色のリサイクル

先日ようやく完成したCORSAIRの巨大なパソコンケースです。

これよりも少し前に終わったスマートキーカバーもそうですが、どちらもかなり長い期間の作業だった為、いざ終わってみると中々感慨深い物があります。

そしてこちらは先ほどのCORSAIR PCケースと一緒に塗っておいた色見本用のミニカーです。色はPANTONEカラーの「322」を基に作成しました。

色見本用のプレートに貼り付けるつもりだったので裏側は未処理の物だったのですが、どうせならと言う事でそこに穴を開けて磁石を埋め込んでみました。

使った磁石は10mmのネオジムなので結構強力です。キーホルダーとしてよりもこうした方が何かしらに使う用途はあるかもですね。PCケースも枠以外はスチールなので、メモなどを挟む時に重宝するかもです(ただ塗装面に傷が付くのでそれは辞めた方が、ですが…)。

ちなみにミニカーがくっついている缶ですが、

STANDOXの原色が入っていた空き缶です(何故か笑)。

板金屋さんなどでは使い終わったパテの缶(4キロ缶)を綺麗に掃除してヘラ入れなどにする光景を良く見かけますが、塗料が入っていた缶をこうやって使うのは結構稀です。シンナーの空き缶だったら洗う必要が無いので良いのですが、原色となるとかなり汚れていますし、しかもスタンドックスの原色は缶に直接印刷されているのではなくプリント紙が接着されているのでシンナーでは洗えないのです。

その点今回のMIX561(赤)は回転率の高い色なので比較的綺麗な状態で缶が残せました。現場だと派手に使うので普通はもっと塗料とか着いちゃってますからね。

しかしながらこうやって改めて見るとスタンドックスのパッケージはやはりと言うかとても格好良いです。しかも口の部分が少し内側に入っているので長物を仕舞うのに丁度良く、定規やノギスであればIKEAの缶よりも断然スリムに収まってくれます。

今度からは使う前に先に紙を剥がしておいた方が良いかもです(多分間違い)。

第2回 遠心注型

enshin50 前回の初遠心注型ではシリコーン型とプレートの隙間から樹脂が漏れてしまったので、今回はそれの対策としてMDF板を1枚から2枚に増やして歪みを防止する事にしました。

enshin51 またネットで他の方のを見てみると低反発フォーム?か何かのクッション材を間に入れていたようで、私もそれに倣って手元にあったウレタンフォームを挟んで見る事にしました。スーパーセブンのプリプレグカーボンの固定に使った物で、これでシリコーン型に均一に力が掛かるようになるのかも知れません。

enshin52 さらに前回はMDF板に樹脂がくっ付いて大変だったので、板と型との間にPPシートを挟んで剥がし易いようにしました。データが一つあれば何でも切れるので、この辺がレーザーカットの良いところですかね。

enshin53と言う訳でこちらが今回の仕様となります。何だかクラッチみたいですが…。

enshin54 間に注型用のシリコーンを挟み、ネジで固定します。前回は樹脂がかなり漏れたので今回は結構強めに締めてみました。

enshin55 また前回は樹脂を注ぐ時に穴を外して周りに零してしまった為、今回は漏斗的な感じでガムテープをファンネル形状にしています。

しかしこれが後に大変な事に…(いや、ギリギリ助かったのですが)。

enshin56 また今回はテストも兼ねていつもの注型用ウレタン樹脂では無く、FRPの補修に使うポリエステル樹脂(リゴラック)を使う事にしました。いつもの悪い虫みたいな感じですが、単に真っすぐ行くのもつまらないですし、またこの樹脂はインパラフィンなので離型のし易さにも期待しています。

enshin57 しかしいつも思うのですが、買った時よりも色が濃くなっているような気が…。

enshin58 ちなみにこちらは同じポリエステル系樹脂でも透明な方で、しかし何故か固まっています…(苦)。

enshin59 当然ですが硬化剤は入れていなく、良く見ると(よく見なくても)白い粒粒が発生していて、どうやら保管している間に結晶化してしまった模様です。恐らく容器内に残った空気中の水分が反応してしまったと思われ、この辺は不飽和ポリエステル樹脂の宿命ですかね。長期保管の効かないポリパテと一緒です。

