レンタル塗装スペース(貸し切りワークショップ)

以前行ったワークショップに参加された方から、「自分の作品を塗るのに場所を貸して欲しい」といったご相談を受けまして、テスト的ですが実際に行ってみる事にしました。所謂「貸し切りワークショップ」みたいな感じですね。以前某アイドルの会誌の特集としてスニーカー塗装ワークショップをやってその作業風景を撮影させて欲しいというお問合せがあって、その時は実現しなかったのですが(さすがに平日は無理です)、面白そうなのでいつかやってみたかったんですよね。

尚、一応値段表は用意しています→塗装ワークショップ

塗装する物に関しては、エポキシレジンで既に綺麗に仕上がった状態なので、下地処理としては表面を軽く削る程度、塗装も単にクリアーを塗るだけです。

費用に関しては一時間¥5,000~なので、「自家塗装が出来る場所が欲しかった!」という感じでは無く、金額面だけで言えばその辺の塗装屋さんに頼んだ方が遥かに安く済む筈です。普段行っているワークショップは私の趣味的な感じが強いですが、こちらはちゃんと商売として成り立たせるような感じですね。一日やったら4万円を超えますので、むしろこれだけやっていた方が私は楽です(笑)。

当方が提供するのは塗装する為の環境と材料で、塗料の作成からスプレーガンの洗浄等はこちらで行いますから、基本的には塗装初心者でも大丈夫なようになっています(塗り分けやベースコート塗装は除く)。

ただ塗り過ぎたりして垂らしてもその後のフォローは出来なく、場合によっては作品がただのゴミになる危険性もあり、そういったリスクもご納得頂いてとなっています。

元々のエポキシレジンだけでも十分綺麗だったのですが、前回参加された時のワークショップで塗った塗膜の質感がとても良かったとの事で、今回それを自分の作品に採用したい!との事が理由でした。

尚、最初に使ったスプレーガンは口径0.5mmのエアーブラシタイプ(エクリプス)だったのですが、初心者だとガン距離が遠くになりがちになって中々肌が出来なかった為、

その後ワークショップでも使った口径1.2mmのスプレーガンに変更しました。

結果、一気にテロテロに仕上がりました!

ちょっと塗り過ぎている傾向にありましたが、平面なので垂れる事は無く、艶々に仕上がったので途中で変更して良かったです。

当日遊びに来てくれたくまさんが動画を撮ってくれていたのでそちらも紹介します。

 

この後は40℃で15分程度予熱乾燥させ、その後60℃60分で強制乾燥硬化させます。

そして完成です!

今回は練習も兼ねていて、後日個展に並べる本物(本番)での塗装を行う予定です。

今回のように下地がしっかりした物(完全硬化したエポキシレジン)であればその上への塗装は可能ですので、まずはこういった事を限定に少しずつ受け付けていこうかと思っています。

STANDOX+クロマフレア色見本 完成

先日クロマフレア顔料を使って塗装しておいた各色見本です。

最近マイクの色見本は作っていなかったので久しぶりですね。

プレート型の色見本はMDF板をレーザーでカットし、それに印刷した紙を糊で貼っています。何ともアナログな作業で、まあまあ手間は掛かるのですが、色板だけだと飾ってもつまらないですし、一度仕舞うとどこにいったか判らなくなってしまうのでこれが一番有効だと思ってます。

以前「なんで車の形なんですか?」と聞かれた事があるのですが、そもそもSTANDOXは車体を塗る為の塗料ですし(私もそれで育ってますし)、色見本用の素体としては元々車の形をしたブリスターパックみたいな物があるのですが、それだとサイズが大きいので邪魔で、なのでそれをここまで小さくしたという感じです。

色の変化や全体の雰囲気を感じるのであれば、やはりこういった複雑な形状をした物が有効ですね。

 

