「白」

 白の結晶塗装用塗料(リンター)が無くなったので、新たに取り寄せておきました。

以前は白も一斗缶で購入していましたが、使う機会も減ったので割高ですが4キロ缶での購入としました。4キロを最後まで使えるとも思えませんが・・・。

 リンターの白は赤味が強く、また熱が入ると黄変するので、その辺りも考えて使う必要があります(含有量が増える場合には青を入れるなど)。

こちらは結晶塗装ではなく普通の塗装(STANDOX)で、少し前に音響関係の業者様から、ワイヤレスマイクの1部分(部品)の塗装をご依頼頂いたのですが、その際に見本としてお預りした塗装済みの白が「白過ぎる」と言う事で、ちょっと参った案件でした。

恐らく見本のマイクは原色の白だけで塗られていたと思われますが、当店にあるSTANDOX原色の白(MIX570)では「白さ」が足りなく、それでも仕方ないので一度はそれで仕上げましたが、その翌日思い立って「1コートソリッド」(STANDOX2Kエナメル」で塗り直す事で何とかなりました。パッと見は殆ど変わらないのですが、今回はそれのお陰で何とかなったと言う感じです。また1コートソリッドの白はSTANDOX純正の色見本帳しか無かったので(正直それだと小さ過ぎて判りません・・・)、今回新たに作っておく事にしました。

ちなみに「蛍光顔料の白」を使うと言う手もありましたが、紫外線が当たった時にそこだけが発色したらマズイだろう思い、それは控えました。確かに明るさは出せそうですが、さすがにそれは・・・。

ちなみにクリアーは無色透明ですが、実際にはそれによって色味(黒味)が出るのが特徴で、例えば白い車のドアを一枚クリアーだけ塗ると、そこだけ色が変わります。私も最初の頃は「そんな訳無いでしょ・・・!」と思っていましたが、クリアーを塗り過ぎると全く別の色!と言う程に変わります(まあ塗装屋さんでもそこを気にしない人も居るかも知れませんが・・・)。

なのでクリアーにベースコートの白を混ぜたり(所謂「濁り」とか「濁し」と言う方法です)、フリップコントローラー(これもベースコート用)をクリアーに入れたリ、隣接パネル際はクリアーを1コートだけの薄膜にして色味を抑えたりと、車を塗っている塗装屋さんは色々工夫をしています。パールやメタリックなら隣接パネルのボカシが出来ますが(許されますが)、ソリッドカラーの白でドア交換とかは毎回大変でした。「白」は気にしなければ一番簡単な色かも知れませんが、気にしてしまうと実は一番難しい色です。お陰で未だに自動車の塗装屋だった頃の夢を見てうなされています・・・(いつになったら解放されるのでしょう)。

廃棄材料

古い缶に残っていた結晶塗料がカチカチになっていたので、廃棄をする事にしました。

固まった塗料を取り除き、燃えないゴミ(缶)と燃えるゴミ(塗料)にそれぞれ別けて廃棄します。

こちらも固形化してしまっているようなので捨てる事にしました。以前、透明レジンを作った時に購入したノンパラ仕様のポリエステル樹脂で、キャンディーカラーの色見本を作る際に使ったり、エポキシレジンとの比較などでも紹介しました。

2液硬化の不飽和ポリエステル樹脂なので、使う時には硬化剤MEKPO(Methyl ethyl ketone peroxide)を混合させて使いますが・・・、

 既に主剤だけで固まってしまっています(笑)。

 このままでは捨てられないので、缶を引き裂いてそれぞれを別けていきます。

うっかりコンビーフを思い出してしまいました(笑)。

 おおおお・・・(惚)。

それにしても硬化剤も入れず、「一液でこんな見事に固まるのか!」と、心の中で独りツッコんでしまいました。ひび割れも気泡も一切無く、一体何故・・・(笑)。

 缶は潰して燃えない事業ゴミとして廃棄します。コストは体積でも重量でも無く「容量」で決まるので、場末の塗装屋としてはこの辺が死活問題です(本当)。

固まった樹脂は予想以上に綺麗に残せた為、捨てずに残しておこうと思ってしまいました。何かを接着させる時の重しとかに、使えないかなぁと(多分間違い)。

どうせなら琥珀みたいに、中に何か入れた状態で固めたかったですね!(病)。

ミラーコートAG

塗料屋さんに取り寄せて貰いました。SEM社のミラーコートAGです。

こちらは所謂「メッキ調塗装」用の塗料で、この手の物は手を出してはいけないのは重々承知していますが、使い方と被塗物を限定すればまたやってみても良いかな?と思い久々に試してみる事にしました。塗装関係の知り合いの方からの、「いやいやいや!やめといた方がいいですって!」と言う心の声が聴こえてくるような来ないような(笑)。

