adidasスニーカー塗装 完成

先日ワークショップ用にテスト塗装を行ったアディダスのスニーカーです。その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させておきました。

最初の状態も紹介します。

今回塗装したのは3本ラインのみで、ここは元々艶のある素地でしたから、サフェ等の下地処理無し=上塗りのみでも艶々に仕上がっています。

逆を言えばシボ模様の所に単に塗装しただけではこういった艶は出ず、また布のようなキャンパス地では色が滲んでしまうのでNGです。他には染料が使われている場合は色の滲み=ブリードが起こるのでこれもNGで、さらには溶剤に被膜が侵されて溶けてしまったり縮れが起きたりしたらもはや廃棄物となってしまいます。当店のように毎回違うような塗装を行っているショップが少ないのはこういった事が理由で、一度も扱った事が無い物を塗るという事は常にリスクと隣り合わせなのです。

今回は見本も兼ねるという事で、4面それぞれを違う色にしました。

またどれも単なる塗色では無く、見る角度(視点位置と光源位置)によって色相が変わるマジョーラ=クロマフレアのような顔料を採用しています。

塗装面に突起状のブツが目立ちますが、実はこれらはゴミでは無く、最初から着いている接着剤が撥ねた物となります。とても固く、ペーパーを掛けようとすると素地を痛めてしまいそうで、かといって爪でカリカリやっても全く取れないのでかなり厄介です。PVC=ポリ塩化ビニル樹脂は塗料や接着剤との相性が良いのが利点ですが、溶着のようにくっつき過ぎてしまうのが厄介な所でもあります。

今回のような内容でワークショップを行うとしたら、塗装するのはこれらのようにワンポイントのみで、ただこれだけでも人数は4人程度、時間的にも一日掛かりになってしまうかと思います。スプラッシュ塗装であれば一度に8人で塗装する事も可能ですが(色を飛ばすだけなので)、スプレー塗装(エアーブラシ)となると一人ずつ順番に、せいぜい二人までの作業になるので、どうしても時間は掛かってしまうと思います。

またスプラッシュ塗装とは違ってちょっと塗料が食み出しただけでも結構目立ってしまうので、普段マスキング作業に慣れている人向けか、失敗するのが当たり前と理解して頂いた方だけになるかと思います。スタンドックスのデモマンの方に「タカハタさんがそれやるって安過ぎじゃないですか?!」と言われてしまいましたが、講習では無くあくまでもワークショップ=塗装体験できる場なので、結果よりも過程を楽しんで頂ければと思ってます。

そしてこの先に考えているのは「マンツーマン」の塗装で、「一日貸し切り5万円でもやりたい!」という方が現れれば仕事としても十分成り立つのでは、と思っている次第です。最近で言うとYouTuberとか、お忍びで楽しむ芸能人向けとかですかね。実際そういったお問い合わせはあったのですが都合が合わず、実現には至りませんでした。当店のように一般向けでは無い職種の場合、宣伝費と取材費を相殺するのは難しいんですよね。

ちなみにマジョーラ系は一般的なパールと同じなので、太陽(光源)を背にして見た時には色味は見えなくなり、透かしの黒だけが目立って全く派手さはありません。

なのでパール系を上面に、今回のように側面であればソリッドカラー(一般的にはエナメルと呼ばれる色)が適していると思います。好きな模様のレース生地を使った塗装とかも良いかもですね。まあでも敢えて目立たせたくは無いという事であれば、今回のような下色の黒が透けるクロマフレア系はむしろ良いかも知れません。

動画も撮影しました。

最初に撮った動画は大分暗かったのですが、後から編集で明るく出来るのを知ったので加工しました。スマホで動画を後から編集出来るって・・・凄い時代になりましたね。

 

こちらも元々は暗くてしかも遠かったのですが、切り抜き&明度を上げる編集加工をしました。

作業内容については、マスキング自体はスプラッシュ塗装の時とさほど変わらなかったのと、プライマー~クリアーの塗装は当方がやってあげるとして、参加者は着色=ベースコートだけなら問題無いかと思います。ただ事前に説明してもキャンバス地とかシリコーン樹脂とかの塗装に不向きな素材を持って来られる可能性も無いとは言えないので、どれのどこを塗りたいのか予めチェックは必要になるかもですね。

