真空脱泡&透明レジン比較

rabbit3 先日新しいドライポンプとクリスタルレジンNEOを使って真空脱泡注型を試みた溶けたウサギです。離型剤を綺麗に取り除き、表面に軽くペーパーを掛けて均しました。

このままでは気泡の具合が判り難いので、クリアーを塗って艶を出します。

rabbit5 クリアーを塗りました。仕事の序でなのでリッチにクリスタルクリアーです。

rabbit7 耳の外側に何カ所か気泡が見られますが(画像では見えません)、初めての仕様としては中々良い感じに出来たと思います。

rabbit8 その後熱を掛けて完成です。前回テスト的に透明ポリエステル樹脂で作った物と並べて比較してみました。

rabbit9 こちらの黄ばんでいる方が透明ポリエステル樹脂で、最初に購入したドライポンプでテスト的に行った物ですが、かなり気泡が入っているのが判ると思います。

ちなみにこれらの溶けたウサギ「TOROBBiT」はアートトイぺインターのGUNさんから頂いた未塗装品の物を、許可を頂いてシリコーン型を作って個人的に楽しんでいます。

rabbit10 ポリエステル樹脂で作った物と比べると、新たに作成したエポキシレジンのこちらは黄ばみも無く透明感があってとても美しいです。

rabbit11 気泡が多く入った理由としては、ポリエステルレジンは可使時間が短い為、気泡が消える前に樹脂が固まってしまうのが原因だと思います。反応が始まるまでは3分くらいでしょうか。

rabbit12 それに比べるとこちらのエポキシレジンはカタログ値で可使時間が70分とかなり長めで(実際この高温多湿な時期だと30分くらいだと思います)、真空脱泡機を使っての減圧→常圧戻し(加圧)を3回くらい繰り返す余裕があったので気泡もしっかり抜けたのだと思います(またはもしかしたら常圧のままでも綺麗に出来るのかも知れません)。

rabbit13 下から見ると何故か背徳的に感じるのは気のせいでしょうか・・・。

rabbit14 それにしてもこちらの透明ポリエステル樹脂、単体で見ている分にはかなり透明に見えていましたが、こうやって並べて比べてみるとかなり黄ばみが強いのが判ります。最初はこれでもかなり良い方だと思ったんですけどね。

rabbit15 対してこちらのクリスタルレジンNEOの方は相当透明なのが判ると思います。ただしこれでもいつも塗装で使うクリアーに比べると多少青黒いんですけどね。

rabbit17 ちなみに右耳(画像だと左側)中央辺りに極小さい黒い毛ホコリが混入していて、なるほどかなりしっかり仕上げる場合は塗装と同じくストレーナー(ろ紙)に通さないとダメな事も判明しました。まあでも繊維の形が立体的に見えるのでこれはこれで新鮮で面白いのですが(笑)。

rabbit18先ほどのとは関係ありませんが、こちらは普段FRPの補修として使う不飽和ポリエステル樹脂(リゴラック)で、内部にはあり得ない程気泡が混入しているのが判ると思います。ゴミではなく殆ど気泡です。

こちらは可使時間が一分くらいしかないのと、そもそも注型用では無い物ですのでこれが普通です。

factory19そういえば真空脱泡装置を作る前にはこんな物も用意してたりしました。ポリエステル樹脂に使用可能な「消泡材」なる添加剤です。

樹脂中に数%程添加すると泡が消え易くなるとの事で、ただデメリットとして白濁りするらしいので出来れば今回のような用途には使いたくなかったのです。ただ幸いにして(か)結局その後怒涛の勢いで真空脱泡化が進んだので出番は全くありませんでしたが(笑)。

後は場数を踏んで、目指すは大量生産ですね!(多分間違い)

真空脱泡実践

pomp17 先日購入した注型用透明樹脂、「クリスタルレジンNEO」です。現在進行中のトヨタのスマートキーに極小トヨタエンブレムを埋め込み、琥珀よろしく透明な樹脂で固める為に取り寄せてみました。と言っても普通にamazonで買っただけですが(笑)。