 最近この手の塗料は各社から色々と出ていますが、今回購入したのは以前GUNさんと一緒にマルテー祭に行った時にデモをやっていた物で、「上に塗るクリアーはどのメーカーでも大丈夫です!」と言っていたのでこちらにしました。以前使っていたモトクロームでは専用のクリアー(恐らく水性)が本当に厄介だったんですよね。その上に塗ったウレタンクリアーがポリカーボネート製のラジコンボディみたいにパカっと剥がれると言う光景を見て使うのを止めました。

一応テクニカルデータシート(要は説明書)もついてきました。

とは言ってもこの手の塗料はどのメーカーも大体一緒でして、

メーカーさんの方もいい加減嫌になったのか、Q&Aは中々辛辣な内容になっています(まあ塗装屋ならそれくらい察してくれって話だと思いますが)。

しかしブツ取りに関しては「基本」と言うのが味噌でして、デモをやっていた方に教わった方法としては、磨いた後にシリコンオフでは無く中性洗剤で洗って水で流し、エアーブローだけで水気を飛ばせば吹きムラが出ない!と言う事でした。なるほどですね。

 そう言えば知り合いの塗装屋さんが「青くなったり黄色くなったり安定しないんですよ~」と仰っていましたが、そういった事も書いてあります。メッキ調コートの膜厚や乾燥不良で色味が変わるようですね。

ちなみに私はメッキ調単体では使わない予定なので(色々気になってしまいそれは無理だと気づきました)、青くなろうが黄色くなろうがは全く構わないと思っていて、要はキャンディーカラーの下地として使いたいだけです。そうじゃないとちょっとしたブツや肌目が気になって夜も眠れなくなりますので・・・。

相当文句を言う人が多いのか、どの項を見てもしつこいくらいに焼け!と説明しています(笑)。

そう言えばマルテー祭でやっていたデモでは、下地(ここで言う「プライマー」)は塗装では無く「黒のアクリル板」を使っていて、それを見たGUNさんが「それだったら誰がやっても綺麗なメッキ調になりますよ~」と、言ってはいけないツッコミをしていたのを思い出してしまいました(笑)。

まあ金属感を出す為には結局のところそこが重要なのでして、そもそも下地の艶あり黒を「肌目を出さないように塗る」と言うのが物理的に不可能な訳ですから、「やるなら完璧を目指したい」と言う自動車補修の塗装屋さんには受け入れられないのだと思います。ボンネットを塗装して、砂粒一つ入って半狂乱になるような仕事を日常的にやると、こういう塗装は無理ですよね。判ります、判りますよ・・・(全く他人事ですいません。笑)。

尚、先ほども紹介したように、こちらの塗装は至極限定的な使用となりますので、一般的な仕事のご依頼には対応は出来ません。「剥がれても構わないので」と言ったご希望にもお答えは出来ませんので何卒ご了承下さいませ。

STANDOX VOCプラチナクリアー

先日塗ったフェラーリロッソコルサの色見本用アクリル板ですが、

折角なのでクリアーを塗り直す事にしました。

と言うのは、

現在お預りしております、三菱アウトランダーのフロントグリル用に用意したSTANDOX VOCプラチナクリアーをテストしてみたかった為です。傷が非常につき難い耐擦傷性クリアーで、ベンツではナノ粒子クリアーの補修時に指定されている物です(と言うか最近のベンツは全てこれになっているみたいですね)。

ちなみにこれの前の型のプラチナクリアーは、以前スマホカバーの塗装に使っていて、今のVOC型になってからは今回が初めてです。一応どんな感じなのかオートサプライヤーさんに聞いてみたのですが、殆ど出る事(売れた事)が無いとの事で、事前に試してから本番に使う事にしました。

 また折角なので引っ掻きテスト用の色板も作製しておきます。

色は傷が判り易いよう黒にして、左がイージークリアー(旧)、右の二枚がVOCプラチナクリアーです。

またよくネットなどで論議されている塗膜の硬さについてですが、私的には以下のページで紹介されている記事が信頼性が高いと考えておりますので(何と言っても塗料のプロが説明している事ですので)、宜しければご参照下さいませ。ナノクリアーも7Hとか言われていますが、そんな事は無いと思います。

ハードコートの性能向上・塗料に関わる新技術

手軽に出来るハードコートとしてはUV硬化型の塗料だと思うのですが、確か紫外線に弱いので屋外での使用は推奨されていないと思います(そう言うのも余り紹介されていないのが怖いところです)。

と言う事で、今回のVOCプラチナクリアーは硬いのでは無く、分子間の結合が強い&軟化性がある事によって傷が付きにくいクリアーとなっています。ガラスのように硬くて傷が付かないというのとはちょっと(と言うかかなり)違います。

前記した理由(性質)から磨き処理が大変なので使える場面は限られますが、ご興味のある方はお問い合わせ頂ければと思います。

極小さい物、形が非常にシンプルな物、例えばフェラーリのリモコンキーなどであれば対応は出来ると思います。垂れたり溜まったりしそうなたらどうしようも無くなってしまうので、その恐れがある物にはお受付が出来ません。ご了承下さいませ。