NBロードスターヘッドカバー 凸文字鋳造作成②

road45 木型自体は先日既に出来上がっていて、今日はこちらの鋳造作業を行いました。

まずは型に離型剤を塗っておきます。これをしないとMDFから溶け出た接着剤が鋳込んだ金属にくっ付いて剥がれ難いんですよね(と言うのが私的見解です)。

road46 使用する金属はピューターで、この金属は融点が280℃くらいと比較的低いので家庭用のカセットコンロでも簡単に溶かせます。難点は少し高いと言うところですかね(アルミの50倍くらいでしょうか・・・)。

road47 5分くらいで完全に溶けて、非接触温度計で測ってみると330℃になっていました。

road48ぴゅーたーを溶かしていると表面に酸化した煤みたいなのが浮かんでくるので、それらは割り箸やらスプーンで除去しておきます。「そんな器用な事が出来るのか!」って感じですが、ピューターの方は比重が重いので比較的簡単に煤だけを取り除く事が出来ます。

road49 溶けた金属を木型に注いだら用意しておいた蓋を押し込みます。今までの経験上では注いだままの方が綺麗に仕上がると思うのですが、文字以外の部分は削らないといけないので極力余分を無くしておきたいんですよね。

road50 貼ってあった底板を剥がすとこんな感じです。ただ、「a」の部分でちょっと巣が出来てしまっているのが判るでしょうか。

road51 裏側はこんな感じで、蓋をしっかり押し込んだのが奥の物で、少し浮かしておいたのが手前側です。液体は固体になると面積が減りますから(水は逆ですが)、 その分を考えて少し浮かしておいた方が良さそうですね。

road52文字の周りの木枠は外さないままにして、その後は工場二階にある簡易フライスで切削します。ボール盤にクロスバイスを取り付けてエンドミルを装着した物です。

road53 木枠を万力で固定して、土台のX軸とY軸をハンドルで回すことによって表面をサクサク削っていきます。これは楽しいですよ。

road54 表側が終わったら裏側です。この状態から・・・

road55 こんな風に出来るんですよ!エンドミルって凄いですよね~。

road56そして木型から外しました。・・・が!

実はよく見てみると「a」の穴の部分がやはり鋳込み足りていなくて、上の使わない方の右側のaは凄く上手くいっているのですが、それ以外の3個はどれも少し足りていない状態です。

これ以上削っても意味が無いのでとりあえず今回は失敗として、次回はあそこに何かしら逃げとなる湯道を作ってあげようと思います。うーん、次こそは!

ロータスエンジンカバー用凸文字作成 【切削編】

lotus67 前回に引き続き、「レーザー加工」「鋳造」「切削加工」については本業ではありませんのでいつもの日記の方では無くこちらの社外記での紹介とさせて頂いています。ご依頼頂くのは塗装の付帯作業の場合のみで、これらの事を単体で受け付けてはおりませんので何卒ご了承下さいませ。

という事で、先日鋳造して出来上がったロータスとエリーゼの金属製ロゴはそのままだと余分があるので今度はそれを削って成型します。ちなみに車のヘッドカバーの凸文字も最後はこれと同じように切削加工されているんですよ(といってもあちらはヘッドカバーごと削っている訳ですが)。

lotus68 切削加工のやり方は簡易的なフライスみたいな感じで、一般的なボール盤(ドリル台)に市販のスライドテーブルを固定しています。ドリルの刃は普通の穴を開ける物とは違って横方向に削る為の刃で(エンドミル)、刃の位置はそのままで加工品の方を動かすといった感じですかね。X軸とY軸を動かす時に回すハンドルはまるで潜水艦の潜望鏡みたいで中々楽しいです。

lotus70 表側は表面を均す程度なのでそんなに掘る必要は無いのですが、この時操作を誤って一部を深く掘り過ぎてしまい、なので全体的にそのラインまで削り落としています。といっても元々の厚みが6ミリでそんなに要る筈もありませんから仕上がり的には全く問題ありませんのでご安心下さいませ。

lotus69沢山削らなければならないのは注型した裏側の方で、先日紹介したように「蓋」を閉めるのを失敗したので注ぎ込んだ部分に大量の金属が残っているのです。これを全部ヤスリで削るなんてあり得ませんよね。