ビスフェノールA型のエポキシと言うとどうしても「褪色」(黄変)が懸念され、私的には既に耐候性テストも終えたポリエステル系の透明樹脂を使う予定だったのですが、この製品はその点がとても優れているらしいのです。

epoxy ちなみにどういう物か、手元にある参考書で調べてみました。以前当店を担当してくれているオートサプライヤーさんがかなりの変人なので(笑)こういうマニアックな本を届けてくれるのです。

epoxy1一応一通り読んでいたのでこういう製品があるのは知っていましたが、多分今回のクリスタルレジンNEOもこういう物だと判るので安心して使えます。ベンゼン環をシクロヘキサン環に変えた環状脂肪族樹脂=水素添加ビスフェノールAと言う訳ですね(多分ですが)。

pomp29 実際に出してみると若干青黒み掛かっています。うちで使っているスモークを間違えた垂らしたような感じでしょうか。

pomp19 通常は気泡を立てないように大人しく注ぎ込むのですが、今回はテストと言う事で上から勢いよく流し込んでみました。特に左にある極小トヨタエンブレムは樹脂が全く流し込まれていません。と言うか思ったいたよりも粘度が高いです。もっとサラサラかと思っていました…。

factory34 と言う訳ですが、無事設置も完了したドライポンプです。油回転型に比べると密封度が低いので真空脱泡には向かないという事実を後から知ったのですが(苦)、油を排出しないので塗装現場の、しかもコンプレッサーの上でも大丈夫です(ただしまだちょっと不安なので排気はホースで他に逃がしていますが)。

pomp20 早速ポンプを回してみました。-0.094くらいまでは数秒で達して、その後数分掛けて目盛りの位置=-0.096まで到達しています。真空の目安となる-0.1Mpaには届かないのですが、まあ仕方ありません。

pomp21 減圧すると樹脂中の気泡が大きくなり、浮力で上に浮いてくるらしいです。

pomp22 こちらは車型のシリコン型です。

pomp23 その後様子を見ながら、減圧→常圧に戻すを3回程繰り返してこんな感じになりました。

ちなみに「加圧脱泡」と言う方法もあるのですが、今回のような真空脱泡では減圧した状態から常圧に戻す時にそれと同じ作用が働くらしいです。

私も詳しくは無いのですが、こちらの「ねこぱんちのブログ」を参考にして納得出来ました。メールにてご教授・ご紹介頂いた方もいらっしゃいまして、色々と有難うございました!

pomp24 実際にやってみて判ったのですが、今回最も効果的だったのは「可使時間が長い」と言う事だったと思います。

今まで使っていたポリエステル系の樹脂は数分で反応が始まるので脱泡が間に合わない感じでしたが、今回のクリスタルレジンNEOはエポキシ系なので可使時間が長く(確か70分)、その点で脱泡し易いのだと思います。恐らくはわざわざ真空脱泡などせずとも勝手に泡が消えていってくれるのでは、と思う次第です(と言うと今までの苦労が水の泡なので信じないようにしたい所ではありますが・・・)。

pomp28 と言う訳で早速型からも外してみました。

ちなみに艶が無いのは最初に型を取ったマスター型自体がペーパーを掛けたつや消しの状態だったからで、ちゃんと艶々に塗っていれば複製も艶々になったと思います。普通はシリコーン樹脂を注ぐ前にラッカークリアーを塗ったりするみたいですね。

pomp26 ポリエステル樹脂を使った時のように痩せが無いので皺模様も残らず、綺麗な状態で出て来てくれます。これはスゲェ・・・の連発でした(笑)。

後日何かクリアーを塗る時にこれらも一緒に塗って艶を出そうと思います。

諸々が上手くいけば、いよいよトヨタスマートキーの本番の日も近いです。上手く行きますかね~(そっちは仕事なのでどうあっても上手く行かないとマズイのですが)。

ドライポンプ設置しました

pomp34 先日購入したドライポンプです。

部品が揃い、何とか場所も確保出来たので設置を行いました。

factory34サイズ自体はそんなに大きく無いので、コンプレッサーの上に置くことにしました。普通の油回転真空ポンプだったらかなりマズイ場所ですが、油を出さないドライポンプなのでその辺が安心です(ただ念の為排出するエアーをホースで他の場所に引いて様子を見る事にしました)。

factory36 と言う訳で早速試してみると、デジケーターの中は3秒くらいで一気に-0.09Mpaまで到達します。その後30秒くらい掛けて画像の目盛りの位置まで行きますが、-0.1までは少し及ばずと言う感じです。

で、どうやらちゃんと(今更!)調べてみると、そもそもドライポンプは真空度を求めるには不向きらしく、その点油回転式ポンプは油膜によって気密性が高まるので、比較的安価で真空を作るのに適しているとの事です。ただ蒸気みたいに油を出すみたいですけどね(恐)。

factory35ただ今回購入したドライポンプはとにかく耐久性が高いらしく、常にMAXパワー(100Kpa)を掛けっ放しでも大丈夫な模様です。限界値を示す赤い針が最高値に設定してあるなら、これは着けなくても良かったのでは・・・。

factory37 ちなみにこちらが二台目に購入した中古のドライポンプです。ドライポンプの特徴をしると、もしかしたらこれも壊れている訳では無く十分使える物だったのかも知れません・・・(-0.09Kpaまでは到達しました)。

