第2回 遠心注型

enshin50 前回の初遠心注型ではシリコーン型とプレートの隙間から樹脂が漏れてしまったので、今回はそれの対策としてMDF板を1枚から2枚に増やして歪みを防止する事にしました。

enshin51 またネットで他の方のを見てみると低反発フォーム?か何かのクッション材を間に入れていたようで、私もそれに倣って手元にあったウレタンフォームを挟んで見る事にしました。スーパーセブンのプリプレグカーボンの固定に使った物で、これでシリコーン型に均一に力が掛かるようになるのかも知れません。

enshin52 さらに前回はMDF板に樹脂がくっ付いて大変だったので、板と型との間にPPシートを挟んで剥がし易いようにしました。データが一つあれば何でも切れるので、この辺がレーザーカットの良いところですかね。

enshin53と言う訳でこちらが今回の仕様となります。何だかクラッチみたいですが…。

enshin54 間に注型用のシリコーンを挟み、ネジで固定します。前回は樹脂がかなり漏れたので今回は結構強めに締めてみました。

enshin55 また前回は樹脂を注ぐ時に穴を外して周りに零してしまった為、今回は漏斗的な感じでガムテープをファンネル形状にしています。

しかしこれが後に大変な事に…(いや、ギリギリ助かったのですが)。

enshin56 また今回はテストも兼ねていつもの注型用ウレタン樹脂では無く、FRPの補修に使うポリエステル樹脂(リゴラック)を使う事にしました。いつもの悪い虫みたいな感じですが、単に真っすぐ行くのもつまらないですし、またこの樹脂はインパラフィンなので離型のし易さにも期待しています。

enshin57 しかしいつも思うのですが、買った時よりも色が濃くなっているような気が…。

enshin58 ちなみにこちらは同じポリエステル系樹脂でも透明な方で、しかし何故か固まっています…(苦)。

enshin59 当然ですが硬化剤は入れていなく、良く見ると(よく見なくても)白い粒粒が発生していて、どうやら保管している間に結晶化してしまった模様です。恐らく容器内に残った空気中の水分が反応してしまったと思われ、この辺は不飽和ポリエステル樹脂の宿命ですかね。長期保管の効かないポリパテと一緒です。

enshin60 と言う事で注型スタートです。今回は促進効果を期待してヒーターを追加してみました(いや、単にドライヤーを当てているだけなのですが…)。

enshin61 と言う訳で硬化までおよそ5分、第2回目の遠心注型が完了です。

enshin62タライのお陰で何とかギリギリ防げましたが、ガムテープで作ったファンネルのせいで危うく工場内をリゴラックだらけにするところでした…(恐)。

enshin64そして型を挟み込んだ円盤を見てみると、間から樹脂が漏れた形跡は全くありません。

前回は隙間が空いていたからだと思いますが、今回の結果からはどうやら樹脂を注ぎ過ぎた場合は上から周りに飛び散るようです。重力があるのでそんな訳は無いと思っていましたが、イメージとしては上昇気流を発生する竜巻のような感じでしょうか。

enshin65そして板を外してみると、

enshin66リゴラックとしては信じられない程の仕上がりに…!。

ちなみに今回は真空脱泡による予備脱泡もしていません。

enshin67まだデータは取り切れていませんが、今回隙間から漏れなかったのはこのウレタンシートのクッション効果が良かったのかもです。型に均一に圧が掛かる事で隙間が出来難かったのかも知れませんね。

enshin68シリコーン型を作る時に注ぎ口は円柱形をしたマスキングテープを使いましたが、そこを円錐状の物にすれば型離れもし易く、また樹脂の飛散も防げたかも知れません。次回は是非。

enshin69まあ取りあえず注型自体は成功したので、次はいよいよ注型用ウレタン樹脂を使って本番に挑もうと思います。

(と言うかこの記事を書いている間にそちらも既に終わってしまいました。笑)。

スマートキー ロゴ入れ塗装 テスト

key131 先日作成しておいたトヨタランクル用スマートキー用のマスキングシートです。ようやく色が決まりましたので早速テスト塗装を行いました。

key132 今回は元々サイズの小さいスマートキーカバーに「LAND CLUISER」のロゴを塗装で入れようという事ですから、一文字辺りのサイズは普通ではあり得ない程のサイズになっています。

