1/43ポルシェミニカー 組み付け

 先日本塗りを終えていた1/43ポルシェカレラターボのミニカーです。

かなり時間が空きましたが特に問題が起きたと言う訳では無く、お納めする予定日が8月なのでゆっくりやらせて頂いている次第です。どうぞご安心下さいませ。

 クォーターパネルのサイドダクトについては、最後に穴の中を艶消し黒で塗ろうとも考えていましたが、そのままでも見栄えが良いので結局塗らない事にしました。当然ですが溝などへの墨入れもしません。

 リヤに貼ったデカールは段差が殆ど判らないので、こちらもそのままにしました。なので全体の磨き処理はしていなく、全て塗りっ放しの状態となります。

 ミラーは先に付けると他を組み付けている時に折ってしまいそうなので、こちらは一番最後にする事にしました。反射シートは無くしてしまいそうなので先に貼っておきます。

 と言う訳で、予め外しておいた外装部品を取り付けていきます。

 テールランプはレンズの下に反射シートが貼ってあった為、こちらも元通り貼っておきます。

 元々の付属品は瞬間接着剤らしき物が使われていましたが、塗装屋的にそういうのは使いたくないので(と言うかそもそも持っていません)、今回は木工用ボンドを使って組み付けます。

「おいおい、プラスチックにそれは駄目だろ」と思われるかも知れませんが、実は以前こういうテストをしていて、私的にはスーパーX等の溶剤系を使うよりメリットは大きいと考えています。

こちらは2年前くらいにテストしていた物で、アクリル辺にシリコーン接着剤を使っての接着テストを行っていました。

結果としては、透明度はある程度確保出来ましたが、密着性は良くありませんでした。利点としては可使時間が長いくらいです。

ちなみにアクリルの接着にはジクロロメタン(二塩化メチレン)を使っていますが、あれは色々弊害もあるのでそれ以外に何か良い物はと探していたところ、木工用ボンドが一番適していました。

参考までにどうぞ↓

アクリルトラス作製

 こちらも2年くらい前に行った時の画像です。

プラスチックの素材はアクリルで、プライマーなども使っていません。

 固まる前は白く濁るので、透明アクリルの接着に使うには適していないかと思いきや、

先日のスマホカバーのデカールと同様、固まると透明になって、しかもかなりの接着力を発揮してくれます。これは二枚を組み合わせましたが、接着剤単体でもちゃんとくっ付いているのを確認しています。

「木工用」と言う概念からして、私自身長い間使用する対象を「木」だけと限定していましたが、この時のように実際にテストをしてみると予想以上の結果に度々驚かされます。逆にこういう事をしないで聞いた事だけを鵜呑みにしていると「FRP用プライマー」とか買ってしまうのかも知れませんね(元々塗装の密着が良い不飽和ポリエステル樹脂に、何故わざわざプライマーを塗るのか意味が分かりません)。

 木工用ボンドを使う上での一番の利点は塗膜にダメージを与えない事で、食み出て接着剤は濡れティッシュで拭き取れば簡単に取れるので、塗装した後の物にも安心して使えます。隙間に残っても固まれば透明になりますしね。

接着力はホットボンドよりも強く、また万が一には瞬間接着剤よりも剥がし易いので再分解(再塗装)を想定する場合には丁度良いです。勿論接着剤を使っても構いませんが、後で塗る方(分解する方)はとても困ります。

と言う訳で、ドアミラーを残して組み付けは完了しました。

後は全体に清掃して、最後に手袋をした状態で(指紋が付くのが嫌なので)ミラーを取り付け、そのまま撮影~アクリルケースに収めようと思います。

完成次第改めて日記の方で紹介しますのでどうぞもう少々お待ちくださいませ!