左の大きいBLACKRABBiTは以前GUNさんから購入した物で、こちらには日本ペイントのマジョーラ、アンドロメダⅡが使われています。

対して右側の小さい物が今回塗装した物で、同じくアンドロメダⅡに該当する塗色です。

今回塗料を作ってくれた塗料屋さん曰く、「現在のクロマフレア顔料は以前よりも粒子が均一化されている為、色変化の差異は昔のマジョーラよりも綺麗になっている」との事でした。実際見た目もそう感じますし、恐らくは顔料を潰すローラーが進化したのではないかと思っています。顔料をより細かく出来るようになった事で、透過性の赤が染料から顔料に移行したのと同じような感じですかね。

こちらはどちらも同じ様に見えますが、違う顔料とんあります。

右手前がマジョーラで言うトラペジウムですが、それに比べると左側の新しい色(マジョーラには無い色)は輝度感が強く、色の変化もシャープになっています。

こういった場合、立体物だと判り難いのですが、

平面の色見本で見るとその差は明確です。右がトラペジウムに該当するクロマフレア顔料で、左がそれより新しく出た同社の顔料を使った物=CF-PRGです。マイクにも塗っているので後ほど詳しく紹介します。

こちらもマジョーラのラインナップには無い、クロマフレア顔料を使った色で、

元々当店にあるNo.19と似た色となっていますが、

やはりと言うか色が変化する境界がハッキリとしていて、粒子感も細かく、そして均一に、輝度感も高いのが特徴です。一言で言うと「深みがある」といった感じですかね。

マイクは専用のページで紹介するのでちゃんと撮影しておきました。

とは言ってもいつもと同じく画像の編集はサイズの縮小のみで、それ以外は撮ったままとしています。

この手の色はコントラストを強調するだけで断然格好良くなるのですが、塗装を仕事としてやっている身としてそれはナンセンスですし、私が依頼する立場だったらそういう所には依頼したくないですからね。インスタやTwitterでは加工しまくった画像が散見されますが、いつか嘘をついている自分に疲れてしまうのではと心配しています。

こちらはトラペジウムに似てそうでは無いクロマフレア顔料=CF-PRGの色となります。

塗料の説明としては「トラペジウムと比較してレッドが明るい」とありますが、赤味というか「オレンジ味」が強いといった感じです。トラペジウムの方は青味あります。

トラペジウムに比べて色も濃く感じるので、どちらが良いかと言うと私的にはこちらなのですが、売り方としては「マジョーラのトラペジウムと同様」と言えた方がユーザーの受けは良さそうなので、難しいところですね・・・。

こちらはアンドロメダⅡに該当するCF-ANDⅡです。

この色はクドさが無く上品で、やはりと言うか間違いが無いですね。

こういった色相が変わる塗色は、多層構造を持つ光干渉型パールの大きな特徴です。偏光パールと呼ばれる方が多いと思いますが(実際その傾向がある色もありますが)、どちらかと言うと光干渉型寄りなので私はそう呼ぶようにしています。

こちらは最も色変化の激しい色で、マジョーラで言うと「アンドロメダ」となり、今回使ったクロマフレア顔料もそれと同じ物となります。当店ではCF-ANDとしました。

ちょっとクドイ所はありますが、派手さを好むマイクの塗装には向いていると思います。

ただクロマフレア顔料を使った塗料はどれも高額なので、通常の3コート塗装割増にさらに追加費用は必要になると思います。スプレーガンのグリップを握る度に数百円が飛び出るといった感じなのでちょっと恐ろしいですね(笑)。

ちなみに出来上がった色見本はこんな感じで工場の壁に飾っています。

単に飾るだけでは無く、色の検討&検証する際には外して持ってそれぞれ比較して、本塗りの時にも色に差異が無いかの確認など、かなり重宝しています。まさにこれのお陰で今の小物塗装の仕事が成り立っていると言っても過言では無いかも知れません。

現在は工場に受付窓口は設けていませんが、いよいよ塗装屋としてこれはダメだという感じなったら(目に見えて仕上がりが劣るようになったら)私は現場を引退し、若い塗装屋さんにでも間借りで入って貰って、私はフロント業務のみ行う元請け業にでもなろうかと考えています。そしていずれ工場の設備をそのまま譲り、私はマイクとかリモコンキーとか小さい物だけを塗って緩やかに日々を過ごせていければと思ってます。

