LOTUS樹脂製エンジンカバー 凸文字用塗装マスク作製

lotus18 現在結晶塗装でご依頼を頂いておりますいつもの樹脂製ロータスエンジンカバーですが(実はエンジンでは無くインテークカバー&プラグカバーと言う事が判明)、以前から試してみたい事があったので今回仕事外で少し時間を割いています。

lotus17通常アルミ素材への結晶塗装は最後に凸部を面研する事でアルミ素地を露出させて光らせますが、今回のようなプラスチック素材だとそれが出来ません。黒い樹脂を露出させた後に筆でシルバーを塗るのです。

ただそれだとどうしても刷毛目が目立ってしまうので、出来ればここをスプレーで塗りたい!と言うのが長年の私の願いでした。

img544ちなみに今までもそういった事はしていて、例えばこちらのBMWのヘッドカバー&インマ二は凸部をスプレーでゴールドに塗っています。

img537作業内容としては、先にゴールドを塗って凸部をマスキングして結晶塗装を施すと言う方法なのですが、今回のロータスの樹脂カバーでは文字が小さ過ぎてこれが出来ません。マスキングの接触(接着)面積が小さ過ぎて塗っている時に剥がれてしまうのです。

mercedes3他にはこちらのメルセデスベンツのエアークリーナーボックスの様に凸文字一つ一つの側面をマスキング(!)と言う方法もあるのですが、やはり今回は文字が小さすぎる事と、結晶塗装された表面は凸凹状になっているのでマスキングテープはちゃんとくっ付かないのです。

lotus19 と言う訳で今回試した方法は、樹脂を流し込んでマスク型を作ってしまう!と言うかなりの力技ですが、前から一度これを試してみたかったんですよね。所謂男のロマンです(全く理解出来なくて大丈夫です)。

lotus20 凸文字の周りに両面テープとスチレンボードをカットした物で壁を作り、漏れそうな隙間には一応油粘土を詰めておきます。そしてその内側に離型剤を刷毛で塗ります。

lotus21 流し込む樹脂については色々考えたのですが、切削性と流動性のバランスを考えてリゴラックを使いました。FRPの補修をする時に使う不飽和ポリエステル樹脂です。

そして翌日・・・

lotus22 って、何か様子がおかしい気が・・・。

lotus23 どうやらまだ何もしていないのに流し込んだ樹脂が勝手に(しかも綺麗に)剥がれていた模様です(苦笑)。

lotus24 ポリエステル樹脂はある程度痩せる事は想定していましたが、今回は製品自体が反っていると言う事で硬化した際に浮いて剥がれてしまっていた模様です。

本来は多少しっかりくっ付いてくれていた方が作業がし易かったのですが、まあ仕方ないでしょう。

それにしても固まった樹脂は予想以上にキレイに出来ていて笑いました(笑)。

lotus25 と言う事ですが、外れた樹脂は多少無理やり元の位置に嵌め込んで、続けてサンダーで表面を削ります。

lotus26 サンダーで削っていくと凸文字の部分の樹脂がなくなり、カバーの樹脂素地が露出する!と言う算段です。

尚凸文字部分は後程削るのでここで傷が付いても問題ありません。エンジンカバー素地自体も同様で、後でサンドブラストを掛けるので大丈夫です。

lotus27 当然ですが、繋がっていない部分はこんな感じで型から外れます。

lotus28 削って出来た細かい粉をオブラートよろしく吉野紙(ろ紙)に包んでカバンに入れておいたら職質を受けた時にちょっと面白いんじゃないか、なんて事も考えたりもしなくは無かったのですが、叩いて余計なホコリが出て貰っても困るので止めておきました。誰かのカバンに勝手に忍ばしておくとかは面白いかも知れませんけどね(それも全く洒落になりませんか)。

lotus29 と言う訳でこんな感じでマスク型の完成(?)です。

lotus30樹脂が痩せた分キツクなっているので、上手く嵌ってくれない箇所はPカッターでカットしてそれぞれを分割してある程度無理やりはめ込むようにしました。その際に細い部分が割れたりとちょっと継ぎ接ぎですが、まあ結晶塗装の膜厚分さらにキツクなる筈なのでとりあえずはこれでOKとします。

