STANDOX+クロマフレア色見本 完成

先日クロマフレア顔料を使って塗装しておいた各色見本です。

最近マイクの色見本は作っていなかったので久しぶりですね。

プレート型の色見本はMDF板をレーザーでカットし、それに印刷した紙を糊で貼っています。何ともアナログな作業で、まあまあ手間は掛かるのですが、色板だけだと飾ってもつまらないですし、一度仕舞うとどこにいったか判らなくなってしまうのでこれが一番有効だと思ってます。

以前「なんで車の形なんですか?」と聞かれた事があるのですが、そもそもSTANDOXは車体を塗る為の塗料ですし(私もそれで育ってますし)、色見本用の素体としては元々車の形をしたブリスターパックみたいな物があるのですが、それだとサイズが大きいので邪魔で、なのでそれをここまで小さくしたという感じです。

色の変化や全体の雰囲気を感じるのであれば、やはりこういった複雑な形状をした物が有効ですね。

 

左の大きいBLACKRABBiTは以前GUNさんから購入した物で、こちらには日本ペイントのマジョーラ、アンドロメダⅡが使われています。

対して右側の小さい物が今回塗装した物で、同じくアンドロメダⅡに該当する塗色です。

今回塗料を作ってくれた塗料屋さん曰く、「現在のクロマフレア顔料は以前よりも粒子が均一化されている為、色変化の差異は昔のマジョーラよりも綺麗になっている」との事でした。実際見た目もそう感じますし、恐らくは顔料を潰すローラーが進化したのではないかと思っています。顔料をより細かく出来るようになった事で、透過性の赤が染料から顔料に移行したのと同じような感じですかね。

こちらはどちらも同じ様に見えますが、違う顔料とんあります。

右手前がマジョーラで言うトラペジウムですが、それに比べると左側の新しい色(マジョーラには無い色)は輝度感が強く、色の変化もシャープになっています。

こういった場合、立体物だと判り難いのですが、

平面の色見本で見るとその差は明確です。右がトラペジウムに該当するクロマフレア顔料で、左がそれより新しく出た同社の顔料を使った物=CF-PRGです。マイクにも塗っているので後ほど詳しく紹介します。

こちらもマジョーラのラインナップには無い、クロマフレア顔料を使った色で、

元々当店にあるNo.19と似た色となっていますが、

やはりと言うか色が変化する境界がハッキリとしていて、粒子感も細かく、そして均一に、輝度感も高いのが特徴です。一言で言うと「深みがある」といった感じですかね。

マイクは専用のページで紹介するのでちゃんと撮影しておきました。

とは言ってもいつもと同じく画像の編集はサイズの縮小のみで、それ以外は撮ったままとしています。

この手の色はコントラストを強調するだけで断然格好良くなるのですが、塗装を仕事としてやっている身としてそれはナンセンスですし、私が依頼する立場だったらそういう所には依頼したくないですからね。インスタやTwitterでは加工しまくった画像が散見されますが、いつか嘘をついている自分に疲れてしまうのではと心配しています。

こちらはトラペジウムに似てそうでは無いクロマフレア顔料=CF-PRGの色となります。

塗料の説明としては「トラペジウムと比較してレッドが明るい」とありますが、赤味というか「オレンジ味」が強いといった感じです。トラペジウムの方は青味あります。

トラペジウムに比べて色も濃く感じるので、どちらが良いかと言うと私的にはこちらなのですが、売り方としては「マジョーラのトラペジウムと同様」と言えた方がユーザーの受けは良さそうなので、難しいところですね・・・。

こちらはアンドロメダⅡに該当するCF-ANDⅡです。

この色はクドさが無く上品で、やはりと言うか間違いが無いですね。

こういった色相が変わる塗色は、多層構造を持つ光干渉型パールの大きな特徴です。偏光パールと呼ばれる方が多いと思いますが(実際その傾向がある色もありますが)、どちらかと言うと光干渉型寄りなので私はそう呼ぶようにしています。

こちらは最も色変化の激しい色で、マジョーラで言うと「アンドロメダ」となり、今回使ったクロマフレア顔料もそれと同じ物となります。当店ではCF-ANDとしました。

ちょっとクドイ所はありますが、派手さを好むマイクの塗装には向いていると思います。

ただクロマフレア顔料を使った塗料はどれも高額なので、通常の3コート塗装割増にさらに追加費用は必要になると思います。スプレーガンのグリップを握る度に数百円が飛び出るといった感じなのでちょっと恐ろしいですね(笑)。

