スマートキーカバー エンブレム取り付け

key27 先日本塗りを終えていたトヨタのスマートキーカバーです。

この状態だとトヨタのエンブレムは置いてあるだけで、残る最後の作業はこの窪みに透明な樹脂を注ぎ、表面をツライチにしよう!と言う事となります。イメージするだけだと結構簡単そうなのですが、失敗が許されないので中々辛い作業となりました。

key65 ちなみにトヨタのエンブレムは元々付いていた物では無く、市販のピンバッジを加工してシリコーンで型を取り、樹脂で複製してそれぞれ塗装を施しています。

key30今日は丁度定休日と言う事もあって一切の業務を放棄し(笑)、集中してこの作業に取り掛かっていました。

key31エンブレムを埋めるのはこちらの透明エポキシレジンで、この樹脂の特徴としては

・とても透明

・かなり黄変し難い

・痩せない(硬化する過程で目減りしない)

・とてもよく密着する

・可使時間が長い

などなどです。

key32 注ぐ方法は色々考えたのですが、取り敢えずは基本に帰って「樹脂を一滴ずつ垂らす」という方法で行く事にしました。

key34 普通の筆だと毛が抜ける可能性がありますが、これだと100%に近い確率で抜けません(ただ毛先を洗う時にウェスに当てると時々外れます)。

key33一応失敗した時に注いだ樹脂を回収する為シリンジ(注射器)も用意しました。ただ実際は今回これがとても良く働いてくれる事になります。

key35 再び全体を足付け処理します(しかし一体これで何回目なのかと…)。

key36 失敗したのは周りも足付け処理をしてしまった事で、そちらは後にしておけば素手で触れたんですよね。なので持てるように周りはマスキングしています。

key37 透明レジン(樹脂)の方は自作の真空脱泡機で一旦予備脱泡し、

key38 硬化剤を混ぜたらストレーナー(濾紙)を通して樹脂中のゴミなどを取り除き、さらにそのまま真空脱泡を行います。

key39 この日の為に半年以上イメージトレーニングを行って来ましたが、それでもいきなり本番に行く程愚かでもありませんので、まずは使わないエンブレムでテストを行います。

key40 エンブレムの裏側に気泡を残したくなかったので一旦ドブ漬けとしましたが、微細な気泡を噛んでしまい、あまり(と言うか全然)良くありません。

key41 と言う事で、ここからはシリンジを使ってエポキシ樹脂を充填する方法に切り替えました。

key42 これが思いの他良くて、狙ったところにピンポイントで樹脂の充填と回収が可能となり上手くいきました。

key43ちなみに本当はこれを何回かに分けて積層していくつもりだったのですが、シリンジを使っての樹脂注入が予想以上に上手くいったので一度に盛り付ける事が出来ました。

key44エポキシ樹脂は表面張力を活かし、フチギリギリで止まるくらいまで綺麗に注ぐ事が出来ました。気泡も一つも確認出来ません。

その後マスキングを全部剥がし、最低限触れるフチの周りだけ貼り無したらエンブレムの位置を調整して本日の作業は完了です。

key45その後ホコリが付かないよう恒温機に入れ、途中3回様子を見に来ましたが、エンブレムの位置はズレていなかったのでこのまま週明けまで自然乾燥させ、その後何かの熱を入れる時に一緒に強制乾燥硬化をさせてもらう事にします。

尚、注いだ樹脂はフチがまだ少し足りない状態で、ここはエポキシでは無く通常のウレタンクリアーを筆指して埋めて研磨し、ラインが出たら最後に全体にクリアーを塗装して仕上げる予定です。今後注意すべき事はクリアーを研ぐ時に絶対に下地を出さないようにする事ですね。

次の工程からはこちらの社外記では無く日記の方で紹介出来ると思います。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

スマートキー マスキングシートレーザーカット

key3何の事だか良く判らない方にご案内しますと、半年前くらいからこちらのスマートキーケースの塗装をご依頼頂いていまして、現在ようやくロゴ入れのマスキングシートが出来上がった段階となっています。

