからはずっと逆側に入れていたのです。

しかし改めてこのスポンジパッドの効果が判り、色々あったモヤモヤが晴れました。うーん、素晴らしいです!

と言う訳でこちらが最終形、恐らく第7回目くらいだと思います。今回は底面にスポンジパッドを入れたので、強く締めなくても殆ど漏れなく形も綺麗に仕上がりました。

塗装の仕事もそうなのですが、一度失敗しても短期間で集中して同じことを繰り返していると問題が解決できる事が多いです。大抵は材料などのせいでは無く自分のミス、もしくは思い込み&勘違いと言うケースが殆どで、「これはもう二度とやらない!」では勿体ないんですよね。特に悩んだ事で解決できた時はその後同じようなミスをする確率は減る為、同じ轍も踏まないようになりますし。

と言う訳で大分溜まって来ましたが、私が使いたい事にはまだまだ数が足りないので、今後も時間さえあれば(そもそもそれが無いのですが)どんどん増産していきたいと思います。

あとそう言えば最近新たな洗浄液を導入してみました。

いつもヘッドカバー等のオイルを洗浄する時はそれ専用の層に入れているのですが、そこにアイボリーの注型樹脂を入れるとオイルの色がこっちに移ってしまい、何だかとても気分が悪いので(塗装が滲みそうで…)、今回は新たに同じアルカリ系でも粉末では無くリキッドタイプの物を購入してみました。

原液はかなり強いので水で10倍くらいに薄め、3時間くらい置けばタップリ塗られたグリースなどもきっちり落としてくれます。濃度が高いと肌が凄く荒れるのでそれには注意が必要ですが、容器に入れておけば捨てずにずっと使えるので、スプレーするタイプに比べると環境負荷は少ないと思います。

後は棚の奥で眠っている超音波洗浄機を出したい所ですが、如何せんもう置く場所が無く…。次は工場の整理が必要ですかね。

第2回 遠心注型

enshin50 前回の初遠心注型ではシリコーン型とプレートの隙間から樹脂が漏れてしまったので、今回はそれの対策としてMDF板を1枚から2枚に増やして歪みを防止する事にしました。

enshin51 またネットで他の方のを見てみると低反発フォーム?か何かのクッション材を間に入れていたようで、私もそれに倣って手元にあったウレタンフォームを挟んで見る事にしました。スーパーセブンのプリプレグカーボンの固定に使った物で、これでシリコーン型に均一に力が掛かるようになるのかも知れません。

enshin52 さらに前回はMDF板に樹脂がくっ付いて大変だったので、板と型との間にPPシートを挟んで剥がし易いようにしました。データが一つあれば何でも切れるので、この辺がレーザーカットの良いところですかね。

enshin53と言う訳でこちらが今回の仕様となります。何だかクラッチみたいですが…。

enshin54 間に注型用のシリコーンを挟み、ネジで固定します。前回は樹脂がかなり漏れたので今回は結構強めに締めてみました。

enshin55 また前回は樹脂を注ぐ時に穴を外して周りに零してしまった為、今回は漏斗的な感じでガムテープをファンネル形状にしています。

しかしこれが後に大変な事に…(いや、ギリギリ助かったのですが)。

enshin56 また今回はテストも兼ねていつもの注型用ウレタン樹脂では無く、FRPの補修に使うポリエステル樹脂(リゴラック)を使う事にしました。いつもの悪い虫みたいな感じですが、単に真っすぐ行くのもつまらないですし、またこの樹脂はインパラフィンなので離型のし易さにも期待しています。

enshin57 しかしいつも思うのですが、買った時よりも色が濃くなっているような気が…。

enshin58 ちなみにこちらは同じポリエステル系樹脂でも透明な方で、しかし何故か固まっています…(苦)。

enshin59 当然ですが硬化剤は入れていなく、良く見ると(よく見なくても)白い粒粒が発生していて、どうやら保管している間に結晶化してしまった模様です。恐らく容器内に残った空気中の水分が反応してしまったと思われ、この辺は不飽和ポリエステル樹脂の宿命ですかね。長期保管の効かないポリパテと一緒です。

enshin60 と言う事で注型スタートです。今回は促進効果を期待してヒーターを追加してみました(いや、単にドライヤーを当てているだけなのですが…)。

enshin61 と言う訳で硬化までおよそ5分、第2回目の遠心注型が完了です。

enshin62タライのお陰で何とかギリギリ防げましたが、ガムテープで作ったファンネルのせいで危うく工場内をリゴラックだらけにするところでした…(恐)。

enshin64そして型を挟み込んだ円盤を見てみると、間から樹脂が漏れた形跡は全くありません。

前回は隙間が空いていたからだと思いますが、今回の結果からはどうやら樹脂を注ぎ過ぎた場合は上から周りに飛び散るようです。重力があるのでそんな訳は無いと思っていましたが、イメージとしては上昇気流を発生する竜巻のような感じでしょうか。

