adidasスニーカー 本塗り

少し前にワークショップ用のサンプルとして購入していたアディダスのスニーカーです。

本来はいつものスプラッシュ塗装用として使うつもりでしたが、前回のワークショップの参加者の方から「エアーブラシで塗装してみたい!」というリクエストがあったので、取り敢えず試しに塗ってみる事にしました。

ちなみに塗装の対象としては決して難しい物では無く、ただ仕事として行うのはどうも微妙な感じがしていて(カチッとした感じが無く、被塗物としての興味が湧きません…)、ただワークショップであればその辺も許せる気がしたので、今回試してみようと思った次第です。

尚、塗装範囲はワークショップを想定して極小範囲に、取り敢えず今回は判り易いアディダスのトレードマークである3本線を塗る事にしました。

私的に気に入らない「カチッとしていない感じ」につきまして、例えばソウルとアッパーとの境界に接着剤がはみ出ていたり、しかもそれが飛散していたり、ただそれをペーパーで削ろうとすると素地のビニール被膜(PVC)を破いたり荒らしてしまうので手が出し難く、またカットされた断面が毛羽だって気持ちが悪い、さらには縫製された糸も一緒に塗らないといけない(本来ならバラバラに分解したい)等々、気になる箇所ばかりなのです。車体の塗装で例えると、テールランプやアウターハンドルを付けっぱなしで塗ったり、エンブレムバッジを外さずマスキングしたりするような感じです。

ちなみに被塗物素材であるPVC=ポリ塩化ビニル樹脂は塗装において特段難しい樹脂では無く、ただスニーカーのような加工品に使われている場合は「樹脂の塊」では無く、極薄い膜や違う樹脂と組み合わされていたりする等不明な点が多いので、実際にやってみないと判らない事が仕事として受けるのが難しいところです。紙コップのように一見するとただの紙のようで、実は内側にはPE=ポリエチレンの被膜があったりするような感じでしょうか(PEは塗装不可能と言われている素材なので、もしそれが使われていたりするとかなり難しいです)。

色についてはライムグリーンやピンク等のポップな感じを想定していましたが、知り合いの塗装屋さん(GUNさん。笑)から「そこは絶対マジョーラでしょう!」との鶴の一声があったので、それに準じて見る角度で色が変わるクロマフレア系の光干渉型顔料を使った塗色を採用する事にしました。またサンプルなので4箇所それぞれ違う色にします(後ほど少し内容が変わります)。

作業内容はいつもの通り足付け処理&プラスチックプライマーを塗布し、各工程毎には真面目に脱脂処理も行っています(私物とか私用だとどうしてもこの辺りの基本的な事をお座なりにしがちでして・・・)。

色は一部を変更して、この4色にしました。

プラスチックプライマー塗布後、まずは下色の黒を塗ります。STANDOXの原色MIX571ですね。この時点でガムテープを貼って剥がし、塗膜がちゃんと密着しているのを確認しておきます。当然ですが全く問題ありません。

仕事じゃないので途中の撮影が疎かになってしまいましたが、何とか本塗り完了です。

こちらは当店規定のクロマフレア風No.4となります。

見る角度によって「紫→橙→黄」へと色相が変化します。

こちらは当店規定NO-01となります。「イエロー→グリーン→ブルー」に変化する顔料です。

そして反対です。

こちらは当店規定のH-07となります。ゴミが着いているように見えますが、接着剤が飛んだ痕です。

見る角度によってはここまで鮮やかな紫になるのが特徴です。

そしてこちらはNo.19 ですね。鮮やかな青で私的に気に入っている顔料となります。

角度が着くと鮮やかな紫になります。

クリアーには軟化剤を入れているので、普通に使っている内には(履きつぶす前までには)問題無いかと思います。今後実用テストを行いたいですが、その辺はGUNさんのスニーカーみたいにワークショップに参加された方に検証して頂こうかと思っています。

尚、作業的にはスプラッシュ塗装に比べるとどうしても長くなるので前回のように8人での体制は難しく、なので4~5人程度での1日作業になるかと思います。自動的に参加費も上がってしまうので、その辺で参加者も絞られてくるかもですね。

動画も撮影しました。色の変化はこちらが分かり易いかと思います。

次はポップなカラーでグラデーションとかを試してみたいと思います。

2022/4/16 スニーカー塗装ワークショップ

先日の土曜日、(一応)休業日なのを利用して、当工場にてスニーカー塗装のワークショップ を行いました!

