色見本キーホルダー ソリッドカラー色相環

今までは比較的鮮やかな色が多かった色見本キーホルダーですが、今回は無彩色=アースカラーのモデルと作ってみようと、新しい色を試してみています。

こちらの試作品は以下の通りとなります。


■枠・・・ゼネラルモーターズ「Cream」(カラーコード:53A)

■背板・・・ゼネラルモーターズ「Medium Beige」(カラーコード:64BN)

■色相環・・・ソリッドカラー艶あり

■ドロー・・・グレー


グレーの色見本は以前作っていたのですが、

黄色味のあるグレーが欲しかったので、こちらを新たに作っておきました。

ドロー部の色は新たに作ったこのイエロー味のグレーの中から選び、さらにそれをMIX870(隠蔽力の高い白原色)に変換した物を使っています。MIX570(通常の白原色)だと何故か気泡(巣穴)が出来てしまうのですが、同じベースコート用の白でもMIX870の方だとこれが少なく済むんですよね。塗料中の樹脂量の違いでしょうか。

ちなみにこれまでドロー部は白(MIX870)と黒(MIX571)をそのまま使うをメインとしていて、時々ピンクなど違う色を使っていましたが、その場合気泡(巣穴)の発生が激しく、それを埋める為に2度塗り3度塗りを繰り返しとても手間だったので、だったらという事で通常メインで使っている白原色のMIX570をMIX870に変えてみたところこれが上手く行ったという次第です。

ただ既存の配合データではこのMIX870を使った仕様は限られているので(殆ど無い)、新たにPRO_Fit仕様として作り直す必要がありました。

ただこれのお陰でドロー部の色が目立ち過ぎるのを抑えられたので、さらに理想の配色に近づいたと思います。

尚、ソリッドカラー(パールでもメタリックでも無い色)で構成された枠には、やはりソリッドカラーの色相環が良く似合う訳で、ただし現在この12色のピースの在庫が殆ど無いので、

新たにアクリル板からレーザー加工機で切り出す事にしました。

ただ大変なのはここからで、

切り出したそれらは自宅に持ち帰り、毎日毎夜段ボールにマスキングテープを貼って一つずつ間隔を空けて固定する作業を行なっています。

デザフェスに出店した最初の時はこういう作業を工場でやっていたのですが、その年は忙しかった割に売り上げが激減、なのでこれらはあくまでも隙間時間という事で、自宅に帰って寝るまでの2時間くらいを費やす事で対応する事にしました。

これらによって外食とかに行く機会はさらに無くなりましたが(笑)、塗装に関する事ならどれをやっていて楽しいですし、SNS等で「待ってます!」「是非、WEB販売を!」と言って頂けるのが本当に嬉しく、さらに新作を作ろうとやる気が出たりもします。

と言う訳で、今回は艶ありと艶消しそれぞれ12色ずつ合計24シート、全部で1万個くらいのピースを並べました。ようやく地獄からの解放です・・・!

各ピースの隙間が狭いと色がしっかり入らないので、それぞれ十分なスペースを空けるようにして固定しています。

表面は#800相当の布状研磨副資材(アシレックスレモン)で足付け処理をしてあり、脱脂処理後、プラスチックプライマーを塗ったら本塗り開始です。

尚、これまでは透明アクリル板にまず「白」を下塗りしてから本塗りを開始していましたが、

今回は全て白アクリル板を使う事で下色に白を塗る事を省き、その分膜厚を抑える事に成功しています。塗膜が厚くなってしまうとその後取り外してから行う「バリ取り」が凄く大変なんですよね。

そしてクリアーを塗って本塗り完了です!

ちなみに上の画像では奥が艶ありクリアー(クリスタルクリアー)、手前が艶消しクリアー(スーパーマットK9150)となります。塗った直後は艶がありますが、これから徐々に艶が消えていきます。

一度にこの量を塗るのはセッティングも含めるとかなり大変ですが、

STANDOXの塗料と自補修(自動車補修塗装)の品質を維持したままキーホルダーを作ろうとすると、どうしてもどこかでコストを落とさなければならないので(それこそ一個5万円とかになってしまいます)、なのである程度まとめて一気にやらないとダメなんですよね。一応趣味の範囲ではあるのですが、仕事で使う設備や材料・時間を費やすのであれば、出来るだけ効率よくする必要はある訳です。

「だったら最初から着色されたアクリル板や印刷シールとかでも良いんじゃ?」と思う方もいるかも知れませんが、高品位なアクリルポリエステル樹脂の質感は塗装の事を知らない人でも「これは何か違う」と、普段見ている素材には無い美しさを感じ取れる筈なので、キーホルダーにしては高額な物でもデザフェスのような実物を見れる場所では結構目に留まってくれるのではと思っています。

ちなみに次にやりたいのはキャンディーカラーの艶消しで、これは一見着色アルマイトっぽく見える性質がありますから絶対欲しがる人は居るだろうと思っています。何より私もその色見本が欲しいのです(笑)。

また今回は、デザフェスのディスプレイ用に比較的大きな色相環のピースも塗りました!