取り敢えず初回は4名までで参加費は¥5,000くらいで考えています。募集はツイッターで行うと思いますので宜しければそちらをご確認頂ければと思います。

adidasスニーカー 本塗り

少し前にワークショップ用のサンプルとして購入していたアディダスのスニーカーです。

本来はいつものスプラッシュ塗装用として使うつもりでしたが、前回のワークショップの参加者の方から「エアーブラシで塗装してみたい!」というリクエストがあったので、取り敢えず試しに塗ってみる事にしました。

ちなみに塗装の対象としては決して難しい物では無く、ただ仕事として行うのはどうも微妙な感じがしていて(カチッとした感じが無く、被塗物としての興味が湧きません…)、ただワークショップであればその辺も許せる気がしたので、今回試してみようと思った次第です。

尚、塗装範囲はワークショップを想定して極小範囲に、取り敢えず今回は判り易いアディダスのトレードマークである3本線を塗る事にしました。

私的に気に入らない「カチッとしていない感じ」につきまして、例えばソウルとアッパーとの境界に接着剤がはみ出ていたり、しかもそれが飛散していたり、ただそれをペーパーで削ろうとすると素地のビニール被膜(PVC)を破いたり荒らしてしまうので手が出し難く、またカットされた断面が毛羽だって気持ちが悪い、さらには縫製された糸も一緒に塗らないといけない(本来ならバラバラに分解したい)等々、気になる箇所ばかりなのです。車体の塗装で例えると、テールランプやアウターハンドルを付けっぱなしで塗ったり、エンブレムバッジを外さずマスキングしたりするような感じです。

ちなみに被塗物素材であるPVC=ポリ塩化ビニル樹脂は塗装において特段難しい樹脂では無く、ただスニーカーのような加工品に使われている場合は「樹脂の塊」では無く、極薄い膜や違う樹脂と組み合わされていたりする等不明な点が多いので、実際にやってみないと判らない事が仕事として受けるのが難しいところです。紙コップのように一見するとただの紙のようで、実は内側にはPE=ポリエチレンの被膜があったりするような感じでしょうか(PEは塗装不可能と言われている素材なので、もしそれが使われていたりするとかなり難しいです)。

色についてはライムグリーンやピンク等のポップな感じを想定していましたが、知り合いの塗装屋さん(GUNさん。笑)から「そこは絶対マジョーラでしょう!」との鶴の一声があったので、それに準じて見る角度で色が変わるクロマフレア系の光干渉型顔料を使った塗色を採用する事にしました。またサンプルなので4箇所それぞれ違う色にします(後ほど少し内容が変わります)。

作業内容はいつもの通り足付け処理&プラスチックプライマーを塗布し、各工程毎には真面目に脱脂処理も行っています(私物とか私用だとどうしてもこの辺りの基本的な事をお座なりにしがちでして・・・)。

色は一部を変更して、この4色にしました。

プラスチックプライマー塗布後、まずは下色の黒を塗ります。STANDOXの原色MIX571ですね。この時点でガムテープを貼って剥がし、塗膜がちゃんと密着しているのを確認しておきます。当然ですが全く問題ありません。

仕事じゃないので途中の撮影が疎かになってしまいましたが、何とか本塗り完了です。

こちらは当店規定のクロマフレア風No.4となります。

見る角度によって「紫→橙→黄」へと色相が変化します。

こちらは当店規定NO-01となります。「イエロー→グリーン→ブルー」に変化する顔料です。

そして反対です。

こちらは当店規定のH-07となります。ゴミが着いているように見えますが、接着剤が飛んだ痕です。

見る角度によってはここまで鮮やかな紫になるのが特徴です。

そしてこちらはNo.19 ですね。鮮やかな青で私的に気に入っている顔料となります。

角度が着くと鮮やかな紫になります。

クリアーには軟化剤を入れているので、普通に使っている内には(履きつぶす前までには)問題無いかと思います。今後実用テストを行いたいですが、その辺はGUNさんのスニーカーみたいにワークショップに参加された方に検証して頂こうかと思っています。

尚、作業的にはスプラッシュ塗装に比べるとどうしても長くなるので前回のように8人での体制は難しく、なので4~5人程度での1日作業になるかと思います。自動的に参加費も上がってしまうので、その辺で参加者も絞られてくるかもですね。