enshin65そして板を外してみると、

enshin66リゴラックとしては信じられない程の仕上がりに…!。

ちなみに今回は真空脱泡による予備脱泡もしていません。

enshin67まだデータは取り切れていませんが、今回隙間から漏れなかったのはこのウレタンシートのクッション効果が良かったのかもです。型に均一に圧が掛かる事で隙間が出来難かったのかも知れませんね。

enshin68シリコーン型を作る時に注ぎ口は円柱形をしたマスキングテープを使いましたが、そこを円錐状の物にすれば型離れもし易く、また樹脂の飛散も防げたかも知れません。次回は是非。

enshin69まあ取りあえず注型自体は成功したので、次はいよいよ注型用ウレタン樹脂を使って本番に挑もうと思います。

(と言うかこの記事を書いている間にそちらも既に終わってしまいました。笑)。

遠心脱泡初実践

enshin59先日注いでおいたシリコーンが固まったのでようなので早速開けてみる事にしました。この瞬間、結構ドキドキしますよね。

enshin42うっかり土台のサイズの事を忘れていて、型がデジケーターに入らない!と言うミスを生じましたが、その後機転を利かしてデジケーターをひっくり返して被せる!と言う作業のお陰で(多分)巣穴は一切無くギッシリ詰まった感じで出来ました。ひとまずは一安心です。

enshin44 原型とスチレンボードの破片を抜き、湯道をカッターで切って通しておきます。

enshin45 先日作成しておいたMDFのプレートにクリアーファイルをカットした物を敷き、台の中心にシリコーン型を乗せます。

enshin46 蓋を被せネジを締めます。

ちなみにこのネジをどれくらいの締め付けトルクにするのかが判らず、取り敢えずシリコーン型が崩れない程度に軽く締め付けましたが、今後はこの辺も精査が必要なようです。実はこの後大変な事になりました。

enshin47 台をポリッシャー改に乗せ、実際に回しながら中心になるよう位置を決めていきます。

enshin48 注型する樹脂は今まで通り120秒硬化のウレタンレジンを使います。

enshin50シリコーン型を回し、真ん中の穴から樹脂を注ぐと、樹脂を注いだ傍からみるみる周りに飛び出してくるという…。

取り敢えずあるだけ注いでいきますが、どうも隙間から漏れているっぽいです。

しかも120秒待っても樹脂が一向に固まる気配が無く、いつもは早く固まって困るくらいなのに、いったいどうして…。

enshin49ちなみに一応普通の型に同じ樹脂を注いでみると、こちらはいつも通り二分程で硬化が始まりました。意味が判りません。

回転したからといって気温が下がる訳では無いので結構不思議です。まさかそこだけ時空が歪んだとか…(または反応熱が逃げてしまうんですかね)。

enshin51 と言う事ですが、5分くらい周し続けたら何とか固まりました。そしてプレートを外してみると下にはジャジャ溢れの樹脂の残骸が(苦)。

結局のところ、注いだ樹脂はかなりの量が零れてしまいました。こんなに零れてしまうなら次はドレンを設けて、零れた樹脂をもう一度上から注げるようにした方が良さそうですね(かなり間違い)。

enshin52注ぐ時にも大分周りにこぼしてしまい、今更ながらかなりいい加減にやってしまった感が強いです。

そして、どうせ中はスカスカなんだろうなぁ、と。

enshin54 が!中には普通に樹脂が詰まってました(笑)。意味が分かりません。

enshin55 湯口に樹脂が固まってしまい取り外し難い事もありましたが、予想に反して注型自体は普通に出来ていました。と言うか大分良い感じです。遠心注型はスゲェ…と何度か呟いていたと思います。

enshin56 適当にバリから外しただけの状態ですが、湯口以外には巣穴などは全く無く、どこを見ても今までで一番良い仕上がりです。

enshin57下に敷いたPP製のクリアーシートは使い古しだった為にシワや折り目などがそのまま残ってしまいましたが、裏側の面も概ねフラットに綺麗に出来ました。パーティングラインはフチのプレスライン部分なのでこの後の仕上げもこれなら簡単に出来そうです。これはちょっとヤバいかも知れません。

ただ周りに飛び散る量がひどいので(苦)、これはもう少し改良しなければなりません。恐らくはトルク管理とかの問題では無く、もしかしたら板が薄くて圧が均一に掛かっていないか、または回転数が早過ぎて型が歪んで隙間が出来てしまっているのかもです。

今回は事前情報はほぼ無しで挑んでいますので、もう少しネットで先人の方々の作業例を参考にして色々改めてみようと思います。

いやー、それにしても遠心注型、予想以上に凄い威力です。これならもっと細かくて繊細な形状も隅々まで樹脂を行き渡らせらせそうですね。ミニカーではちょっと勿体ない気がしてしまいました。