ただ付属の圧力ゲージで限界値を示す赤い針は40Mpa辺りの設定となっているので、真空度を求めるのであればやはり不向きだったんでしょうね。まあ趣味で使う脱泡作業なら問題無いと思いますが。ちなみにこれらは工場二階に置いてブリスターパックなどを自作する真空成型(!)に使おうと思っています。むしろそっちの方が使えるんじゃないかと(笑)。

factory (1 - 1)-33それにしても工場の中は物が増えていって、ただこれ以上床面積が増える事は無いのでもう上方向に伸びていくしかありません。バベルの塔みたいにならなければ良いのですが(最後は崩壊、みたいな・・・苦笑)。

pomp29そういえば先日透明ポリエステル樹脂を使って注型して皺模様が出来てしまった溶けたウサギですが、一応今後の脱泡具合の参考にと、艶を出してみる事にしました。

blackノンパラフィンの不飽和ポリエステル樹脂だった為か表面がいつまで経ってもベトベトだったので、一旦シンナーで洗い流すようにして被膜を除去し、ペーパーを掛けて表面を整えました。

black1そしてクリアーを塗ってみました。

ただどうも透明感が足りないと言うか、樹脂自体が白濁りしているような感じです。またはペーパー目が粗すぎたのかも知れません(#320フィニッシュでした…)。

まあでもこれで中に混入した気泡が確認出来たので、今度どうやってこれを綺麗に無くしていけるのかを色々試してみようと思います。

ちなみにどうやら脱泡に重要なのは真空度自体では無く、「加圧すると気泡が消える」と言うヘンリーの法則の特徴を利用するようです(これも今更・・・)。

であれば、今回購入したドライポンプは減圧するスピード自体はとても早いので、樹脂が硬化する前に減圧と加圧(排出)を効率良く繰り返して上手く脱泡が出来るのでは、と考えています。ってどのみち工場内で油回転式のポンプは使えませんのでこれで何とかするしか無い訳なのですが(苦笑)。

 

新品ドライポンプ

rabbit-8698-2工場で食べる昼食はいつも豆腐なのですが、どうしても試してみたい事があってわざわざこちらのカップラーメンを買って来ました。先日作成したコンクリート製の溶けたBlackrabbitが、重さと良い、底部の面積と良い、絶対これは丁度良いだろう!と思っていたのです。

と言う冗談は置いておいて・・・(いや、結構満を期したのですが)。

pomp34 買ってしまいました!新品のドライポンプです。しかもクラス最高レベルの0.75kwのを・・・(実際そんなには要らなかったのですが)。

先日買った中古のドライポンプは中身が少々お疲れ気味だった為か真空には至らず、その後もう一個同じような物を買ってみたのですがやはりそれも-0.09止まりで(苦)、さすがにもうこれ以上の失敗は許されないぞ・・・と言う事で今回のこれに至りました。

pomp35ただしこちらは新品と言っても「棚卸品」と言う事で、実は普通売っている金額の半額以下で買えてしまったのです。まあ良かったのか悪かったのは別として…(苦笑)。

尚、排出量は330L/minと明らかにオーバースペックですが、まあ一生物と言う事でこれくらいあっても良いかな~と思っています(散財によるただの苦しい言い訳です)。

しかし届いてみて判ったのですが、これは今までのような汎用品とは違って工場の製造ラインにそのまま組み込むような代物のようで、これ単体では動かせません(苦)。負圧を調整するバキュームコントローラーや連成ゲージ、もちろん配管も自分で組まなければならず、しかも重量が30キロオーバーなので気軽に持ち運ぶ事も出来ません(苦)。と言う訳でとりあえずは設置場所の確保からですかね。

尚、先に購入した中古品の二台は、それぞれ分解して直れば新たにデジケーターを作って「真空脱泡機セット」として販売でもしてみようと思っています。色々と調べてみた結果、ドライポンプの不調の原因としては、内部に油やゴミが入るとモーターに直結された偏芯軸ローターから飛び出すカーボンブレードが上手く動かなくなって本来の能力が発揮出来なくなるらしいです。上手くいけば部品の交換などもせず清掃だけで直るみたいなんですよね。

既に必要な付属品はモノタロウに手配していますので、いずれこれが火を噴く日も近いです(本当に噴いてはマズイのですが。笑)。