ちなみに出来上がった色見本はこんな感じで工場の壁に飾っています。

単に飾るだけでは無く、色の検討&検証する際には外して持ってそれぞれ比較して、本塗りの時にも色に差異が無いかの確認など、かなり重宝しています。まさにこれのお陰で今の小物塗装の仕事が成り立っていると言っても過言では無いかも知れません。

現在は工場に受付窓口は設けていませんが、いよいよ塗装屋としてこれはダメだという感じなったら(目に見えて仕上がりが劣るようになったら)私は現場を引退し、若い塗装屋さんにでも間借りで入って貰って、私はフロント業務のみ行う元請け業にでもなろうかと考えています。そしていずれ工場の設備をそのまま譲り、私はマイクとかリモコンキーとか小さい物だけを塗って緩やかに日々を過ごせていければと思ってます。

まあ家のローンがまだ20年以上残っているのでそんな隠匿生活は夢のまた夢ですが(笑)

STANDOX+クロマフレア

クロマフレア顔料と言えば日本ペイントのマジョーラが有名ですが、その他の塗料メーカーでもこれと同じが顔料を使った塗料は販売されています。

上記の画像はDUPONT社(現アクサルタ)の「クロマリュージョンカラー」の色見本帳で、この他にはロックだと「ロッククロマシリーズ」、イサムだと「TCパールコンクPRTRモルファ」とかですね。

特種塗料と言うかクロマフレア顔料

私が使う独スタンドックスの塗料にもクロマフレア顔料を採用した原色はあるのですが、この場合それ単体ではなく、他の色と混ぜて作ったパッケージ色=「standox xclusive line」として販売しています。混ぜ物なのでクロマリュージョンカラーやマジョーラ程の強い変化が無い色が多く、しかも最初に作ったロットで終わりなので、それらが無くなったらもう二度と同じ色では塗れない!という、何かしらのコンセプトが無ければ敢えて使うような事はなさそうな謎設定だったりします。

また上記のサイトではさらに既存のExclusive Lineを補完する「Special Effects Paints」なる新色も出ているような事が書かれていますが、多分これらもクロマフレア顔料単体では無さそうで、派手にしたい小物塗装の場合にはこれらの色では物足りないんですよね。

だったらマジョーラをそのまま使えば良いんじゃ?と思うかも知れませんが、塗装は「ベースコート+トップコート」の組み合わせで塗膜として完成するので、そうなると今使っているSTANDOXの塗装としては使えない(嘘&偽物)になってしまうのでNGなんですよね。かといって日本ペイント社製のベースコート=アドミラの黒とクリアーを使うのはダウングレードでナンセンスな気がしますし…。

と言う訳なので、今まではこういったパウダータイプの顔料を取り寄せ、

それをSTANDOXのベースコート用樹脂=MIX599に添加してスタンドックスの塗装システムとして使っていたのですが、

これだとどうしても「クロマフレア風」や「マジョーラ調」と言った感じで本物感が無かったので、

今回新たに本物のクロマフレア顔料「ChromaFlair」を使った、STANDIXの樹脂で塗料を作ってくれる塗料屋さんを見つけました!

元々は釣り具等の塗料を扱っているそうで、それ単体では販売不可能なクロマフレア顔料を、こちらが指定した樹脂=STANDOX MIX599に混ぜて貰える事になったのです。

上の画像に映っている塗料缶がスタンドックスのベースコート用樹脂=MIX599で、これ単体だと色は付かなく、例えばこれに黒の顔料を混ぜて黒としての原色=MIX571を作る、といった感じになります。今まではこれに上記のようなパウダータイプの顔料を混ぜたり、キャンディーカラーの場合はそれ専用の原色=例えばハウスオブカラー社のKKシリーズを添加して使っています。

ちなみにクロマフレア顔料は上記のような粉状ではなく、若干溶剤を含んだ湿った状態で流通しているとの事で、とてもセキュリティが高い物なので製造メーカー=米JDSU社と契約していなければ入手は不可能、代理店からの小売りでも顔料単体での販売は出来ないという事で、こちらが指定した塗料=MIX599に混ぜて貰い、今までこの世に存在しなかった「STANDOX仕様のクロマフレアカラー」を作ったという訳です。

と言う訳で、早速色見本を作成する事にしました!

