色見本キーホルダー ビアンコフジ完成

趣味で作っている色見本キーホルダーですが、新たにフェラーリ純正色ビアンコフジ=「BIANCO FUJI/ITALIA」(カラーコード:226027)を枠に塗装したモデルを作成しました。

ビアンコフジについては仕事で何度か塗っている色で、

フェラーリ488のリモコンキーカバーや、

フェラーリ458のリモコンキー等で何度かの施工事例があります。

スタンドックスのホワイトパール原色は現在4種類があり(MIX801,826,829,836)、このビアンコフジではその中でも古いタイプのMIX801が使われています。昔ながらの暖色系=黄色味のあるパールといった感じで、近年良く見る粒子が細かく抜けの良い寒色系パールに比べるとクドい感じがするのですが、今回程の小さいサイズだとむしろそれが贅沢な感じで丁度良くなっています。

ちなみにフェラーリの車体ではソリッドカラーの白なら何度か塗った事がありますが、ホワイトパールは経験が無く、最初にご依頼頂くまでその存在自体知りませんでした。

今回のキーホルダーではそのビアンコフジを枠の部分に採用しています。

色相環の部分は厚さ3mmのミラーアクリル板をレーザー加工機でカットし、12種類のキャンディーカラーで塗装を施しています。

色相環の背板には、シルバーホログラムラメを採用しています。

色見本キーホルダーに採用しているホログラムラメは、「ラメ」と呼ばれる中では比較的粒子の小さい物ですが、それでもこういった塗装は通常自動車補修に使われる事はありません。この顔料を埋める為にはクリアーを厚塗りする必要があり、そうなると塗膜限界を超えてトラブルが生じてしまう為ですね。

なのでこちらのキーホルダーでは、透明アクリルの裏側からラメを塗る事で膜厚が大きくならないようにしています。ラジコンのポリカーボネートボディを塗る場合と同じような感じですね(なので裏側は凸凹でザラザラしています)。

ちなみにショーカーに見るようなラメ仕様はあくまでも室内展示が基本であって、一般的な自動車のように屋外で長時間雨風紫外線に当たり続ける使い方とは別の物となります。なので実用がメインな自動車補修用塗料ではその設定が無いんですよね。塗装の役割は主に「美観」「保護」「識別」で、用途によってそのバランスが違うといった感じです。

文字等のドロー部については、黒では無く「グレー」を採用しています。

またグレーも、単に白と黒(STANDOX MIX570+MIX571)を足すだけでは青味のある寒色になってしまうので、今回の暖色寄りなビアンコフジのホワイトパールには合わないですから、新たに作った黄色味のあるグレーを採用しています。

作業的には黒の方が楽なのですが(特に修正時)、黒だとコントラストが強すぎる気がしたので、今回は柔らかい感じでグレーを採用してみました。

近々ウェブショップで販売を開始しますので宜しければご検討くださいませ(ただ開始1分程度で売り切れてしまいますので、事前にXの当アカウントから開始日時の告知を御確認頂き、予めログインID登録をして直ぐに買える状態にしておく事をお勧めいたします)。

その他には、枠の色はビアンコフジのままで、背板とドロー部(文字)の色をピンク系にした物も作成しました。

ドロー部に塗っているのはただのピンクでは無く、蛍光顔料を混ぜた塗色を採用しています。線が細い箇所だとただのピンクでは背景に埋もれてしまい文字が見えにくくなってしまうので、蛍光顔料で発色を良くして輪郭をはっきりとさせています。意外に色々試行錯誤しているんですよね。

全体のデザイン自体は初期の頃から変わっていないのですが、レーザーカットする始点などを工夫したりして細部の仕上がりが良くなるようにもしています。効率化もかなり進化しました。

一見すると大量生産された工業製品ですが、実はハンドメイド!というのが私的な理想で、地味な作業を積み重ねていって昇華させていく過程と様が好きです。

こちらは同じピンク系でもちょっと派手過ぎるラメで、さすがにこれは使い道が無いなと思っていたのですが、

今回のビアンコフジとピンクの文字の枠に合わせてみると意外にも良い感じになりました。既存のピンクラメがソメイヨシノとすると、こちらは芝桜といった感じですかね。

私が仕事で使う「色」は絶対音感のような基本の部分というのが存在しなく、強いて言えばそれは塗料原色にあたると思うのですが、混ぜ物のないそれらの色=例えば青の場合だとそれ単色では黒にしか見えないので、色相としては殆ど参考になりません。

なので重要なのは他の色との組み合わせ=「比色」であって、それぞれ隣り合う色や、面積の比によってどのように見えたりするのかに重きが置かれます。それぞれの色を単色で見ても余り意味は無く、白でも黒でもとにかく他の何かの色と比べる事が重要で、厳密に言うと色(色相)だけでは無く「明度」「彩度」、そして粒子感や輝度感、フリップフロップ性など多岐にわたります。

という事で、2種類のピンク系ラメを採用した背板のキーホルダーを並べてみました。左が既存のピンクホログラムラメ、右が「これは使えないな」と思っていた派手なピンクラメです。

ただ好みについては人それぞれですから、7月に出店するデザフェスではこれらを隣同士に並べ、どういった方が買ってくれるのかを検証してみたいと思います。

ちなみにその他にも、見る角度で色味が変わるクロマフレア系顔料を使った背板も作っていたりします。こちらは当店規定のNo.64ですね。

ピンクというよりは紫系なのですが、クロマフレア顔料(本物)には無い色味の物で、私的に気に入っている色でもあります。ただやはりラメや結晶塗装のような立体感が無いので何か物足りないんですよね。

ただ色相が変化するクロマフレア系カラー(所謂マジョーラ)は一般の方には人気があるので、実物を見て貰えるデザフェスのような催しは結構面白かったりします。

ご興味のある方は是非!

