ロードスターヘッドカバー用MAZDA凸文字 完成

road57 前回作成した凸文字では「a」の部分に巣が出来てしまったので、今回はそれのリベンジとなります。

road58 今回の肝はここの湯道で、前回空気溜まりが出来てしまった箇所にこれを設けて、金属の流れをスムーズにさせようという作戦です。

road59 カットした板を組み合わせるとこんな感じで、「a」の中心に立っている柱の下側にある湯道を溶けた金属が通るようになっています。本当は柱の所に穴を開けた方が良いのかも知れませんが、そうなると残ったランナーみたいなのを後で削らなければならないのが嫌だったんですよね。この方式ならフライス加工で一緒に削れるので手間が掛からないと思ったのです。

road60 今回も2セット作りました。どちらにも湯道を作ってあります。

road61 前回作った失敗作も再利用します。そろそろ材料が無くなりそうなので先ほど2キロ追加しておきました。それにしても1キロあった材料はどこに行ったんだか…。

road62 溶かした金属を流し込み、蓋を被せて余分を減らします。

金属が冷え、板を剥がしてみると・・・

road63 ジャジャーンと!!ちゃんと湯道に流れてくれました~(嬉)。

road64 早速クロスバイスに噛まして簡易フライスで表面を削ります。

road65 実際は先ほどの裏側なのですが、まあイメージ的にこんな感じです。最初にあった1キロの内の消えた部分はこれになった訳ですね(苦)。

road66 バリを削るとこんな感じです。うーん、良いじゃないですか・・・(惚)。

road67型から抜いてヘッドカバーに乗せてみました。あとはエポキシ接着剤で固定するだけなのですが・・・

road68貼る部分は湾曲しているので、今度はこの面に合うように削ります。

その後はリン酸処理を行い、接着したらいよいよ本塗りですが、他の案件と一緒に行いたいのでもう少し先になるかもです。この後の作業はいつもの塗装の仕事と言う事で日記での紹介になると思います。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

NBロードスターヘッドカバー 凸文字鋳造作成②

road45 木型自体は先日既に出来上がっていて、今日はこちらの鋳造作業を行いました。

まずは型に離型剤を塗っておきます。これをしないとMDFから溶け出た接着剤が鋳込んだ金属にくっ付いて剥がれ難いんですよね(と言うのが私的見解です)。

road46 使用する金属はピューターで、この金属は融点が280℃くらいと比較的低いので家庭用のカセットコンロでも簡単に溶かせます。難点は少し高いと言うところですかね(アルミの50倍くらいでしょうか・・・)。

road47 5分くらいで完全に溶けて、非接触温度計で測ってみると330℃になっていました。

road48ぴゅーたーを溶かしていると表面に酸化した煤みたいなのが浮かんでくるので、それらは割り箸やらスプーンで除去しておきます。「そんな器用な事が出来るのか!」って感じですが、ピューターの方は比重が重いので比較的簡単に煤だけを取り除く事が出来ます。

road49 溶けた金属を木型に注いだら用意しておいた蓋を押し込みます。今までの経験上では注いだままの方が綺麗に仕上がると思うのですが、文字以外の部分は削らないといけないので極力余分を無くしておきたいんですよね。

road50 貼ってあった底板を剥がすとこんな感じです。ただ、「a」の部分でちょっと巣が出来てしまっているのが判るでしょうか。

road51 裏側はこんな感じで、蓋をしっかり押し込んだのが奥の物で、少し浮かしておいたのが手前側です。液体は固体になると面積が減りますから(水は逆ですが)、 その分を考えて少し浮かしておいた方が良さそうですね。

road52文字の周りの木枠は外さないままにして、その後は工場二階にある簡易フライスで切削します。ボール盤にクロスバイスを取り付けてエンドミルを装着した物です。

road53 木枠を万力で固定して、土台のX軸とY軸をハンドルで回すことによって表面をサクサク削っていきます。これは楽しいですよ。

road54 表側が終わったら裏側です。この状態から・・・

road55 こんな風に出来るんですよ!エンドミルって凄いですよね~。

road56そして木型から外しました。・・・が!

