SUBARUエンブレム 純正風両面テープ作成

 塗装のご依頼(仕事)でお預かりしているスバルの純正エンブレム(ボンネットバッジとトランクバッジ)です。

枠はABS樹脂に装飾クロムメッキが施されているのでそれ専用の下地処理を行ってから艶ありの黒に、レンズはスモーク塗装でご依頼を頂いていますので、まずはそれぞれを分解します。

この状態のまま密着剤(スプレー糊のような物)を塗ってスモークを塗れればどんなに楽かと思いますが、仕事ではそういう事はお受付していません。実際に以前一時期務めていた会社ではそういう事を日常的にやっていて(ダッジチャージャーのメッキパーツ全てをブラックメッキ風に!みたいな)、それがその後劣化して剥がれてしまって大変な事態に・・・という事がよくありました。剥がれるのは判っているので一応その場で意見はしますが、当時は雇われの身なので命令されればやるしかなく、しかし何故か後で責任を取らされる(または居ないところで陰口を言われる)と言う理不尽な事も何度か経験しまして、ただそれがサラリーマンの性として仕方ないとも理解しています。

このエンブレムは裏側に貼った両面テープで枠とプレートを固定しているので、まずはそちらを剥がします。

その前に、防汚の為のクッションテープ(エプトシーラー)を剥がしておきます。

 切れたら新たに同じ厚みの物で作り直そうと思っていましたが、幸いにしてそのまま再利用が可能そうです。新品なのが良かったのかも知れませんね。

 そして両面テープです。とても綺麗なのでこれを剥がすのは勿体ない気が・・・。

 これもまだ新品だった為か比較的簡単に剥がせました。板金塗装屋さんあるあるですが、強力な両面テープだとついつい集中し過ぎて、気が付くと親指の皮が摩擦熱(?)で火傷したようになってしまったりしますので。

 こんな感じで分解が完了です。

通常であればこれで(本来の)仕事は完了なのですが、

 今回は両面テープも先に作っておく事にしました。

 剥がした離型シートをスキャナーで読み込み、ライブトレースで輪郭を抽出します。精度は必要ないのでペンツールでベジェ曲線などを描く必要はありません(さすがにそこまでやっていると会社が消えてしまいます)。

 それをレーザーでカットします。まずは要らないコピー用紙を使ってテストカットしました。

 実際にエンブレムに当てて確認しました。OKですかね。

 その後剥離紙(クロネコヤマトさんの伝票に貼ってあるゴミ)に両面テープを貼り、

レーザーでカットします。

通常こういった厚みのある両面テープは専用のカッティングプロッター(多分数百万円するような機械)が必要なのだと思いますが、それの代用として、非接触でカットが出来るレーザーを使っているという感じです。

ただ両面テープによってはレーザーによってカットされた断面が炭化してしまい、黒い煤がそこら中についてしまうので、熱可塑性の素材(に近い成分の物)を使ったテープにする必要があります。今回使った、近年の自動車板金塗装業界では殆ど見ない両面テープはこの点が良いのです。

 余分を剥がし、なんちゃって純正風両面テープ(笑)の完成です。簡単そうですが、こういうのが作れるのが板金塗装屋さんの夢ですよね(ただ継ぎ目があるので厳密な一枚物では無いのですが・・・)。

これくらいなら手で切った方が絶対に早いのですが、車体に貼らないでそのままお渡しする場合、手作り感があるよりも純正っぽくなっていた方が気持ちが良いかと思いますので(単に私が気持ち悪いだけなのですが・・・)。

今回は精密さの必要ない作業でしたが、参考までに以前同じようにして作ったtodayのエンブレム用両面テープも紹介しますね。

この時はアクリル板からエンブレム自体を作成し、

それより少しサイズの小さい(オフセットした)両面テープを作りました。

エンブレムは艶消し黒に塗装し、それの少し内側に収まるよう両面テープを作って貼っています。これを個人でやる事がどれだけ凄い事なのか、判る人には判って頂けるのではと・・・。

