事務用回転椅子塗装 完成

chair5先日結晶塗装の試用で塗った事務用回転椅子のフレームですが、それとは別にクッションや小物パーツなども塗っているのでそちらを紹介します。

chair8結晶塗装の方が濃いグレーだったのでそれに合わせて他の部品は明るいグレーを選んだのですが、クッション部分の面積が大きい為かちょっとノッペリし過ぎてしまい、それの対策としてフチを結晶塗装の色に近い濃いグレーにしてみました。

chair9セオリー通りの2トーンカラーって感じですが、既に組み終わった姿を見てしまっている私としてはここは有彩色にすれば良かった・・・と後悔しています。結局グレーにしてしまったら事務椅子な感を払拭出来ていないんじゃ・・・みたいな感じでして。

chair14この辺りのパーツは明るめのグレーで、無難ですがここはこれで良かったと思います。

ちなみにクリアーは塗っていないベースコートのみの仕様です。

chair13その間に付属部品を洗浄していたりもします。さすがにここを塗る余裕はありませんでした。

factory-98ちなみにクッションのビニール部分に使った塗料はいつものSTANDOXで、通常そういった物への塗装は染Qや内装専用の塗料などを使うのが一般的に思われていますが、いやいや全然問題はありません。以前オレンジに塗装した同じ回転椅子も塗装の剥がれなどは無く普通に使えています。

standox7と言うかそもそもスタンドックスやデュポンなどは「スマートリペア」のような塗装システムがあって、日本だと余りメジャーでは無いみたいですが海外では皮シートの補修などにも普通に行われているようです。私が最初に勤めていたディーラーに居た英国人はこれが得意で、良く内装の補修をするのに塗料を分けてくれと言われていました(その時使っていた塗料はDUPONTです)。

standox8スタンドックスには一応こんな風にマニュアル的な色見本もあって、記載されている文字を見てみると警察車両や特殊車両(レンジャー!)に使われている色や内装色などの配合データも用意されています。日本で言うと自衛隊車両の国防色みたいな感じでしょうか。そういうのは三菱とかが得意そうな気がします。

standox9  実際に人工皮革(恐らくは塩ビ)に塗装された色見本などもあります。著作権の問題から配合データは紹介出来ませんが(登録ユーザーのみ閲覧可能です)、スタンドックスのウェブサイトにアクセスしてこのカラーコードを入力すれば配合データが見れるので、それ通りに作れば同じ色が作製可能と言う訳です。

逆を言えば配合データが無ければ色は一から作らなければならないのでとても大変で、バイクの場合などは外車であれば多少データがありますが国産は結構ひどい有様です(関ペとかニッペなら配合データはあったりするのでしょうか?)。自転車なんかは当然そんな物はありません。不親切と言うか、そもそも補修する事は想定していないんでしょうね。

chair (1 - 1) と言う訳で、回転椅子は既に先日組み付けも終わっています。元のグレーに比べるとかなり濃くしたのですが結局グレーはグレーなので事務用品チックな雰囲気が全く消えていません。どうせならパステルカラーにすれば良かったなぁ、と本当に後悔です。

chair (1 - 1)-2 フレームが結晶塗装なのは予想通り格好良く、無骨な感じがとても良い雰囲気になっています。

chair (1 - 1)-3時々店舗で使う建築資材や什器などに結晶塗装を塗りたいといったお問い合わせがありますが、コストが合わないみたいでご依頼に至る事は殆ど無いです。安く受ければ仕事は幾らでもありますが、自らの首を絞めていては仕方ないですしね。

chair (1 - 1)-4 ここは先にビニールシートの方を塗装し、乾いたらマスキングをして結晶塗装を施しています。ここはまさに今回テストしたかったところで、非常に良い結果が得られました。

chair1一応何もしていない元の椅子と並べてみました。見た目は明らかに違いますが、事務椅子的な所が払拭出来ていないのでもう少し色を考えるべきでしたね。と言っても今回は結晶塗装のテストがメインだったので、当日にそんな余裕は全く無かったのですが・・・(苦)。

今度塗る時はパステルカラーの明るいグリーン系か紫に塗ろうと思います。

アップサイクル(事務用回転椅子塗装)

chair3実は椅子を塗ろうと思った訳では無く、古いシトロエンの内装パーツを結晶塗装でご依頼頂いている案件がありまして(業者様からのご依頼なので日記では紹介しておりません)、ただ今回の結晶塗装はちょっと特種な事を試さなければならない事があって、このレトロな事務用回転椅子の一部を塗装サンプルとして使う事にしました。

chair4 ちなみにこの椅子は今の工場に引っ越して来た時からあった残物で、一応一個はオレンジ色に塗って使っているのですが、やはりと言うかこれを塗ろう!と思うと結構大変で後が続いていなかったのです。全部で7個くらいあるのですが、たかが椅子の塗装でも結構大変なんですよ。

chair6 ちなみにキャスターのボルト部分は隙間が非常に薄く、普通のスパナでは全く入りません。

ただ以前に分解はしているので外せない訳は無い・・・言う事で、記憶を辿ってみる事にしました。

chair7 ああ!と言う訳で思い出したのがこちらの汎用スパナです。SATAのスプレーガンを使っている方ならよくご存じかと思いますが、買うとオマケで付いてくるアレです。

スパナとしての性能は微妙ですが、19ミリでここまで薄いスパナ(風)の物って殆ど無いので、とても重宝しています。

chair5 製品としてはかなり古い物だと思いますが、それだけに各部の造りは良く出来てます。最近のだと使い捨て前提に作られていたりしますが、これの場合クッションの張り替えまで出来るようになっています(さすがにしませんが・・・)。。

chair10 と言う訳でジャジャーンと!