通常であればデカールで行うのですが(そもそもそのつもりでした・・・)、カバーの窪みに埋め込むトヨタの極小エンブレムと色を合わせようと言う事でこちらも塗装になっています。

key133 マスキングシートの使わない部分を、ちょっと試しに1円玉に貼ってみました。尋常では無いサイズなのが判ると思います。

key134 テスト用の被塗物としては、いつもの注型ミニカーを使います。

ベースカラーのホワイトパールは、スマートキーカバー本体に塗った色と同じ「トヨタホワイトパールクリスタルシャイン」(カラーコード:070)で、少し前にこちらで紹介した痛車風のキーホルダーの時に一緒に塗っておいた物です。あの色はこの色だったんですよ。

key135 ロゴの色は3コートSPFシルバーで、まず下色に黒を塗り、その上に樹脂で15倍に薄めたSTANDOX SPFシルバー原色を塗っています。

key136 ロゴが余りにも小さいので実際はどれぐらいシルバーを塗っているのかよく判りませんから、目安としてこちらの色見本にも同じ様に塗る事にしました。

key137 ロゴの方のマスキングを剥がしました。

key141 さらにクリアーも塗っています。丁度お急ぎ(納期指定)でマイク塗装のご依頼があったので、タイミングよくこちらも一緒に塗る事が出来ました。

マイクの塗装はライブの関係上納期を急がれる方が多く、ただお金が勿体ないので(納期指定のオプションは5割程上がってしまいます)、出来るだけ早めにお問合せを頂ければと思います。尚年内完成は既にお受付を終了しております。

key142こちらも同じくクリアーを塗りました。

ただやはりと言うかあのサイズのロゴへの塗装だとどうしても塗装(塗膜)は控えめになってしまうので、同じ15倍希釈のシルバーでも明るさが弱いように感じます。

こちらはまた後日改めて検証してみたいと思います。

key138 それよりもどうしても諦めきれていないのがこちらのレーザー加工機によるマスキングテープのレーザーカットで、物理的に刃が回ってカットするカッティングプロッターの仕上がりではどうしても気に入らない部分があって、それに比べるとこちらのレーザーカットした物ではとても満足のいく仕上りなのです。

もはやマスキングで出来る域を超えているのは重々理解はしているのですが、どうせならさらに高みを目指したいので、もう少しこちらを詰めてみようかと考えております。

key140カッティングプロッターを使っている方ならこれがどういう仕上がりなのか良くご理解を頂けているかと思います。カッティングプロッター速度を一番遅くしても角では刃の回転が追い付きませんが、レーザーだと並行と垂直がキッチリ出ています。

key139 ただレーザーでもここまでのサイズとなると使い方はかなりデリケートで、カットするその時の気温(雰囲気温度)にまでも左右されてしまう程なのでこれも中々思うようにはいきません。少し前に試した時は上手くいっていたのですが、今回は殆どが失敗していたんですよね。

と言う事でもう少しこの辺を煮詰めてみて今一度テスト塗装を試みてみようと思います。

長らくお待たせしておりますがどうぞもう少々お待ち頂ければ・・・と思う次第です。

色見本 作製

iromihon1 在庫が切れていたMDF板を大量に入荷しまして、ようやく色見本の作成作業を再開しました。まずはレーザーカットです。

ちなみにこのMDF板のサイズは400mm×300mmで、何と100円ショップで売っています。ただその辺だと余り見かけなく、うちから一番近い所だとJR大森駅のキャンドゥでしか手に入りません。これ1枚で9個の色見本が作製出来るのでとても重宝しています。

iromihon2 今回は合計36個作りました。これで400円とは恐るべしです・・・。

iromihon3 こういった仕事以外の時は缶スプレーの艶消しブラックを使うのですが、さすがにこの数なので普通にSTANDOXで塗りました。しかしむしろその方がコストが高いと言う噂も…。

iromihon4 そして溜まっていたデータをプリントアウトしました。こちらは厚手のマット紙に普通にレーザープリンターで印刷しています。

iromihon7先ほどの紙をカットし、黒く塗ったMDF板に糊で貼り付けます。以前塗っておいたダースベイダー達もこれでようやく解放されますね(いや逆ですか)。

iromihon8と言う訳で カチッと枠に嵌めてあげました。こちらはLOOKのフルカラーロゴを塗装で行ったときに使った色達です。

iromihon9そしてこちらは先日完成したBMW E30 M3 EVO2に使ったMカラーの色見本です。

少し前からSTANDOXから配布される配合データがPDF形式になったので、配合データ表をベクトルデータのままIllustratorに組み込んだら小さい文字でも綺麗に印刷する事が出来ました。ちょっと手間は掛かりましたがやはり配合データがそのまま見れると後で色を作る時に便利なんですよね。

car27そしてこちらが新たに見本用として作製した車型の色見本です。ダースベイダーも良いですが、やはり車の物であれば見本も車の形をしていた方がそれらしく見えるかなと思いまして。しかもこれなら著作権も引っかからないので売る事も出来ますし(売りませんが…)。