動画も撮影しました。色の変化はこちらが分かり易いかと思います。

次はポップなカラーでグラデーションとかを試してみたいと思います。

アディダススニーカースプラッシュ塗装

  先日マスキング作業を行っておいたアディダスのスニーカーです。

今回は見本(テスト)を兼ねるので、外側と内側とそれの左右「4面」を全部違うデザインにする事にしました。イメージは判り易く「春夏秋冬」とします。

使うのは前回無印良品のスニーカーを塗った時と同じ、STANDOX VOC 2Kエナメルです。通常は自動車ボディに塗るもので、クリアーの塗装が必要無く、直接硬化剤を入れるタイプです。

各原色を混ぜて色を作り、ハードナーを混ぜます。スプレーガンで塗る時はシンナーを入れますが今回は入れません。

春をイメージした色はこんな感じで、ただこれだけだと見本にならないので、この後もさらに塗り重ねていきます(そこで止めておけば良かったのに・・・と参考にして頂ければと。笑)。

塗料を飛ばすのに特に技術は必要なく、日頃溜まったストレスを発散するかのようにバシバシと振りかけていきます(笑)。

前回使った無印良品のスニーカーはキャンバスだった為に塗料が滲みましたが、今回のアディダススニーカーはシンセティックレザー(合成皮革)の為に吸い込まず、なので塗料は盛り上がった状態で立体的に仕上がります。

滲む感じも良かったですし、どちらが良いかは好みですね。

そして恒温機(乾燥炉)に入れ、60℃40分の熱を掛けて塗料を硬化させます。

本来は単品で入れたりはせず、他の製品(ご依頼品)が溜まったら一緒に熱を掛けるようにしていますが、今回はテストなので塗装後すぐに熱を入れて一時間後に出して確認しました。

結果としては塗料が著しく溜まった箇所はまだ柔らかい所がありましたが、箱に入れればそのまま持ち帰れるレベルに固まっていました。

そして後日撮影も行いました。

この面は「春」をイメージしています。

こちらは「冬」ですね。色の組み合わせは悪くは無いのですが冬と言うとそうとは見えなく・・・。紫とイエローでは無くてブルーグレーとか鈍い色にすれば良かったと思っています。っていうか白と黒とグレーだけの無彩色も良さそうですね(今度やろうと思います)。

後ろのアディダス部分は筆で塗ろうかと思いましたが、今回はワークショップ用のサンプルなので余計な事は止めておきました。

こちらは「秋」をイメージしましたが、ちょっと密度が高過ぎましたね。そして水色は全く必要無かったでしょう(苦)。

こちらは「夏」をイメージしていますが、うーん微妙・・・。オレンジは要らずもっと濃いグリーンで攻めれば良かったかなと。まあでも今回は見本という事で(笑)。

 合皮の場合は塗料は吸い込まず、立体的に出来ているのが判ると思います。

結構食み出た箇所はあったのですが爪で擦るとある程度取れますし、これなら誰でも出来てしかも実用出来る!と言う点で面白いと思います。

これと同じ内容を11月22日(日曜日)にワークショップ開催予定で、参加費は¥3,000、時間はマスキング30分+塗装30分と考えていましたが、今回やってみてちょっと厳しいと思ったので、合計2時間を想定しておこうと思います。

スニーカー塗装ワークショップ 参加要項

上手く行ったら今後ストアカなどでも募集してみようと思います(多分その時は¥6,000くらいになると思いますのでお試し価格の今のうちにどうぞ)。

スニーカー塗装のマスキング(ワークショップ向け)