まあ家のローンがまだ20年以上残っているのでそんな隠匿生活は夢のまた夢ですが(笑)

STANDOX+クロマフレア

クロマフレア顔料と言えば日本ペイントのマジョーラが有名ですが、その他の塗料メーカーでもこれと同じが顔料を使った塗料は販売されています。

上記の画像はDUPONT社(現アクサルタ)の「クロマリュージョンカラー」の色見本帳で、この他にはロックだと「ロッククロマシリーズ」、イサムだと「TCパールコンクPRTRモルファ」とかですね。

特種塗料と言うかクロマフレア顔料

私が使う独スタンドックスの塗料にもクロマフレア顔料を採用した原色はあるのですが、この場合それ単体ではなく、他の色と混ぜて作ったパッケージ色=「standox xclusive line」として販売しています。混ぜ物なのでクロマリュージョンカラーやマジョーラ程の強い変化が無い色が多く、しかも最初に作ったロットで終わりなので、それらが無くなったらもう二度と同じ色では塗れない!という、何かしらのコンセプトが無ければ敢えて使うような事はなさそうな謎設定だったりします。

また上記のサイトではさらに既存のExclusive Lineを補完する「Special Effects Paints」なる新色も出ているような事が書かれていますが、多分これらもクロマフレア顔料単体では無さそうで、派手にしたい小物塗装の場合にはこれらの色では物足りないんですよね。

だったらマジョーラをそのまま使えば良いんじゃ?と思うかも知れませんが、塗装は「ベースコート+トップコート」の組み合わせで塗膜として完成するので、そうなると今使っているSTANDOXの塗装としては使えない(嘘&偽物)になってしまうのでNGなんですよね。かといって日本ペイント社製のベースコート=アドミラの黒とクリアーを使うのはダウングレードでナンセンスな気がしますし…。

と言う訳なので、今まではこういったパウダータイプの顔料を取り寄せ、

それをSTANDOXのベースコート用樹脂=MIX599に添加してスタンドックスの塗装システムとして使っていたのですが、

これだとどうしても「クロマフレア風」や「マジョーラ調」と言った感じで本物感が無かったので、

今回新たに本物のクロマフレア顔料「ChromaFlair」を使った、STANDIXの樹脂で塗料を作ってくれる塗料屋さんを見つけました!

元々は釣り具等の塗料を扱っているそうで、それ単体では販売不可能なクロマフレア顔料を、こちらが指定した樹脂=STANDOX MIX599に混ぜて貰える事になったのです。

上の画像に映っている塗料缶がスタンドックスのベースコート用樹脂=MIX599で、これ単体だと色は付かなく、例えばこれに黒の顔料を混ぜて黒としての原色=MIX571を作る、といった感じになります。今まではこれに上記のようなパウダータイプの顔料を混ぜたり、キャンディーカラーの場合はそれ専用の原色=例えばハウスオブカラー社のKKシリーズを添加して使っています。

ちなみにクロマフレア顔料は上記のような粉状ではなく、若干溶剤を含んだ湿った状態で流通しているとの事で、とてもセキュリティが高い物なので製造メーカー=米JDSU社と契約していなければ入手は不可能、代理店からの小売りでも顔料単体での販売は出来ないという事で、こちらが指定した塗料=MIX599に混ぜて貰い、今までこの世に存在しなかった「STANDOX仕様のクロマフレアカラー」を作ったという訳です。

と言う訳で、早速色見本を作成する事にしました!

色相変化の強い色はマイクでの需要が高いので、樹脂で作ったそれらの素体と、

あと壁に飾っておけるプレート型の色見本も作成しておきます。

また後日知り合いの塗装屋さん(GUNさん)とマジョーラとの色の比較をする為に、BLACKRABBiTガチャのDIY用素体(未塗装品)にも塗っておく事にしました。

下色に黒のベースコートを塗り、それぞれの塗色を重ね、最後にクリアーを塗って本塗り完了です。

今回お世話になった塗料さんでは、マジョーラカラーにあるコスモセレクション6色と、さらにそれには無い3色のラインナップがあり、今回はその内の6色を使っています。

こちらはマジョーラで言う「セイファート」で、ただ日本ペイントの要素は全く入っていないので、当店では「CF-SYF」と呼ぶことにしました。

こちらは同じくマジョーラで言う「アンドロメダ」ですね。同じくクロマフレアと頭の文字を使って「CF-AND」としました。

こちらも同じくマジョーラで言う「トラペジウム」なのですが、今回はこれに似た色=新顔料も入手しています。ぱっと見はほぼ同じ色なのですが、比べると新色の方が色の変化が強く、どちらを使うといえば新しい方が断然良い感じです。