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色見本キーホルダー グラデーション塗装

 先日行った色見本キーホルダー制作ワークショップではクロマフレアカラーを使える事にしたのですが、やはりと言うか不安もあったので事前にサンプル品を作る事にしました。

使った色は先日新たに導入したCF-AND=マジョーラアンドロメダに該当する色と、ピンク系のクロマフレア風No.64の2色となります。ちなみに画像だと「ANDⅡ」となっていますが、直前にANDに変更しています。

枠のパーツは裏側から塗装する方法となるので、クロマフレアカラー→黒→クリアーの順番となっています。

背板と4ピース色見本のパーツは表側から見るので、黒→クロマフレアカラー→クリアーの順番となっています。左がアンドロメダに該当するクロマフレア顔料で、右がピンク系のクロマフレア風顔料です。それぞれ見る角度で色相が変化します。

完全硬化後、枠のパーツを裏側からレーザー彫刻→カットを行います。

販売用キーホルダーの場合はA3程のサイズのアクリル板前面に塗装してからレーザー彫刻&カットを行うのでまだコストを抑えられますが、グラデーション塗装等の塗り分けとなると位置を合わせる為、今回のように治具に嵌めて個別にレーザ加工をする必要があるので、ワークショップだからこそ出来る感じですかね(出来ない事は無いのでいずれ量産もしてみたいですが)。

レーザー彫刻を行ったドロー部も通常はSTANDOXを使っていますが、今回はワークショップと同様、模型用の塗料を使って行いました。

台紙を剥がすとこんな感じです。

グラデーションで塗った枠は2セット分ありますが、ワークショップ本番ではこれのどちらかを使って作ります。というのもレーザーカット&彫刻はちょっとした事で使い物にならなくしてしまう事があるので、片方は予備用といった感じとなります。画像だとグラデーションの配色を上下逆にしてしまった場合といった感じですね(これは敢えてですが間違えた場合は取り返しがつかないので)。

4ピース色見本キーホルダーはおまけ的に作れる物で、こちらの黒枠か、

白い枠のどちらかで作れます。

ドロー部の色はそれぞれ選んで塗って貰っていますが、ここで結構時間が掛かってしまっているので、今後はこれは予め塗っておくか、もしくは本番前(塗装した方の枠部品)の手本としてその場で私がやるようにしようかと思っています。

尚、色見本キーホルダーの制作ワークショップで使える色数は「4色」までですが、

クロマフロア系の塗装は下色に黒を塗った「3コート塗装」となる為、これ1色で「2色分」の扱いとなります。

ただ「黒」も可能ですので、実質今回の場合だと「CF-AND」「No.64」「黒」の色見本を作成しています。

なので今回の背板の部分を「黒」にする事も可能です。

またはクロマフレアカラーを1種類に留め、その他の色(2コート塗装)を2色使うという事も可能です。

まだ参加したいという方がいらっしゃいますので次も同じ内容にする予定です。

開催する際は事前にSNS(X)でご案内しますので、宜しければそちらをチェックしておいて頂ければと思います。

クロマフレアカラー入荷

以前にも何度かお願いしている塗料屋さんから、新しいクロマフレアカラーを購入しました。通常では入手できない米JDSU社のクロマフレア顔料「ChromaFlair」を、STANDOXの塗装システムで使えるようにした仕様ですね。尚今までは缶に詰めて貰っていましたが、小分けする際に零してしまうので今回からプラスチック製のボトル容器に変更して貰いました(シールは私が作った物を貼っています)。

という訳で、今回はマジョーラのアンドロメダに該当する色=当店規定CF-ANDで枠を塗りました。

正面はグリーン味があり、

そこから青、

さらに紫、

さらにオレンジへと変化します。

ちょっとクドいので大きい面積では敬遠しがちですが、平面で小面積の場合はこれくらい変化が強い色も面白いかと思った次第です。尚、背板はブラックホログラムラメを採用しています。

こちらは枠は同じで背板を黒の結晶塗装にした物となります。

結晶塗装はこれまで使っていた塗料=焼付リンターが廃盤になってしまったので当店としても受付を停止しましたが、残っている塗料は多少あるので、キーホルダーのパーツ程度ならまだこれからも作っていけるかと思っています。

