オリジナル表札制作&塗装

 先日紹介したオリジナル表札の作成と塗装です。

表札の塗装としては、現在実際に仕事としてご依頼頂いている案件があるのですが、そちらは掲載は控えるようにしていますので、それとは別に友人から受けた依頼をこちらの社外記で紹介したいと思います。

用意したアクリル板は厚みが5ミリで、断面はカットしっぱなしのガタガタした状態なので、

 まずはそれをペーパーで削って均しました。#120から始めて最終#800で仕上げています。

 さらに表と裏面を#800相当で足付けします。

「裏側は何もしなくても良いのでは?」と思うかも知れませんが、こうしておけば取り付ける時にプライマー無しで接着剤でも両面テープでも取り付けられます。逆を言えばPMMA=アクリル樹脂はプライマー無しでは両面テープや接着剤は剥がれてしまいます。

 まずは裏側の塗装からです。よく脱脂処理し、プラスチックプライマーを塗布します。

プライマーは極薄膜なのでそれ単体では耐久性を保持出来ませんから、

 ベースコートの黒を塗布します。もちろんサーフェサーでも良いのですが、コストと見た目を重視した結果こうしています。

 ベースコートの黒が乾いたらマスキングをします。ザラついていると固定の際に密着性が悪くなりますし、見た目も悪いので角で見切っておきました。

 ひっくり返し、再びプラスチックプライマーを塗布します。

 二枚は黒ですが、もう一枚はサンプルなので、表札では余り見かけない変わった色にしてみました。

最初はPORSCHE純正色のミントグリーンにしようかと思いましたが、ちょっとマニアック過ぎるかと思い、以前サーモスの塗装をご依頼頂いた時に採用したティファニーブルーにしてみました。

またその時はお預かりしたティファニーの箱を参考に色を作りましたが、

今回はBUGATTIの配合データ「TIFFANY GREEN」(カラーコード:V603)を使っています。

 友人から依頼を受けているデザインはこれとは別の物なのですが(奥様が実際の紙に筆で書いた漢字をスキャンします)、友人からは「以前乗っていたヤマハTZRのロゴに似せたい!」という要望がありまして、ただそれのフォントはちょっと酷い感じだった為(苦)、他に車体にあった「YPVS」(ヤマハパワーバルブシステム)のフォントに似せたロゴを作りました。紹介はしていませんが、以前マイクの塗装で「E.YAZAWA」に似せたデザインのネームロゴを作った事があって、それと同じような感じです。

 ネームロゴは塗装で、下に入れる小さい文字はデカールで行います。以前行ったCORSAIRのPCケースのフロントパネルのロゴ入れみたいな感じですね。

これはまだ試作品(当店用の見本)で、実際には全く違うデザインになると思いますが、まず先にサンプルとして作っています。

こちらは完全に遊びというか試作品で、ただ前からこれと同じ色のマイクを見本として作りたかったので今回採用しました。

他には買っておいて全く触っていなかった透明なスマホカバーも塗ってみました。配合データを記載してこれ自体を色見本にしたりしたら格好良さそうですが、その辺はNGなのでうちのロゴをデカールで貼っています。

スマホカバー単体での塗装は既に安くやっていらっしゃる方が沢山居るので、わざわざ当店にご依頼頂かなくて大丈夫なのですが(しかしあの値段設定では自らの首を絞めているようで心配になります・・・)、手持ちの物と同じ色にしたりしたら需要がありそうなので塗ってみました。

 という訳で、色見本用のマイクも塗っていて、他に以前買っておいたPOKETLE(ポケトル)もティファニーブルーで塗っています。

ちなみにスマホカバーだけはティファニーブルーでは無く、以前CORSAIR PCケースのフロント枠部分の塗装でご指定頂いた時のPANTON322を参考にした色を使っています。特に理由は無く、途中で色が無くなってしまったのでして・・・(わざわざ作るより残っていたその色を使ったという訳です)。

尚、画像の後ろに映っているアームライトもこのCORSAIR PCケースの塗装に使ったグリーンで塗っていて、ご依頼頂いていた時には判らなかったのですが、どうやらこれはこれは「初音ミク」をイメージしたグリーンだという事が判明しました。