1/43ポルシェミニカー用 デカール作成

現在本業の塗装で作業中のポルシェ純正(と言うか正規ディーラー取り扱い製品)のポルシェ911 turboSのミニカーです。

今回はリヤバンパーにある「PORSCHE turbo S」のエンブレムを再現したい為、ここをデカールで作成します。

 ロゴについてはその辺にある画像を使うと言う訳では無く、Illustratorなどのソフトを使って新たにベクトルデータを作成します。この時点で少しハードルが高くなるかも知れませんが、私も最初は全く何も判らなかったのでやろうと思えば誰でも出来ると思います。

私的に嫌なのはやろうと思った時にそれが手元に無い事で、そのせいでお陰で工場には色々な端材が眠っています。鉛の塊とか(笑。いつか自分で釣り用の重りを作ろうと思いまして)。

 デカールの印刷に使うのはこちらのドライプリンターで、既に廃版となったアルプス電気のMD5000と言う機種です。

商用印刷については本来であればシルクスクリーンや溶剤プリンター、UVプリントなどが一般的ですが、極少量を個人レベルで使うにはさすがにそれは厳しいので、こういったプリンターは非常に重宝しています。

もしくは最近であればファブスペースなどを利用すると言う手もありますが、こういった事を好んでやる人間はオープンなスペースよりも自宅工房でネチネチとやっている性分だと思いますので、恐らくそういった明るい場所には行かない傾向にあるのでは…と思っています。イメージとしてはポム爺さんのような感じですかね(多分間違い)。

 ドライプリンターの構造は昔ながらのインクリボン方式で、それ故に「たまにしか使わない」と言う使い方でもノズルが詰まったりする事がありません。そもそもノズルがありませんし(笑)。

インクはリキッドでは無くドライタイプで、またUVプリンターのように色褪せてしまう事が無い為、私的にこれがとても気に入っています。本当はキックスタートか何かで既存のインクリボンを使って印刷出来る新しいモデルが出来てくれれ嬉しいのですが、まあ今時インクリボンは無いですか。

 印刷に使うのはデカール専用紙で、知り合いの塗装屋さんからもっと良い物を紹介して頂いたのですが、これの在庫品がかなり余っている為に当面はこちらを使い続ける事に…。

ちなみに使う前には塗装の下地処理同様、表面を足付け処理してシリコンオフで脱脂してから印刷しています。足付けに使うのはアシレックスオレンジ(#1300相当)で、新品を使うとメタリック系はペーパー目が出る為、少しお疲れ気味になった物か、もしくはバフレックスが良いかも知れません。「新品にそれの必要は無いだろう」と思えるのは多分足付け&脱脂の威力を知らないだけで、その処理された面には剥離を想定して作られたマスキングテープでさえ糊が残って剥がせなくなる程ですから、ドライプリンターに効かない訳が無いのです、と言うのが私的な見解です。

 今回のポルシェエンブレムに使うのはこちらのメタリックシルバーで、「これももう廃盤かな・・・」と思ったら、サードパーティメーカーでは普通に売っていました(笑)。

象のロケット

 私的に思うこのプリンターの弱点は「インクリボンの重なり」で、今使っているプリンターは先ほどのサードパーティメーカーさんでOHをして貰っていますが、それでも塗装屋の観点で見るとどうしてもそれが見えてしまいます。その点では溶剤プリンターの方が優れているかもですが、ただそれも機器のメンテナンスによる所が大きいようで、最初は良くてもその後の保守点検をサボると…みたいです。

ちなみにその「継ぎ目」の対処法としてですが、私の場合はロゴの位置をずらして何個も印刷し、これによって時々奇跡的に素晴らしい物が出来上がる「ワンオブサウザンド方式」を取っています。まあ実際は1000個も刷る訳では無いのですが(笑)。

ちなみに上記のデカールを使った実際の施工例のページもありますので宜しければどうぞ。

SENNHEISER E945 Microphone

この時は半艶仕上げだった為、磨き処理が出来ないので下塗りでデカールの段差をしっかり平滑にする必要がありました。

完成後はオーナー様より「想像より、また日記で拝見した画像よりももっと素晴らしい出来で、感激いたしております。大切に使わせていただきます。」とのお言葉も頂戴しました。辛かった光景が走馬燈のように…(笑)。