その他の内容はこちらの記事からどうぞ。

念のためですが、エンブレムの製作や両面テープの作成は塗装の付帯作業であって、これ単体ではお受付していません。万が一にも間違えてお問い合わせなどされないようお願い申し上げます(タイトルにもあるよう、ここはPRO_Fitの業務とは関係のない個人的なブログです)。

todayエンブレム用両面テープ作成

today120先日本塗りを終えているホンダトゥデイ用の立体エンブレムです。オーナー様のご要望により、純正のシールを基に3ミリ厚のアクリル板を加工してオリジナルのエンブレムを作成して艶消しブラックの塗装を施しました。

しかしこのままでは市販品のエンブレムのように車体に貼ったり出来ないので、最後の仕上げとしてエンブレムの裏側に両面テープを貼り付けます。

ただ車の板金塗装屋さんなら判ると思いますが、実はこれが一番大変な作業だったりでして・・・(まあ普通ここには拘りませんが)。

today122と言う訳で、ジャジャーンと!今回色々調べて探し出したアクリル両面テープです。と言ってもいつもの普通の3Mのなのですが(笑)。

いや、でもこんな色のパッケージは見た事が無いのでちょっと期待しています。

today132両面テープ用のデータも新たに作りました。エンブレムよりも一回り小さくして、貼った時に隙間から両面テープが目立たないようにします。これをまともにやろうとすると凄く大変ですよね(と言うか普通は無理です)。

today123 作成したデータを基に、レーザー加工機で切り出します。台紙にはテープがくっつかない剥離紙を敷いてます。

today124こんな感じで切り出しました。

ちなみに普段使っている両面テープはブチル系で、これをレーザーで焼き切ると断面が焦げてしまい煤が付いてしまうのです。結局それの掃除が大変だったので余り効率は良く無いな・・・、と思っていました。

today125今回用意したアクリル系の両面テープはその点断面がとても綺麗に仕上がり、焦げると言うよりは「溶ける」といった感じです。もう本当に素晴らしく、諦めないで良かったです。

ちなみに普通こういうのは専用の裁断機(恐らくは超音波カッターを使った業務用のカッティングプロッター)で切ると思うのですが、多分数百万円とかしてどうやっても元が取れないので買えません。なので何とかしてレーザー加工機を利用して切れるようにしたかったんですよね。

today126 カットした両面テープを塗装したエンブレムに貼っていきます。ただ意外にこれが結構大変でした・・・。

today127 そしてそれぞれバラバラになったエンブレムを元の形にまとまるようにします。さすがにあのままではオーナー様も困ってしまいますしね。

これに利用するのはカッティングプロッターでカットしたマスキングシートで、切り抜いた部分にそれぞれのエンブレムを貼っていけば元の位置にピッタリ収まるという算段です。何よりこれならワンタッチで台紙が剥がせるので、これはもうまるで純正品のよう!みたいな感じですよね。

today128 両面テープの台紙を剥がしてみるとテープがエンブレムより少し内側になっているのが判ると思います。たったこれだけの事なのですが、一点物でここまでの事が出来るなんて夢のような事なんですよ。

today129 こんな感じで抜いた部分にエンブレムを貼っていきます。今回これだけが楽しい作業だったかも知れません(笑)。

today130 余分を剥がして遂に完成です。思っていたよりも5倍くらい大変でした・・・。

today131ちなみに車体に貼り付ける場合は透明なアプリケーションシート(転写シート)を貼って下の台紙を剥がし、貼りたい位置に合わせて一度に貼り付けます。アプリケーションシートも同封しておきますので使う直前にこれを使って下さい(または普通のマスキングテープでも大丈夫です。と言うか一度にやろうとすると脱落が怖いので私だったらそうします)。

アウターハンドルカバーの方がそろそろ完成しますので、後日こちらもそれと一緒に紹介しますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!