GMCホイールキャップ シリコーン型作成②

 先日第一回目のシリコーン樹脂を注いでいたGMCホイールセンターキャップ用のシリコーン型です。画像は既に固まった状態です。

 今回はサイズが大きい事、また形が歪むとホイールに入らなく恐れがある為、型の変形防止として骨材を入れる事にしました。全ネジを外周に沿って曲げた物を、固まったシリコーンの上に置きます。

 さらに嵩上げの為に不要になったシリコーン樹脂を細かく刻んで投入します。

刻んだシリコーンの基となるのはこちらの色見本用マイクの型で、最初に作った方は一部に古いシリコーン樹脂(を無理やり希釈した物)を使った為に型の一部が柔らかくなって歪が出てしまい、その後新たにもう一個型を作ったのでこちらは不用としました。柔らかい部分は除いています。

 こんな感じで刻んだシリコーンを全体に散りばめて、

 新たに作ったシリコーン樹脂を注ぎ、真空脱泡を行います。

 さらに今回はこちらのファイバークロスを、

 全体に覆うようにして配置し、

さらに新たなシリコーン樹脂を注いで真空脱泡します。

 それが固まった状態です。若干表面にファイバークロスの模様が浮き上がっています。

 さらに今回は石膏も使う事にしました。水と1:1で混ぜます。

固まったシリコーンの上に15ミリくらいの厚みになるよう充填しました。一時間もあれば固まりますが、念の為一日置いてから今度は逆側を行います。

反対側は離型剤塗り忘れたとかしないよう注意して挑もうと思います。


↓③に続きます

GMCホイールキャップ シリコーン型作成③

GMCホイールキャップ シリコーン型作製

 先日ゴムパッキンを接着していた自作デシケーター(大)です。

 接着剤が固まったようなので早速テストしてみました。ドライポンプに繋ぎ、内部の空気を吸いだします。ドライポンプについてはこちらで紹介していますので宜しければどうぞ。

 容積が大きくなった分負圧するのに時間が掛かるようになりましたが、大体40秒くらいでマイナス0.95Mpaまで到達出来ます。

 内部の気圧が下がるとお菓子などのパッケージはこんな風に膨らみます。眞空脱泡ではこれと同じようにして、シリコーンやレジンなど液中の空気を吸いだし気泡を取り除きます。

 そしてこちらが今回メインとなるGMCのホイールセンターキャップです。無くなった一つがもう入手が出来ない物との事で、予備用も含めて今回これと同じような物を2個作製するご依頼を承りました。塗装は出来ますが、複製は業務外と言うかまるで門外漢なのでこちらの社外記での紹介としています。

今回のデシケーター(大)の制作は、今までの物ではここまでのサイズに対応できない為、新たに大きい物を作ったと言う訳です。

 と言う訳で、まずはシリコーンを注ぐ為の枠を作ります。こちらのダイヤブロックも今までの量では足りなかったのでamazonで追加購入しておきました。安い上に精度が良いのでモデラ―の間では定番らしいです。

 ただこのダイヤブロック、見た目が(というか実際に)子供用の玩具な為、傍から見ると「いい大人が昼間からブロック遊びをして・・・」としか思って貰えない所が辛い所です。

 ちなみにすっかり作業に没頭してしまい大きな勘違いをしていまして、型にレジンを注ぐ時は縦置きにしますが、シリコーン型を作る時は平置きで行うので、これではデシケーターに納まらない!と言う事に気が付きました。一体何をやっていたんだか・・・。

 と言う訳で角を取り除きました。これなら最初から円形の壁にしておいた方が確実に早かったですね。

土台に詰めた粘土に噛み合わせの為の凹みを設け、デシケーターに入れます。

 シリコーン樹脂を流し込み、蓋を被せてドライポンプで内部の空気を抜き取る真空脱泡を行います。

画像では余り泡立っていませんが、これは先に主剤の予備脱泡を行っていたからでして、真空脱泡は問題無く出来ました。

と言う訳で片面の半分が完了です。

「半分」と言うのはちょっと理由があって、今回はシリコーン型のサイズが大きいので型が歪む恐れがある為、骨材をいれるべく片側を二回に分けて行う事にしました。一度でこれをやろうとすると骨材が沈んで原型(ホイールキャップ)に触れてしまう為、一旦膜となる層を作ってからその上に重ねようと言う作戦です。これなら必要無くなったシリコーン型を刻んで嵩上げに再利用する事も出来ますしね。

またそれでも強度的に足りなそうなら、さらに石膏を流し込んで補強しようかと思います。


②に続きます↓

GMCホイールキャップ シリコーン型作成②

残業と言うか夜の部

 最近色見本用のマイクを塗装する機会が増えたので時間が出来た時に増産をしています。

こういった直接仕事とは関係の無い作業は、大抵は現場作業が終わって事務的な仕事を行う合間に作業していますが、それでもやれる時間は限られているので、固まるのを待っている間に並行して車型の色見本を遠心注型していたりと結構忙しいです。

 ちなみに一個だけの作業に集中するとうっかり早めに型を開けてしまい、樹脂が固まっていなくてこんな風になってしまう事もあります。「180秒とか嘘じゃないか!」と心の中で叫びましたが、実際は可使時間(硬化が始まるまでの時間)が180秒であって、そんなに早く開いては駄目な訳ですね。見なかった事にして閉じようと思いましたが諦めました。