今回の募集はTwitterからのみで、当初は定員6人を予定していましたが予想以上に御希望される方が多く、結果8人での開催となりました。もうお一人御希望されている方もいらっしゃったのですが、作業出来るテーブルは8人で一杯だったので、次回優先してご案内するようお伝えしました。

参加者は5名が男性、3名が女性といった内訳で、元々顔見知りだった方は2名、その他6名の方々は初見となります。人と接する事に慣れていない私としてはかなり無謀な感じでしたが、元々ツイッターで繋がっていたという事で気持ち的に楽だったのが良かっです。

最初の作業は工場二階の事務スペースでのマスキングで、多分ここが一番時間が掛かる&難しい所だと思います。大体1時間~一時間半くらいの作業となりました。

元々こういった事に慣れていそうな人とそうでない人も、皆さん集中して黙々と作業をしていました。

知り合いの塗装屋さん(GUNさん)も自分のスニーカーを塗られたいとの事で、だったら周りの方も一緒に教えてあげて欲しいという事で今回のワークショップのフォローをお願いしました。

その後は工場一階に場所を移し、各々好きな色を作成して、それらをスニーカーに飛ばします。

原色は10種類くらいを用意していて、それらを自分の好みに混ぜて色を作っています。あらかじめ用意してあった原色には硬化剤を入れているので、塗装後には恒温機で熱を入れてそのままお持ち帰りが可能です。と言うかそのまま履いて帰っていた方もいらっしゃいましたし(笑)。

スプラッシュ塗装に使うスニーカーは白が定番かと思っていましたが、今回は黒のスニーカーを持ち込む方もいらっしゃって、なるほどそういう手もアリなのか!と、こちらも色々と勉強になりました。

またスプーンだと上手く行かないと思った方は、

その後指を使って塗料を飛ばす!という方法を行っていたりと、目から鱗が落ちるような光景も色々見れて面白かったです。

こちらは一発目から「失敗した~!」と凹んでいた方でしたが、

その後違う色を塗り重ねていくリカバリー方法で、

結果的にとても良い感じに仕上げられていました。この辺がスプラッシュ塗装の良いところですかね。いやはや素晴らしいです!

作業途中の画像を撮影されていた方もいらっしゃいました。

 

今回参加した中の知り合いの塗装屋さん(GUNさん)は、黒のスニーカーに艶あり黒の塗料を重ねる、印刷で言うUVニス引き加工なのだそうです。本当にこの人は何でもやるなぁ、と(笑)。

その後恒温機(乾燥炉)に入れて60℃60分程の熱を掛けて塗膜を硬化させ、再び工場二階に移ってマスキング剥がしの作業となります。

塗り終わった直後と、マスキングを剥がした後では結構印象が変わるのが面白いところですね!

特にこちらのスニーカー、塗っていた時は比較的地味に感じましたが、マスキングを剥がしてみるとなるほどインナーの色と合わせていたのか!と、とてもお洒落に感じました。

最後に参加者全員のスニーカーを並べて撮影しました。

一時はどうなるかと思っていたスニーカーも、マスキングを剥がしてこうやって見るととても良い感じです。

こちらのオーナー様は、ワークショップ翌日には実際に履いている姿をツイートしていました!

 

こちらのオーナ様は参加した時のご感想をツイートしてくれていました。初めての場所に単身乗り込むのは相当勇気が必要だったと思いますが、喜んで頂けたようで本当に何よりでした!