既にクリアーも塗っていて(これらの為だけではありませんが日曜日に出勤してやっていました・・・)、出来上がり次第改めて紹介したいと思います。

エメラルドグリーン調色

 ご依頼を頂いていたマイクの塗装に使った、ロゴを印刷したデカールです。いつものようにALPS社のMDプリンターを使って作成しました。

 下色にシルバーを印刷し、その上にシアン、イエローを重ねています。

今回のご依頼では「このロゴの色に合わせたエメラルドグリーンでマイクのグリルを塗装」といったご指定だったので、この印刷した色に合わせて色を調色する事にしました。

尚、MDプリンターを使ったデカールの作成についてはこちらの記事が判りやすいかと思いますので宜しければご参照くださいませ。

 こういった場合は適当にグリーンとブルーを混ぜて作ってしまえば手っ取り早いのですが、当店の場合「前回依頼した色と全く同じで!」や、「ウェブサイトで紹介しているあの色と全く同じに」といった、まるで背筋が凍るようなご指定を頂く事が多く、なので今回もその場のノリで色を作ったりはせず、しっかりデータとして残すようにしました。念の為ですが配合データが無い場合、全く同じ色を作る事は不可能です。

上の画像はどちらもハウスオブカラーの塗料を使って作った色見本で、左がKK-09オーガニックグリーン100%、右は少し前にお納めした64 AUDIO Fourte Noirのイヤホン塗装の為に作った、KK-09とKK-04を混ぜて作った色見本です。

今回はこれらを参考にして色を作ります。

 実際には「調色」と言う程の作業では無く、先ほどの色見本から大体を予想して配合率を決めて2種類を作っています。

 左がグリーン:ブルー=4:1で、右がグリーン:ブルー=2:1です。

色味的には右の方がエメラルドグリーンっぽくて良いのですが、今回はデカールの印刷色に合わせるので左の色を採用する事にしました。

 こちらがグリーンが多い方です。

こちらがブルーが多い方です。

そして本塗りです。

印刷と塗装を比べる物ではありませんが(そもそも全く違う物なのでどうやっても同じにはなりません)、概ね良い具合にはなったと思います。

 既にマイクはお納めしていて、その後それぞれの色見本もいつものようにプレート化しておきました。

色見本プレートの作成についてはこちらの記事が判りやすいと思いますので宜しければどうぞ。

 塗膜構成は印刷と同じく、下地にシルバーを敷いた3コートキャンディーカラーとなります。

キャンディーカラーの場合、下色を調整する事でも色を変える事は出来ますが、そこに手を出すと天文学的な組み合わせになってしまうので、基本的にはそこは弄らないようにしています。

今回は印刷した色に合わせて塗料(の配合データ)が作れたという事で、これはいずれ役に立ってくれる日が来ると思います。と言うかこういう事にも結構なコストが掛かっているので、役に立ってくれないと困る訳です(笑)。

あ、でも現在入っているマイクの塗装でもこれらが大いに役にたってくれまして、いずれ海外から観光で来られた方が実際にこれらの色見本を見てそこでオーダーし、作業工程はブログで紹介~完成品を国際便で発送する!という日も来るかも知れません。まあ現状既に手一杯なのでそんな事する予定もありませんが・・・。

MDプリンター グレー印刷

現在仕事でご依頼を頂いているKATOクレーンミニカーの塗装で、各ロゴは先日デカールに印刷していたのですが、「グレー」のインクだけが無かったので、今回新たに取り寄せました。

ちなみにグレーは元々ALPS社では設定の無い色(印刷不可能)で、現在はそれをサードパーティの象のロケットさんが開発して販売してくれています。

またグレーは現在三種類出ているようなので、デカール印刷が得意な知り合いの塗装屋さん(G-SHOCK塗装屋さん)に何が良さそうかを聞いてみると、「GN-50ならライトグレーを二度刷りで丁度良いのではないでしょうか」との事でそのインクリボンと、今後の為にもう一種類薄いグレー「アイスグレー」と、デカール用紙も15枚買っておきました。