 そしてデカールの完成です。今回のロゴはインクリボンの幅よりも全然狭い為、リボンが重なり合わさる部分に関しては何の心配も無いのですが、やはりと言うか「擦れ」が生じたりする事があるので、多めに刷ってその中から良い物を選ぶようにしています。

今回はボディカラーが白なのでエンブレムが余り目立ちませんが、新たに塗る色は赤なのでこれはかなり目立つと思います。まあ仕事がら目立ってはいけない(手作業でやったとは思えないように見せないといけない)訳なのですが(笑)。

ちなみにこちらのページ上段でご案内している通り、ここで紹介する事項は「PRO_Fitの仕事とは関係無い事」となります。単体でデカールやロゴを作成して欲しいというご要望にはお応え出来ませんのでご了承下さいませ(塗装の付帯作業としてこちらから提案をするという形となります)。

次からは本来の仕事となるので日記での紹介になると思います。塗装工程は少し先になりますが、引き続きもう少々お待ちくださいませ!

ポルシェミニカー 外装部品分解

 先日ボディの取り外しが完了していた1/43サイズのポルシェ911turboSのミニカーです。いよいよ外装部品を取り外します。

 ボンネットバッジは幸いにしてクリアーの上にシールが貼ってあった為、

 カッターの刃にシリコンオフを塗り、隙間に挿し込んで綺麗に剥がせました。

 フロントフェンダサイドマーカーは接着剤固定で、それを取り外すよりも外した際にどこかに飛んで行ってしまうのが恐ろしので、各部品は表からマスキングテープを貼った状態で外していきます。

 ミラーは外さないで塗れればと思ったいたのですが、結局外しました。

しかしヘッドライトカバーは頼んでもいないのに勝手に外れてしまうと言う・・・。

 ドアミラーの鏡部分の反射シールも綺麗に剥がせたので再利用可能です。下に敷いているのは糊が着かない紙で、これに挟んで保管しておきます。

テールランプは裏側から押すところは無く、かと言って外側から抉るのは嫌だったので…、

 裏側にあったネジを外してみると、

多少塗料で固着していましたが、強く押したらリヤスポイラーが外れてくれました。

スポイラーが付いていいた溝からテールランプを押せたので無事綺麗に外す事が出来ました。

ちなみにこのテールランプの本物がこちらです。

 と言う訳で何とか付属品は無事取り外せました。

 外装部品は単なる嵌め込みかと思いきや、結局ほぼ全ての部品に接着剤が付いていて、予想していたより時間が掛かってしまいました。しかもやはりと言うかある程度のリスクがあるので、仕事としてやるにはハードルが高いかもですね。部品取り用として一台用意出来れば間違いが無いのですが…。

それにしても1/43サイズと言うのに本当に良く出来ています。このキャリパーはこれですかね。

リヤのエンブレムはシールでは無くクリアー下にデカールが貼ってある為、

ロゴはデータから作成し、同じようにデカールを作って対応します。

既にデカールも出来ていますので、そちらはまた後日紹介しますね。

引き続きどうぞもう少々お待ちくださいませ!

ポルシェ内装色検証

現在塗装の仕事でお預かり中のポルシェ911 991の内装部品です。

ご依頼内容は黒いメーターカバーを内装パネルの色に合わせて塗装する作業なのですが、塗装屋さんなら判る通りこれは至難の業です。ドアパネルを交換したとして、隣接するパネル(リヤフェンダーとフロントフェンダー)は塗らずのブロック塗装、しかもそれを艶消しで塗るなんて無謀でしかありません。通常は調色作業をするだけして、さらに隣接パネルに色を暈すと言うのがセオリーです。

ただ今回は塗装する物がこのメーターカバーだけなので、当然ですがそこまでコストは掛けられず、なのでちょっと仕事以外の時間を使って色々検証してみようと思った次第です。本来ならさっさと原色を混ぜて色を作った方が早いのですが、やはりと言うか実際に出来上がった物の色が違うのは相当ショックですので…。

