AlfaRomeo凸文字 切削(簡易フライス)

先日鋳造で作成した金属製の「AlfaRomeo」の文字です。

これを、塗装の仕事でご依頼を頂いているアルファロメオのヘッドカバー上面に取り付ける為、余分を削り落として平らにしておきます。

 加工に使うのはボール盤(卓上のドリル)にクロスバイスを取り付けた簡易フライスで、

これを使えば余分な金属も比較的簡単に平らに削れるという寸法です。

尚、これについては以前紹介しました以下の記事が判り易いかと思います。

鋳造凸文字 簡易フライス加工

 通常のボール盤は固定した物に穴を開けるだけですが、この「クロスバイス」なる可動式の固定台を取り付けると、ハンドルを回す事で縦横に対象物を動かす事が可能となります。

ちなみにこのボール盤は工場を借りた時にそのままあった残物で、当初は汚れが酷く、配線は切れ掛かっているし軸はブレているしと、かなりどうしようもない物でしたが、今となっては非常に重宝して役に立ってくれています。

 ドリルには専用の刃(エンドミル)を装着し、削りたい個所に刃を当てながら少しずつ対象物を動かしていきます。欲を出して一気に削ろうとすると凄い振動が出て、さらに無理をすると多分刃が欠けたり物が飛んでいってしまったりするのだと思います(幸いにしてまだそういった経験はありません)。

 文字が出てくる瞬間が一番楽しくて、まるで化石を発掘しているよう(笑)。

 表側は湯道の為に溝を掘ってあった為にガタガタの状態ですが、

こちらも表面を削ってあげれば綺麗に平滑になってくれます。湯道のお陰かどうかは判りませんが、細部までしっかり金属が行き渡ってくれているようです(しかしこの後ドリルの操作を誤って駄目にしてしまうという事態に・・・)。

次は型から取り出す作業で、いよいよ完成系も紹介出来ると思います。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

ロードスターヘッドカバー用MAZDA凸文字 完成

road57 前回作成した凸文字では「a」の部分に巣が出来てしまったので、今回はそれのリベンジとなります。

road58 今回の肝はここの湯道で、前回空気溜まりが出来てしまった箇所にこれを設けて、金属の流れをスムーズにさせようという作戦です。

road59 カットした板を組み合わせるとこんな感じで、「a」の中心に立っている柱の下側にある湯道を溶けた金属が通るようになっています。本当は柱の所に穴を開けた方が良いのかも知れませんが、そうなると残ったランナーみたいなのを後で削らなければならないのが嫌だったんですよね。この方式ならフライス加工で一緒に削れるので手間が掛からないと思ったのです。

road60 今回も2セット作りました。どちらにも湯道を作ってあります。

road61 前回作った失敗作も再利用します。そろそろ材料が無くなりそうなので先ほど2キロ追加しておきました。それにしても1キロあった材料はどこに行ったんだか…。

road62 溶かした金属を流し込み、蓋を被せて余分を減らします。

金属が冷え、板を剥がしてみると・・・

road63 ジャジャーンと!!ちゃんと湯道に流れてくれました~(嬉)。

road64 早速クロスバイスに噛まして簡易フライスで表面を削ります。

road65 実際は先ほどの裏側なのですが、まあイメージ的にこんな感じです。最初にあった1キロの内の消えた部分はこれになった訳ですね(苦)。

road66 バリを削るとこんな感じです。うーん、良いじゃないですか・・・(惚)。

road67型から抜いてヘッドカバーに乗せてみました。あとはエポキシ接着剤で固定するだけなのですが・・・

road68貼る部分は湾曲しているので、今度はこの面に合うように削ります。

その後はリン酸処理を行い、接着したらいよいよ本塗りですが、他の案件と一緒に行いたいのでもう少し先になるかもです。この後の作業はいつもの塗装の仕事と言う事で日記での紹介になると思います。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

NBロードスターヘッドカバー 凸文字鋳造作成②

road45 木型自体は先日既に出来上がっていて、今日はこちらの鋳造作業を行いました。

まずは型に離型剤を塗っておきます。これをしないとMDFから溶け出た接着剤が鋳込んだ金属にくっ付いて剥がれ難いんですよね(と言うのが私的見解です)。

road46 使用する金属はピューターで、この金属は融点が280℃くらいと比較的低いので家庭用のカセットコンロでも簡単に溶かせます。難点は少し高いと言うところですかね(アルミの50倍くらいでしょうか・・・)。

road47 5分くらいで完全に溶けて、非接触温度計で測ってみると330℃になっていました。

road48ぴゅーたーを溶かしていると表面に酸化した煤みたいなのが浮かんでくるので、それらは割り箸やらスプーンで除去しておきます。「そんな器用な事が出来るのか!」って感じですが、ピューターの方は比重が重いので比較的簡単に煤だけを取り除く事が出来ます。

road49 溶けた金属を木型に注いだら用意しておいた蓋を押し込みます。今までの経験上では注いだままの方が綺麗に仕上がると思うのですが、文字以外の部分は削らないといけないので極力余分を無くしておきたいんですよね。