enshin60 と言う事で注型スタートです。今回は促進効果を期待してヒーターを追加してみました(いや、単にドライヤーを当てているだけなのですが…)。

enshin61 と言う訳で硬化までおよそ5分、第2回目の遠心注型が完了です。

enshin62タライのお陰で何とかギリギリ防げましたが、ガムテープで作ったファンネルのせいで危うく工場内をリゴラックだらけにするところでした…(恐)。

enshin64そして型を挟み込んだ円盤を見てみると、間から樹脂が漏れた形跡は全くありません。

前回は隙間が空いていたからだと思いますが、今回の結果からはどうやら樹脂を注ぎ過ぎた場合は上から周りに飛び散るようです。重力があるのでそんな訳は無いと思っていましたが、イメージとしては上昇気流を発生する竜巻のような感じでしょうか。

enshin65そして板を外してみると、

enshin66リゴラックとしては信じられない程の仕上がりに…!。

ちなみに今回は真空脱泡による予備脱泡もしていません。

enshin67まだデータは取り切れていませんが、今回隙間から漏れなかったのはこのウレタンシートのクッション効果が良かったのかもです。型に均一に圧が掛かる事で隙間が出来難かったのかも知れませんね。

enshin68シリコーン型を作る時に注ぎ口は円柱形をしたマスキングテープを使いましたが、そこを円錐状の物にすれば型離れもし易く、また樹脂の飛散も防げたかも知れません。次回は是非。

enshin69まあ取りあえず注型自体は成功したので、次はいよいよ注型用ウレタン樹脂を使って本番に挑もうと思います。

(と言うかこの記事を書いている間にそちらも既に終わってしまいました。笑)。

遠心脱泡初実践

enshin59先日注いでおいたシリコーンが固まったのでようなので早速開けてみる事にしました。この瞬間、結構ドキドキしますよね。

enshin42うっかり土台のサイズの事を忘れていて、型がデジケーターに入らない!と言うミスを生じましたが、その後機転を利かしてデジケーターをひっくり返して被せる!と言う作業のお陰で(多分)巣穴は一切無くギッシリ詰まった感じで出来ました。ひとまずは一安心です。

enshin44 原型とスチレンボードの破片を抜き、湯道をカッターで切って通しておきます。

enshin45 先日作成しておいたMDFのプレートにクリアーファイルをカットした物を敷き、台の中心にシリコーン型を乗せます。

enshin46 蓋を被せネジを締めます。

ちなみにこのネジをどれくらいの締め付けトルクにするのかが判らず、取り敢えずシリコーン型が崩れない程度に軽く締め付けましたが、今後はこの辺も精査が必要なようです。実はこの後大変な事になりました。

enshin47 台をポリッシャー改に乗せ、実際に回しながら中心になるよう位置を決めていきます。

enshin48 注型する樹脂は今まで通り120秒硬化のウレタンレジンを使います。

enshin50シリコーン型を回し、真ん中の穴から樹脂を注ぐと、樹脂を注いだ傍からみるみる周りに飛び出してくるという…。

取り敢えずあるだけ注いでいきますが、どうも隙間から漏れているっぽいです。

しかも120秒待っても樹脂が一向に固まる気配が無く、いつもは早く固まって困るくらいなのに、いったいどうして…。

enshin49ちなみに一応普通の型に同じ樹脂を注いでみると、こちらはいつも通り二分程で硬化が始まりました。意味が判りません。

回転したからといって気温が下がる訳では無いので結構不思議です。まさかそこだけ時空が歪んだとか…(または反応熱が逃げてしまうんですかね)。

enshin51 と言う事ですが、5分くらい周し続けたら何とか固まりました。そしてプレートを外してみると下にはジャジャ溢れの樹脂の残骸が(苦)。

結局のところ、注いだ樹脂はかなりの量が零れてしまいました。こんなに零れてしまうなら次はドレンを設けて、零れた樹脂をもう一度上から注げるようにした方が良さそうですね(かなり間違い)。