 なのでその間に他の事をやって意識をそちらに集中させ、うっかりこちらの事を忘れてしまっていた!と言うくらいが丁度良い具合になります。以前はこれにタバコでの一服を利用していましたが、呼吸をする度に胸が痛くなったのでさすがに辞めました。10年くらい経ってようやく夢の中でタバコを吸う事が無くなりましたよ(苦笑)。

と言う訳で今度は綺麗に出来ました。

 こちらは遠心注型で作っているミニカーで、ただそろそろシリコーン型も寿命を迎えつつもあります。念入りに離型剤を塗っていても注いだ樹脂が型を侵してしまい余計に密着してしまってフチの薄い部分が取れてガタガタになってしまうんですよね。

と言うか折角真空脱泡が出来る環境なので、今度はもっと耐久性の良い信越シリコーンのKE1310STを使ってみようと思っています。粘度が異様に高いので普通に使うと上手く流れてくれないらしいのですが、真空脱泡が出来ればそれも問題無いようです。

残業(とは言いませんが)を二時間くらいするとこんな感じで塗装用の被塗物が出来上がります。

通常依頼された仕事以外の塗装には余り身が入らないのですが、先日紹介したマイクのように色の見本として後々役に立ってくれると、これがモティベーションの一つにもなってくれています。

そう言えばう少し前に知り合いの塗装屋さんから注型レジン用の着色剤を紹介して貰っていて、先日他の何かのついでにamazonで買っておきました。色は黒で、これを注型用のレジンに数%混ぜると黒い成型品が出来上がるとの事です。相当濃縮でしょうから、ひっくり返したらまさに地獄の惨状になるんでしょうね(恐)。

マイクモックアップ 完成

一応先日にシリコーン型の作成から複製までを終わっていたこちらの4個ですが、型に使ったシリコーン樹脂が良く無かった(とても古かった)と言う事で、

 ジャジャーンと!新たに2キロ入荷しました。

と言うかこの硬化剤、まだ使っていないのが余っているので、買うのは主剤だけで良いのですが・・・。

 尚前回は穴に粘土を詰めて行いましたが、今回はPP板を切り取って詰める事にしました。

ブロックで枠を作り、そこに油ねんどを詰め込んで原型となるマイク を半分埋め込みます。周りの穴は型のズレ防止の為ですね。

 まずは主剤を真空ポンプで予備脱泡をし、

 硬化剤を2%(本来は4%)入れて再び真空脱泡します。何故か4%入れるとこれをやっている時に固まり始めるんですよ。4%入れて良いのは真冬だけなんですかね。

 と言う訳ですが、あれから一日放置すると先ほどのシリコーン樹脂が固まります。今回はちゃんとした物を使ったお陰でムラなくしっかり固まってくれました。

 さらに台をひっくり返し、底に敷いた油ねんどを取り除きます。意外と油粘度がしっかりこびりついているので、ネジの部分はピンセットで一山ずつ漉いてます。

綺麗に粘土が取れたらシリコーン表面に離型剤を塗り、

再びシリコーン樹脂を注ぎます。尚、今回使ったシリコーン樹脂は500グラム×2で1キロです。意外と使うんですよね。

真空脱泡に使っているドライポンプはオイルレスの為、シリンダとロータの隙間からの空気の逆流はどうしても避けられず、画像にあるメーターのように今一歩真空域には至りませんが(一般的なメーターの逆に回ります)、シリコーン樹脂での型作りや、可使時間の長い透明エポキシレジンの脱泡であればこれで十分です。

また油回転真空ポンプのように排気から油を撒き散らさない為、当店のような塗装現場でも気兼ねなく使えると言う利点があります。まあ一般家庭でも床がヌルヌルになったら気持ち悪いでしょうけどね。

真空脱泡器については以下の記事で紹介していますので宜しければどうぞ。

自作真空脱泡機(概要)

また当店で使用しているドライポンプについては以下記事も参考になると思います。

ドライポンプ設置しました

ちなみにドライポンプの性能に関しては十分なのですが、容器(デジケーター)のサイズがちょっと足りないと感じて来たので、今後はこれをもう少し大きいのに変更(作成)する予定です。

と言う訳で裏側に入れたシリコーン樹脂も固まりました。

型に使っていたブロックを外します。

ちなみに固まったシリコーンに少し傾斜がついているのはわざとで、マイクの形状に合わせてシリコーンをそちらに寄せて厚みを確保しました。

シリコーン型を開きます。離型剤のお陰で綺麗に割れました。

前回穴の部分は粘土を詰めただけなので形が曖昧でしたが、今回はこの辺がシャープに出来ています。

と言う訳で早速複製する事にしました。

注型用のウレタン樹脂(レジン)を流し込み、固まるまで5分程待ちます。

ちなみにレジンは多少多めに作り、余った物を色見本用のミニカーの型に注ぎ、またそれらが固まる待ち時間の間にさらに樹脂を作って注ぐという二毛作的な方法で効率良く作業しています(お陰で結構忙しいです)。

 と言う訳で完成です!

ちなみにグリルボールは発注済みで、近々届くと思います。

 真ん中が最初に作った物で、左側が今回作った物です。穴の掘りがちゃんとしているのでこれならそのまま塗っても大丈夫そうです。最初はドリルで揉もうと思ってたんですね。

ロゴについてはサイズ的に塗装では無理そうなのでデカールでの対応になりそうです。まあこれについては見本で使うかどうかは決めてませんけどね。ちなみに画像は印刷した紙を糊で貼っているだけです。

取り敢えずは前からやりたかったパステル系の艶消し&艶ありの組み合わせと、他にはキャンディーカラーや、普段の仕事では行わないちょっとカスタム的な塗装をやってみようと思います。