少し途中の工程を紹介しますね。

key60素地のザラザラをツルツルにする為の下地処理は当然で、今回は「少し入り込んだボタンをツライチにして豆みたいに」といったご要望もありまして、それらの加工も行っている内に数か月が経ちました。

key109その後3コートホワイトパールの塗装も完了し、いよいよボタンのロゴ入れを!と言う段階になったのですが、

key121さらに表面(裏面?)にLAND CRUISERのロゴを入れられたいと言う話にまで発展しまして、

key116ただ各ロゴや文字は余りにも細かく、もはや塗装では無理なのでデカールしかないのでは・・・と言う事になったのですが、その後STANDOXから新色が出たりして、状況はさらに泥沼に(苦)。

key143 そしてこちらが現在進行中の作業で、画像に写っているのは当工場二階にある、趣味で購入したCO2レーザー加工機です。

key144 レーザーの出力は0.1%~100%までの調整が出来て、例えば5ミリのアクリル板を切る場合は大体50%の出力で行っています。

key146またレーザーを照射するノズルの運行速度も毎秒1ミリから設定出来るので、これらの調整次第で10ミリ以上のアクリル板から、今回のような薄いマスキングシートのカットも可能と言う訳です。

ちなみに通常マスキングシートを作るのはカッティングプロッターなる機械を使いますが、それだと今回程に細かい物を綺麗にはカット出来ないので、このレーザー加工機を使っています。

key145  と言う訳でまずはデータ出しからで、取り敢えず室内を常温(20℃)に合わせました。

key147 最初は上手く行かないのですが、やっていくうちに段々コツが判って来ます。

key148 これだと切り過ぎで、これの一歩手前、寸切りといったイメージです。

key150 最終的に上手くいった方法としては、ノズルの運行速度を秒速3ミリに、対称物までの距離はいつもより2ミリ近く10ミリ、レーザー出力は最初に7.5%で始めてノズルを温めて(余熱)、徐々に0.1%ずつ出力を落としていき、最終的に6.7%~6.8%の出力で丁度よく切れました。

key12ちなみに今回作っているマスキングシートはこんな感じのボタンのロゴなどです。

key151 こんな感じで、画像だけで見ると簡単そうに見えますが・・・

key152サイズが米粒くらいなので細部まで綺麗に仕上げるのは結構大変なのです。

key140ただ今回のようにレーザーを使ってカッティングが出来れば、一般的なプロッターには不可能だった小さなサイズのカットでも自然な曲線や直角の角を表現する事が出来ます。

factory78と言う訳で、何とかここを凌げば塗装屋としてもう一皮剥けれるんじゃと思い、夜な夜な作業進めています。

しかしながら武士は食わねど高楊枝と言う訳にもいかず、おっと、つい非常食に手が(苦)。

key153と言う訳で、何とか予定通り年内にロゴ入れまでは終わらせておきたいと思います。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

スマートキー ロゴ入れ塗装 テスト

key131 先日作成しておいたトヨタランクル用スマートキー用のマスキングシートです。ようやく色が決まりましたので早速テスト塗装を行いました。

key132 今回は元々サイズの小さいスマートキーカバーに「LAND CLUISER」のロゴを塗装で入れようという事ですから、一文字辺りのサイズは普通ではあり得ない程のサイズになっています。

通常であればデカールで行うのですが(そもそもそのつもりでした・・・)、カバーの窪みに埋め込むトヨタの極小エンブレムと色を合わせようと言う事でこちらも塗装になっています。

key133 マスキングシートの使わない部分を、ちょっと試しに1円玉に貼ってみました。尋常では無いサイズなのが判ると思います。

key134 テスト用の被塗物としては、いつもの注型ミニカーを使います。

ベースカラーのホワイトパールは、スマートキーカバー本体に塗った色と同じ「トヨタホワイトパールクリスタルシャイン」(カラーコード:070)で、少し前にこちらで紹介した痛車風のキーホルダーの時に一緒に塗っておいた物です。あの色はこの色だったんですよ。

