車型色見本用シリコーン型作成

 先日新たに色見本用マイクのシリコーン型を作っていましたが、

 車型色見本用の型も劣化していたので、こちらも作り直す事にしました。

 あわよくば底面にPRO_Fitのロゴなんて入れられればーなんて思ったのですが、取り合えず大量生産を優先して今までと同様に片側だけのシリコーン型にしました。

 離型剤を塗ってウレタンレジンを注ぎ込み、固まったら取り出してを繰り返し、数日に分けてですがこれだけ作りました。これで当面は大丈夫なのではないでしょうか。

 早速、と言う訳では無く、こちらはそれとは別の素体を使って塗った色見本です。現在お預かり中のマイクの塗装で「純金っぽく」といったご依頼を請けたので、それの検証を行っておきました。

ちなみに今まで塗ったマイクのゴールドはこんな感じで、これだとちょっとクドいと言う事で、

オーナー様のご要望に応えてそこからオレンジ味を減らしてイエロー寄りのキャンディーカラーにしました。

ただこのままだと粗いメタリックの粒子が見えてしまって金属っぽく無いので、

 下色のシルバーを粒子が細かいタイプのSPFシルバー(JLM-906)にして塗ってみました。

 こちらが粗いメタリック(MIX598)で、

 こちらが細かいメタリック(JLM-906)です。通常メタリックの粒子が細かくなると「正面が暗くなって透かしが明るく」となり、金属感の無いシルバーになってしまうのですが(濁った感じのシルバー)、近年の高輝度メタリックは「正面が明るくて透かしが黒く、さらに粒子も細かい」と言う事が可能になったので、昔のシルバーに比べると比較的金属感のある塗装が可能になりました。顔料を細かく潰す技術が向上したのだと思います(顔料系キャンディーカラーが登場したのもこれのお陰だと思います)。

ちなみにですが、シルバーはどれもスタンドックスのベースコート原色となります。

あくまでも塗装なので純金とはまるで違う物ですが、今までのゴールドよりはそれらしい感じが出たのでは、と思っています。尚、分量は正確には記録していなく(塗りながら調整しました)、大体の感じとしては「イエロー:オレンジ=95:5」くらいだと思います。

ただ下色をJLM-906に変更した場合のデメリットとして、その上に塗る透過色を塗り過ぎると発色が悪くなり彩度・明度が落ちてしまうので、赤などの濃い色だと良い結果は得られないと思います。

ちなみに下地がメッキなら今回のようなイエロー+オレンジを塗ればまさに金メッキ!という仕上りになるのですが、色々理由があって当店では(現在は)対応していません。そういった事をご希望の方はメッキ屋さんに相談されるのがよろしいかと思います。マイクのような物は電子部品を全て外さないと対応してくれないと思いますが、部品単体の状態ならメッキ(蒸着含む)の方が間違いなく確実です。

見本は大分溜まって来たので、そろそろプレート化しておこうと思います。その前に胃(食道)を治さないと・・・。

色見本用マイク シリコーン型Ⅱ 作成②

 先日の続きで、新たに作成している色見本マイク用のシリコーン型です。

ブロックの隙間から漏れ出して減った分のシリコーン樹脂を後から足していて、それが固まったのでブロックの枠を外していきます。

 零れていたよりも随分と減っていると思っていたら、どうやらブロックの内側に大量にシリコーンが詰まっていました・・・。

 恐らくはしつこく真空脱泡を繰り返したので、隙間からブロック内側に充填されてしまったのだと思います。折角の高価なシリコーンが・・・。

尚、今回は分割はせず一度にシリコーンを注いだ方式にしているので、ここからそれをナイフで切り開きます。

この場合の切り方が良く判らなかったのですが、一応ズレないようにジグザグに切ってみました(余り意味は無かったかも知れません・・・)。

全部を完全に切る必要はなく、ある程度のところでスポット抜けました。

 と言う訳で、さっそくレジンを入れて色見本用の素体を作ります。

 15分くらい待つと固まるので、同じようにして抜き出します。

今回使った信越シリコーンのKE-1417は耐久性・離型性が良いとの事ですが、出来るだけ型を長持ちさせたいので一応3回に一回は離型剤も塗っています。

継ぎ目はやはり見えてしまうのでそのまま上塗りと言う訳にはいかず、数がまとまったらサフェを塗っておこうと思います。

色見本用マイク シリコーン型Ⅱ 作成①

 色見本用マイクのシリコーン型は以前造っているのですが、何度も注型しているうちに型が劣化してきたので改めて作り直すことにしました。

また今回は片側ずつ作る分割タイプでは無く、一度にシリコーンを注いで後から割いて開く作戦です。この方が単純に時間が半分で済みますので楽なのです。

 底板にはアクリル板の端材を敷き、両面テープを貼ってマイクを固定しています。一応ブロックのところには漏れないよう油ねんどを盛っておきました。

 その後マイクがすっぽり収まるようにブロックの壁を積み上げます(ただ真空脱泡時に溢れるのでこの後さらに2段嵩上げしました。

 今回使うシリコーン樹脂も新しい物で、信越シリコーンのKE-1417なる製品となります。以前GMCのアルミホイールキャップを複製した時に購入して使っていなかった物ですね。

