砂鉄を固める

 かなり以前に試していた事なのですが、結果としては駄目だったので(と言うか私の大きな勘違いだった為)お蔵入りになっていたのですが、折角撮影もしていたので一応検証結果も含めて紹介しようと思います。

購入したのは砂鉄で、要は「注型した樹脂で本物の錆を発生させたい!」と言う事だったのですが、実は砂鉄は錆びない(!)という事を後から知りまして、結構ショックを受けていました。多分小学生くらいの頃に習っていたと思うのですが、全く記憶にありませんでして…。

 砂鉄そのままでは形を維持できませんので、いつもの透明エポキシ樹脂のクリスタルレジンを、いつものシリコーン型で固めます。

 主剤と硬化剤を混ぜた樹脂に、これでもか!と言うくらい砂鉄を入れてみました。むしろ砂鉄に樹脂を入れたような感じでしょうか。

 余りにも砂鉄を多く入れ過ぎたせいか異様に粘度が高くなり、掻き混ぜる度に空気を巻き込んでしまったので真空脱泡をする事にしました。

 その後さらにシリコーン型に注いだ後にも真空脱泡を行っていたようですが、確かこの後もまるで発泡ウレタンよろしく、型から樹脂が溢れだした記憶が…。

 と言う訳で出来上がったのがこちらの砂鉄ミニカーです。鉄と言うよりも、見た目の質感と重さはまるで石そのものです。

勿論ですが磁石によくくっ付きます(笑)。

軽く研いでみましたが、表面の樹脂分が無くなると全くペーパーの刃が立ちません。これ以上削るにはグラインダーが必要な模様です。

が!

その後全く錆びる気配が無かったのです・・・。

わざわざ塩を買って来て

数日食塩水に浸けてみたり、

バーナーを取り出して

炙って酸化を促してみたりもしましたが、

全く錆びる気配が無いのです・・・(と言うかプロパンじゃ酸化し難いと言う噂も)。

と言う訳で色々調べてみると(遅)、どうやら砂鉄は「磁鉄鉱」で、既に黒錆として安定しているからここから赤錆にはならない!という事が判りました。これって錆転換材を使った時と同じ事で、砂鉄は黒錆びだったと言う事にここで気が付きました・・・。

 と言う事だったのですが、先日こちらの社外記で「電解脱脂が一番間違いないんですけど、導電レジンとか出ないですかね~」といったコメントがありまして、いやいや、とっくにやってましたよ!と言う事で今回の紹介に至った訳です。まさか日の目を見る機会があるとは思ってもいませんでした。

 しかし電気は通りません(苦)。

恐らくは砂鉄の密度が足りなく、間に入った樹脂のせいで絶縁していると思い、

直接テスター棒を砂鉄に突っ込んでみると、

って、あれ?。やはり導電しません。

一体何故。

ここでようやくググってみると(Googleで検索してみると)、どうやら砂鉄=Fe3O4は絶縁体と言う訳では無く、鉄に比べると導電性が1/400程との事なので、今回のテスターでは視認出来なかった程の極僅かだけ電気が通っていたのかも知れません。

ちなみに赤錆(Fe2O3)は常温では絶縁体との事で電気は通さず、また磁力もありません。錆びた鉄が磁石にくっ付くのは芯にまだちゃんとした鉄が残っているからです。

と言う訳で結果は芳しく無かったのですが、色々試せたのでこれはこれで面白かったと思います。錆びない安定した被膜であれば、パネルボンドやオフホワイトなどの接着剤に骨材として混ぜて使っても良さそうですしね。摩擦には相当強くなると思います(しかしペーパーでは削れないと言う…)。

スマートキーカバー エンブレム取り付け

key27 先日本塗りを終えていたトヨタのスマートキーカバーです。

この状態だとトヨタのエンブレムは置いてあるだけで、残る最後の作業はこの窪みに透明な樹脂を注ぎ、表面をツライチにしよう!と言う事となります。イメージするだけだと結構簡単そうなのですが、失敗が許されないので中々辛い作業となりました。

key65 ちなみにトヨタのエンブレムは元々付いていた物では無く、市販のピンバッジを加工してシリコーンで型を取り、樹脂で複製してそれぞれ塗装を施しています。

key30今日は丁度定休日と言う事もあって一切の業務を放棄し(笑)、集中してこの作業に取り掛かっていました。

key31エンブレムを埋めるのはこちらの透明エポキシレジンで、この樹脂の特徴としては

・とても透明

・かなり黄変し難い

・痩せない(硬化する過程で目減りしない)