road (1 - 1)-10ちなみに以前はこれを、クリリンが使う気円斬みたいなメタルソーなる刃を使ってカットしたのですが、その方法だと最後まで文字を固定出来ないので今回はこれを使わず、先ほど紹介したように木枠に着けたままの状態でエンドミルで削る方法にしています。この辺の機械加工についてはズブの素人ですので何事もやってみないと判らないのですが、それだけに中々楽しい作業でもあるのです。

lotus71 と言う訳でこんな感じで裏に溜まった金属を削り落とし、文字だけの状態にしました。型枠がそのまま固定台になるので今回はとても安定して切削作業が出来ています。

ちなみに削り落とした分の切子は回収していて、溶かしてまた再利用する事が可能です(勿論今回もそうしてます)。

lotus73-1そしてジャジャーン!と、自家製鋳造凸文字エンブレムの完成です。使わなかった木型と並べて撮ってみました。

lotus72 まあ何のことは無い物なのですが、好きな形をデータから起こして作れるので、例えば「Lのところ人を立たせてくれ」と言うリクエストも可能ですし(しかし今回のサイズ的には無理です)、勿論自分の会社のロゴなんかも作れます。

何よりも私が楽しいのは、子供の頃からずっと思っていた「こんなのが出来ればなぁ・・・」と言うのが全部自分の手で作れるのが魅力的なんですよね。

lotus73当初、筆記体を鋳造で作るのは面倒かと思っていたのですが、実際にやってみると文字の全て繋がった一体物になっているので、今回のように出来上がった物を何かに貼り付ける作業ではとても楽なのが判りました。むしろLOTUSの方がバラバラになってしまうので並べるのが難しいですよね。

という事で次はいよいよこれらをアルミプレートに貼って樹脂製のエンジンカバーに取り付けます。こらからの作業は本業の方に入りますのでいつも通り日記での紹介になる予定です。

尚、次回の鋳造はBMWのヘッドカバーに貼り付ける為のALPINAのロゴと、あとはそれとセットのサージタンクにはショップさんのオリジナルロゴが付くかもです。うーん、楽しみですね!(なんだか一人で盛り上がっていてすいません・・・)。

メタルソー、入荷しました

road (1 - 1)-14 昨日到着していましたメタルソーです。見るからに危なそうな物なのですが、以前ブレーキ屋さんがブレーキキャリパーブラケットを作製している時に使っているのを見てとても便利そうだと思って今回入手してみました。径は75mmで厚みは1mmです。

road (1 - 1)-9昨日は凸文字を下向きにセットしましたが、今回は画的にこの方が判り易いので上を向けてみました。

ボール盤側でZ軸を合わせ、後は昨日紹介したクロスバイスのハンドルを回してX軸とY軸を操作します。

road (1 - 1)-10 それにしても切れる切れる!確かに厚みがある物ならエンドミルでネチネチ削るよりもこれで一気にカットしてしまった方が断然早いです。ただブレーキ屋さん曰く一度に刃を入れるとカスが抜けなくて刃にクラックが入ってしまうとの事で、2ミリずつくらいで進めています。

road (1 - 1)-11カット完了です。固定さえしっかりしていれば後はハンドルを回すだけなので超簡単で、しかも何故か?凄く楽しいです(笑)。イメージとしてはゲームセンターにあるクレーンゲームをやるような感じで、しかもあれより段是こっちの方が面白いと言う始末でして・・・(危)。

road (1 - 1)-12 今回はおっかなびっくりでやりましたが、なれれば15分掛からずカットが出来そうです。しかもバンドソーで切るよりも断然真っ直ぐ切れますし!

road (1 - 1)-13 MAZDAの凸文字を付ける箇所はここを想定していて、ボンネットを開けた時に丁度これが手前に来て目立つ筈です。そうですよね?

road (1 - 1)-15段々完成のイメージが出来上がって来ました。画像だと凸文字の色がゴールドっぽいですがこれは鋳込んだ時に出来た色味なので(MDFの色が移った感じでしょうか)、削ればアルミ同様シルバーに輝きます。

road (1 - 1)-16ちなみにここに来てちょっと目移りをしてしまったと言うか、ヘッドカバーに入れる凸文字を今の物では無く、例えばマツダのオフィシャルサイトで使われていたこの「ROADSTER」のロゴにしたり、またはMAZDAのロゴもこのフォントに合わせたりするのも今風で面白いかな~、なんて考えていたりします。おいおい、今更何を言い出すんだって感じですか(笑)。