key135 ロゴの色は3コートSPFシルバーで、まず下色に黒を塗り、その上に樹脂で15倍に薄めたSTANDOX SPFシルバー原色を塗っています。

key136 ロゴが余りにも小さいので実際はどれぐらいシルバーを塗っているのかよく判りませんから、目安としてこちらの色見本にも同じ様に塗る事にしました。

key137 ロゴの方のマスキングを剥がしました。

key141 さらにクリアーも塗っています。丁度お急ぎ(納期指定)でマイク塗装のご依頼があったので、タイミングよくこちらも一緒に塗る事が出来ました。

マイクの塗装はライブの関係上納期を急がれる方が多く、ただお金が勿体ないので(納期指定のオプションは5割程上がってしまいます)、出来るだけ早めにお問合せを頂ければと思います。尚年内完成は既にお受付を終了しております。

key142こちらも同じくクリアーを塗りました。

ただやはりと言うかあのサイズのロゴへの塗装だとどうしても塗装(塗膜)は控えめになってしまうので、同じ15倍希釈のシルバーでも明るさが弱いように感じます。

こちらはまた後日改めて検証してみたいと思います。

key138 それよりもどうしても諦めきれていないのがこちらのレーザー加工機によるマスキングテープのレーザーカットで、物理的に刃が回ってカットするカッティングプロッターの仕上がりではどうしても気に入らない部分があって、それに比べるとこちらのレーザーカットした物ではとても満足のいく仕上りなのです。

もはやマスキングで出来る域を超えているのは重々理解はしているのですが、どうせならさらに高みを目指したいので、もう少しこちらを詰めてみようかと考えております。

key140カッティングプロッターを使っている方ならこれがどういう仕上がりなのか良くご理解を頂けているかと思います。カッティングプロッター速度を一番遅くしても角では刃の回転が追い付きませんが、レーザーだと並行と垂直がキッチリ出ています。

key139 ただレーザーでもここまでのサイズとなると使い方はかなりデリケートで、カットするその時の気温(雰囲気温度)にまでも左右されてしまう程なのでこれも中々思うようにはいきません。少し前に試した時は上手くいっていたのですが、今回は殆どが失敗していたんですよね。

と言う事でもう少しこの辺を煮詰めてみて今一度テスト塗装を試みてみようと思います。

長らくお待たせしておりますがどうぞもう少々お待ち頂ければ・・・と思う次第です。

3コートSPFシルバー Part2

car95 こちらは前回検証した3コートSPFシルバーですが、その後もう少し様子を見ようとして違う仕様で作成してみました。

car141下色にソリッドカラ―の黒を塗り、その上にSTANDOXの新原色のSPFシルバーを塗っているのですが、もう少し黒味が強くならないかと言う事で前回よりもさらにSPFシルバーを樹脂で薄めています。

car154前回は「SPFシルバー:樹脂」を「1:15」まででしたが、今回は左から

「1:20」 「1:25」 「1:30」 「1:35」 「1:40」

としています。

ただSPFシルバー自体の含有量が減ってしまった為か、結果は余り芳しくありません。

car155 右が前回良さそうだと思った「1:15」(ドライコート仕上げ)で、左が今回(これでも)一番明るい仕様の「1:20」です。塗り方をかなりウェットにしたのでメタルが寝てしまっている(暗くなっている)感もありますが、それにしてもここまでSPFシルバーが薄くなると普通のガンメタにしか見えない・・・と言うのが私的な感想であります。

自然光(屋外)で見ればもう少し金属感は出ると思いますが、だからといって室内でこれでは残念過ぎますよね。

と言う事で、ここまでやってみましたが結果としては「SPFシルバー:樹脂」=「1:15」ドライコート仕上げで行こうと思います。そろそろ決めないと本当に年内終わりませんし(苦)。

sworksmini18と、こちらは本件とは全く関係ありませんが、先日シリコーン型を作製して複製した自転車フレーム型の色見本は、裏側を作成して3次元化して来ています。

ただまだ細部を調整したい事と、どうせならフォークも欲しいかな、なんて・・・。