こちらもある程度の数を作ったら今年7月に開催されるデザフェスでの販売と、ウェブショップでも購入できるようにしようと思います。

ちなみに細かい事ではあるのですが、アクリル板をレーザーで切る際、スタートとゴールの地点をその都度変える事でつなぎ目の段差が出来る事を防止しています。言わないと(言っても)気がつかないような些細な変化ですが、少しずつでも仕上がりが良くなっていくのが結構楽しいです(逆を言うと以前作った素材がちょっとでも気になると使いたくなくなって捨ててしまうという傾向にあり、利益率が上がるどころか益々赤字路線が増える一方で…)。

ワークショップ用にこの色を使ったグラデーション塗装を行ったサンプルの画像もありますので、そちらも後日紹介しようと思います(纏めてしまうとあと後から記事を探すのが難しくて)。

色見本キーホルダー【ホログラムラメ】

元々使っていたシルバーホログラムラメとブラックホログラムラメが無くなったので、それの注文のついでに新たに着色系ホログラムラメを入手してみました。

ホログラムラメはパウダー状になっていて、通常はこれを塗料に混ぜて使うのですが、それだとしっかり隠蔽させるのが難しい為、

私の場合はこの様な感じで先にクリアーを塗ってからラメパウダーを振りかけて敷き詰めるような手法にしています。ちなみにラメパウダー用のスプレーガンも持っていますが、あれ周りに飛び散って酷い事になりますよね…

また今まで使っていた容器では小さいので、ペットボトルの蓋に穴を開けて振りかけられるようにし、

作業方法も大幅に変更する事としました。元々先にレーザーカットした物を並べてラメを振りかけていましたが、先にアクリル板に塗装&ラメ塗布を施し、

その後レーザー加工機でカット&彫刻する方法に変更しました。これは材料のロスも減ってかなり有効でした。やっていくうちにどんどん効率が良くなっていくのが結構楽しいですね!

という感じで完成です。

枠は以前マイクの塗装で採用した蛍光マゼンタで、その時よりもホログラムラメを多めに散りばめています。

色相環の背板はこのホログラムラメを単体で使った物となります。こちらはノーマルのシルバーホログラムラメですね。スポットライトや太陽下で煌めきます。

枠のラメはちょっとやり過ぎた感が否めませんが、デザフェスの照明下だとこれが結構効くので今回はこの仕様としています。

文字はピンクとか紫とかグリーンとか色々試しましたが、余分が出てしまったりストックの大変さから基本的には白で統一する事にしました。

こちら一つだけ背板を変えた仕様となります。

ブラックホログラムラメも同じようにスポットライト&太陽光線で光煌めくので、これはこれで面白い組み合わせだと思います。もっと黒いメタリック等でも良さそうですね。

裏側にはそれぞれのRGB値をレーザー彫刻&白で塗装しているので、アクセサリーだけでは無く実用でも役立つようにしています(私的にはどういった物でもここに拘ってます)。

そしてその後さらに進化したのがこちらの着色ホログラムラメで、

枠は先ほどと同じく蛍光マゼンタ+シルバーホログラムラメなのですが、

背板を着色ホログラムラメのピンクにしました。これはめっちゃ可愛い・・・!

これ単体で見ると枠の蛍光マゼンタに同化して判り難いのですが、先ほどのシルバーラメと見比べると全然違うのが判るかと思います。私的にはとても気に入ったので、今後ウェブショップでも販売出来るよう定番ラインナップに入れようと思っています。

そしてこちらは定番のブガッティティファニーグリーン仕様ですが、

こちらも背板を着色ホログラムラメに変更しました。これもめっちゃ良いですね!

こちらの背板は水色系のホログラムラメで、

同じく強い光に当たると通常の塗装では得られないような煌めきを感じられます。

こちらもかなり気にいったので、定番ラインナップに入れてウェブショップで販売出来るようにと考えています。塗装屋を引退しても何とかこれで食べていけそうですかね(笑)

ちなみにこちらの社外記は更新のペースが落ちてしまいましたが、こういった日々行っている本業以外の作業はSNS=X(旧Twitter)で大体毎日紹介しています。

↓こちらですね。

 

尚、あれだけ作っていた色相環のピースが無くなってしまったので、こちらも増産しました。ちなみにこれは塗るよりピースを並べる方が大変で、ただこれを仕事場で行おうと仕事に支障が出るので(みるみる会社の口座残金が減っていくので)、こういった作業は全て自宅に持って帰って行っています。塗るのも本来休みだった土曜日とかを利用している感じですね。

元々一番最初のデザフェスではそこまで売れていなかった色見本キーホルダーですが、

こういった作業工程を紹介しているうちに徐々に見てくれる人が増えていって、

前回のデザフェスでは予想以上の数をお迎え頂いて本当にびっくりしました(それ以上にその状況にGUNさんも驚いていたのが面白かったです笑)。

予想以上に買って頂けた理由としては、単に「アイデアだけを出して製造は外注依頼」という商業的な感じでは無く、実際に一個一個手作業で作っているのを紹介出来たのが良かったのだと思っています。

これを仕事と考えると今はまだ赤字ですが、今の工場を返した後でも仕事として塗装を続けていける手段の一つに出来ればと思っています。