色相変化の強い色はマイクでの需要が高いので、樹脂で作ったそれらの素体と、

あと壁に飾っておけるプレート型の色見本も作成しておきます。

また後日知り合いの塗装屋さん(GUNさん)とマジョーラとの色の比較をする為に、BLACKRABBiTガチャのDIY用素体(未塗装品)にも塗っておく事にしました。

下色に黒のベースコートを塗り、それぞれの塗色を重ね、最後にクリアーを塗って本塗り完了です。

今回お世話になった塗料さんでは、マジョーラカラーにあるコスモセレクション6色と、さらにそれには無い3色のラインナップがあり、今回はその内の6色を使っています。

こちらはマジョーラで言う「セイファート」で、ただ日本ペイントの要素は全く入っていないので、当店では「CF-SYF」と呼ぶことにしました。

こちらは同じくマジョーラで言う「アンドロメダ」ですね。同じくクロマフレアと頭の文字を使って「CF-AND」としました。

こちらも同じくマジョーラで言う「トラペジウム」なのですが、今回はこれに似た色=新顔料も入手しています。ぱっと見はほぼ同じ色なのですが、比べると新色の方が色の変化が強く、どちらを使うといえば新しい方が断然良い感じです。

こちらはマジョーラカラーには無いクロマフレア原色で、「CF-STB」と呼ぶことにします。

こちらはマジョーラで言う「アンドロメダⅡ」ですね。かなりメジャーな色です。こちらは「CF-ANDⅡ」と呼ぶことにしました。

塗った物それぞれを比色するには3次元形状の立体物と、

平面状の物があると判り易いので、それぞれを組み合わせた色見本プレートを作成し、後日改めて検証しようと思います。今回も全くお金にならないどころか高額な材料費で赤字必至ですが、こういった事をやってようやく新しい仕事が出来るという事もあるので、やはりというか地道に続けていかないとですね。

スバルエンブレム クロマフレア風塗装

こちらは以前施工したスバル純正エンブレムで、表から見ると透明なアクリル樹脂にメッキの六連星と青色の背景が施されています(本件とは関係が無く、作業前に撮影し忘れた為の参考画像です)。

それを裏から見るとこのような状態になっていて、

それらを全て除去すると、このような状態となります。先ほどの物とは違い、こちらは私物として購入した物となります。

尚、この辺の作業については以前施工した同型製品の記事が判りやすいかと思いますので、宜しければそちらをご参照くださいませ。

色は当店規定の光干渉型パール=クロマフレア風H07Rで、海外から取り寄せたパウダー顔料を、スタンドックスのバインダー(MIX599)に添加して塗料を作成しています。

プラスチックプライマーを塗布し、先ほどの光干渉型パールを塗布しました。ただこのままだと透き通ってしまう為、この上から黒を塗り、

表面から見るとこのような色味になります。全体には塗らず、星の部分を塗るようにしています。

色の変化については動画の方が判りやすいかと思います。

その後凹んだ星部分以外の塗装を削り落とします。

表から見るとこのような感じになります。

その後同じようにして裏側に2色目を塗装し、表側を研磨してプラスチックプライマーを塗装、

クリアーを塗って本塗り完了です!

それぞれ違う色ですが、透かしはどちらも同じ色味=ゴールドなのが判ります。顔料自体は同じ物を使っていて、その表面にコーティングしている素材を違う物に変えているのかと思います。

背面に使用しているのは当店規定のクロマフレア風No.4で、暖色系でピンクっぽい色味が私的に気に入っています。

こちらも動画があるので紹介しますね。

枠のメッキは艶ありの黒が合うと思いますが、若干ブルーパールが入ったりしても面白いかな~と思っています。前に塗った物が合えばそれで良かったのですが、微妙にサイズが違いました…。