こちらはマジョーラカラーには無いクロマフレア原色で、「CF-STB」と呼ぶことにします。

こちらはマジョーラで言う「アンドロメダⅡ」ですね。かなりメジャーな色です。こちらは「CF-ANDⅡ」と呼ぶことにしました。

塗った物それぞれを比色するには3次元形状の立体物と、

平面状の物があると判り易いので、それぞれを組み合わせた色見本プレートを作成し、後日改めて検証しようと思います。今回も全くお金にならないどころか高額な材料費で赤字必至ですが、こういった事をやってようやく新しい仕事が出来るという事もあるので、やはりというか地道に続けていかないとですね。

15cm色相環壁時計制作

色相環の壁時計は今まで色々なサイズを作っていて、

こちらの一番小さな15cmサイズは一旦廃盤としたのですが、

以前出店したデザフェスでこれを飾っていたところ、意外にもこれの人気が高かったので、今後はこれを量産販売とし、25cm以上の大きいサイズはオーダーでのみ受付とする事にしました。

また以前試作していたこちらのウォールナットを枠に採用したキーホルダーの組み合わせが良かったので、

それを背板とした15cmの壁時計を制作する事にしました。

ただ厚さ5mm~6mmのウォールナットはコストが高くなるので、薄くスライスされたそれをMDFに貼り付ける「突板」にする事にしました。

台座とするMDFはいつもの物で、裏側には艶消し黒を塗っておきます。見た目もそうですが、MDFは湿気に弱いので防止の為にですね。

MDF、ウォールナットそれぞれに接着剤を塗り、固定します。

ちなみに当て板に使っている物はテストに使用した物で、ウォルナットとMDFがしっかり食いつく事は確認しました(剥がれているのはMDF自体の層間剝離です)。

一日固定しておいたら完成です。これくらいの面積なら無垢材を使ってもさほどコスト高にならなそうですが、一度突板というのを自分の手でやってみたかったんですよね。

15cmサイズ用のピースはまだ塗っている途中なので、

在庫として残っていた物を使ってとりあえず試作品を作ってみました!

やはりと言うか、有彩色と無彩色との組み合わせは間違いが無いですね。

ただウォールナットの色味がちょっと明るかったので、今度スモーク塗装を行う時に一緒に塗ってみようと思います。オイルステインの方が楽ですが、これは経年で褪色するので避けています。

ちなみにこちらのキーホルダーのウォルナットは蜜蝋を塗っていて、多少色が濃くなっています。

ただ時計の背板に先にこれを塗ると接着剤が食いつかなくなる恐れがあるので避けたんですよね。後から塗る事は問題無く、ただとりあえずはまあ良いかな、と。

右が以前作った壁時計で、背板が違うだけでかなり印象が変わるのが判ると思います。

ちなみに「貼るくらいなら塗った方が早いんじゃ?」と思うかも知れませんが、

明るい色にした背板はフチと裏を黒(またはグレー)にしているので、

わざわざこうやって塗り分けるのも結構面倒なんですよね。レーザーでカットした断面は素材の接着剤が溶けるか何かで滲み(ブリード)が発生するので、結局何かしらの濃い色で塗る必要があるという訳です。

という感じで、以前作成して良かった色=VWのアクエリアスブルー仕様の背板も何枚か作りました。濁りのある淡い水色で色相環を邪魔をせず、またインダストリアル感があって12色にとても良く似合う色です。

ある程度の数が出来たらウェブショップで販売しようと思っています。専用スタンドも作ったのでセットに入れられそうです!