実はよく見てみると「a」の穴の部分がやはり鋳込み足りていなくて、上の使わない方の右側のaは凄く上手くいっているのですが、それ以外の3個はどれも少し足りていない状態です。

これ以上削っても意味が無いのでとりあえず今回は失敗として、次回はあそこに何かしら逃げとなる湯道を作ってあげようと思います。うーん、次こそは!

NBロードスターヘッドカバー 凸文字鋳造作成①

road29今回はこちらのNBロードスターヘッドカバーのMAZDAの凹み文字を埋め、さらにそれをそのまま凸文字に!と言う作業を仕事でご依頼を承っていまして、文字を埋める作業はいつも通りの仕事と言う事で日記の方で紹介していますが、凸文字の製作に関しては一応専門外と言う事でこちらの社外記で紹介します。

尚、これらの事はあくまでも塗装の付帯作業と言うことで、通常こういった作業は単体でお受付していません。ただいつかはこういう事を通常業務の半分くらいかそれ以上まで持って行きたいと思っていて、まだ採算は合わないところがありますから今の内にやっておこう!と言う事です。塗装屋の寿命は本当に短いんですよ(自分では気付かないと言うのが怖いのです)。

road32と言う事でまずはロゴのデータ化からです。いつものようにコピー用紙と色鉛筆の芯で石刷ります。

ちなみに今回のご依頼は結晶塗装ですから、凸文字を作る上で必要な事としては、

「最低180℃程度までの熱に耐えられる事」

「塗装後に面研して素地の金属を露出させて光らせる」

の二つです。普通の立体成型で良ければ以前行ったエッティンガーホイール用のベンツ純正風センターキャップのように樹脂(レジン)で成型すれば良いのですが、耐熱性は良いとしても削って金属は出てきてくれませんから素材自体を金属にする必要があるのです。

road39石刷りしたロゴをスキャナーで読み込み、Illustratorでベクトルデータを作成します。この辺はマスキングシート(またはカッティングシール)を作るのと同じですね。

road40それを今度はレーザー加工機でカットします。切っているのは6ミリ厚のMDF板で、100円ショップで売っている物です。

ちなみにレーザー加工機も仕事で使う物では無く趣味の物なので、これ単体での仕事のお受付はしていません。ただ「こういった事がしてみたい」と言う事があれば、以前行ったようなカッティングプロッターでは不可能な細かいカットといったようなご協力は出来るかも知れません。

road41 凸文字の鋳造については既に前回ロータスの樹脂性エンジンカバーに取り付ける凸文字で施工済みで、オーナー様からはその後の経過も全く問題無いとのお墨付きを頂いているので実は安泰だったりします。

ただ改良の余地はまだまだあって、しかもこういうのは本番でやらないと身に付かないので練習だけしていても余り意味が無いのです。むしろ今の内に失敗を沢山しておきたいんですよね(歳を取ってからだと堪えるので・・・)。

road42 と言う訳で切り出した木片を接着剤で固定します。そんなにしっかり付けず、仮止めくらいで大丈夫です。

上にある板は蓋で、注ぎ込んだ金属の余分をこれで溢れ出させよう!と言う作戦です(分厚いと後で削るのが面倒なんですよ)。

road43 念のため2個作っておきました。それぞれ少しやり方を変えて様子を見てみたいです。

road44切り抜いた文字の方は必要無いですし、そもそもデータは雌型の方を活かすように作ってあるのでこちらのロゴは細身で使い物にはなりません。レーザーはカットする部分を焼き切って消失させてしまうので、カットするのが紙のように薄い物ならまだしも、ここまでの厚みの物となると「どちらも」と言う訳には行かないのです。これはアクリル板を切る時も同様ですね。

既に本日鋳込みも済んでいますので(今日は一応定休日だったので!)、そちらも後ほど紹介したいと思います。明日はちょっと用事があるので今日はこれから納品です(雨降るとか言ってましたが自転車で大丈夫でしょうか・・・)。