他の色の組合わせも進行中で、それらも含め進行・完成しましたら改めて紹介をさせていただきます。

ヤマハセロー カウル塗装 本塗り

先日下準備を行っていた私物のヤマハセロー(DG17)カウル一式です。一年の締めという事で自分の物を塗らせて頂きました。

シートカウルは下部に黒い梨地パーツが溶着カシメしてあって、仕事だったら外して塗るところですが、自分の物なのでマスキングで対応する事にしています。

被塗面は未塗装で、白いPP=ポリプロピレン素地となります。

こちらは中古で買ってボロボロだったライトカバーですね。中央の穴はドライブレコーダーのカメラを嵌るために開けた物となります。

フロントフェンダーは元々車体に着いていた黒い物で、こちらもサフェで下地を整えておきました。

まずは裏側にプラスチックプライマー→ベースコート を塗布します。これは今回違うルートで調べたので定かでは無いのですが、純正品番は3C5-21721-30、一個¥1,760で買えるみたいです。ちょっと安過ぎる気がするので、多分何かの間違いだと思うのですが・・・。

こちらはフューエルタンクの横に着くカバーで、左右どちらか判らないのですがヤマハの品番は3D7-2137X-00、こちらも違うルートから調べた金額は¥4,860でした。

ここまでのベースカラーは黒=STANDOX原色MIX571となります。

そして今回塗装する色です。ぱっと見は焦げ茶色に見えますが、

光が当たるとオレンジからゴールドに変化する光干渉型のパールとなります。

今回のセローは派手な色にはしたくは無く、ただ余り流通していない色という事で、海外から取り寄せたパウダー顔料をSTANDOXのベースコートバインダー(MIX599)に入れて使うことにします。

が!今まで小さい物にしか塗っていなかったから判らなかったのですが、大きい面積になると結構派手な気が・・・。

まあでも車(四輪車)と違って主に見えるのは側面ですから、車体に装着されればさほど派手さは感じ無いのでは、と思ってます。多分、きっと・・・(恐)。

最初は大根おろしで削ったみたいな状態だったこちらのカウルはパテとサフェで修正してあって、やはりと言うか自分の手で直せるというのはとても楽しい事ですね。

ちなみに今回は単に自分の楽しみの為!という訳では無く、ちゃんと仕事の一環にもなっています。

というのも、

現在主に使っているクリアー(クリスタルクリアー)とは別に、さらに高品位な物を導入しようという事で、知り合いの塗装屋さん(アッソガラージュさん)の紹介で、同社STANDOXのVOCエクストラクリアーを取り寄せてみました。いつも役立つ情報有難うございます!

今まで使っているクリスタルクリアーはとても気に入っているのですが、そちらに使用しているハードナーは一昔前のシステムの物で(MS)、いずれこの製品は廃盤になってしまう筈ですから、今のうちにこれに置き換えられるクリアーを使って慣れておこう!という作戦です。

と言う訳で本塗り完了です。やはりと言うかまあまあ派手な色で、まあでもマジョーラのラインナップに比べると比較的大人しい感じですし、中々見ない色という事でこれはこれで良いかと思います。

ちなみにVOCエクストラは基本的に1.5コート吹きですが、希釈率を規定の5%→10%にして2コート仕上げにしています。多分そういう所でVOC規制を抑えているのだと思いますが、そもそも塗料使用料が極めて少ない場末の小物塗装屋ではこの辺の事情は余り関係ない感じで、今回のカウル一式も四輪車で言えばドア1枚分程で済んでしまっています(主剤150g+硬化剤50g+シンナー20g)。

今回作ったクリアーの配合は乾燥が比較的早めの設定ですが、それでも塗り終わってからのレベリングは延々続くような感じで、

案の定、フェンダー先端から雫状のタレが発生していました。

まあでもこれもデータ取りの一環で、この後指でタレを拭き取る(と言うか表面張力で指に移動させる)というような事をやっていて、後日ここにエアー噛み(気泡の混入)等が起きたりしないかをチェックしています。結果はまったく問題ありませんでした。

そして翌日の余ったクリアーですが、

この時期(気温8℃以下)でも、翌日の朝にはしっかり固まっていました。

というのも、クリスタルクリアーの場合は次の日でも「もしかしたらもう一回使えるのでは?」という程に液体なままですから、となるとこちらもVOCプラチナクリアー同様、促進剤の類が入っているのは確実だと思います。ただ私的にはこれが余計な気もするのですが・・・(促進剤を入れたい時は自分の意志で使いたいです)。

完全硬化後のクリアー光沢感は素晴らしく、イメージとしてはクリスタルとプラチナの中間といった感じでしょうか。

今後さらにデータを取って、徐々に移行していこうかと思います。まずは車体に装着しての暴露テストですね!