ちなみにこれらは不要になった1mm厚のアクリル板を使っていて、今まで購入していた物を別のショップさんから新しいメーカーの物に変えたので、どうせ使わないならと残っていた8個を切り取って今回一緒に塗装した次第です(なので12色は揃っていません)。

厚みが無いのでちょっとチープですが、これに5ミリ厚くらいのハレパネ(スチロールボード)を貼って少し浮かせてあげれば見れるかなと思った次第です。何より遠くからでも目立つかと。

ちなみに今年のデザフェスは出店しない予定だったのですが、一応応募した抽選に当たったので、出るなら本気で!という事で今回も頑張る事にしました。

問題は引き籠りにさらに輪がかかった事ですが(笑)、あと20年塗装の仕事を続けられるよう、今やれる事は今の内にやり切っておかないとですね。

STANDOX+クロマフレア色見本 完成

先日クロマフレア顔料を使って塗装しておいた各色見本です。

最近マイクの色見本は作っていなかったので久しぶりですね。

プレート型の色見本はMDF板をレーザーでカットし、それに印刷した紙を糊で貼っています。何ともアナログな作業で、まあまあ手間は掛かるのですが、色板だけだと飾ってもつまらないですし、一度仕舞うとどこにいったか判らなくなってしまうのでこれが一番有効だと思ってます。

以前「なんで車の形なんですか?」と聞かれた事があるのですが、そもそもSTANDOXは車体を塗る為の塗料ですし(私もそれで育ってますし)、色見本用の素体としては元々車の形をしたブリスターパックみたいな物があるのですが、それだとサイズが大きいので邪魔で、なのでそれをここまで小さくしたという感じです。

色の変化や全体の雰囲気を感じるのであれば、やはりこういった複雑な形状をした物が有効ですね。

 

左の大きいBLACKRABBiTは以前GUNさんから購入した物で、こちらには日本ペイントのマジョーラ、アンドロメダⅡが使われています。

対して右側の小さい物が今回塗装した物で、同じくアンドロメダⅡに該当する塗色です。

今回塗料を作ってくれた塗料屋さん曰く、「現在のクロマフレア顔料は以前よりも粒子が均一化されている為、色変化の差異は昔のマジョーラよりも綺麗になっている」との事でした。実際見た目もそう感じますし、恐らくは顔料を潰すローラーが進化したのではないかと思っています。顔料をより細かく出来るようになった事で、透過性の赤が染料から顔料に移行したのと同じような感じですかね。

こちらはどちらも同じ様に見えますが、違う顔料とんあります。

右手前がマジョーラで言うトラペジウムですが、それに比べると左側の新しい色(マジョーラには無い色)は輝度感が強く、色の変化もシャープになっています。

こういった場合、立体物だと判り難いのですが、

平面の色見本で見るとその差は明確です。右がトラペジウムに該当するクロマフレア顔料で、左がそれより新しく出た同社の顔料を使った物=CF-PRGです。マイクにも塗っているので後ほど詳しく紹介します。

こちらもマジョーラのラインナップには無い、クロマフレア顔料を使った色で、

元々当店にあるNo.19と似た色となっていますが、

やはりと言うか色が変化する境界がハッキリとしていて、粒子感も細かく、そして均一に、輝度感も高いのが特徴です。一言で言うと「深みがある」といった感じですかね。

マイクは専用のページで紹介するのでちゃんと撮影しておきました。

とは言ってもいつもと同じく画像の編集はサイズの縮小のみで、それ以外は撮ったままとしています。

この手の色はコントラストを強調するだけで断然格好良くなるのですが、塗装を仕事としてやっている身としてそれはナンセンスですし、私が依頼する立場だったらそういう所には依頼したくないですからね。インスタやTwitterでは加工しまくった画像が散見されますが、いつか嘘をついている自分に疲れてしまうのではと心配しています。

こちらはトラペジウムに似てそうでは無いクロマフレア顔料=CF-PRGの色となります。

塗料の説明としては「トラペジウムと比較してレッドが明るい」とありますが、赤味というか「オレンジ味」が強いといった感じです。トラペジウムの方は青味あります。

トラペジウムに比べて色も濃く感じるので、どちらが良いかと言うと私的にはこちらなのですが、売り方としては「マジョーラのトラペジウムと同様」と言えた方がユーザーの受けは良さそうなので、難しいところですね・・・。

こちらはアンドロメダⅡに該当するCF-ANDⅡです。

この色はクドさが無く上品で、やはりと言うか間違いが無いですね。

こういった色相が変わる塗色は、多層構造を持つ光干渉型パールの大きな特徴です。偏光パールと呼ばれる方が多いと思いますが(実際その傾向がある色もありますが)、どちらかと言うと光干渉型寄りなので私はそう呼ぶようにしています。