enshin52注ぐ時にも大分周りにこぼしてしまい、今更ながらかなりいい加減にやってしまった感が強いです。

そして、どうせ中はスカスカなんだろうなぁ、と。

enshin54 が!中には普通に樹脂が詰まってました(笑)。意味が分かりません。

enshin55 湯口に樹脂が固まってしまい取り外し難い事もありましたが、予想に反して注型自体は普通に出来ていました。と言うか大分良い感じです。遠心注型はスゲェ…と何度か呟いていたと思います。

enshin56 適当にバリから外しただけの状態ですが、湯口以外には巣穴などは全く無く、どこを見ても今までで一番良い仕上がりです。

enshin57下に敷いたPP製のクリアーシートは使い古しだった為にシワや折り目などがそのまま残ってしまいましたが、裏側の面も概ねフラットに綺麗に出来ました。パーティングラインはフチのプレスライン部分なのでこの後の仕上げもこれなら簡単に出来そうです。これはちょっとヤバいかも知れません。

ただ周りに飛び散る量がひどいので(苦)、これはもう少し改良しなければなりません。恐らくはトルク管理とかの問題では無く、もしかしたら板が薄くて圧が均一に掛かっていないか、または回転数が早過ぎて型が歪んで隙間が出来てしまっているのかもです。

今回は事前情報はほぼ無しで挑んでいますので、もう少しネットで先人の方々の作業例を参考にして色々改めてみようと思います。

いやー、それにしても遠心注型、予想以上に凄い威力です。これならもっと細かくて繊細な形状も隅々まで樹脂を行き渡らせらせそうですね。ミニカーではちょっと勿体ない気がしてしまいました。

色彩照合

car6 先日ピンクカラーでの迷彩柄塗装を行っていた時に作成した色見本とテストピースです。その後熱も掛けまして、本体(ご依頼品)は既に発送致しました。

car7 今回カモフラ柄の塗装に使ったのはこの4色で、それぞれの色はSTANDOXで配合データを作成していますが、今度はこれにPANTONEカラーの色番号を適合させよう!、と言う作戦です(と言うか普通に作業、なのですが)。

pantone1 PANTONEの色見本は印刷物なのでそもそも塗装とは大きく異なりますが、これらの色見本が塗装にも応用出来れば何かと便利になるので、何とか互換性を持たせられればと色々試しています。

尚、こんな事をやっているからは判りませんが、先日大手塗料メーカーから配合データを作って欲しいとのお問合せを頂きましたが、現状そこまで出来る程の力はありませんでして…。

pantone2 と言う訳ですが、こんな感じで塗装した塗色に近い物をPANTONEの色見本帳から選び出します。

pantone3 通常は色見本から色を選んで塗装する訳ですが、この作業はそれの逆ですね。当然塗装と印刷は違うのでフリップフロップ性(方向性による色の見え方の違いみたいな感じ)は無視する訳ですが、見本の中から一番色を選ぶと言う作業自体は可能です。

pantone4PANTONEのフォーミュラガイドとゴーガイドそれぞれの色見本帳から近似色を選び、それらの色番号をSTANDOXの配合データと共に書き写して、さらに後日色見本としてプレート化しておきます。自動車補修用塗料ではこういったパステルカラーの色見本が殆ど無いので、実際に色味が見れて配合データも確認出来る色見本があるととても便利なのです。

そう言えば先日STANDOXのデモマンの方と話した所によると、塗料メーカーとしては色見本は赤字分野でしかないので今後はそれらを廃止していくようです。

確かに補修塗装には多角型分光測色機(塗膜にレンズを当てて直接色を読み取るような装置)が便利だと思いますが、うちの場合だとその読み取る方の色が存在していない事の方が多いので、だったらそれよりもマンセル色立体の塗装版!みたいな物の方が役に立つかもですね。

結局地道にやっていくしか無いですか…。