既存の物より離型性や耐久性において非常に優れているとの事で、ピューターなどの低融点金属などにも使えるようです。メーカーのカタログはこちらのページからどうぞ。

 主剤100に対して硬化剤は5%です。

 硬化剤はまるでハウスオブカラーのKK-05コバルトブルーのような美しさで、多分攪拌不良が判り易いよう着色されているのだと思います。ポリパテと同じですね。

 真空脱泡はサイズを大きくしたデシケーター弐号機を使います。まあ単にアルミ寸胴に穴を開けてドライポンプと繋げただけの物ですが・・・。

真空脱泡についてはこちらの記事が判り易いかと思います。宜しければご参照下さい。

ちなみに現在使っているドライポンプ以下の製品となります。ORION社のKHA750Aなる製品で、一般的な油回転式の真空ポンプと違って油を排出しないので、塗装現場で使っても全く問題ありません。ちなみに油回転式真空ポンプをこんな風にコンプレッサーの上に置いて使うと、その辺に油が散って工場が終わります(恐)。「排気のパイプを外に出せば良いのでは?」と思うかも知れませんが、塗装の現場においてはそういうレベルでは無いのです。

 主剤と硬化剤を混ぜた物をデシケーターに入れて予備脱泡します。

その後本番用の型に先ほど予備脱泡したシリコーン樹脂を入れ、再び真空脱泡します。動画も撮影したので今度インスタグラムでアップしてみようと思います。

油回転式の真空ポンプは油膜がシールになっているのできっかり-0.1MPaまでいく筈ですが、当工場が使うドライポンプはブレードの先端にカーボンが付いているだけなので密閉性が悪く、この辺が限界です。ずっと回し続けているともう少し下がっていくのですが、そこまでやる意味も無いかなといった感じです。そういった点でドライポンプより油回転式の方が使い勝手は良いですかね。

そして翌日です。

って、あれ?!

入れた量よりかなり減っている気が・・・。

どうやらブロックの隙間からシリコーンが漏れ出してしまったようです。こんな事は今まで一度も無かったので、既存のものに比べて分子が小さいのかも知れません(水は通さないけど水蒸気は通すゴアテックスのような感じではと)。

 と言う訳で、零れて固まった分を、

小刻みにカットして型に投入して嵩上げし、新たにシリコーン樹脂を50g程作って注ぎ込みました。

 再びデシケーターに入れて真空脱泡をします。

カットした端シリコーンがケバケバと突出していたので、プラ板をカットして無理やり押し込みました(笑)。

固まったシリコーンは既に切り開いてマイクを取り出し済みで、続きは後日改めて紹介します。

GMCホイールキャップ シリコーン型作成③

 先日表側のシリコーン型を作製していたGMCのホイールセンターキャップです。画像は裏返した状態で、ここからは反対側の作業となります。

 シリコーン型から原型が外れないよう注意し、油ねんどを取り除きます。

 型取り用のシリコーン樹脂は他の物質にくっ付きませんが、同じシリコーン同士だとガッチリくっ付いてしまう為、型の合わせ面には離型剤の塗布が必須です。

 準備が出来たらデシケーターの中に型を置き、シリコーン樹脂の予備脱泡を行います。二回目以降は直接注いだ状態で眞空脱泡を行いますが、表面部に気泡が入るのは避けたいので一回目だけはこれをやるようにしています。。

 この状態ではまだ主剤のみで、予備脱泡が終わったら3%程硬化剤を入れてよく混ぜます(規定は4%で夏場は2%で十分なようです)。

 再び真空脱泡を行い、一旦ここで半日ほど置いてシリコーン樹脂を硬化させます。

この後は使用するシリコーン樹脂の量を減らす為、表側の時と同様に不要となった型を切り刻んだ物を投入して嵩上げを行います(画像は使い回しです)。

 刻んだシリコーン樹脂を散りばめ、再びシリコーン樹脂を注ぎ真空脱泡を行います。この時点で2層目です。

 さらに後日固まったシリコーン樹脂の上に、やはり表側と同様ファイバークロスを敷きます。

と、この時点で在庫していた2キロ分のシリコーン樹脂を使い切りまして、

 新たに4キロを補填しました。硬化剤は沢山あってもう要らないのですが、セットなので仕方なく付いてきます(

 また今回は今まで使っていた旭化成ワッカー8012よりも少し固いタイプの8017を、その右の青い文字の缶はさらに固くて強いタイプの「信越シリコーンKE-1417-30」も買ってみました。KE-1417は粘度が高いので真空脱泡機が無いと使えないとの事ですが、今まで使っていたシリコーン樹脂よりも丈夫で長く使えるとの事で期待しています(ただ1キロ¥4,000と少々高いです)。

 と言う訳で3層目は今までより少し固い8017を使いました。

 そしてその後シリコーン樹脂が固まった状態です。こちら側も補強の為に最後に石膏で固めます。

10ミリくらいの厚みになるよう充填し、これでいよいよメス型の完成です。

この後壁のブロックを外して裏表それぞれシリコーンを開いて中の原型を取り出し、再び型を合わせ閉じたら中にエポキシ樹脂を注いでホイールキャップを複製!と言う算段です。

ただし型が上手く出来ていないとここまでの作業は全くの無駄となる為(しかも使った材料が全てゴミ)、今回は塗装以外の作業でも結構真面目に作業をしているという訳です。いつもは楽しんで行う社外記ですが、もうまるで仕事です(苦)。