こちらは最も色変化の激しい色で、マジョーラで言うと「アンドロメダ」となり、今回使ったクロマフレア顔料もそれと同じ物となります。当店ではCF-ANDとしました。

ちょっとクドイ所はありますが、派手さを好むマイクの塗装には向いていると思います。

ただクロマフレア顔料を使った塗料はどれも高額なので、通常の3コート塗装割増にさらに追加費用は必要になると思います。スプレーガンのグリップを握る度に数百円が飛び出るといった感じなのでちょっと恐ろしいですね(笑)。

ちなみに出来上がった色見本はこんな感じで工場の壁に飾っています。

単に飾るだけでは無く、色の検討&検証する際には外して持ってそれぞれ比較して、本塗りの時にも色に差異が無いかの確認など、かなり重宝しています。まさにこれのお陰で今の小物塗装の仕事が成り立っていると言っても過言では無いかも知れません。

現在は工場に受付窓口は設けていませんが、いよいよ塗装屋としてこれはダメだという感じなったら(目に見えて仕上がりが劣るようになったら)私は現場を引退し、若い塗装屋さんにでも間借りで入って貰って、私はフロント業務のみ行う元請け業にでもなろうかと考えています。そしていずれ工場の設備をそのまま譲り、私はマイクとかリモコンキーとか小さい物だけを塗って緩やかに日々を過ごせていければと思ってます。

まあ家のローンがまだ20年以上残っているのでそんな隠匿生活は夢のまた夢ですが(笑)

西陣織壁時計 色作成④

先日組付け作業を行っていた西陣織壁時計です。

針の色は白と黒が既存の物なのですが、それだと全く似合わないので、

短針と長針を泥金みたいな色にしようかと思った次第です。

ただこれだとちょっと違う気がしたので(針が目立ち過ぎてしまう気がしたので)、

R34GT-Rブレンボのゴールドの色を採用しようかと思います。

秒針は細身なので鮮やかな赤にしようかと思い、ただフェラーリのロッソコルサ程度でもちょっと派手過ぎるようなので、

現在別案件で進行中の「日本の伝統色」色見本の中から、落ち着いた感じの赤=「真緋」(あけ)を採用しようと思います。

と言う訳で、一時はゴミになってしまうかも知れなかったRMの色見本帳=カラーマスターから赤系の引き出しを選び、

それらの中から良さそうな赤を選び出します。車の塗装屋さんなら判ると思うのですが、通常自動車補修用塗料の色見本は自動車メーカー毎に別れているので、このように同じ色相の物をズラ~と並べるような事は出来ず、なので車以外での塗装を行う場面では使い難いんですよね。

その点このRM社のカラーマスターは「メーカー」という枠がないので、今の小物塗装屋にはとても使い易いのでは!と思ったのですが、良い色を見つけてもその配合データはRM社の塗料でしか使えない=自動車メーカーや色番号を逆引きが出来ない!と言う致命的な問題があるので、今までは余り使い道が無かったんですよね。

と言う訳ですがジャジャーンと!

仕事では中々出番がないのですが、以前知り合いの塗装屋さん(アッソさん)に頂いたこのスタンドックスアクワイヤーⅡ=測色機があれば、その色見本(塗膜)を基に配合データを割り出す事が出来る!という凄い事が出来るようになります。なんて素晴らしい・・・!

モニターの色(RGBだけどCMYK)から近い物を色見本から選び、

それを測色機で読み込んで、

オンラインでSTANDOXのウェブサイトに繋いで配合データをダウンロードします。場末の塗装工場がこんな感じで世界に繋がったりするのは何だか感慨深いですね・・・(わざと大げさに言って楽しんでいます)。

選んだのは三菱の「FIRE RED」(カラーコード:FC1)で、聞きなれない色番号なので日本では流通していない色かもです。

ちなみにアクワイヤーはとても高価な物で、当店のような保険業務の無いほぼお客様の実費で行う塗装業務ではとても手が出る機械では無いのですが、これを無償で譲ってくれたアッソガラージュさんには本当に感謝です。恩返しとしてはとにかくこれを使う事だと思うので、今進行中の日本の伝統色では全てこの方式で色の選定を行おうと思っています。幸いにして以前作った色相環12色のように鮮やかな色ではないので(あの時はRGB色を参考にしているのでとにかく色を濁らせないよう使用原色種類を少なくする必要がありました)、今回は自動車ボディーカラーでも十分近い色を出せると思っています。

ピアス “ピンク&蛍光ピンク”塗装 完成

先日塗装したイモリ(トカゲ)に金具を着け、ピアスにしました。

厚さ3mmのアクリル板をレーザー加工機でカットし、それに塗装を施しています。

先に穴を開けてヒートンを挿し込み、裏表を塗装しています。

最初に淡いピンク(ピンク迷彩①)を全体に塗り、尻尾の部分に蛍光ピンクを重ねました。

本来のトカゲはというと、尻尾の部分だけに色が着いていたりするのですが、それだと配色のバランスがとても悪いので(実際に試しています)、胴体の真ん中くらいを境界にして塗り分けています。

とても良いバランスだったので、今度マイクでこの配色を試してみようと思います。グリルをどうするかですね・・・。