要は凸文字の天面にシルバーをスプレー出来れば良いだけなので、型がしっかり嵌らなくてもある程度は大丈夫で、上から置いて足りない箇所はマスキングテープで補助してあげれば問題無いと思います(多分、ですが…)。

ちなみに以前同じような方法で「塗装後に液体マスキングをスプレー」を言う事を試していますが、その後大変な事になってしまったのでもう二度とやりません。うーん思い出しただけで寒気が…(苦)。

ロータスエンジンカバー用凸文字作成 【切削編】

lotus67 前回に引き続き、「レーザー加工」「鋳造」「切削加工」については本業ではありませんのでいつもの日記の方では無くこちらの社外記での紹介とさせて頂いています。ご依頼頂くのは塗装の付帯作業の場合のみで、これらの事を単体で受け付けてはおりませんので何卒ご了承下さいませ。

という事で、先日鋳造して出来上がったロータスとエリーゼの金属製ロゴはそのままだと余分があるので今度はそれを削って成型します。ちなみに車のヘッドカバーの凸文字も最後はこれと同じように切削加工されているんですよ(といってもあちらはヘッドカバーごと削っている訳ですが)。

lotus68 切削加工のやり方は簡易的なフライスみたいな感じで、一般的なボール盤(ドリル台)に市販のスライドテーブルを固定しています。ドリルの刃は普通の穴を開ける物とは違って横方向に削る為の刃で(エンドミル)、刃の位置はそのままで加工品の方を動かすといった感じですかね。X軸とY軸を動かす時に回すハンドルはまるで潜水艦の潜望鏡みたいで中々楽しいです。

lotus70 表側は表面を均す程度なのでそんなに掘る必要は無いのですが、この時操作を誤って一部を深く掘り過ぎてしまい、なので全体的にそのラインまで削り落としています。といっても元々の厚みが6ミリでそんなに要る筈もありませんから仕上がり的には全く問題ありませんのでご安心下さいませ。

lotus69沢山削らなければならないのは注型した裏側の方で、先日紹介したように「蓋」を閉めるのを失敗したので注ぎ込んだ部分に大量の金属が残っているのです。これを全部ヤスリで削るなんてあり得ませんよね。

road (1 - 1)-10ちなみに以前はこれを、クリリンが使う気円斬みたいなメタルソーなる刃を使ってカットしたのですが、その方法だと最後まで文字を固定出来ないので今回はこれを使わず、先ほど紹介したように木枠に着けたままの状態でエンドミルで削る方法にしています。この辺の機械加工についてはズブの素人ですので何事もやってみないと判らないのですが、それだけに中々楽しい作業でもあるのです。

lotus71 と言う訳でこんな感じで裏に溜まった金属を削り落とし、文字だけの状態にしました。型枠がそのまま固定台になるので今回はとても安定して切削作業が出来ています。

ちなみに削り落とした分の切子は回収していて、溶かしてまた再利用する事が可能です(勿論今回もそうしてます)。

lotus73-1そしてジャジャーン!と、自家製鋳造凸文字エンブレムの完成です。使わなかった木型と並べて撮ってみました。

lotus72 まあ何のことは無い物なのですが、好きな形をデータから起こして作れるので、例えば「Lのところ人を立たせてくれ」と言うリクエストも可能ですし(しかし今回のサイズ的には無理です)、勿論自分の会社のロゴなんかも作れます。

何よりも私が楽しいのは、子供の頃からずっと思っていた「こんなのが出来ればなぁ・・・」と言うのが全部自分の手で作れるのが魅力的なんですよね。

lotus73当初、筆記体を鋳造で作るのは面倒かと思っていたのですが、実際にやってみると文字の全て繋がった一体物になっているので、今回のように出来上がった物を何かに貼り付ける作業ではとても楽なのが判りました。むしろLOTUSの方がバラバラになってしまうので並べるのが難しいですよね。