・とてもよく密着する

・可使時間が長い

などなどです。

key32 注ぐ方法は色々考えたのですが、取り敢えずは基本に帰って「樹脂を一滴ずつ垂らす」という方法で行く事にしました。

key34 普通の筆だと毛が抜ける可能性がありますが、これだと100%に近い確率で抜けません(ただ毛先を洗う時にウェスに当てると時々外れます)。

key33一応失敗した時に注いだ樹脂を回収する為シリンジ(注射器)も用意しました。ただ実際は今回これがとても良く働いてくれる事になります。

key35 再び全体を足付け処理します(しかし一体これで何回目なのかと…)。

key36 失敗したのは周りも足付け処理をしてしまった事で、そちらは後にしておけば素手で触れたんですよね。なので持てるように周りはマスキングしています。

key37 透明レジン(樹脂)の方は自作の真空脱泡機で一旦予備脱泡し、

key38 硬化剤を混ぜたらストレーナー(濾紙)を通して樹脂中のゴミなどを取り除き、さらにそのまま真空脱泡を行います。

key39 この日の為に半年以上イメージトレーニングを行って来ましたが、それでもいきなり本番に行く程愚かでもありませんので、まずは使わないエンブレムでテストを行います。

key40 エンブレムの裏側に気泡を残したくなかったので一旦ドブ漬けとしましたが、微細な気泡を噛んでしまい、あまり(と言うか全然)良くありません。

key41 と言う事で、ここからはシリンジを使ってエポキシ樹脂を充填する方法に切り替えました。

key42 これが思いの他良くて、狙ったところにピンポイントで樹脂の充填と回収が可能となり上手くいきました。

key43ちなみに本当はこれを何回かに分けて積層していくつもりだったのですが、シリンジを使っての樹脂注入が予想以上に上手くいったので一度に盛り付ける事が出来ました。

key44エポキシ樹脂は表面張力を活かし、フチギリギリで止まるくらいまで綺麗に注ぐ事が出来ました。気泡も一つも確認出来ません。

その後マスキングを全部剥がし、最低限触れるフチの周りだけ貼り無したらエンブレムの位置を調整して本日の作業は完了です。

key45その後ホコリが付かないよう恒温機に入れ、途中3回様子を見に来ましたが、エンブレムの位置はズレていなかったのでこのまま週明けまで自然乾燥させ、その後何かの熱を入れる時に一緒に強制乾燥硬化をさせてもらう事にします。

尚、注いだ樹脂はフチがまだ少し足りない状態で、ここはエポキシでは無く通常のウレタンクリアーを筆指して埋めて研磨し、ラインが出たら最後に全体にクリアーを塗装して仕上げる予定です。今後注意すべき事はクリアーを研ぐ時に絶対に下地を出さないようにする事ですね。

次の工程からはこちらの社外記では無く日記の方で紹介出来ると思います。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

水中花 Part2

car226 前回に引き続き、色見本ミニカー用のシリコーン型を使って水中花っぽい物を作ってみたのですが、うーん、仕上がりとしては今回は失敗っぽいです。

car227 ちなみにメインはドライフラワーを入れた物で、青とオレンジのガラス片を入れたの物は樹脂が余っていたので急遽おまけ的に作成した物です。

car228今回試したかったのはドライフラワーの位置を固定する方法で、透明エポキシ樹脂(クリスタルレジンNEO)を二回に分けて入れる方法は上手く行ったのですが、真空脱泡に失敗して気泡の混入が激しいです。

car229 またドライフラワーの色味に関しても、自然な状態のままだと微妙にパンチが足りません。ただこちらは既に染色用のダイロンを用意しているので、次回はそれのテストですね。

car230 それでも樹脂の中いっぱいに花を詰めて、しかもちゃんと上を向けられたのは良かったです。

本当、これで気泡さえなければ・・・。

car231 こちらに使ったドライフラワーは元々染色されている物で、やはりこれくらい色鮮やかな方が華やかで良いですね。染色用のダイロンは赤と青と黄色を買ったので、混ぜて色々試してみようと思います(どうもオレンジっていうのが無いみたいで)。

car232また今回ガラス片について気付いたのですが、そもそもこちらは色ガラスを使う必要は無く、透明レジンに塗料を入れて固めた物を刻んで使えば簡単に大量に造れそうです。ただ屈折率とかで綺麗に見えないかも知れませんけどね。この辺も試してみたいです。

car233今回花を入れた物は透明レジンを二回に分けて固めていますが、出来上がった物を良く見てもその層(つなぎ目)は全く見えず、この点は綺麗に出来たと思います。

次回こそはしっかり真空状態で花の奥までギュぅっと樹脂を行き渡らせ、透明感ほとばしる仕上がりにしてみたいと思います。

徐々に回復中

rabbit-1-1-5先週に発症した高熱からの続きで未だ体調は思わしく無い状態が続いていますが、何とか峠は越えて気がします。と言うか、今日から飲み始めた抗生物質が効いてくれているっぽいです(笑)。

今日は少しだけ現場作業もやりまして、業者さんからご依頼を頂いていたブレンボキャリパーを塗りあげました。まずは手始めに、と言う事では全然無く、こちらは体調を悪くする前から作業は着手していたので、とにかく終わらせたかった次第なのです。それにしても久しぶりに塗ったクリアーは艶が凄すぎてビックリしました・・・(笑)。

画像は少し前に透明エポキシレジンで作成した溶けたウサギ”TOROBBiT”の複製品で、最後にクリスタルクリアーで仕上げています。オリジナルはアートトイペインターのGUNさんの作品で、色々な色に塗装して販売しています。blogのページからウェブショップに行けるので興味のある方は是非どうぞ →にんにき日記

と言う事で、普段通りとはいかないまでも何とか現場作業も進めていこうと思います。ゴッホゴッホ。