前回は塗装ブースの肝である「天井フィルター」を設置する所まで紹介しましたが、今回はそれらを通る風量の制御方法と、その他備品を紹介します。
給気側に使っている換気扇は三相200Vの0.75kwを左右に一個ずつ設置していて、1次フィルターを通った空気を強制的に天井裏に送り込むようになっています。
排気側は元々出力調整が可能になっていますが、給気側も同じようにインバーターを利用して必要に応じて風量のバランスを取れるようにします。
スチール製の制御盤ボックスは意外と安く、新品在庫品みたいな物を見つけられれば¥5,000程で入手可能です。見た目がそれっぽく見えるのが良いですよね(笑)。
インバーターは使う機器に対して容量が決まっていて、この辺の事に関しては制御の仕事をしている友人に色々と協力をして貰っています。制御系とは、お寿司のシャリを握ってくれたり餃子の皮を包んでくれたりするロボットを作るようなお仕事ですね(違ってたらすいません…)。
やはりと言うか関心したのは安全面でして、もしファンが何かしらの理由で止まってしまった場合でも、熱を出して発火したりしないようにとこういったサーマルリレーなどを入れたりするそうです。特に今回のようにファンがフィルターに隠れて見えない場合は安心ですね。
下が浄化装置のポンプと排気ファン側で、上が給気ファンの制御ボックスです。
そう言えば今思い出しましたが、給気側には循環用または補助用にと言う事でもう一個換気扇を付けていて(確か1kwくらいの一回り小さな物)、ただ実際に動かしてみるとほぼ無意味だったので今は使っていません。
床は年に二回くらい塗り直していて、使っている塗料はシンナーでも溶けないエポキシ系の物となります。ちなみにコンクリートに直接上塗り塗料は付かないので、その際には先に専用のプライマーを塗ります。ガレージの床を塗るような塗料で水性の物があったりしますが、プールサイドのようにテロテロにしたい場合はエポキシやウレタンなど2液タイプの物になりますかね。
入口側はビニールカーテンにしていて、一昔前はこの糸入り厚手のタイプが相当高級品だったのですが、最近はネットのお陰でメーカー直販(と言うかビニール溶着職人さん)から直接購入する事が可能になったので、当時の10分の1くらいの費用で買う事が可能になりました。昔はこれだけで10万円くらいしましたよね。
ちなみにビニールカーテンは重たいので普通のカーテンレールだと抜けてしまいますから、工業用のしっかりとした物が必要になります。
壁は全面にビニールを貼っていますが、これを一人でやるのが意外と大変でして…。
塗装に使うエアーは、まず最初にコンプレッサー内蔵のエアークリーナーを通り、その後エアータンク直後にあるIWATAのエアークリーナー、さらに画像のオレンジ色のSATA社製エアークリーナー、最後にその右の黒いケースのMotor Guard社製のフィルターを通っています。スプレーガンに来るまでにフィルターを4回通って来る訳ですね。
ちなみに途中にIWATA社製のトランスフォーマーもあって(上の画像真ん中のシルバーの)、これも遠心分離で水分やゴミを除去するなどの機能がありますが、こちらはフィルター的な使い方では無く主にエアーレギュレーター(エアー量の調整)用として使っています。圧縮空気中の水分は最初の段階でエアードライヤーが除去してくれています。
そしてこちらが塗装ブースの壁に塗る粘着物質で、これが予想以上に大きい効果が得られます。是非お勧めですよ。
最初にディーラーの内製工場で塗っていた頃は作業場が地上10階くらいの高さだったので虫が来る事は無かったのですが、その後独立して横浜の工場で塗っていた頃は本当によく虫に事で悩まされました。
ただその後間借りしていた自動車板金塗装工場の塗装ブースでこれを使っていて、横浜と同じような環境だったのに虫が全く付かず、これの威力を実感したのです。本当に凄いんですよ。
塗装ブースは明るいのでどうしても虫が寄って来ますが、一旦これが塗ってある所に止まるとトリモチよろしく二度と飛び立つことが出来ません。さらには微細なホコリもくっ付いてくれるので塗装面へのゴミの付着もかなり低減出来るのです。
ブース内に設置した台は実は厨房機器で(笑)。専用の工具台とかだと3万円くらいはしますがこれなら1万円くらいで色々なサイズの物が売っていました。オールステンレスなので錆びませんし、造りもしっかりしているので重たい物を置いても大丈夫です。
乾燥用のヒーターはこれくらいのサイズ(画像ので4.5kw)になると一昔前は50万円以上しましたが、今は普通に買ってもこれの半額以下で買えるようになりました。エアーダンパーの付いたキュービック社製の物とか軽く100万円以上しましたよね。
さらに最近導入した箱型のヒーターは熱が漏れないので非常に省電力の優れものです。
塗装ブースはその後、元々冷却用パイプが入っていたU字溝を改造して排水が出来るようにしたりもしています。
うちの場合は小物と言ってもある程度の量を塗るのでここまでのサイズとなっていますが、DIYや本当に小さい物だけであれば部屋の中にこういうのを作る事も出来ると思います。
部屋の中をビニールカーテンで区切れば塗料ミストの飛散は防止出来ますし、給気側のフィルターさえしっかりしていれば飛躍的にゴミの付着が低減出来るので、自家塗装でも磨き無しの塗りっぱなしと言う仕上がりが十分可能になると思います。
使ったフィルターなど詳しく知りたい!と言う事であればコメント頂ければ調べますのでお気軽にどうぞ。