という事で次はいよいよこれらをアルミプレートに貼って樹脂製のエンジンカバーに取り付けます。こらからの作業は本業の方に入りますのでいつも通り日記での紹介になる予定です。

尚、次回の鋳造はBMWのヘッドカバーに貼り付ける為のALPINAのロゴと、あとはそれとセットのサージタンクにはショップさんのオリジナルロゴが付くかもです。うーん、楽しみですね!(なんだか一人で盛り上がっていてすいません・・・)。

ロータスエンジンカバー用凸文字作成 【鋳造編】

lotus56 先日から始まっているロータスエリーゼ用のプラスチック製エンジンカバーの案件です。先日MDF板をレーザー加工機でカットして注型を作製しまして、いよいよ金属を流し込みます。

ちなみに塗装もこれも仕事なのですが、鋳造単体ではお受付していないので、誤解の無い様いつもの日記では無く、こちらの社外記で紹介させて頂いてます。今回は塗装屋では無くイコノミストという事で(笑)。

で、画像は鋳型に離型剤のシリコンを筆で塗っているところで、実はスプレータイプの方がムラ無く薄く塗れますが、シリコンは塗装の大敵なので塗装現場では使えません。コンプレッサーに吸い込むと延々どうにもならなくなりますから自家塗装でやられる方は特に注意です。

lotus57 そして凸文字の素材となる金属「ピューター」を溶かします。今回は最初に買った時のインゴットでは無く、既に今まで作っていた物を溶かして再利用しています。ちなみに今回新しいるつぼ(と言うか単なる取って付きのキッチンボウル)を入手しましたのでようやく空き缶を卒出来ました。

lotus58 先ほどの詰め込んだ金属が溶けるとこんな感じになります。いつ見ても惚れ惚れしてしまいますよね(病)。

今回使っているピューターの融点は280℃くらいで、ただ多少熱過ぎるくらいにしておかないと型に注いだ時に途中で止まってしまうので300℃くらいまでには上げておきます。樹脂と違って流れが止まるのはあっという間ですからね。

lotus59 そして溶けた金属を型に注いで急いで蓋をします。今回は予め取っ手(=レーザーでカットして余ったELISEロゴ)を着けたので安定して上手くいきました。千鳥香炉みたいでなんか良いですよね。

lotus60 ちょっと気になった事としては、ピューターを注いだ時に最初にブクブクと沸騰?ぽくなる事です。画像のは溢れて台の板の上にこぼれた物ですが、やはりこれも沸騰したみたいにブクブクとなっていて、固まった物の裏を見てみると空洞が出来ていました。ピューターの中に水分や気体が入っているとは考え難いので、型や台に含まれていた微量の水分が沸騰~気化してこうなっているのでしょうか。うーん、こういうのとても興味深いです。

lotus61 そして底板を剥がして確認しました。うーん!まさにここが至高の瞬間です(病)。

lotus62 Lotusの方も良い感じじゃないですか・・・(惚)。

ただ先ほどのELISEでは「E」のところが少し足りなく、またこちらのLOTUSも「t」の部分で少し流れ足りていないところがあります。これくらいなら後でヤスリで修正すれば気になる程度では無いのですが、見えない部分(内部)にもっと大きな巣がある可能性もあるので、念のためもう一組ずつ作っておく事にします。と言うか最初からそのつもりで型を二個ずつ作っているんですけどね。

lotus63 と言う事で先ほど気になった「t」の部分を隣の「u」に繋げて湯道を作ってみました。まさにゲートって感じです。

本当は全部こうしてあげればよいのですが、今はまだトライ&エラーを楽しんで出来る段階なのでむしろ金属の流れる動きとか癖を感じるようにしています。

そしていつかはこの方法で自作メガネフレームを・・・(病)。

lotus64 なんて妄想にふけって作業していたら蓋を締める時に少し引っかかってしまいまして(苦)、あっという間の出来事だったのですがもうそれ以上どうにもならなくて途中で固まってしまいました。まるでコンクリート打ちっぱなしみたいです・・・(苦)。