濃いグレーの結晶塗装で本塗り完了です。

chair11 見た目はいつもと同じ仕上がりですが、作業内容はいつもとはちょっと違っていて、本来こうなる筈では無いようなやり方なんですよ。イメージ通り上手く行きました。

chair12ただいつもと違ったやり方だからと言う訳では無いのですが、実は本塗り中に色々とトラブルがあって、ご依頼を頂いていた4部品の内の一つは、なんと4回塗り直しています・・・(画像とは違う物です)。

当初はもっと余裕で終わると思っていたのですが、結局一日中ドツボにはまってしまい、作業している時は全く気が付かなかったのですが終わってみたら背筋がパンパン、顎はガクガク、噛んでいたガムはいつも何かなくなっていました(ガムは噛まないと溶けて無くなるみたいです)。

まあ幸いにして何とか仕事の方は完結出来て、試しとして行ったこちらの塗装も良い感じに仕上がったので、クッションなどの付属品も塗装して普通に使えるようにするつもりです。

出来上がったら改めて紹介しますね。

たまには自家塗装っぽく

ikea たまには仕事っぽくない感じに、初心に還って塗装を楽しもう!と言うことで買って来たIKEAのキャスターチェアーです。これが面白い事に上と下は別々で、好きなのを選んで自由に組み合わせて下さいって仕様になっているので今回自家塗装を想定して買ってみました。

ikea1私が買ったのは一番安いプレーン(無地)で、素材は恐らくポリプロプレンですから自家塗装はちょっと難しいかも知れませんが、そもそもの値段が安いので(上下セットで確か二千円台だったと思いました)軽い気持で塗ってしまって良いと思います。一応肝さえ抑えておけば自家塗装でもPP(ポリプロピレン)は大丈夫ですし。

ikea4 必ずやっておく事は「足付け処理」で、 要は被塗面がツルツルしていると塗装はくっ付いてくれないので表面に傷を付けて塗装がよく密着するようにしてあげる必要があります。

ただし深い傷を付けるとそのまま残ってしまいますし、特に今回のようなポリプロピレンは強く擦ると毛羽立ってしまうのでせいぜい#1000より細かい番手が良いと思います。最近は耐水ペーパーでは無く上の画像にあるような布状の研磨副資材(コバックス社製のアシレックス)があるのでこれのオレンジ(#1200相当)がお勧めですかね。空研ぎだと目詰まりしますが実は水研ぎとして使っても大丈夫です。

ikea2  尚、単色ベタ塗りは場合によってはチープな感じがしますから今回は素地の白を活かした「2トーン仕上げ」にします。プレスラインなどで色分けをするのが格好良く見えるのでお勧めですかね。ちなみに反対色(緑と赤など)や原色(赤と青)などの組み合わせは難しいのでそれも考えて素地の色を決めるのが良いと思います。となるとやはり白が無難なんですけどね。

ikea3塗装の密着性については「足付け処理」「脱脂」「プライマー」が肝で、脱脂はシリコンオフなる専用の溶剤がお勧めですが無ければ中性洗剤とスポンジで良く洗ってもまあ大丈夫です。

尚プラスチック用のプライマーは持っていないのが普通ですから、自家塗装の場合はホームセンターやカー用品店に売っている市販品の「ミッチャクロン」なる缶スプレーで良いと思います。ちなみにこれらプライマーを塗らないとポリプロピレンの場合はいくら足付け処理をしても脱脂処理をしても全くくっ付きませんので必須作業です。

色は好きな缶スプレーで構わないのですが、ここで注意したいのは「艶を出そうとしない」と言う事です。自家塗装でお勧めなのは「艶消し」の仕上がりのみで、艶を出そうとしても缶スプレーで簡単に出せるものではありませんし、かといって単に色を塗っただけだと中途半端な艶しか出なくて気持ち悪い仕上がりになりますから、お勧めとしては最後に艶消しクリアーを塗って艶を完全に消してあげれば上品な仕上がりになると思います(ただし湿度の無い日が宜しいかと思います)。

ikea-2  ちなみに今回の塗装はベースコート(色)に直接艶消し剤を入れて艶消しの仕上がりにしていて、クリアーは塗っていませんが硬化剤を添加しているので缶スプレーより少しだけ強い塗膜といった感じになっています。ただやはりクリアーは塗っていませんから、使っている内に角などは塗膜が擦り切れてしまうと思います。この辺が自家塗装っぽい感じで、所謂これが「激安コース」と設定している塗装です。耐久性も必要であればやはり2液ウレタンの艶消しクリアーを塗らなければなりませんが、ただそうなると最初から塗装済みの椅子を買った方が安く済みますから、今回は自家塗装っぽくと言う事でそこは無視して考えてます。

ikea-4後はお好みでステッカーなどを貼ればオリジナル感が出て良いと思います。Youtubeのステッカーはスタジオっぽい雰囲気が気に入っていて、ぶっちゃけこのステッカーだけでも良かったんじゃ・・・と思うくらいなのでして(苦笑)。

ただ自家塗装といってもそれなりに準備や環境が必要なので最初は小さい物から始めると宜しいかと思います。定番はやはりミニカーでしょう(私が塗装屋になるきっかけもそこからでしたので)。