 

これからの季節にとても似合いそうな配色です。

 

今回は参加者8人という事で、ワークショップの売り上げとしては今までで一番多くなりましたが、今の環境(固定経費)を考えるとこれを仕事の一環として考えるのはまだまだ難しく、ただいずれ今のような塗装は出来なくなる日は来る筈ですので、そうなった時に今回のような事が仕事を続けていく上での一部を担ってくれればと思っています。

ちなみに今までは祭日と日曜日が繋がった連休日(一般的には3連休)が殆どでしたが、今回は土曜日での開催としました。今年のゴールデンウィークも完全に休むつもりは無いので、それの代休といった感じにしています(仕事日にカウントするとどうやっても赤字になるので、せめて精神的負担だけでも下げられればという思いです)。

ちなみに受付出来るのは新品のスニーカーのみですが、今回はテスト的という事で知り合いの塗装屋さん(GUNさん)のスニーカーは綺麗にした中古品を、また今後はスニーカー1足だけでは無く、それプラスアルファ=例えばスマホケースやジーパン等の衣類も一緒に出来ればと考えています。スニーカーも練習用と本番用の2セットを可能するなどで、ただ8人でこれをやるのは厳しいですから、定員をこれの半分の4人にして料金を倍にするような感じですかね。

その他、いずれはエアーブラシを使ったスニーカー塗装も考えていますので、興味のある方は当Twitterアカウントからのお知らせをお待ち頂ければと思います。

ご参加頂いた方々、お手伝いして頂いたG-shockl塗装屋さん、有難うございました!


ちなみに後日談として、ワークショップ売り上げの50%を募金させて頂きました(参加者は8人でしたが売り上げは7人分でその半分です)。

これは主催者である私と参加される方々が、このようなご時世でも後ろめたさを感じないようにする為のようなもので、ワークショップに参加すればどこかで助かる人が居る!(かも知れない)という事でさらに次回の参加をも促すという効果を期待しての事でもあります(あとうちの税金も軽減出来ますし)。

仕事の方で今の環境を維持出来なくなったらワークショップ自体の開催も難しくなりそうですが、取り敢えず東京都への借金返済が終わって少しは楽になったので、当面このスタイルで続けて行ければと思う次第です。

スニーカー塗装ワークショップ準備

コロナ禍も落ち着いたという事で、来る4月16日(土曜日)に、スニーカー塗装のワークショップを開催予定です。

スニーカー塗装ワークショップ

前回行った時はコロナ禍の真っ最中で、学校にも行けなく悶々とした日々を過ごしていた身内関係(主に親戚の学生)のストレス発散という事で開催しました。とても喜んで貰えたので、いずれ一般向けに定期的にやっていこうと思った次第です。

その後コロナ禍も落ち着き、早速先日Twitterで募集したところ、直ぐに定員が埋まり、今回は合計8名での開催予定となりました。内2名は知り合いですが、その他6名の方は初参加となります。

実はコロナ禍の最中、芸能関係の会社の方から「某スニーカー好きアイドルの為にワークショップを開催してもらい、それを取材させて欲しい」旨のお問い合わせがあったのですが、そちらは都合があわず、実現には至りませんでした。なのでいずれはこういった事にも対応できるようマンツーマンまたはグループでの貸し切りも検討してみようと思っています。以前私が行ったプロの写真家に撮影の仕方を教えて貰えるストアカみたいな感じですかね。

その他にはワークショップでは無いのですが、知り合いの塗装屋さん(GUNさん)向けに「週末レンタルファブスペース」や、

事務スペースの一画を間貸しするトライアル=一か月の試用なども行っていたりしました。こちらは副業で3Dデータの作成をされている方ですね。

一時は工場の移転(引っ越し)を本気で考えていましたが、今回のコロナ禍で郊外の物件が非常に人気となってしまい、「3年間の家賃分で小物塗装工場(中古住宅)を購入する」という計画がとん挫してしまいましたが、だったらという事で今の工場で出来る事を色々やってみようと思った次第です。