car26 こちらは先日日記でも紹介した新品塗装済みブレンボキャリパーと、それの色に合わせて当店で塗装したキャリパーです。

car28 右がフェラーリの(新しい)ロッソコルサですが、こうやって見るとブレンボの赤がどれだけ鮮やかなのかが判ると思います。

car29右側が先ほどの新しい方のロッソコルサ(カラーコード:322)で、左側が昔ながらのロッソコルサ(カラーコード:300)です。同じロッソコルサでも左側の古い方が明るく(朱色っぽく)、私的にはフェラーリの赤と言うと断然左側の300の方なので、特にご指定が無ければこちらを使うようにしています。

factory-1-1-14自動車のカラーシステムは本当によく出来ているのですが、色の検索方法、色見本帳の構成の仕方がメーカーによって別れているので、先ほどの色見本のように似たような色を並べて見比べたりする事が出来ません。便利そうで、自動車補修以外にとなると余り使えないんですよね。

ちなみに上の画像にあるRM社のカラーマスターなるシステムは色相毎に色見本が分けられているのですが、結局良い色を見つけてもそこから配合データへの逆引きが出来ないので、残念ながら使い道は無さそうと言う・・・(苦)。

と言う訳で、これは!と思った色だけでも見本として残しておけばきっと後で役に立つ日が来るだろうと言う事で地道に色見本を作製している次第です。

しかしベースコートが水性化したら全て水の泡になると言う噂も…(笑)。

スマートキーカバー ボタンイラスト部 マスキングシート作成

key14先日日記の方で紹介していましたトヨタのスマートキーカバーのボタン部分に入れるイラストのデカールですが、結局あの後ずっと悶々としていまして、やっぱりドライプリンターでのデカール貼り付けでは無く、どうにかして塗装で出来ないか!と考えていました。と言うかもはや毎日悪夢を見ているような状態でして(苦)。

key36 で、先日ふとした事から、そう言えば以前試してみたレーザー加工機を使ったマスキングシートの作成はどうだろう?と言う事で本日早速試してみました。しかしながらもう色々限界です(そしてとても眠いです)。

key12データ自体は先日ドライプリンターで使った物がそのまま利用出来たので幸いでした。

key35 と言う訳で一応レーザーカット完了です。

最初はいつものマスキングシートで試してみまして、中々良い感じにカット出来ているのですがカット面が焼け溶けた感じで少しシャープさに欠けるので、一応和紙タイプのマスキングテープでも行なってみる事にしました。ここからがドツボです。

key37 形がとても細かいのでステッピングモーターの速度を3mm/sに設定しましたが、そうするとレーザーが強過ぎて台紙を貫通してしまいます。かといってレーザー出力を抑えると、最初は機械が冷えている為か中々切れなくて、後の方になって機械が暖まってくると出力がどんどんと強くなると言う、かなり繊細な状況になりました。

色々と記録を取りましたが、多分換気扇の強さや気温も関係しているので、ここまでの作業となるとその都度微調整が必要になりそうです(なので一気にやっつけてしまう事に)。

key38色々試してみて一番良かったのは、多少レーザーが弱すぎるくらいの出力にして、それを3回に分けて切り出す方法でした。さすがにズレるだろうと思っていましたが、思った以上にステッピングモーターの精度が良く全くズレません(ただ何度か暴走しましたが・・・)。

何度も繰り返した微調整のお陰で最終的には表面のマスキングテープだけをカットし、台紙は綺麗に残したままにする事が出来ました。

key39イメージ的には和紙タイプのマスキングテープだと繊維感が残ってシャープな切り口にならないのでは?と思っていましたが(何と言ってもこのサイズなので普段気にならない事がありえ廃程目立ちます)、これなら十分塗装のマスキング用として使えそうです。

今回のような細かい物に関しては通常塗装では対応は出来ない(しない)のですが、使用用途が「ボタン」と言う事で恐らく相当負荷が掛かりますから、使っている内にデカールが・・・と言う事を懸念したのです。まだ上手くいくかどうかは判りませんが、とりあえずこれで今日から変な夢を見なくて済みそうです。

 

ちなみに色はトヨタエンブレムに塗るブラックメッキ調に合わせたいのですが、今回はさすがにこれをそれにするのは難しいので、代わりに金属感のあるシルバーに黒を足してそれに近い雰囲気の色を作ってみようと思います。この辺に関しても実は新色(!)を手配していますので、後日こちらも試してみようと思っています(ただアジテーターカバーの在庫が無かったらしくまだ使えません)。

しかし今回こそは社外記的な作業無しで行けるかと思いきや、うーん、やはり甘かった模様です(眠)。