でも切って削って余った分はまた溶かして再利用出来ますから特に大きな問題と言うわけでは無く、むしろ無理やり入れようと強引にハンマーで叩いたのがある意味鍛造みたいで硬く引き締まったかも知れません(注>そんな筈はありません・・・)。

lotus66という事で無事2セット出来上がりました!。手前のが二回目に行った物で、輪郭が少し滲んでいるのは固まる時に叩いて振動させたのが効いたのだと思います。見た目は悪いですがこの方が隅まで行き渡るので多分こっちの方が仕上がりは良い筈です。

という事で鋳込みは無事(?)終了で、次はこれを簡易フライスで裏表を切削し、いよいよ文字だけの状態にします。尚、今回は板に付いたまま削るので枠はこの状態から外しません。

では次回乞うご期待です!(いや、私がです。笑)。

ロータス凸文字作成 鋳造型 レーザーカット

lotus51本業の方でご依頼頂いているロータスエリーゼの樹脂製エンジンカバーに、新たに凸文字を金属で作ろう!と言う計画です。計画と言うか既にご依頼を頂いていて、ただあくまでもレーザーカットや鋳造は「塗装の付帯作業」と言う事で、作業内容はいつもの日記の方では無くこちらの社外記で紹介させていただきます。

road87本当は金属を直接レーザーカットが出来る業者さんにお願い出来れば良いのですが、色々ハードルが高いので結局自分で鋳造して作る事にしました。鋳造作業自体は以前から自分用に購入した新型ロードスターのヘッドカバーで色々試していて、いつもの流れですが「趣味が仕事に繋がった」という事で今回のご依頼に至っています。

ちなみに私がNDロードスターを持っていると言う訳では無く単にヘッドカバーだけを自分用に買っただけですので念のため・・・。

lotus49尚、ロゴのデザインは結構色々検討して頂いています。レーザー加工機を使った鋳型の作成の利点は「一点物の作成が容易」という事で、本来必要な「マスター型」の作製が不要ですから、コストを抑えつつ意匠に拘る事が可能です。3Dプリンターの流れに似ていますかね。lotus47データ自体はjpegでは無くIllustratorなどでベクトルデータを作成しなければならないのですが、既存のフォントでも気に入った物があればそれをベースにアウトライン化して使う事が出来ます。今回は純正のロゴに拘って、それの字間や配置を調整しています。

lotus48徐々にイメージが固まって来て、最終的に「LOTUS」はゴシック、「ELISE」は筆記体という事になっていきました。

lotus50そして最終的に上の画像の右下のものに決まりました。既にデータで出来ているので後はこれをレーザー加工機に持っていくだけです。いやー、ようやくですよ!(もう早く切りたくて切りたくて・・・笑)。

lotus52 型に使う素材は6ミリ厚のMDF板です。ちなみにこの時は「I」と「S」の間がレーザーの燃焼で消失して狭くなってしまったので後にデータを修正してやり直しています。こういう手直しがその場で簡単に出来るのが良いですよね。

lotus53 注型の方法は色々ありますが、一応今まで上手くいっているオーバーフロー方式を採用しています。余計な湯道を作らなくて済むので後の作業がとても楽で気に入ってます。

lotus54 そしてカットした物をそれぞれ組み合わせていきます。フチが壁になっているのは流し込んだ金属が流れ出ない為で、とにかく金属は樹脂と違って表面張力が強くて弾くような感じになるのである程度の量を盛って抑えなければなりません。

lotus55そしてこんな感じで型が完成です。ちなみにオス型になっているのは単にフラットな板の上にカットして不要になった物を乗せているだけで、実際にはこの状態では使いません。メス型に金属を流し込んだら単なる平板を押し込みます。

それでは作業進行しましたらまた紹介しますね。もう少々お待ち下さいませ!