鋳造凸文字 簡易フライス加工

factory (1 - 1)-21こちらは今の工場に元々残物として置いてあったボール盤(卓上のドリル)で、工場を借りる際にオーナーさんに廃棄を御願いしたのですが、賃貸条件が「現状渡し」と言う事もあって結局そのまま引き継ぐ事になりました。ただ軸ぶれが結構ひどかったので精密性にはちょっと欠けていたんですよね。

road (1 - 1)-6と言う事で今回の件を機会に、新たに新品のドリルチャックを買いました。奥の物に比べると信じられないくらい綺麗ですが、あれも最初はこんなだったのでしょうか。

factory (1 - 1)-22 ちなみにドリルチャックの規格についてはよく判らなかったのですが、ボール盤のメーカーさんにメールで問い合わせたところ非常に親切に教えていただきました。とっくに廃盤の製品なのにこの辺がやはり日本のメーカーさんは頼りになりますね。いつか私がビッグになったら是非新品を買わせて頂こうと思います。ビ、ビッグに・・・。

road68鋳造で作製した凸文字は厚みが6ミリあって、最終的にはこれを2ミリ~3ミリの厚さにするので、まずは土台を全部削り落としてしまおう!という感じです。

ちなみに文字と土台の間をバンドソー(金属が切れる糸鋸)で切り落とす事も考えたのですが、それだとさすがに相当大変ですので今回は先に紹介したボール盤を使っての「簡易フライス」を行う事にしたのです。以前間借りしていた知人の自動車板金塗装工場にはちゃんとしたフライス加工機があって、ブレーキ屋さんがいつもブレーキキャリパーのブラケットを作るのにジュラルミンをザクザク削っているのを思い出してそれに倣ってみようと思った次第です。今思えばもっと色々教えて貰っておけば良かったなぁ、と(そもそも人の言う事を聞かない私が言うのもなんですが・・・)。

road92 そしてジャジャーンと!、先日届いたクロスバイスです。これにより単なる穴を開ける為のボール盤が、簡易的にでも金属を切削する道具に変化出来ると言う優れものでして、削りたい物を万力になった部分で挟み込み、ハンドルを回してX軸、Y軸に動かして回転する刃先に当てれば、金属を真っ直ぐ削ったり薄くしたりする事が出来たりします。

road91こんな感じで不要な土台部分を徐々に徐々に削っていきます。うーん、これはヤバイですね・・・(惚)。金属だけでなく、パテで作った造形物やアクリル板など色々な物に応用出来るのではないかと。

road93土台部分を全部削り落とせました。ただバイスの方もちょっと削ってしまっていますが・・・(苦)

road90 途中で気がついたのですが、削るのは文字のところだけで枠はわざわざ削らなくても良いみたいで、かなり無駄な事をしていたようです。

ちなみに今回は文字を全部バラバラにしていますが土台は残す事も考えていて、今回削った凸文字は鋳込んだ際に土台に弾いて穴が開いていた箇所があったので、どうせ溶かしてしまうならその前に試してみようと思ったのです。

road89そして凸文字だけになりました。切っている最中に「6」が動いてしまい斜めに削れてしまった事と、ハイフンがどこかに行ってしまいました・・・。

カットしたMDF板は取り付ける時の位置合わせ用の物で、これを使えば(多分)簡単に文字を並べる事が出来るようになると思います。

road (1 - 1)-7ちなみにさらに今日、ボール盤に取り付ける「メタルソー」なる気円斬みたいな刃が届きまして、今回はクロスバイスを使って削る作業となりましたがそれを使えば凸文字だけ切り取ってしまえる!と言うこれまた優れものです(上手くいけばの話しですが・・・)。

こんな感じで塗装と接着以外に「鋳造」「切削」が出来るようになれば今後他にも色々応用が利くと思うので是非マスターしたいと思います。そしていずれはちゃんとした卓上フライス&旋盤、さらにはPCと連動出来るCNCも欲しいですね~(ただしもう場所が・・・)。