road50 貼ってあった底板を剥がすとこんな感じです。ただ、「a」の部分でちょっと巣が出来てしまっているのが判るでしょうか。

road51 裏側はこんな感じで、蓋をしっかり押し込んだのが奥の物で、少し浮かしておいたのが手前側です。液体は固体になると面積が減りますから(水は逆ですが)、 その分を考えて少し浮かしておいた方が良さそうですね。

road52文字の周りの木枠は外さないままにして、その後は工場二階にある簡易フライスで切削します。ボール盤にクロスバイスを取り付けてエンドミルを装着した物です。

road53 木枠を万力で固定して、土台のX軸とY軸をハンドルで回すことによって表面をサクサク削っていきます。これは楽しいですよ。

road54 表側が終わったら裏側です。この状態から・・・

road55 こんな風に出来るんですよ!エンドミルって凄いですよね~。

road56そして木型から外しました。・・・が!

実はよく見てみると「a」の穴の部分がやはり鋳込み足りていなくて、上の使わない方の右側のaは凄く上手くいっているのですが、それ以外の3個はどれも少し足りていない状態です。

これ以上削っても意味が無いのでとりあえず今回は失敗として、次回はあそこに何かしら逃げとなる湯道を作ってあげようと思います。うーん、次こそは!

ロータスエンジンカバー用凸文字作成 【切削編】

lotus67 前回に引き続き、「レーザー加工」「鋳造」「切削加工」については本業ではありませんのでいつもの日記の方では無くこちらの社外記での紹介とさせて頂いています。ご依頼頂くのは塗装の付帯作業の場合のみで、これらの事を単体で受け付けてはおりませんので何卒ご了承下さいませ。

という事で、先日鋳造して出来上がったロータスとエリーゼの金属製ロゴはそのままだと余分があるので今度はそれを削って成型します。ちなみに車のヘッドカバーの凸文字も最後はこれと同じように切削加工されているんですよ(といってもあちらはヘッドカバーごと削っている訳ですが)。

lotus68 切削加工のやり方は簡易的なフライスみたいな感じで、一般的なボール盤(ドリル台)に市販のスライドテーブルを固定しています。ドリルの刃は普通の穴を開ける物とは違って横方向に削る為の刃で(エンドミル)、刃の位置はそのままで加工品の方を動かすといった感じですかね。X軸とY軸を動かす時に回すハンドルはまるで潜水艦の潜望鏡みたいで中々楽しいです。

lotus70 表側は表面を均す程度なのでそんなに掘る必要は無いのですが、この時操作を誤って一部を深く掘り過ぎてしまい、なので全体的にそのラインまで削り落としています。といっても元々の厚みが6ミリでそんなに要る筈もありませんから仕上がり的には全く問題ありませんのでご安心下さいませ。

lotus69沢山削らなければならないのは注型した裏側の方で、先日紹介したように「蓋」を閉めるのを失敗したので注ぎ込んだ部分に大量の金属が残っているのです。これを全部ヤスリで削るなんてあり得ませんよね。

road (1 - 1)-10ちなみに以前はこれを、クリリンが使う気円斬みたいなメタルソーなる刃を使ってカットしたのですが、その方法だと最後まで文字を固定出来ないので今回はこれを使わず、先ほど紹介したように木枠に着けたままの状態でエンドミルで削る方法にしています。この辺の機械加工についてはズブの素人ですので何事もやってみないと判らないのですが、それだけに中々楽しい作業でもあるのです。

lotus71 と言う訳でこんな感じで裏に溜まった金属を削り落とし、文字だけの状態にしました。型枠がそのまま固定台になるので今回はとても安定して切削作業が出来ています。

ちなみに削り落とした分の切子は回収していて、溶かしてまた再利用する事が可能です(勿論今回もそうしてます)。

lotus73-1そしてジャジャーン!と、自家製鋳造凸文字エンブレムの完成です。使わなかった木型と並べて撮ってみました。

lotus72 まあ何のことは無い物なのですが、好きな形をデータから起こして作れるので、例えば「Lのところ人を立たせてくれ」と言うリクエストも可能ですし(しかし今回のサイズ的には無理です)、勿論自分の会社のロゴなんかも作れます。

何よりも私が楽しいのは、子供の頃からずっと思っていた「こんなのが出来ればなぁ・・・」と言うのが全部自分の手で作れるのが魅力的なんですよね。

lotus73当初、筆記体を鋳造で作るのは面倒かと思っていたのですが、実際にやってみると文字の全て繋がった一体物になっているので、今回のように出来上がった物を何かに貼り付ける作業ではとても楽なのが判りました。むしろLOTUSの方がバラバラになってしまうので並べるのが難しいですよね。

という事で次はいよいよこれらをアルミプレートに貼って樹脂製のエンジンカバーに取り付けます。こらからの作業は本業の方に入りますのでいつも通り日記での紹介になる予定です。

尚、次回の鋳造はBMWのヘッドカバーに貼り付ける為のALPINAのロゴと、あとはそれとセットのサージタンクにはショップさんのオリジナルロゴが付くかもです。うーん、楽しみですね!(なんだか一人で盛り上がっていてすいません・・・)。