と言う訳で、今まで何度か登場した普段は使わない虎の子的なSTANDOXの色見本帳です。

以前車の塗装をしていた頃に担当してくれていたオートサプライヤーさんは非常に懇意にして頂いて、普通は手に入らないような色見本を色々とご提供いただいたりしました。

これらはSTANDOX North America、クライスラーやフォード、ジェネラルモータースに特化した色見本です。

これの素晴らしいのは「内装色」の色見本がある事で、

探してみると今回のようなポルシェの内装に似たような色も見つかります。

さらに素晴らしいのは既につや消しクリアーが塗ってある事で、これによって「クリアー塗装後の色変化」を気にしなくて良い事です。ちょっと判り難いかも知れませんので後程改めて紹介しますね。

意外にもエンジ色の内装は結構あるようで、

ただ今回のオーナー様からのご要望としては「 組み合わせる台座よりは、ほんの少し濃い感じで」と承っておりますので、ちょっと(と言うか全然)足りないかなぁ、と。

他にも良さそうな色はあったのですが、こちらは艶あり仕上げなので良く判りません。

そうなんです、下に塗ってある色は同じでも艶ありとつや消しでは全く違って見える為、艶違いの色見本は全く参考になりません。当然ですが調色作業も然りです。

こちらもSTANDOXの色見本で、これらの赤はベースコートはどれも同じ色ですが、その上に塗ってあるトップコートが違います。

こちらの黒もそうです。

最初から同じ色だと言われていればそう見えるのですが、この状態ではどうやっても同じ色には見えないので、多分これらが違う色でもそう言われたら同じ色に見えてしまうと思います。

なので艶消しで色を合わせるにはやはり調色の段階でもつや消しクリアーを塗らなければならなく、ただそうなると塗装費とは別に調色費(と艶調整費)に膨大なコストが掛かってしまう為、ご依頼自体が難しくなってしまうのです。車の事故修理みたいに200万円の工賃になら調色の為に5万円のコストを掛けるのは仕方ない(と言うか当然)と思いますが、今回程のサイズで塗装費とは別にその費用は現実的では無いですよね。

と言う訳でジャジャーンと!

って、まあこれはSTANDOXユーザーであれば普通の色見本なのですが、ただちょっと他の物とは違います。

こちらは主に外装の特別設定色で、日本車では余り見られませんが車体色とは別にバンパー等に塗られた塗色用の色見本となります。

最近は判りませんが、一昔前ではW124辺りのメルセデスベンツだとバンパーとサッコプレートがボディカラーとは別色&艶消し仕上げになっていた仕様が多くあって、そういった時にはとても役に立つ色見本です(ただ実際はそんなに使わなかったのですが…)。

こちらの方が種類が多い為、先ほどの内装用の色見本よりも近い色が見つかりました。

色見本帳自体凄く正確と言う訳でも無いのですが、適当に色を作ってつや消しクリアーを塗らないまま本塗りをしてしまうよりかはこちらの方が近い色に出来ると思います。

ただここまでやってしまうと「結局コストが掛かってるじゃん!」と突っ込まれてしまいそうですが、実は今回理由があって・・・

そうなんです。実は今回の内装色、別件でご依頼作業中のポルシェのミニカーと同じ色なんです!ちょっと興奮していました(笑)。

最初の画像にあった皮が貼られた部品は恐らくここにある肘掛だと思われます。凄い偶然と言うか、ここまで揃うともう何かの啓示としか思えません(いや、なんでもありません…)。

以前も少し書きましたが、いつかは自宅でひっそりミニカーでも塗って余生を過ごしたいという事もあって、ただミニカーを塗れる人は普通に沢山いる訳なので、そこはやはり差別化は必要だと思っています。

その方法の一つとして実車のデータをミニカーにフィードバックすると言う考えがあって、前回エンブレムのデータを作成したような感じで、今回実車の内装色を採取する事が出来たのは有り難かったです。カラーコードさえ記録しておけば30年後に同じ色を作る事が出来ますからね(ってカラーコードをオープンにしている時点でまるで駄目なのですが…)。