今度行うスニーカーのスプラッシュ塗装ワークショップの為、マスキング作業を紹介する事にしました。

まず塗装する範囲ですが、全面塗ってしまうと「ただの汚れた塗装屋の作業靴」になってしまう為、塗る場所を限定にしてそれ以外の部分をマスキングするようにします。

今回はアディダスのスニーカーを使い、塗るのは側面部分のみとします。

ベロに繫がっている先端部分は塗らない為、ここはマスキングします。

後ろ側は踵の黒い部分(バックステー)も塗らないようにします。

 と言う訳で、まずはタグと靴紐を外します。

 大雑把で構わないので、まずはベロの部分をマスキングします。

 あと念のため中のインソールも外しておきました。

マスキングがしやすいよう、中に新聞紙を詰めておきます。

尚、アウトソールはプライマー無しでは塗装が密着しない為、ここは塗らないようにします(ワークショップでも塗りません)。

 と言う訳で、アウトソール部分を大雑把にマスキングします。

フチは最後に細いマスキングテープ(6ミリ幅)を使って貼るので、この段階では適当な感じで大丈夫です。

足を入れるフチの部分=履き口パッドも塗らないようにします。

ここもまずは大雑把なマスキングでOKです。この時新聞紙が無いと、マスキングテープが宙に浮いてしまって貼り難い為、それの支えとして新聞紙を詰めているという訳です。

最後に境界線を細いマスキングテープ(6ミリ幅)で貼って完了です。細いマスキングテープを使うのは曲がったラインでも貼り易いからですね。

ちなみに横の黒い3本ラインは一緒に塗っても塗らなくてもOKで、

ただ私の場合は塗りなく無かったのでここもマスキングしました。ギザギザは気にしなく、黒い部分が隠れるようにだけします。今回はスプレーによる塗装では無いのでこんな感じでアバウトでOKです。皆さん住む場所を決める時に隕石が落ちる事を気にして選んだりはしませんよね。それと同じです。

 そしてマスキング完了です!

ちなみにマスキングに自信が無い方でもワークショップではフォローしますのでご安心ください。イメージとしては片側をやってあげますので、もう片方をご自身でやって頂ければ大丈夫です(勿論全部自分で!と言う事も構いません)。

尚、マスキングの作業時間は30分を目安に考えています。

後はこれに塗料を飛ばす(垂らす)だけです。多分塗るよりもマスキングの方が難しいかも知れません(と言う程今回の塗装は簡単です!笑)。

塗装については、以前塗った無印良品のスニーカーの画像があるのでそちらを紹介します。

同じような方法でマスキングを施した無印良品のスニーカーです。¥3,000くらいで売っています。

色は10種類くらいを用意します。

塗料は主剤に硬化剤が入ったポリウレタン樹脂塗料で、イメージとしては古いフェラーリを塗装する時に使うような物です(昔のフェラーリはクリアーを塗る2コート塗装では無くこちらのような1コートソリッドでした)。なので耐候性は抜群です(色が褪せる前にスニーカー自体が駄目になるかと)。

 ちなみにスプラッシュ塗装を行ったのは私もこの時が人生初めてで、

  やり始めは少し躊躇する事がありましたが、始めてみると本当に適当に色を飛ばすだけの簡単な塗装です。絵心とかデザインの心得とか全く関係ありません(笑)。

尚、色の発色が良くなるよう(見えるよう)、ワークショップで塗るスニーカーの色は白系に限定します(シルバーやゴールドもOKです)。暗い色は上に色を塗っても見えないと思うのでお控えください。

この時は最初に淡い色を塗り、その後赤や緑など濃い色を重ねていきました。何が正解なのかは判りません。とにかく塗ってみてやって頂くしか無い訳で、その辺も楽しんで頂ければと思います。

この状態だと「やらかした~!」と思ってしまうかも知れませんが、

  いざマスキングを剥がしてみると、それなりに見れるようになっています(身内に見せたら皆やりたがったので今回ワークショップをしてみようと思った次第です)。

全体に塗ってしまうのではなく塗装範囲を限定する事で「人為的に行った」というのが判るので、適当な塗装でもそれなりに見えてくれるのだと思います。

尚、今回塗装した無印良品のスニーカーはキャンパス(布地・合成繊維)だった為に色が滲んでいますが、アディダスのような合皮のスニーカーはもっと色が盛り上がるような感じになると思います。まだ試していないのですが、これと同じようにしたい(失敗したくない)と言う方は、同じ無印良品のスニーカーが良いかと思います。普通に売っている筈です。

またこの時はマスキングが一部浮いてしまいアウトソール(下側のゴム部分)に塗料が食み出たのですが、こちらはプライマー無しでは付かない素材だった為、爪で抉る程度で簡単に剥がせました。なのでそこまで厳密にマスキングをする必要は無いと思います(と言うか一応時間制限があるのでそこはご了承くださいませ)。

ワークショップではマスキングに30分、塗装に30分、合計1時間の作業を予定しています。

また塗った後は恒温機(乾燥炉)に入れて熱を掛け、塗膜を硬化させます。その間の1時間は工場の中でお待ち頂くか、近くのカフェなどに休憩しに行って構いません。もしくは別途送料(¥1,000)を頂ければ後日発送も対応いたします。

参加条件等については後日改めて紹介します。

1日3回で4人ずつくらいを予定していて、Twitterのアプリ(ツイプラ)から応募出来るようにしますので、ご参加を検討されている方はまずツイッターのアカウントを取っておいて頂ければと思います。