扇風機羽根修理

 先日誤って羽根を割ってしまった扇風機ですが、

このまま捨てるのはちょっと諦めきれない所がありまして(またなのか・・・!と)、一応割れた羽根を集めてみました。

が!、細かい破片が全然足りません(笑)。

多分その時に掃除機で吸い取ってしまったのだと思います。さすがに掃除機のゴミパックの中まで探す気力はありませんでした。

まあそれでも足りない分はFRPで補強出来るだろう!と(また誤った事を)考えたのですが、さすがにそれではバランスシートが崩壊しまくってしまうので、もう少しスマートに直す方法は無いのかと、色々と夢想、じゃなくて模索していました。現代だと捨てるのも楽じゃないですしね(まあモーターが生きているので捨てはしませんが。笑)。

 と言う訳で、既存の羽根の厚みを測ってみると、丁度2ミリくらいです。

おっと、これはもしかして・・・

 在庫していたアクリル端材を探してみると、ちょっと幅が足りないのですが、丁度良さそうな2ミリ厚のアクリル板を発見しました!(いや、寸法は少し足りていないのですが・・・)。

 羽根が無くなったところになんとなく置いてみると、頭の中には出来上がった羽根の姿が浮かんでしまいます(病)。

新しく買った扇風機が¥2,500くらいだった事から、1時間で出来れば何とか採算合うのじゃないか?!と、私の頭の中でまたGHOSTがゴフ(詳しくは攻殻機動隊を見て頂ければと・・・)。

と言う訳で、生きている羽根にマスキングテープを貼り、輪郭をマジックで描きます。かなり雑ですが、今回はスピード勝負なのでOKです。

 それを適当な板に貼り、

スキャナーでPCに読み込み、Illustratorなるソフトを使って輪郭をトレースしたら、

 レーザー加工機でアクリル板をカットします。

ちなみにこの時点でマジックで描いた輪郭線はレーザーカットには関係なく、単にスキャナーで読み込む時の為に平らな何かに貼りたかっただけの事です。ただ、もしもレーザー加工機が無ければ、この線に沿って糸鋸とかで切ればOKと言う感じですかね(そんな事をやるくらいならそれこそ新しい扇風機を買えって話になるのだと思いますが・・・)。

と言う訳で、カットした羽根を割れた部分に仮置きしてみました。

板は平らのままで、このままでも風を送る事は出来ると思いますが、他の羽根とのバランスが悪くなってしまうと思われますので、これを湾曲するよう変形させます。

と言う訳でジャジャーンと!(笑)。

オ~ブントースタ~です(ちょっとドラえもん風に)。

今まではピューターの鋳造に使ったりお餅を焼いたりする時に使っていたのですが(どっちかにしろって話ですが)、実は元々アクリル加工用にと買っていた物でして、今回ようやく出番がやって来たと言う訳です。

PMMA=アクリル樹脂は大体60℃~100℃くらいで変形するので、その温度に合わせてオーブントースターで加熱します(と言いつつダイヤルが130℃を指しているのは待ちきれなかったからです)。

 熱々になったアクリル板を、生きている羽根の上に重ねるようにして乗せると、

・・・ぉぉぉおおお!

まるで真空成型のように形がフィットしてくれています。重力ってなんてすばらしい(壊)。

と言う感じで、ピッコロの腕よろしく、新たな羽根が生まれ変わりました(?)。

ちなみにここまでで大体40分くらいです。

 その後場所を工場一階に移し、エポキシ接着剤を用意します。

 接着箇所はペーパーで足付け処理し、プラスチックプライマーも塗りました。

バイスグリップで固定し、この日はここまでで終了です。

そして翌日・・・(画像は本件とは全然関係ありません)。

熱を掛けていませんが、今の時期(30℃くらい)なら一日置けば(見た目だけは)硬化しています。

 普通はここに穴を開けてボルトナットやリベットなどで固定するかも知れませんが、使っているのが強力なエポキシ接着剤(3Mオフホワイト)なので、それは不要です。これが剥がれる(剥がせる)くらいなら、羽根が割れますので・・・(ただし紫外線に当たると劣化して強度が落ちます)。

 本来なら余った部分を削って風の抵抗などを無くす必要があると思うのですが、今回は細かい事は気にせずそのまま装着です。と言うか早く回したくて・・・。

実際にビューンと回してみると、・・・おおおおお!!

始動時にちょっとブレを感じますが(笑)、動き出せばその辺の安い扇風機よりも振動は少なく、使用上全く問題を感じません(ちなみに羽根が欠けた状態で回すと凄い事になっていました)。

作業に掛かった時間も1h程で、ただそれでも新しく買った方がコスト的には低く済んだ筈ですが(塗装をする為の工場でこんな事はすべき事ではありません)、今回は前からやりたかったアクリル板の熱変形加工が出来たので非常に満足です。

もっと大きい塗装用の赤外線ヒーターを使えば、バイク用のスクリーンとか自作出来ると思います(さすがにそれはやりませんが・・・疲)。