 いつものようにWindows XPが入ったスタンドアローン機(非回線PC)を使ってALPS社のドライプリンターMD5000を動かします。

 使うのは2個だけなのですが、最初の印刷ではカスレが酷く、40個刷って一個も使い物にならない!と言う状態だったのですが、しっかり足付け処理&脱脂をしてから刷り直したら綺麗に出来ました。ライトグレーを二回重ねてクリアー(と言うインクがあります)で保護しています。

色も良い感じです。塗装と違って黒と白を混ぜて(重ねて)もこんな色は出せないので本当に助かりました。

ちなみに当店で使っているMDプリンターですが、同じSTANDOXユーザーで知り合いのスイスの塗装屋さんが当ブログの記事を見て凄く欲しがってしまったようで、「Hi!! 香港で売っているのを見つけたんだけど、消耗品とかが手に入るか不安なんだよね・・・」みたいな事を言っていたので象のロケットさんを紹介したところ、二週間後には「届いたぜ!」とか言っていてビックリしました(笑)。OH済みのMD5500をスイスまで送ってくれたようです。

ただやはりと言うかデカールが上手く貼れない(剥がれる&チヂれる)との事で、渡した使っている接着剤(マークセッター)を紹介したところ、「Oh!近所の模型屋に同じのがあったっぽい!」とか言って喜んでいました(笑)。私の方も「あるのか!」と驚きました(笑)。

ミニカー本体の方は分解も終わっていて、現在溶剤槽に浸け置きして旧塗膜を剥離中です。

それでは進行次第また紹介させて頂きますね。今後は仕事メインなので日記の方になるかと思います。

色見本マイク グラデーション塗装

先日行ったご依頼品のマイクと一緒にこちらの色見本用マイクも塗らせて貰いました。画像は既にベース色の白(VWキャンディホワイト)が塗られた状態です。

 当初はこれにクロマフレア風の塗料を重ねようと思っていたのですが、余り変わり映えがしないかも・・・と言う事で、少し変わった塗装を行う事にしました。そう、グラデーション塗装です。

 白の上にキャンディーカラーのマゼンタとブルーを重ねていきます。

 補修塗装(板金塗装)をやっている塗装屋さんからすると、このグラデーション塗装を毛嫌いしている方は多いと思います(私も、です・・・)。

 と言うのも、そもそも「塗ったことが判らないようにする」と言う補修塗装では、こんな風に色の粒子が目で見えるような仕上がりはあり得ないのです。白の上に白を重ねるだけでもその粒子一粒一粒が気になるような世界ですから、こういうのはやっていて吐き気が・・・(淡いソリッドカラーは粒子一粒でもフリップフロップが判るので、それに気づくと凄く気になるのでして・・・)。

と言う事ですが、もう車を塗っていない私としてはそんな事も言っていられず、新たな塗装も色々とやっていかないといけない訳でして、まあでもかなり楽しんでいたりもするのですが(笑)。

 デカールは二色×2種類で、こちらは「特色ホワイト」の上に「OKIブルー」と「マゼンタ」を重ねた物です。

 こちらはシルバーの上に同じく「OKIブルー」と「マゼンタ」を重ねた物です。象のロケットさんのデカールにALPSのドライプリンターで印刷した物を貼っています。

 そしてクリアーを塗って本塗り完了です。

 色々と許せない所がありますが、まあこれは一つのジャンルと言う事でアリにしようかと思っています。

 どうしても粒子は見えてしまうのですが、これでも樹脂中の含有量をかなり薄くして丁寧にボカシをしていたりします。下地が白では無くシルバーか、もしくは少し色を入れておくともう少し粒子感が判らなかったかもですね。

 グリルボールの方はリング部のみ、しっかり色を着けてしまったせいかキャンディーカラーらしい透明感が無くなってしまいました。こちらもグラデーションさせた方が良かったかも知れません。

青の方は透明感のあるキャンディーカラーっぽい明るい色味になりました。

今度はメタリックで、さらに慣れてきたら多色を組み合わせて試してみたいと思います。