スニーカー塗装ワークショップ

ゴールデンウィークを利用して、スニーカースプラッシュ塗装のワークショップを行いました。

とは言ってもこのご時世ですから一般の方向けでは無く、親戚の子供たちを呼んでの催しとなります。以前行ったスマホスタンド&キーホルダー作成の時と同じような感じですね。

スニーカー塗装のワークショップは以前にも開催事例があるので、比較的スムースに行えました。「インナーを取り出して紐を抜いて、あとは塗りたく無いところにテープを貼っておいて~」と言うだけで済むので、私はその間にメールの返信を打っていたりしました。

持ち込んだスニーカーはユニクロ、無印商品と、

ニューバランス、

しまむらのスニーカーと、今回はメーカーがバラバラです。

こちらは「N」をマスキングしていました。何も教えなくても淡々とやっていて、もはや玄人はだしです。

小学生の子でもちゃんと出来ました。

使っているのはいつものスタンドックス2Kエナメル(1コートソリッド用塗料)で、予め原色に対してハードナーを規定量添加し、またその日に持って帰れるよう促進剤も入れてあります。垂れて塗料が溜まった所は一時間では固まり切らずベトベトする場合があるので、それの防止ですね。

そしてそれらの原色を使って自分好みの色を作って貰います。例えばピンクが欲しかったら白と赤を、黄緑が欲しかったら黄色と緑を混ぜて作って貰います。

あとはそれらをスニーカーに飛ばしていくだけです。簡単!

今の環境では採算が合いませんが、いずれ固定経費が掛からない形態で出来たら、こういったワークショップも定期的に開催したいと思ってます。今の工場から引っ越すか、或いは間貸しスペースを増やして家賃の負担を減らすなどでしょうか。10年後にはそういった環境にしようと思っています。

通常の塗料(染料)と違う所としては、色落ちや褪色がほぼしないという所でしょうか(何せ自動車補修用の塗料ですので)。

今回ワークショップ初参加の子も居て、とても楽しんで頂けたようで何よりでした。小学生の頃の私も呼んであげたかったです(当時はNゲージのジオラマを作っていました)。

全てのペイント作業が完了したらトレーに乗せ、恒温機に入れて60℃1時間程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。前日に仕事で塗った物も一緒に入れているので実質コストはゼロです(と思うと気が楽です)。

最後にマスキングを剥がし、外しておいた中敷きと靴紐を元の通りに戻して完成です。

楽しく無い訳が無さそうです(羨)。

こちらは無印良品のスニーカーです。色は2色だけに絞っていて、飛ばし方が上手いですね。ちっ(あ、いや、血が繋がっているのでちょっと対抗意識を燃やしてみました。笑)。

子供たちの間でスプラトゥーンなるゲームが流行っているみたいで、そう言うのもあって余計に楽しんで頂けたのかもですね。

ちなみに前からスプラッシュ塗装のワークショップに来たがっていた、シューズデザインを生業にしている従弟も誘ってあげたのですが、今回は都合が合わなくて来れませんでした。プロの仕事を見せて貰おうと楽しみにしていただけに残念です(とプレッシャーを限りなく高めておきます。笑)。

こちらは元々一部に赤い色が使われていた為、

それに合わせた色の塗料と、面積を考えたそうです。素晴らしい・・・。

こちらはしまむらで¥1,500くらいで買ったとの事ですが、もはやプライスレス・・・。

配色がTOMMY HILFIGERっぽくてとてもお洒落です。

SNS映えは間違いなさそうですね。むしろ私は場所だけ貸して、そういうのが得意な方に運営して貰った方が良いかもです(と言うような事も将来的に考えています)。

実際に履いた状態も撮影させて貰いました。

いずれ一般向けにも開催出来る日が来ればと思っていますが、コロナの影響はまだ2年くらい続くと思っているので、その間に環境を整えておこうと思います。